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宝の地図で借金返すって本気か!?
3話
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俺たちは馬車の不慮の事故により、アインスの町まで歩くことになっていた。
「いやぁ、夏で良かったですね。これが冬なら凍え死んでますね。」
ガブが俺を慰めるようにそんなことを言う。なにが良いもんか。こんな暑さのなか2日も歩かされたら死んでしまうわ。
この世界の夏もやはり暑い。日本と違うのはじめじめとした暑さがないという点だ。まだ、ましか。まぁ、これは誰のせいでもないのだから仕方ない。恨むなら馬車のおじさんを恨もう。
さて、2日間かけて町まで歩くわけなのだがここで問題が起こる。そう、食事だ。半日で着くと思っていたので何も食料を持っていない。
「日中に狩りをしておいて、それをご飯にするしかないわね。」
ミシェルが呆れたような、諦めたような、そんな表情をしながら言う。
「よし!モスだ!モスを捕まえよう!」
リリーのこの明るさ、こいつはメンタルが強すぎるな。この旅に行くことになった原因の張本人の癖に。
そういって、俺たちはモスを見つけると茂みに入る。モスは攻撃性も無く、こちらがダメージを与えても逃げるので麻痺になっても心配ない。いつも通りの作戦も必要ないだろう。
リリーが茂みからダイスを唱える。
6だ。
こういう、失敗して良いときだけ1発で決めるのはなんなんだろう。逆に運が悪い気がしてくる。
ダイスの熱でモス2頭にダメージを与え、討伐した。相変わらずすごい威力で、大抵のモンスターなら一撃だ。
しかし、ここで問題が起こる。
「因みにこれはどうやって運ぶんだ?」
そう、2頭のモスを運ぶとなるとかなりの労力だ。かといってここで要らない部分を置いていくなんてことも出来ない。
そんな俺の発言にミシェルは笑いながら言う。
「え、そんなの伸縮袋に入れてしまえば良いじゃない。どうしたの?ミツルったら。」
ん?伸縮袋?そんなものは知らない。
ガブの方を見ても、ガブもキョトンとするだけだ。あぁ、そうだ。ガブはこの世界に詳しくないのか、天使の癖に。少しは行き先の世界のこと勉強しておいてくれよ。
そんなことを思っている俺の気持ちを知るよしもなく、ミシェルが鞄から普通の布を取り出す。見るからにただの布なのだが。
そうすると、ミシェルは袋の口の部分にあるボタンを押す。すると、袋が大きく広がり、モス2頭を飲み込んだ。そして、飲み込んだ袋の口のボタンを押すと元のサイズに戻る。すげぇ。なんだこれは。流石は異世界だな。もう訳がわからん。
「すげぇな、ミシェル。ちゃんとこういうものも鞄に入れていたなんて!流石はアラサー!年の功ってやつだな!」
「うるさいわね!余計なこと言わないでもらえるかしら!?そもそも誰のせいで…」
まぁ、とりあえず、荷物の問題は解決した。
そこから特に大きな波乱もなく歩いていくと、もうすっかり日が暮れてしまった。
「今日は順調に進めましたね!これならもしかしたら明日の夜遅くには着けるかもしれません。今日はここで休むことにしましょう!」
そうだな、そうしよう。
俺たちは丁度良い洞窟を見つけると、そこで今日は休むことした。本当に俺たちは運が良く、すぐ近くには滝とそのまわりには川が広がっており、水を補給するにも最適な場所だった。それに体を洗い流すことも出来る。汗をかいたこの季節には最適だ。
ところで、
「なぁ、料理はどうするんだ?」
俺の純粋な質問にミシェルがまた微笑む。
「また何を言ってるの、ミツルは。大丈夫よ、調理セットは持ってきてるわ。」
まさか、またあのパターンか。
ミシェルはおもむろに鞄から、昼間のとは別の伸縮袋を取り出す。まさか。
ボタンを押すと袋は広がり、中から調理セットが出てきた。いや、本当に重さとか形とか色々どうなっているんだそれ。異世界に来て一番驚いたぞ。
というより、
「いや、リリーじゃないけどさ。本当に準備よすぎるな。ほんと、人生経験豊富というか。」
「男の経験は乏しいけどな!」
あぁ、また余計なことを言う。
そして、いつも通りミシェルとリリーがぎゃあぎゃあ騒ぎだした。なんかもう見慣れたな。
「少しはこの世界に慣れてきましたか?」
ガブが近づいてきて小声で言う。
「そうだな、まだ戸惑いもあるけど少しずつ慣れてきているよ。それに」
「それに?それになんですか?」
ガブが不思議そうな顔をしている。
「いや、なんでもない。もう少し考えてから言うよ。」
「そうですか、そしたら待ってますね。」
そうするとガブはまだぎゃあぎゃあ言い合っている二人の仲裁に入った。
それに、の後に続く言葉は一体なんだったのだろうか。俺は一体何を言おうとしていたのだろう。少なくとも、日本にいたときとは何か違う、不思議な思いが芽生えはじめていることが自分でもわかった。
食事も一段落して、俺たちは各々自由に行動していた。ミシェルはすぐそこで野草を摘みに行った。いや、本当になぜミシェルがモテないのかいよいよわからないな。
それに引き換え、リリーはガブと洞窟でぐっすり眠っている。洞窟のなかはひんやりしていて、確かに気持ちは良さそうだ。
今日はもう遅いので俺も眠るとしよう。俺はそっと目を閉じた。
「いやぁ、夏で良かったですね。これが冬なら凍え死んでますね。」
ガブが俺を慰めるようにそんなことを言う。なにが良いもんか。こんな暑さのなか2日も歩かされたら死んでしまうわ。
この世界の夏もやはり暑い。日本と違うのはじめじめとした暑さがないという点だ。まだ、ましか。まぁ、これは誰のせいでもないのだから仕方ない。恨むなら馬車のおじさんを恨もう。
さて、2日間かけて町まで歩くわけなのだがここで問題が起こる。そう、食事だ。半日で着くと思っていたので何も食料を持っていない。
「日中に狩りをしておいて、それをご飯にするしかないわね。」
ミシェルが呆れたような、諦めたような、そんな表情をしながら言う。
「よし!モスだ!モスを捕まえよう!」
リリーのこの明るさ、こいつはメンタルが強すぎるな。この旅に行くことになった原因の張本人の癖に。
そういって、俺たちはモスを見つけると茂みに入る。モスは攻撃性も無く、こちらがダメージを与えても逃げるので麻痺になっても心配ない。いつも通りの作戦も必要ないだろう。
リリーが茂みからダイスを唱える。
6だ。
こういう、失敗して良いときだけ1発で決めるのはなんなんだろう。逆に運が悪い気がしてくる。
ダイスの熱でモス2頭にダメージを与え、討伐した。相変わらずすごい威力で、大抵のモンスターなら一撃だ。
しかし、ここで問題が起こる。
「因みにこれはどうやって運ぶんだ?」
そう、2頭のモスを運ぶとなるとかなりの労力だ。かといってここで要らない部分を置いていくなんてことも出来ない。
そんな俺の発言にミシェルは笑いながら言う。
「え、そんなの伸縮袋に入れてしまえば良いじゃない。どうしたの?ミツルったら。」
ん?伸縮袋?そんなものは知らない。
ガブの方を見ても、ガブもキョトンとするだけだ。あぁ、そうだ。ガブはこの世界に詳しくないのか、天使の癖に。少しは行き先の世界のこと勉強しておいてくれよ。
そんなことを思っている俺の気持ちを知るよしもなく、ミシェルが鞄から普通の布を取り出す。見るからにただの布なのだが。
そうすると、ミシェルは袋の口の部分にあるボタンを押す。すると、袋が大きく広がり、モス2頭を飲み込んだ。そして、飲み込んだ袋の口のボタンを押すと元のサイズに戻る。すげぇ。なんだこれは。流石は異世界だな。もう訳がわからん。
「すげぇな、ミシェル。ちゃんとこういうものも鞄に入れていたなんて!流石はアラサー!年の功ってやつだな!」
「うるさいわね!余計なこと言わないでもらえるかしら!?そもそも誰のせいで…」
まぁ、とりあえず、荷物の問題は解決した。
そこから特に大きな波乱もなく歩いていくと、もうすっかり日が暮れてしまった。
「今日は順調に進めましたね!これならもしかしたら明日の夜遅くには着けるかもしれません。今日はここで休むことにしましょう!」
そうだな、そうしよう。
俺たちは丁度良い洞窟を見つけると、そこで今日は休むことした。本当に俺たちは運が良く、すぐ近くには滝とそのまわりには川が広がっており、水を補給するにも最適な場所だった。それに体を洗い流すことも出来る。汗をかいたこの季節には最適だ。
ところで、
「なぁ、料理はどうするんだ?」
俺の純粋な質問にミシェルがまた微笑む。
「また何を言ってるの、ミツルは。大丈夫よ、調理セットは持ってきてるわ。」
まさか、またあのパターンか。
ミシェルはおもむろに鞄から、昼間のとは別の伸縮袋を取り出す。まさか。
ボタンを押すと袋は広がり、中から調理セットが出てきた。いや、本当に重さとか形とか色々どうなっているんだそれ。異世界に来て一番驚いたぞ。
というより、
「いや、リリーじゃないけどさ。本当に準備よすぎるな。ほんと、人生経験豊富というか。」
「男の経験は乏しいけどな!」
あぁ、また余計なことを言う。
そして、いつも通りミシェルとリリーがぎゃあぎゃあ騒ぎだした。なんかもう見慣れたな。
「少しはこの世界に慣れてきましたか?」
ガブが近づいてきて小声で言う。
「そうだな、まだ戸惑いもあるけど少しずつ慣れてきているよ。それに」
「それに?それになんですか?」
ガブが不思議そうな顔をしている。
「いや、なんでもない。もう少し考えてから言うよ。」
「そうですか、そしたら待ってますね。」
そうするとガブはまだぎゃあぎゃあ言い合っている二人の仲裁に入った。
それに、の後に続く言葉は一体なんだったのだろうか。俺は一体何を言おうとしていたのだろう。少なくとも、日本にいたときとは何か違う、不思議な思いが芽生えはじめていることが自分でもわかった。
食事も一段落して、俺たちは各々自由に行動していた。ミシェルはすぐそこで野草を摘みに行った。いや、本当になぜミシェルがモテないのかいよいよわからないな。
それに引き換え、リリーはガブと洞窟でぐっすり眠っている。洞窟のなかはひんやりしていて、確かに気持ちは良さそうだ。
今日はもう遅いので俺も眠るとしよう。俺はそっと目を閉じた。
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