238 / 361
可愛い孫のために
しおりを挟む
<side直純>
美味しいカレーを食べて満足していたところに、あやちゃんから明日お仕事で家を空けると聞かされた。
下にパパもいるからと思ったけれど、パパも午後は出かけてしまうみたい。
ここにきて誰もいない家で過ごすことは初めてだけど、いつまでもわがままを言っていられない。
家族になったんだし、僕もお留守番できるようにならないと!
僕にはクマさんたちもペンギンくんもついているから大丈夫。心強い仲間だもんね。
でもちょっとドキドキしちゃうけどな。
なんて思っていたことに気づかれたのか、あやちゃんがおじいちゃんを呼ぼうと言ってくれた。
正直に言っておじいちゃんがいるならものすごく心強い。
おじいちゃんが用事があるなら、その時はクマさんとペンギンくんと一緒に頑張ろう!
早速おじいちゃんに電話をかけに行っていたあやちゃんが戻ってきた。
「明日、お父さん大丈夫だって」
「わぁー、嬉しいです!」
「それで、うちに来てもらうか、お父さんの家に行くかどっちでもいいって言ってくれているんだけど、直くんはどっちがいい?」
「えっ……」
おじいちゃんの家に、行ける?
――俺、週末はじいちゃん家に行くんだ。
小学生の時、自慢げに話していたクラスメイトを思い出す。
僕には祖父母がいない。両親ともに一人っ子だと聞いていたから、親戚もいない。
だから祖父母や親戚の家に行くなんて機会は一度もなかった。
学校と塾以外はいつも家にいて、クラスメイトの家すら行ったことも無い。
そんな僕が、おじいちゃんの家に行ける日がとうとうやってきたんだ!
「ぼ、僕……おじいちゃんの家に行ってみたいです!!」
「そっか。じゃあ、お父さんに連絡しておくね。明日、私が出かけるときに直くんをお父さんの家に送って行くことにするよ」
あやちゃんは嬉しそうにいうと、その場ですぐにおじいちゃんにメッセージを送っていた。
するとすぐにおじいちゃんからも返信が来たみたいだ。
「直くん、お父さんすごく楽しみにしてるって。お昼ご飯はお父さんが用意してくれるみたいだから、少し早めに出ようね」
「――っ!! はい!!」
明日、おじいちゃんの家に行ける!! それがものすごく嬉しかった。
<side賢将>
<直くん、お父さんの家に行ってみたいんだって。だから、明日はお父さんの家で預かって>
「やった!」
絢斗からそんなメッセージが来て、私は思わず声に出して喜んでしまった。
そうか、私の家に来たいのか。ああ、本当に可愛い。
可愛い孫とできるだけ長く過ごしたくて、午後からと言われていたがお昼を用意するというと、絢斗は私の気持ちを汲んで少し早めに届けると言ってくれた。
絢斗も一緒に昼食でも構わないと思ったが、絢斗は皐月くんと一緒に食べるから気にしないでいいよとメッセージを送ってきた。可愛い息子の気遣いに感謝しながら、今度は卓くんにメッセージを送った。
明日の昼食に直くんの嫌いなものを入れるわけにはいかない。アレルギーの有無も含めて尋ねると、ブロッコリーは少しトラウマがあるようだが、そのほかはなんでも食べられるようになってきたようだ。食事量はまだまだ少ないようだが、それでも卓くんの頑張りが手に取るようにわかる。それは一緒に送ってきてくれた、これまでの直くんの食事の推移を示したメモ書きのおかげだ。
これを見ると、家に来た当初は本当に酷いものだったとわかる。それがここまで食べられるようになったか……。
本当に卓くんは頑張っているな。
それから私は家の片付けを始めた。
ここに住み始めたばかりで大して汚れてもいないし、直くんにみられて困るようなものもおいていないが、可愛い孫が来ると思ったらなんだか落ち着かない。
直くんが来る日の朝から、昼寝もするかもしれないと思って直くん用の布団を用意し、着替えることもあるかもしれないと思って清吾に可愛い義息子の洋服をどこで買っているかを聞き、急いで幾つかの服を買いに行って戻ってくると、清吾の息子である祐悟くんから直くん用のトイレタリー用品が送られてきていた。
直くんに使える肌に優しいそれらの製品は、祐悟くんが開発したもので秋穂と暮らしていた時も秋穂のために使わせて貰っていたが、ここにあるものは私が知っているそれよりも種類も多くなっているようだ。きっと祐悟くんが愛しい子のためにさらに開発したのだろう。それらは彼の愛しい子だけでなく、凌也くんのところのあの可愛い子も使っているようだ。もちろん、絢斗の家でも同じものを揃えているようで安心だ。
私だけが暮らすこの家には必要ないものだが、これからも直くんが来てくれるのなら用意しておくに越したことはない。祐悟くんの気遣いに感謝しながら私は絢斗が直くんを連れてきてくれるのを今か今かと待った。
美味しいカレーを食べて満足していたところに、あやちゃんから明日お仕事で家を空けると聞かされた。
下にパパもいるからと思ったけれど、パパも午後は出かけてしまうみたい。
ここにきて誰もいない家で過ごすことは初めてだけど、いつまでもわがままを言っていられない。
家族になったんだし、僕もお留守番できるようにならないと!
僕にはクマさんたちもペンギンくんもついているから大丈夫。心強い仲間だもんね。
でもちょっとドキドキしちゃうけどな。
なんて思っていたことに気づかれたのか、あやちゃんがおじいちゃんを呼ぼうと言ってくれた。
正直に言っておじいちゃんがいるならものすごく心強い。
おじいちゃんが用事があるなら、その時はクマさんとペンギンくんと一緒に頑張ろう!
早速おじいちゃんに電話をかけに行っていたあやちゃんが戻ってきた。
「明日、お父さん大丈夫だって」
「わぁー、嬉しいです!」
「それで、うちに来てもらうか、お父さんの家に行くかどっちでもいいって言ってくれているんだけど、直くんはどっちがいい?」
「えっ……」
おじいちゃんの家に、行ける?
――俺、週末はじいちゃん家に行くんだ。
小学生の時、自慢げに話していたクラスメイトを思い出す。
僕には祖父母がいない。両親ともに一人っ子だと聞いていたから、親戚もいない。
だから祖父母や親戚の家に行くなんて機会は一度もなかった。
学校と塾以外はいつも家にいて、クラスメイトの家すら行ったことも無い。
そんな僕が、おじいちゃんの家に行ける日がとうとうやってきたんだ!
「ぼ、僕……おじいちゃんの家に行ってみたいです!!」
「そっか。じゃあ、お父さんに連絡しておくね。明日、私が出かけるときに直くんをお父さんの家に送って行くことにするよ」
あやちゃんは嬉しそうにいうと、その場ですぐにおじいちゃんにメッセージを送っていた。
するとすぐにおじいちゃんからも返信が来たみたいだ。
「直くん、お父さんすごく楽しみにしてるって。お昼ご飯はお父さんが用意してくれるみたいだから、少し早めに出ようね」
「――っ!! はい!!」
明日、おじいちゃんの家に行ける!! それがものすごく嬉しかった。
<side賢将>
<直くん、お父さんの家に行ってみたいんだって。だから、明日はお父さんの家で預かって>
「やった!」
絢斗からそんなメッセージが来て、私は思わず声に出して喜んでしまった。
そうか、私の家に来たいのか。ああ、本当に可愛い。
可愛い孫とできるだけ長く過ごしたくて、午後からと言われていたがお昼を用意するというと、絢斗は私の気持ちを汲んで少し早めに届けると言ってくれた。
絢斗も一緒に昼食でも構わないと思ったが、絢斗は皐月くんと一緒に食べるから気にしないでいいよとメッセージを送ってきた。可愛い息子の気遣いに感謝しながら、今度は卓くんにメッセージを送った。
明日の昼食に直くんの嫌いなものを入れるわけにはいかない。アレルギーの有無も含めて尋ねると、ブロッコリーは少しトラウマがあるようだが、そのほかはなんでも食べられるようになってきたようだ。食事量はまだまだ少ないようだが、それでも卓くんの頑張りが手に取るようにわかる。それは一緒に送ってきてくれた、これまでの直くんの食事の推移を示したメモ書きのおかげだ。
これを見ると、家に来た当初は本当に酷いものだったとわかる。それがここまで食べられるようになったか……。
本当に卓くんは頑張っているな。
それから私は家の片付けを始めた。
ここに住み始めたばかりで大して汚れてもいないし、直くんにみられて困るようなものもおいていないが、可愛い孫が来ると思ったらなんだか落ち着かない。
直くんが来る日の朝から、昼寝もするかもしれないと思って直くん用の布団を用意し、着替えることもあるかもしれないと思って清吾に可愛い義息子の洋服をどこで買っているかを聞き、急いで幾つかの服を買いに行って戻ってくると、清吾の息子である祐悟くんから直くん用のトイレタリー用品が送られてきていた。
直くんに使える肌に優しいそれらの製品は、祐悟くんが開発したもので秋穂と暮らしていた時も秋穂のために使わせて貰っていたが、ここにあるものは私が知っているそれよりも種類も多くなっているようだ。きっと祐悟くんが愛しい子のためにさらに開発したのだろう。それらは彼の愛しい子だけでなく、凌也くんのところのあの可愛い子も使っているようだ。もちろん、絢斗の家でも同じものを揃えているようで安心だ。
私だけが暮らすこの家には必要ないものだが、これからも直くんが来てくれるのなら用意しておくに越したことはない。祐悟くんの気遣いに感謝しながら私は絢斗が直くんを連れてきてくれるのを今か今かと待った。
1,323
お気に入りに追加
2,258
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。

ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。
水鳴諒
BL
目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)


病弱を演じていた性悪な姉は、仮病が原因で大変なことになってしまうようです
柚木ゆず
ファンタジー
優秀で性格の良い妹と比較されるのが嫌で、比較をされなくなる上に心配をしてもらえるようになるから。大嫌いな妹を、召し使いのように扱き使えるから。一日中ゴロゴロできて、なんでも好きな物を買ってもらえるから。
ファデアリア男爵家の長女ジュリアはそんな理由で仮病を使い、可哀想な令嬢を演じて理想的な毎日を過ごしていました。
ですが、そんな幸せな日常は――。これまで彼女が吐いてきた嘘によって、一変してしまうことになるのでした。

学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】

春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる