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エピローグ

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本島へ戻ってきた俺たちは、浅香さんのいるあのホテルへと向かった。

ウサギハウスの方にいると教えられあの場所に向かうと、たくさんのウサギに囲まれて浅香さんが餌をあげていた。

「おーい、浅香!」

涼平さんの声に振り向いた浅香さんは俺の顔を見て何か安心したようなそんな安堵の表情を見せた。

「こんにちは。浅香さん」

「朝陽くん、表情が生き生きとしてるね。君のウサギに愛をもらったのかな?」

「――っ!」

ニヤニヤと笑いながら耳元でそう囁かれて、パッと顔が赤くなるのを感じた。

「おい、何言ったんだ? 朝陽は純情なんだから困らせるなよ」

「いや、表情が明るくなってるって言っただけだ。なっ、朝陽くん」

そう言われたら『うん』と頷くことしかできなかった。
涼平さんは俺の様子に少し訝しみながらも、一応納得したように見えた。

「朝陽が『テリフィックオフィス』に入ることを決めてくれたぞ」

「ほんとか?! うわぁ、よかった。君が入ってくれたらうちはもっと伸びるよ」

「そんなに言ってもらえるなんて恐縮です」

「いや、君は舞台で輝いてたよ。君は目力もあるし、こちらに訴えかけてくるような感じがグッとくるなって思ったんだ。
この前、ここで会ったときはオーラが消えていて最初はわからなかったんだ。君がそこまで落ちるほどの何かがあったんだろうなって思った」

そこまで見ていてくれたなんて……。俺、幸せだ。

「これからうちでしっかり頑張ってもらうからな。東京帰ったら、今住んでるところは引き払ってうちの寮に入ってもらうぞ」

「はぁっ? 浅香、何言ってるんだ! うちに寮なんてないだろう?」

「じっくりと演技に集中してもらいたいからな。寮は蓮見、お前の家だ」

「「えっ?」」

俺と涼平さんは声を合わせて驚いた。
涼平さんの家に住むって……これって、ど、同棲?
いや、同居か。

涼平さんは浅香さんと何やらひそひそと話をしていたけれど、
『わかった』と嬉しそうな笑顔を見せて、俺の方に向き直った。

「朝陽、じゃあこれから引越しだな」

どうやらもう決定事項らしい。
それでも俺は涼平さんと離れずにいられること、そして、俳優としてまた演技を続けられることに幸せを感じながら、
大きな声で

「よろしくお願いします!」

と挨拶をした。


俺の右手が与えてくれた幸せ。
これから俺は精一杯頑張るよ。
そして、またあの星空に会いに行きたい。
涼平さんと一緒に……。


終わり


この後、おまけの涼平sideのお話がひとつ続きます。
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