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円満の秘訣
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<side直純>
「んー! これは美味しいな!!」
僕の作ったおにぎりを食べて笑顔でそう言ってくれたおじいちゃま。
それがとても嬉しかった。
「おじいちゃまは白いおにぎりが好きなんですよね?」
「ああ。今の時代は当たり前に白米が存在するが、私が子どもの頃は白米はご馳走でね。いつもは麦や芋が主食だったんだ。年に数回だけ、白米を食べられる日があって、その日は朝からワクワクしていたものだよ。その日にこうして塩だけで握ったおにぎりを食べさせてもらったんだ。だから今でも白いおにぎりは私にとってはご馳走だよ」
「おじいちゃま……」
僕も初めておにぎりを食べた時は感動したもんね。
あの時と同じ気持ちだったのかな。
「それにね、直くんのおにぎりを食べて妻の……直くんから見ればおばあちゃんだな。彼女の味を思い出したよ。私が白いおにぎりが好きだと知って、よく作ってくれていたんだ。仕事に行く時にはいつも作ってくれてね。あのおかげで仕事を頑張れたものだよ」
おじいちゃまが懐かしそうに笑顔を浮かべる。
きっとおばあちゃまのことが今でも好きなんだろうな。
「じいちゃん。直くんも俺が学校に行く時におにぎり作ってくれるんだよ」
「おお、そうか。それなら昇もやる気になるだろう」
「うん! そりゃあもう! 直くん、これからも毎日よろしくね」
「はい。昇さんが喜んでくれるなら僕はいつでも作ります」
それが僕の心からの気持ちだ。
「さぁ、私が作ったパンケーキも食べてみてくれ」
「はい。いただきます!」
ふっわふわでお皿を揺らすと一緒にふるふると震えるパンケーキが美味しそうでたまらない。
「生クリームやチョコレートソース、ハチミツもあるから好きなのをかけてごらん」
おじいちゃまが用意してくれた中から僕は生クリームとハチミツを選んだ。
それを切り分けたところにそれをかけて食べると、ふわっふわのパンケーキが口の中でシュワッと溶けてなくなった。
「んー!! おいひぃっ!!」
なんだろう、この食感。すごく不思議だけどめちゃくちゃ美味しい!
パパが作ってくれたパンケーキもすごく美味しかったけれど、おじいちゃまのパンケーキは全然違う。
これならいくらでも食べられそうな気がする。
スムージーというものも口にしてみた。
少し凍っている苺とかブルーベリーとかいろんな味が混ざってものすごく美味しい!
「おじいちゃま。これもすっごく美味しいです!」
「そうか、そうか。それは良かった。入れる果物によって味も全然違うからいろんな果物を試してみるといいよ。キウイやバナナも栄養があっていいぞ」
「じゃあ、明日出かけたときに直くんが食べてみたい果物を買って帰ろう」
「わぁー! 楽しみです!」
明日はみんなでカールとお出かけ以外に楽しい予定もできちゃったな。嬉しい。
「じいちゃん。残ってるならこのおにぎり、俺が食べてもいい?」
「ははっ。そういうだろうと思って残しておいたんだよ。お前、私が食べている時からチラチラみてたからな」
「えーっ、気づかれてたの?」
「当たり前だ。ほら、食べなさい」
「やった!」
パパと一緒の時の昇さんより、おじいちゃまと一緒の時の方がなんだか子どもっぽく見えて可愛い。
嬉しそうに僕の作ったおにぎりを頬張ると、唇の端にご飯粒が一粒ついた。
やった! 前からずっとしてみたいと思っていた瞬間がやってきた。
僕はちょっとドキドキしながら昇さんに声をかけた。
「ご飯粒、ついてますよ」
「えっ?」
「ここ、です」
さっと指で摘んで、口に入れるとものすごく美味しく感じた。
「うん。すっごく美味しいですね」
やっとできた喜びと、本当に美味しいご飯粒に僕は笑顔でいっぱいになっていた。
<side寛>
大きな皿にいくつも並べられた小さなおにぎり。
それを幸せな気持ちで味わっていると、パンケーキを食べている昇の視線を何度も感じた。
きっと直くんの手作りのおにぎりが気になって仕方がないのだろう。
それでも毎日食べさせてもらっているというのに、今日くらいは私に全部食べさせてくれてもいいものだが、まぁ、そうも言ってられないのが男心というものだろう。なんせ自分の愛しい相手の手料理だからな。
昇に食べていいよと伝えると、目を輝かせて皿からおにぎりをとった。
パンケーキも山のように食べていたが、やはりこの時期の食欲はすごい。
直くんのおにぎりを味わう昇の唇の端にご飯粒がついた瞬間、直くんの目が輝いた気がした。
嬉しそうに昇にご飯粒がついていることを伝えると、昇がとるよりも前に直くんの指がそのご飯粒をとった。
そして当然のように直くんの口に入っていく。
その仕草に頬を赤らめる昇と、嬉しそうに笑う直くん。
ああ、きっと昇は一生直くんには頭が上がらないだろう。
だがそれでいい。それがきっと円満の秘訣なのだろうから。
「んー! これは美味しいな!!」
僕の作ったおにぎりを食べて笑顔でそう言ってくれたおじいちゃま。
それがとても嬉しかった。
「おじいちゃまは白いおにぎりが好きなんですよね?」
「ああ。今の時代は当たり前に白米が存在するが、私が子どもの頃は白米はご馳走でね。いつもは麦や芋が主食だったんだ。年に数回だけ、白米を食べられる日があって、その日は朝からワクワクしていたものだよ。その日にこうして塩だけで握ったおにぎりを食べさせてもらったんだ。だから今でも白いおにぎりは私にとってはご馳走だよ」
「おじいちゃま……」
僕も初めておにぎりを食べた時は感動したもんね。
あの時と同じ気持ちだったのかな。
「それにね、直くんのおにぎりを食べて妻の……直くんから見ればおばあちゃんだな。彼女の味を思い出したよ。私が白いおにぎりが好きだと知って、よく作ってくれていたんだ。仕事に行く時にはいつも作ってくれてね。あのおかげで仕事を頑張れたものだよ」
おじいちゃまが懐かしそうに笑顔を浮かべる。
きっとおばあちゃまのことが今でも好きなんだろうな。
「じいちゃん。直くんも俺が学校に行く時におにぎり作ってくれるんだよ」
「おお、そうか。それなら昇もやる気になるだろう」
「うん! そりゃあもう! 直くん、これからも毎日よろしくね」
「はい。昇さんが喜んでくれるなら僕はいつでも作ります」
それが僕の心からの気持ちだ。
「さぁ、私が作ったパンケーキも食べてみてくれ」
「はい。いただきます!」
ふっわふわでお皿を揺らすと一緒にふるふると震えるパンケーキが美味しそうでたまらない。
「生クリームやチョコレートソース、ハチミツもあるから好きなのをかけてごらん」
おじいちゃまが用意してくれた中から僕は生クリームとハチミツを選んだ。
それを切り分けたところにそれをかけて食べると、ふわっふわのパンケーキが口の中でシュワッと溶けてなくなった。
「んー!! おいひぃっ!!」
なんだろう、この食感。すごく不思議だけどめちゃくちゃ美味しい!
パパが作ってくれたパンケーキもすごく美味しかったけれど、おじいちゃまのパンケーキは全然違う。
これならいくらでも食べられそうな気がする。
スムージーというものも口にしてみた。
少し凍っている苺とかブルーベリーとかいろんな味が混ざってものすごく美味しい!
「おじいちゃま。これもすっごく美味しいです!」
「そうか、そうか。それは良かった。入れる果物によって味も全然違うからいろんな果物を試してみるといいよ。キウイやバナナも栄養があっていいぞ」
「じゃあ、明日出かけたときに直くんが食べてみたい果物を買って帰ろう」
「わぁー! 楽しみです!」
明日はみんなでカールとお出かけ以外に楽しい予定もできちゃったな。嬉しい。
「じいちゃん。残ってるならこのおにぎり、俺が食べてもいい?」
「ははっ。そういうだろうと思って残しておいたんだよ。お前、私が食べている時からチラチラみてたからな」
「えーっ、気づかれてたの?」
「当たり前だ。ほら、食べなさい」
「やった!」
パパと一緒の時の昇さんより、おじいちゃまと一緒の時の方がなんだか子どもっぽく見えて可愛い。
嬉しそうに僕の作ったおにぎりを頬張ると、唇の端にご飯粒が一粒ついた。
やった! 前からずっとしてみたいと思っていた瞬間がやってきた。
僕はちょっとドキドキしながら昇さんに声をかけた。
「ご飯粒、ついてますよ」
「えっ?」
「ここ、です」
さっと指で摘んで、口に入れるとものすごく美味しく感じた。
「うん。すっごく美味しいですね」
やっとできた喜びと、本当に美味しいご飯粒に僕は笑顔でいっぱいになっていた。
<side寛>
大きな皿にいくつも並べられた小さなおにぎり。
それを幸せな気持ちで味わっていると、パンケーキを食べている昇の視線を何度も感じた。
きっと直くんの手作りのおにぎりが気になって仕方がないのだろう。
それでも毎日食べさせてもらっているというのに、今日くらいは私に全部食べさせてくれてもいいものだが、まぁ、そうも言ってられないのが男心というものだろう。なんせ自分の愛しい相手の手料理だからな。
昇に食べていいよと伝えると、目を輝かせて皿からおにぎりをとった。
パンケーキも山のように食べていたが、やはりこの時期の食欲はすごい。
直くんのおにぎりを味わう昇の唇の端にご飯粒がついた瞬間、直くんの目が輝いた気がした。
嬉しそうに昇にご飯粒がついていることを伝えると、昇がとるよりも前に直くんの指がそのご飯粒をとった。
そして当然のように直くんの口に入っていく。
その仕草に頬を赤らめる昇と、嬉しそうに笑う直くん。
ああ、きっと昇は一生直くんには頭が上がらないだろう。
だがそれでいい。それがきっと円満の秘訣なのだろうから。
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