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幸せのお裾分け
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「あ、未知子さん! あの……今日は、おめでとうございます」
「ありがとう。みなさんのおかげでとってもいいお式になったわ。せっかくだからブーケトスに私も混ぜてもらうことにしたの。幸せのお裾分けもらえるといいわね」
「は、はい」
久しぶりに会う未知子さんは以前と変わらず、僕に優しい笑顔を向けてくれてホッとする。
「じゃあ、一花。ブーケトス、始めるぞ」
貴船さんはそういうと、一花さんが座っている椅子ごと持ち上げて僕たちに向かって後ろ向きに座らせた。
すごいな、力持ちだ。
「一花、後ろに向かってポーンと投げるんだぞ。みなさん、一花の投げるブーケが届くように前の方に来てください」
座りながら後ろの遠くに投げるのは難しいに決まってる。貴船さんの声かけに従うように僕たちは一花さんに近づくように数歩前に進んだ。
「はーい。じゃあ、いきまーすっ!! えいっ!!」
一花さんが投げた小さなブーケがふわっと浮かんだと思ったら、さっと風に流れて、僕の二つ隣にいた尚孝さんの胸にまるで尚孝さんに吸い寄せられるようにスポッと落ちていった。
「わぁ、尚孝くんだ!」
「尚孝さん、おめでとうございます!」
「ああーっ、尚孝さんだ! おめでとう!!」
僕たちの声の後から嬉しそうな一花さんの声も聞こえる。尚孝さんはみんなからおめでとうと言われて恥ずかしそうに顔を赤くしているけれど、なんだかすごく嬉しそうだ。
すると、ものすごい勢いで志摩さんが尚孝さんに駆け寄って、
「これで、尚孝さんが次の花嫁ですね。私の花嫁になってください!」
とまるで王子さまのように片膝をついて告白した。そのあまりの素敵な光景に見入ってしまっていたけれど、さっと昇さんに手を引かれてその場から離れた。
さっきまでの貴船さんと一花さんのように、今は志摩さんと尚孝さんに視線が集中しているのがわかる。
尚孝さんはそんな周りの様子には気づく様子もなく、ただ志摩さんだけを見つめて、
「はい。僕でよければ喜んで……」
と差し出された手を握った。
その小説や映画のような素敵な光景に僕はただただ感動してしまっていた。
<side昇>
一花さんが突然立って歩き出すと言うサプライズに俺はもちろん、参列者の誰もが驚きの声をあげた。
何よりも驚いていたのは、貴船さんだったかもしれない。
一花さんが立ち上がった時、何が起こっているのかわからないと言う表情をしていたからな。
でも一花さんが転びそうになるとすぐに身体が動いて、抱き留めていたのはすごいと思った。
俺はあんな状態になった時に直くんを助けにすぐに動けるだろうか……。
可愛すぎる直くんを見て反応することすらできない俺だ。やっぱりもっと精進しないとな。
改めて貴船さんの凄さに感動していると、突然ブーケトスへの誘いがきた。
いち早く楽しそうな声をあげた絢斗さんに連れられて直くんと谷垣さんも中央に集まった。
俺と伯父さんと志摩さんは可愛い姿を撮り逃さないようにベストポジションを見つけ、スマホの準備も万端だ。
「昇、写真が撮れたら共有だぞ」
「わかってるよ。その代わり、伯父さんが撮った写真もちょうだい」
「わかってる」
ブーケトスだから、直くんだけ撮るのはつまらない。
みんなが楽しそうにしているところの表情も欲しいし。
それでも直くんメインで撮るのと、絢斗さんメインで撮った写真に映る直くんの表情はまた別物だからな。
どれも満遍なく欲しいと思ってしまうのは当然だろう。
「それにしてもあの花たちは壮観だな。あの場に集まっている人たちの中で未知子さん以外は男性だと言っても誰も信じないだろう」
「それは確実だね」
絢斗さんといい、直くんといい、櫻葉の社長さんも他の人もみんなモデルや芸能人以上に美人揃いだもんな。
俺がプロに頼んで女装させてもらっても絶対にああはならない。
やっぱり天性のものなんだろうな。
可愛すぎる集団の写真をたっぷりと撮り、一花さんが直くんたちに向かってブーケを投げた。
誰が受け取るんだろうと、俺もドキドキしてしまう。
もしかしたら、直くん?
一瞬そう思ったけれど、さっと風が吹いてブーケはふわふわっと直くんを通り過ぎ、谷垣さんのところにスポッと落ちていった。
それを見た瞬間、俺の隣にいた志摩さんは急いで谷垣さんに駆け寄って、みんなの前で花嫁になってくださいと告白してしまった。
その感動的なシーンを邪魔しないようにさっと彼らから離れるけれど、直くんだけは目の前で始まった光景に動けないでいるみたいだ。中学生にはかなりドキドキだろうからな。
慌てて直くんの元に駆け寄って、手を引いて伯父さんと絢斗さんのいる場所に連れて行くと、
「ははっ。志摩くんもやるもんだな。まさか彼があんなことをやり出すとは昔の彼を知っている身としては信じられないが、それほど谷垣くんは手放したくない存在なんだろう。いや、なんとも嬉しいものを見られたな」
「本当だね。志摩くんが尚孝くんと出会えてよかったよ」
と二人で感慨深そうに二人の様子を眺めていた。
「ありがとう。みなさんのおかげでとってもいいお式になったわ。せっかくだからブーケトスに私も混ぜてもらうことにしたの。幸せのお裾分けもらえるといいわね」
「は、はい」
久しぶりに会う未知子さんは以前と変わらず、僕に優しい笑顔を向けてくれてホッとする。
「じゃあ、一花。ブーケトス、始めるぞ」
貴船さんはそういうと、一花さんが座っている椅子ごと持ち上げて僕たちに向かって後ろ向きに座らせた。
すごいな、力持ちだ。
「一花、後ろに向かってポーンと投げるんだぞ。みなさん、一花の投げるブーケが届くように前の方に来てください」
座りながら後ろの遠くに投げるのは難しいに決まってる。貴船さんの声かけに従うように僕たちは一花さんに近づくように数歩前に進んだ。
「はーい。じゃあ、いきまーすっ!! えいっ!!」
一花さんが投げた小さなブーケがふわっと浮かんだと思ったら、さっと風に流れて、僕の二つ隣にいた尚孝さんの胸にまるで尚孝さんに吸い寄せられるようにスポッと落ちていった。
「わぁ、尚孝くんだ!」
「尚孝さん、おめでとうございます!」
「ああーっ、尚孝さんだ! おめでとう!!」
僕たちの声の後から嬉しそうな一花さんの声も聞こえる。尚孝さんはみんなからおめでとうと言われて恥ずかしそうに顔を赤くしているけれど、なんだかすごく嬉しそうだ。
すると、ものすごい勢いで志摩さんが尚孝さんに駆け寄って、
「これで、尚孝さんが次の花嫁ですね。私の花嫁になってください!」
とまるで王子さまのように片膝をついて告白した。そのあまりの素敵な光景に見入ってしまっていたけれど、さっと昇さんに手を引かれてその場から離れた。
さっきまでの貴船さんと一花さんのように、今は志摩さんと尚孝さんに視線が集中しているのがわかる。
尚孝さんはそんな周りの様子には気づく様子もなく、ただ志摩さんだけを見つめて、
「はい。僕でよければ喜んで……」
と差し出された手を握った。
その小説や映画のような素敵な光景に僕はただただ感動してしまっていた。
<side昇>
一花さんが突然立って歩き出すと言うサプライズに俺はもちろん、参列者の誰もが驚きの声をあげた。
何よりも驚いていたのは、貴船さんだったかもしれない。
一花さんが立ち上がった時、何が起こっているのかわからないと言う表情をしていたからな。
でも一花さんが転びそうになるとすぐに身体が動いて、抱き留めていたのはすごいと思った。
俺はあんな状態になった時に直くんを助けにすぐに動けるだろうか……。
可愛すぎる直くんを見て反応することすらできない俺だ。やっぱりもっと精進しないとな。
改めて貴船さんの凄さに感動していると、突然ブーケトスへの誘いがきた。
いち早く楽しそうな声をあげた絢斗さんに連れられて直くんと谷垣さんも中央に集まった。
俺と伯父さんと志摩さんは可愛い姿を撮り逃さないようにベストポジションを見つけ、スマホの準備も万端だ。
「昇、写真が撮れたら共有だぞ」
「わかってるよ。その代わり、伯父さんが撮った写真もちょうだい」
「わかってる」
ブーケトスだから、直くんだけ撮るのはつまらない。
みんなが楽しそうにしているところの表情も欲しいし。
それでも直くんメインで撮るのと、絢斗さんメインで撮った写真に映る直くんの表情はまた別物だからな。
どれも満遍なく欲しいと思ってしまうのは当然だろう。
「それにしてもあの花たちは壮観だな。あの場に集まっている人たちの中で未知子さん以外は男性だと言っても誰も信じないだろう」
「それは確実だね」
絢斗さんといい、直くんといい、櫻葉の社長さんも他の人もみんなモデルや芸能人以上に美人揃いだもんな。
俺がプロに頼んで女装させてもらっても絶対にああはならない。
やっぱり天性のものなんだろうな。
可愛すぎる集団の写真をたっぷりと撮り、一花さんが直くんたちに向かってブーケを投げた。
誰が受け取るんだろうと、俺もドキドキしてしまう。
もしかしたら、直くん?
一瞬そう思ったけれど、さっと風が吹いてブーケはふわふわっと直くんを通り過ぎ、谷垣さんのところにスポッと落ちていった。
それを見た瞬間、俺の隣にいた志摩さんは急いで谷垣さんに駆け寄って、みんなの前で花嫁になってくださいと告白してしまった。
その感動的なシーンを邪魔しないようにさっと彼らから離れるけれど、直くんだけは目の前で始まった光景に動けないでいるみたいだ。中学生にはかなりドキドキだろうからな。
慌てて直くんの元に駆け寄って、手を引いて伯父さんと絢斗さんのいる場所に連れて行くと、
「ははっ。志摩くんもやるもんだな。まさか彼があんなことをやり出すとは昔の彼を知っている身としては信じられないが、それほど谷垣くんは手放したくない存在なんだろう。いや、なんとも嬉しいものを見られたな」
「本当だね。志摩くんが尚孝くんと出会えてよかったよ」
と二人で感慨深そうに二人の様子を眺めていた。
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