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家族写真
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<side寛>
昇とも一緒に行ったことがないゲームセンターに久々に足を踏み入れる。
それでもクレーンゲームには自信があった。
元々こういうの苦手ではなかったし、以前沙都に欲しいとねだられて取った事がある。
息子たちには恥ずかしくて内緒にしていたが、それからも何度か沙都のために一緒に入った事があったな。
お目当てのものが取れた時の沙都の喜びが可愛くて、なんでも取ってあげたいという気持ちになったものだ。
今思えば、物も嬉しかったのだろうが私が沙都のために動いている姿を見るのが、沙都は嬉しかったのかもしれない。
あのときの経験が可愛い孫を喜ばせるのに役立つとはな。
沙都のおかげだ。
ストラップのついた可愛いウサギのぬいぐるみが取れて大喜びしている直くんの姿が沙都と重なって本当に懐かしかった。
ウサギのぬいぐるみを上着の小さなポケットに大切そうにしまった直くんが、龍弥くんたちに誘われて初めてのプリクラの機械の中に入っていく。
「ここの機械は小道具が置いてあるんですよ」
「小道具?」
「直くんとカールくんならきっとそれを使うはずです」
卓は意味深に笑いながら昇たちの元に近づいていく。
小道具か……直くんはどんな姿を見せてくれるのだろう。
少し期待してしまうな。
昇たちが機械に金を入れ直くんたちが入ったブースのカーテンを開けると、中から可愛い動物耳をつけた直くんとカールが出てくる。
直くんが笑顔で
「どうですか?」
と昇に反応を尋ねているがあまりの可愛さに昇は咄嗟に反応ができていない。
そんな姿を見ていると初めて沙都と出会った時のことを思い出す。
先の大戦が終わった年に生まれた沙都が、その大戦で亡くなった祖母から譲り受けたという美しい振袖に身を包んで私の前に現れた。女神と見紛うようなその美しさに私は声を出せなかった。
沙都はそんな私にふわりとした優しい笑顔を見せ、静かに目の前に座った。
あの時、私は沙都を一生大切にしようと心に決めた。
昇も私と同じように直くんの可愛い姿に言葉も出せずに見入っているが、直くんはそれを咎めることもなく笑顔で佇んでいる。その姿に沙都と重なる。
昇が我にかえる間に、絢斗くんや瑠璃さんたちに続くように私と賢将さんが直くんへの言葉をかける。
昇は卓に背中を叩かれてようやく我にかえり直くんへ必死に言葉を紡いでいた。
その必死の様子は直くんにもちゃんと伝わったようだ。
その後四人でブースに入り、時折シャッター音が聞こえる。
「私たちの時代にもこんなのがあれば、入り浸っていたでしょうね」
「ははっ。そうだな。私たちの時はカメラを持つしかなかったが、いつの時代も愛しい人の今の姿を残しておきたいと思う気持ちは変わらないのだろうな」
「ええ。本当に」
しばらく経って直くんたちがブースから出てくると、絢斗くんがそのまま他のブースへと連れていく。
どうやら家族のプリクラを撮りたいらしい。
もうすっかり直くんも家族の一員になっているようでホッとする。
すると、
「おじいちゃんと、おじいちゃまも一緒に撮りたいです!!」
可愛い直くんの誘いの声が聞こえた。
「おお、寛さん。直くんからのご指名が入りましたよ。行きましょうか」
「ああ、ご指名が来たか。嬉しいものだな」
さっきの昇が羨ましいと思っていたから余計に嬉しい。
いそいそと賢将さんと一緒に駆け寄ると直くんが嬉しそうに笑ってくれた。
「直くん、どんなふうに撮りたい?」
「えっと……みんなで一緒にと、それからそれぞれ二人でも撮りたいです」
「それいいね! 楽しそう!! じゃあ、ツーショットから撮って行って最後にみんなで撮ろう!。じゃあ、私、先に直くんと撮るね!」
絢斗くんは嬉しそうに直くんとブースの中に入り、
「これ、つけてみようよー」
と楽しげな声が漏れてくる。
きっと何か小道具を使っているのだろう。
どんな写真が撮れるのか楽しみだ。
それから卓、賢将さん、昇と順番に直くんと二人の写真を撮っていき、今か今かと待っていると
「おじいちゃまー」
可愛い声がかけられた。
喜んで一緒にブースの中に入り、どんなポーズで撮ろうかと尋ねた。
「あの、抱っこがいいです!」
「おお、そうか。よし、いいぞ」
可愛い直くんを抱きかかえてカメラを見る。
画面にはこの上なく嬉しそうな直くんが見えて私も嬉しくなる。
ぱしゃっとシャッター音が聞こえて私と直くんの時間は終わった。
ブースの中に卓たちが入ってきて最後にみんなで写真を撮る。
私が沙都や卓、毅と写真館で撮った写真とはまた違う感覚だが、写真の持つ温かみは変わらない。
家族のプリクラ。
冥土の楽しい思い出になったようだ。
昇とも一緒に行ったことがないゲームセンターに久々に足を踏み入れる。
それでもクレーンゲームには自信があった。
元々こういうの苦手ではなかったし、以前沙都に欲しいとねだられて取った事がある。
息子たちには恥ずかしくて内緒にしていたが、それからも何度か沙都のために一緒に入った事があったな。
お目当てのものが取れた時の沙都の喜びが可愛くて、なんでも取ってあげたいという気持ちになったものだ。
今思えば、物も嬉しかったのだろうが私が沙都のために動いている姿を見るのが、沙都は嬉しかったのかもしれない。
あのときの経験が可愛い孫を喜ばせるのに役立つとはな。
沙都のおかげだ。
ストラップのついた可愛いウサギのぬいぐるみが取れて大喜びしている直くんの姿が沙都と重なって本当に懐かしかった。
ウサギのぬいぐるみを上着の小さなポケットに大切そうにしまった直くんが、龍弥くんたちに誘われて初めてのプリクラの機械の中に入っていく。
「ここの機械は小道具が置いてあるんですよ」
「小道具?」
「直くんとカールくんならきっとそれを使うはずです」
卓は意味深に笑いながら昇たちの元に近づいていく。
小道具か……直くんはどんな姿を見せてくれるのだろう。
少し期待してしまうな。
昇たちが機械に金を入れ直くんたちが入ったブースのカーテンを開けると、中から可愛い動物耳をつけた直くんとカールが出てくる。
直くんが笑顔で
「どうですか?」
と昇に反応を尋ねているがあまりの可愛さに昇は咄嗟に反応ができていない。
そんな姿を見ていると初めて沙都と出会った時のことを思い出す。
先の大戦が終わった年に生まれた沙都が、その大戦で亡くなった祖母から譲り受けたという美しい振袖に身を包んで私の前に現れた。女神と見紛うようなその美しさに私は声を出せなかった。
沙都はそんな私にふわりとした優しい笑顔を見せ、静かに目の前に座った。
あの時、私は沙都を一生大切にしようと心に決めた。
昇も私と同じように直くんの可愛い姿に言葉も出せずに見入っているが、直くんはそれを咎めることもなく笑顔で佇んでいる。その姿に沙都と重なる。
昇が我にかえる間に、絢斗くんや瑠璃さんたちに続くように私と賢将さんが直くんへの言葉をかける。
昇は卓に背中を叩かれてようやく我にかえり直くんへ必死に言葉を紡いでいた。
その必死の様子は直くんにもちゃんと伝わったようだ。
その後四人でブースに入り、時折シャッター音が聞こえる。
「私たちの時代にもこんなのがあれば、入り浸っていたでしょうね」
「ははっ。そうだな。私たちの時はカメラを持つしかなかったが、いつの時代も愛しい人の今の姿を残しておきたいと思う気持ちは変わらないのだろうな」
「ええ。本当に」
しばらく経って直くんたちがブースから出てくると、絢斗くんがそのまま他のブースへと連れていく。
どうやら家族のプリクラを撮りたいらしい。
もうすっかり直くんも家族の一員になっているようでホッとする。
すると、
「おじいちゃんと、おじいちゃまも一緒に撮りたいです!!」
可愛い直くんの誘いの声が聞こえた。
「おお、寛さん。直くんからのご指名が入りましたよ。行きましょうか」
「ああ、ご指名が来たか。嬉しいものだな」
さっきの昇が羨ましいと思っていたから余計に嬉しい。
いそいそと賢将さんと一緒に駆け寄ると直くんが嬉しそうに笑ってくれた。
「直くん、どんなふうに撮りたい?」
「えっと……みんなで一緒にと、それからそれぞれ二人でも撮りたいです」
「それいいね! 楽しそう!! じゃあ、ツーショットから撮って行って最後にみんなで撮ろう!。じゃあ、私、先に直くんと撮るね!」
絢斗くんは嬉しそうに直くんとブースの中に入り、
「これ、つけてみようよー」
と楽しげな声が漏れてくる。
きっと何か小道具を使っているのだろう。
どんな写真が撮れるのか楽しみだ。
それから卓、賢将さん、昇と順番に直くんと二人の写真を撮っていき、今か今かと待っていると
「おじいちゃまー」
可愛い声がかけられた。
喜んで一緒にブースの中に入り、どんなポーズで撮ろうかと尋ねた。
「あの、抱っこがいいです!」
「おお、そうか。よし、いいぞ」
可愛い直くんを抱きかかえてカメラを見る。
画面にはこの上なく嬉しそうな直くんが見えて私も嬉しくなる。
ぱしゃっとシャッター音が聞こえて私と直くんの時間は終わった。
ブースの中に卓たちが入ってきて最後にみんなで写真を撮る。
私が沙都や卓、毅と写真館で撮った写真とはまた違う感覚だが、写真の持つ温かみは変わらない。
家族のプリクラ。
冥土の楽しい思い出になったようだ。
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