ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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不思議な感覚※

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<side直純>

昇さんの背中を洗い終わると、今度は僕の番。

椅子に座って待っていると昇さんの大きな手が僕の背中に触れる。
その優しい手つきにホッとしていると、

「せっかくだからこのまま前も洗ってあげるよ」

という声が聞こえた。

前も? それって……

と思った時には、もう昇さんの手が僕のお腹に触れていた。
なんだかくすぐったい。でも全然嫌じゃない。それどころか楽しいかも!

だけど、昇さんの手のひらが上がってきて僕の胸に触れた途端ピリッと不思議な感覚が身体中を走った。

今の、なんだったんだろう?
よくわからないけど、嫌じゃなかったな。

昇さんも心配してくれたけど、さっきのピリッとした感覚以外何もないから大丈夫。
そのまま続けて洗ってもらっていたけれど、昇さんの手のひらが胸に当たるたびに不思議な感覚がする。
何が何だかわからず、されるがままに昇さんに身を委ねていると、僕の視線の先に見慣れないものが見えた。

えっ? 何、これ?

僕の、おちんちんが、おかしくなってる。

下を向いているはずなのに、なぜかいつもより少し大きくなって上を向いているんだ。

怖い、怖い。一体何が起きてるの?
自分の身体なのに、ちっともわからない。
これって、やっぱり、病気だよね? もしかして、さっきのピリッとした感覚も病気だったせい?

もしかして、僕……死んじゃうのかな……。優しいパパとあやちゃんを悲しませちゃうな。
それに何よりもう昇さんと一緒にいられないのが辛い。

自分の身体の変化が怖すぎて、僕は昇さんに助けを求めた。

「の、ぼる、さん……な、んか、へ、ん……」

なんて言ったらいいのかわからなくて、それだけ告げると昇さんは慌てたように後ろから僕の前を覗き込んだ。

「あっ! くっ――!!」

驚きと苦しげな声が聞こえる。
やっぱり……僕、もう死んじゃうんだ……。
それが悲しくてたまらない。

「うっ、ぐすっ、ぼく、しんじゃう、んですね……うっ、うっ」

「直くん? 違う! 違うから! 大丈夫だから!」

焦ったように後ろから僕を抱きしめてくれて、大丈夫だと何度も言ってくれる。
それで少し落ち着いてきて

「ほんとに、だいじょうぶ、なんですか?」

と尋ねてみた。

「ああ。これは病気じゃないんだ。ちゃんと教えてあげるから。安心して」

「は、い……」

「ごめん、怖がらせちゃったよね」

指で優しく涙を拭ってくれて、さっと泡を洗い流される。
そして僕を軽々と抱きかかえるとそのまま温泉に浸かった。

「落ち着いた?」

「はい。でもどうしてあんなふうになっちゃったのか、怖いです……」

「初めてだからね。怖くなって当然だよ。とくに直くんはその知識がなかったからね」

「知識、ですか?」

「ああ。あれはね。身体が成長して大人になったっていう証拠なんだよ」

「身体が、大人に?」

僕はまだまだ子どもだけど、身体だけ大人に?

「そう。人間は年齢で大人になるより早く、身体が先に大人になるんだよ。ほら、歯だって大人の歯が生えるのは小学生くらいだろう?」

「あ、そうですね」

僕も子どもの歯は無くなって全部大人の歯になった。だから虫歯にならないようにって学校で言われて気をつけてた。

「身体も同じなんだ。先に成長していって年齢が追いつくんだよ」

「そう、なんですね……でも、どうしてあんなふうになるんですか?」

「あれはね、えっと……大好きな人に触れられるとそうなってしまうんだよ。さっき、直くんがピリッとした感覚があったって言ってただろう? それも同じ。直くんが俺のことが好きだから身体が反応したんだ。ほら、みて。反応したからプクって膨らんでる」

昇さんに言われて自分の胸を見ると、胸の先がぷくっと膨らんでいるのがわかる。

「本当だ……こんなの、初めて……」

「だろう? これも直くんが俺を好きだからなったんだよ」

「僕が、昇さんを好きだから……」

「そう。だから、怖いことじゃないんだよ」

笑顔で言われて安心するけど、そうなると一つ気になることがある。

「あの……」

「どうかした?」

「昇さんの身体も、反応するんですか?」

昇さんが僕を好きなら反応するはず。それがなかったら僕は昇さんに好かれていないってことだ。
それを知るのは怖いけど、聞かずにはいられない。

「しりたい?」

「は、はい。でも……」

どうしよう、やっぱり怖い。

「じゃあ、手を貸して」

答えるよりも先に昇さんに手を取られて指先が何かに触れた。

「わっ、硬い! 何、これ?」

「直くんのこれと同じだよ」

「ひゃぁっん!」

昇さんの手が、上を向いたままになっている僕のおちんちんに触れた。
えっ? 同じって……じゃあ、これ昇さんの、おちんちんってこと?

「俺も直くんが好きだから背中を洗ってもらった時からずっと反応してるんだ。俺は好きな人に触れられると反応するって知ってたから、怖くなかっただけだよ」

そう言われて驚くけれどそれ以上に嬉しい。
だって、昇さんが僕を好きだってちゃんと身体が証明してくれているんだもん。

「安心した?」

「は、はい。あの……僕も、直接みてみたいです。昇さんの、おちんちん」

「ぐぅ――っ!!」

「わっ! なんかおっきくなりましたよ!」

指に触れる感触が変わっていくのが楽しくて声を上げると、昇さんはなんだか苦しげに唸っているように見えた。
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