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大人として
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<side卓>
昨夜は最高の夜だった。
肌襦袢姿の絢斗と風呂場でたっぷりと愛し合い、ベッドでも愛し合った。
そして、愛しい絢斗を腕に抱き、心地よい疲れを感じながら最高の目覚めを迎えた。
私の腕の中で気持ちよさそうな寝顔を見せる絢斗を見ていると、幸せが込み上げてきてたまらず抱きしめた。
「んっ……」
つい力を入れ過ぎてしまったようで、絢斗の目がゆっくりと開き、私の顔を映してくれる。
「すぐる、さん……」
「絢斗、おはよう」
「んんっ……」
可愛い絢斗の唇にキスを落とし、抱きしめながら絢斗の可愛いお尻を撫でると唇が離れ
「んっ、くすぐったい」
と身を捩る。
「ごめん、朝から悪戯し過ぎた」
「ううん。卓さんのおっきな手で撫でられるの、好きだよ」
いつもこうして絢斗は私を甘やかしてくれる。
「身体は辛くないか?」
「うん。大丈夫。昨日はあんまり激しくなかったから。その分、深くまで卓さんを感じられたよ」
今日は水族館で歩き回るから、絢斗の負担にならないように気をつけたがそれが功を奏したようだ。
「ねぇ、せっかくだから朝風呂楽しもうよ」
「ああ。そうだな。外で絢斗の裸を堪能するのもいい」
「卓さんったら、えっち」
「愛しい伴侶と入る時はみんなえっちだよ」
それこそ絢斗が70になっても、80になってもいつだって私は絢斗に興奮させられるんだ。
「行こう」
絢斗に手を引かれ、寝室からテラスに出てそのまま温泉に向かう。お互いにお湯を掛け合って流し、一緒に湯に浸かるとそれだけで幸せを感じる。
「朝の温泉、最高だね。きっと直くんも気に入ったはずだよ」
「ああ。そうだな。直くんは我が家のお風呂でも楽しそうにしていたから」
「また家族旅行したいな」
「今度も温泉か?」
「うん。それもいいけど、みんなで行けるならどこでもいいかな。観光地に連れて行っても直くん喜びそうだし」
「そうだな。直くんと離れている間も直くんのことを最優先で思い出すとは、絢斗もすっかり直くんの親になったな」
「卓さんもだよ。昇くんと二人っきりの夜を結婚式に出席すると決まってからずっと心配してたし」
図星をつかれて恥ずかしくなる。
「でも、昇くんは大丈夫だよ。本当に直くんを思ってるから。嫌がることは絶対にしないよ」
「ああ。そうだな……」
きっとこの泊まりで直くんと昇の関係は進んだことだろう。開放感のある温泉にはそれだけの力がある。榎木くんたちもみんなそれが自然だと言っていた。私はそれを受け入れるしかない。親として、息子の成長を喜ぶべきなのだろうな。
二人で温泉を楽しんで、ゆっくりと着替えを済ませ、私はフロントに朝食の連絡を入れてから昇にメッセージを送った。
<朝食を三十分後に頼んだから準備ができたら部屋に来るように>
簡潔なメッセージに、<了解。すぐにいくよ>とすぐに連絡が来た。
もうすぐ来るのか。なんだかドキドキする。
絢斗に二人が来ることを告げると同時に玄関ベルが鳴った。
絢斗と一緒に出迎えにいくと、
「パパ。あやちゃん。おはようございます!」
と元気いっぱいの直くんと疲れ切った表情を見せる昇の姿があった。
「ああ。おはよう。昨日はよく眠れたか?」
「はい。ぐっすり眠れました。朝から温泉にももう一度入ったんですよ。ね、昇さん」
「あ、ああ。そうだね。楽しかったね」
「はい!」
「直くん、もうすぐ朝ごはんが来るからあっちで待ってよう。温泉の感想聞かせて」
「実はアヒルちゃんをこっそり持ってきて……」
直くんは絢斗に手を引かれて嬉しそうに話をしながら中に入っていく。私は一人、玄関に残された昇に視線を向けた。
「大変だったのか? 顔がちょっと疲れてるな」
「いや、すごく楽しかったんだけど……」
昇が言いにくそうにしていたからとりあえず中に入れと声をかけた。
「それで何が――」
「あやちゃん。僕、朝から昇さんの蜜を出すのお手伝いしたんですよ-!」
「な――っ?」
何があったのかと聞こうとした瞬間、直くんのとんでもない言葉が耳に飛び込んできて私は驚愕の表情を昇に向けた。
「昇……どういうことだ?」
「あ、いや。それは……本当にいろいろあって……」
「いろいろってなんだ? 詳しく話せ!」
私は昇の腕を取って、絢斗と直くんには気づかれないように荷物部屋に入った。
「それで何があったんだ? 隠し事しないで全部話すんだ」
「わかったよ。昨日……」
昇の口から語られた内容は父親の私にはショックな内容であったことには違いなかったが、昇のおかげで直くんが自分の身体の変化にきちんと向き合うことができたようだし、これからも昇や直くんの身体が不意に変化してしまった時も安心できるように声をかけることができたようだ。
「伯父さんをびっくりさせてしまって悪かったと思ってるけど、対処的には一番良かったと思ってる。ただ直くんがああやって堂々と絢斗さんに報告するとは思ってなかったことは俺の計算ミスだった」
「そうだな。これから学校に通い始めるがそんなプライベートなことを外で言ってしまう恐れがある。その点はちゃんといい含めておかないといけないだろうな。だが、昇は頑張ったよ。お疲れさん」
「伯父さん……」
親としては複雑だが、そこまで煽られて我慢できたのは昇が本気で直くんを思っている証だ。そこは評価しないとな。
昨夜は最高の夜だった。
肌襦袢姿の絢斗と風呂場でたっぷりと愛し合い、ベッドでも愛し合った。
そして、愛しい絢斗を腕に抱き、心地よい疲れを感じながら最高の目覚めを迎えた。
私の腕の中で気持ちよさそうな寝顔を見せる絢斗を見ていると、幸せが込み上げてきてたまらず抱きしめた。
「んっ……」
つい力を入れ過ぎてしまったようで、絢斗の目がゆっくりと開き、私の顔を映してくれる。
「すぐる、さん……」
「絢斗、おはよう」
「んんっ……」
可愛い絢斗の唇にキスを落とし、抱きしめながら絢斗の可愛いお尻を撫でると唇が離れ
「んっ、くすぐったい」
と身を捩る。
「ごめん、朝から悪戯し過ぎた」
「ううん。卓さんのおっきな手で撫でられるの、好きだよ」
いつもこうして絢斗は私を甘やかしてくれる。
「身体は辛くないか?」
「うん。大丈夫。昨日はあんまり激しくなかったから。その分、深くまで卓さんを感じられたよ」
今日は水族館で歩き回るから、絢斗の負担にならないように気をつけたがそれが功を奏したようだ。
「ねぇ、せっかくだから朝風呂楽しもうよ」
「ああ。そうだな。外で絢斗の裸を堪能するのもいい」
「卓さんったら、えっち」
「愛しい伴侶と入る時はみんなえっちだよ」
それこそ絢斗が70になっても、80になってもいつだって私は絢斗に興奮させられるんだ。
「行こう」
絢斗に手を引かれ、寝室からテラスに出てそのまま温泉に向かう。お互いにお湯を掛け合って流し、一緒に湯に浸かるとそれだけで幸せを感じる。
「朝の温泉、最高だね。きっと直くんも気に入ったはずだよ」
「ああ。そうだな。直くんは我が家のお風呂でも楽しそうにしていたから」
「また家族旅行したいな」
「今度も温泉か?」
「うん。それもいいけど、みんなで行けるならどこでもいいかな。観光地に連れて行っても直くん喜びそうだし」
「そうだな。直くんと離れている間も直くんのことを最優先で思い出すとは、絢斗もすっかり直くんの親になったな」
「卓さんもだよ。昇くんと二人っきりの夜を結婚式に出席すると決まってからずっと心配してたし」
図星をつかれて恥ずかしくなる。
「でも、昇くんは大丈夫だよ。本当に直くんを思ってるから。嫌がることは絶対にしないよ」
「ああ。そうだな……」
きっとこの泊まりで直くんと昇の関係は進んだことだろう。開放感のある温泉にはそれだけの力がある。榎木くんたちもみんなそれが自然だと言っていた。私はそれを受け入れるしかない。親として、息子の成長を喜ぶべきなのだろうな。
二人で温泉を楽しんで、ゆっくりと着替えを済ませ、私はフロントに朝食の連絡を入れてから昇にメッセージを送った。
<朝食を三十分後に頼んだから準備ができたら部屋に来るように>
簡潔なメッセージに、<了解。すぐにいくよ>とすぐに連絡が来た。
もうすぐ来るのか。なんだかドキドキする。
絢斗に二人が来ることを告げると同時に玄関ベルが鳴った。
絢斗と一緒に出迎えにいくと、
「パパ。あやちゃん。おはようございます!」
と元気いっぱいの直くんと疲れ切った表情を見せる昇の姿があった。
「ああ。おはよう。昨日はよく眠れたか?」
「はい。ぐっすり眠れました。朝から温泉にももう一度入ったんですよ。ね、昇さん」
「あ、ああ。そうだね。楽しかったね」
「はい!」
「直くん、もうすぐ朝ごはんが来るからあっちで待ってよう。温泉の感想聞かせて」
「実はアヒルちゃんをこっそり持ってきて……」
直くんは絢斗に手を引かれて嬉しそうに話をしながら中に入っていく。私は一人、玄関に残された昇に視線を向けた。
「大変だったのか? 顔がちょっと疲れてるな」
「いや、すごく楽しかったんだけど……」
昇が言いにくそうにしていたからとりあえず中に入れと声をかけた。
「それで何が――」
「あやちゃん。僕、朝から昇さんの蜜を出すのお手伝いしたんですよ-!」
「な――っ?」
何があったのかと聞こうとした瞬間、直くんのとんでもない言葉が耳に飛び込んできて私は驚愕の表情を昇に向けた。
「昇……どういうことだ?」
「あ、いや。それは……本当にいろいろあって……」
「いろいろってなんだ? 詳しく話せ!」
私は昇の腕を取って、絢斗と直くんには気づかれないように荷物部屋に入った。
「それで何があったんだ? 隠し事しないで全部話すんだ」
「わかったよ。昨日……」
昇の口から語られた内容は父親の私にはショックな内容であったことには違いなかったが、昇のおかげで直くんが自分の身体の変化にきちんと向き合うことができたようだし、これからも昇や直くんの身体が不意に変化してしまった時も安心できるように声をかけることができたようだ。
「伯父さんをびっくりさせてしまって悪かったと思ってるけど、対処的には一番良かったと思ってる。ただ直くんがああやって堂々と絢斗さんに報告するとは思ってなかったことは俺の計算ミスだった」
「そうだな。これから学校に通い始めるがそんなプライベートなことを外で言ってしまう恐れがある。その点はちゃんといい含めておかないといけないだろうな。だが、昇は頑張ったよ。お疲れさん」
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