186 / 277
衣装部屋に行こう!
しおりを挟む
「ああ、入ってくれ」
「失礼します」
部屋に入ってきた志摩くんと谷垣くんは、すぐ近くにいた周平くんと浅香くんを見て
「お久しぶりですね」
と笑顔を見せた。
「そうか、君たちは知り合いだったんだな」
「はい。一花さんにグリを譲っていただくときに私と尚孝さんで浅香さんと蓮見さんのところに伺ったんですよ」
「ああ、なるほど。そういうことか」
志摩くんと言葉を交わしていると、谷垣くんの視線が私の隣に向きっぱなしなことに気づいて、
「谷垣くん、何か聞きたいことでもあるかな?」
と尋ねてみた。
「えっ、あの……もしかして、お隣にいらっしゃるのは絢斗さん……?」
「そう! 私だよ」
「あの、じゃあ昇くんの隣にいるのは直くんですか?」
目を丸くしながら尋ねてきた。
「せいかーい! 周平くんと敬介くんが綺麗なドレスとお着物を用意してくれたから着替えたんだよ」
「どうして着替えを?」
「今日招待されているお客さんが未知子さん以外男性ばかりなんだよ。それだと少し華やかさに欠けるでしょう? 今日はこのお店のパンフレット撮影だってことだし、女性の割合があまりにも少ないと変だしね。それで私たちがお着替えすることになったんだ。綺麗にヘアメイクもしてもらったから、似合ってるでしょう?」
絢斗が屈託のない笑顔を見せると、谷垣くんは大きく頷いた。
「絢斗さんも直くんもすごく良く似合ってます。磯山先生も昇くんもお二人の可愛い姿を見られて幸せですね」
「ああ、本当にそう思っているよ。だから、谷垣くんも志摩くんを幸せにしてはどうかな?」
「えっ? それって……」
「それ、私も思ってた! ねぇ、尚孝くんもお着替えしよう!! ちょうど今から敬介くんもお着替えをしにいくところだったんだよ。一緒に行こう!!」
「えっ? でも、僕が着替えなんて……」
少し困った様子で志摩くんに助けを求めるように見つめると、志摩くんは笑顔で谷垣くんを見た。
「尚孝さんが着替えをされるなら、私も見てみたいです。きっとドレスでも着物でも似合うと思いますよ」
「もう……唯人さんにそんなこと言われたら、断れないじゃないですか……」
「じゃあ、断らないでください。楽しみにしてますよ」
志摩くんが優しく声をかけると、谷垣くんはそれはそれは嬉しそうに頷いていた。
「じゃあ、着替えに行こうか。志摩くんは忙しいでしょう? 尚孝くんのは私が選んであげる。敬介くんのは……」
「大丈夫です。敬介には私が特別に誂えたドレスを用意しています。きっと敬介ならそれを選んでくれるはずです」
周平くんはやはり最初から着替えさせたいと思っていたのだろう。浅香くんもそれをわかっていたから、拒むこともしなかったし。二人はお互いのことをよく理解しているようだ。
「じゃあ、行こうか。直くんはここで待ってる? 一緒に行く?」
「あ、えっと……一緒に……」
「じゃあ行こうか」
昇はそばにいるが、絢斗もいないこの部屋には直くんには居心地が悪いと思ったのだろう。絢斗はそういう気遣いに長けている。
昇は直くんを無理に引き留めることもせず、衣装部屋まで送ると言って、絢斗と浅香くん、そして谷垣くんと共に部屋を出ていった。
<side直純>
昇さんに抱き抱えられたまま、部屋で待っていると人が入ってきた。
怖そうな人と、優しそうな人。どちらもパパたちの知り合いみたいだ。怖そうと思ったけど、笑顔が優しいことに気づいてホッとする。
話を聞いていると、僕とあやちゃんが着ているドレスと着物を用意してくれた人みたい。可愛いと言われて恥ずかしかったけれど、嬉しかった。
話の流れで、優しそうな人もお着替えをすることになった。仲間が増えるのはなんだか嬉しい。ちょうどその時に尚孝さんと志摩さんが部屋にやってきた。
僕とあやちゃんの姿を見て、似合っていると言ってくれて嬉しい。でも尚孝さんも似合いそうだけどな。
そう思っているとパパとあやちゃんが尚孝さんにもお着替えを勧め始めた。
最初は遠慮していたけれど、志摩さんからお願いされたら断れなかったみたい。僕も昇さんに言われたら断れないだろうから同じなのかも。
あやちゃんが尚孝さんのお着替えを手伝うと言って部屋から出ていくことになり、僕はどうしたらいいんだろうと思っていると一緒に行く? と声をかけてくれた。
もちろん昇さんがそばにいてくれるのは嬉しいしホッとするけれど、おっきな大人な男の人ばかりの中でドレスを着た僕が一人っていうのはなんとなく寂しい気がして、あやちゃんたちについていくことにした。
昇さんはがっかりしちゃったかなと思ったけど、
「じゃあ、衣装部屋まで送っていくね」
と笑顔を見せてくれてホッとした。
みんなで衣装部屋に入ると、昇さんはすぐにさっきの部屋に戻って行った。
「ああ、本当に直くん。可愛い!! ドレス、すっごく似合ってるね」
「ありがとうございます。これ、昇さんが選んでくれたんです」
「そっか。直くんに似合うものをよくわかってくれてるね」
尚孝さんが昇さんのことも褒めてくれるから嬉しいな。
「敬介くんはドレスだったよね。尚孝くんはどっちにしようかなぁ……。やっぱり、お着物が似合いそう!! 敬介くん、どう思う?」
「はい。僕も彼は着物が似合うと思いますよ」
「そうだよね。じゃあ、尚孝くんは着物にしようか」
「は、はい。もう絢斗さんにお任せします」
ということで尚孝さんはお着物に決まったみたい。どんなお着物になるか楽しみだな。
「失礼します」
部屋に入ってきた志摩くんと谷垣くんは、すぐ近くにいた周平くんと浅香くんを見て
「お久しぶりですね」
と笑顔を見せた。
「そうか、君たちは知り合いだったんだな」
「はい。一花さんにグリを譲っていただくときに私と尚孝さんで浅香さんと蓮見さんのところに伺ったんですよ」
「ああ、なるほど。そういうことか」
志摩くんと言葉を交わしていると、谷垣くんの視線が私の隣に向きっぱなしなことに気づいて、
「谷垣くん、何か聞きたいことでもあるかな?」
と尋ねてみた。
「えっ、あの……もしかして、お隣にいらっしゃるのは絢斗さん……?」
「そう! 私だよ」
「あの、じゃあ昇くんの隣にいるのは直くんですか?」
目を丸くしながら尋ねてきた。
「せいかーい! 周平くんと敬介くんが綺麗なドレスとお着物を用意してくれたから着替えたんだよ」
「どうして着替えを?」
「今日招待されているお客さんが未知子さん以外男性ばかりなんだよ。それだと少し華やかさに欠けるでしょう? 今日はこのお店のパンフレット撮影だってことだし、女性の割合があまりにも少ないと変だしね。それで私たちがお着替えすることになったんだ。綺麗にヘアメイクもしてもらったから、似合ってるでしょう?」
絢斗が屈託のない笑顔を見せると、谷垣くんは大きく頷いた。
「絢斗さんも直くんもすごく良く似合ってます。磯山先生も昇くんもお二人の可愛い姿を見られて幸せですね」
「ああ、本当にそう思っているよ。だから、谷垣くんも志摩くんを幸せにしてはどうかな?」
「えっ? それって……」
「それ、私も思ってた! ねぇ、尚孝くんもお着替えしよう!! ちょうど今から敬介くんもお着替えをしにいくところだったんだよ。一緒に行こう!!」
「えっ? でも、僕が着替えなんて……」
少し困った様子で志摩くんに助けを求めるように見つめると、志摩くんは笑顔で谷垣くんを見た。
「尚孝さんが着替えをされるなら、私も見てみたいです。きっとドレスでも着物でも似合うと思いますよ」
「もう……唯人さんにそんなこと言われたら、断れないじゃないですか……」
「じゃあ、断らないでください。楽しみにしてますよ」
志摩くんが優しく声をかけると、谷垣くんはそれはそれは嬉しそうに頷いていた。
「じゃあ、着替えに行こうか。志摩くんは忙しいでしょう? 尚孝くんのは私が選んであげる。敬介くんのは……」
「大丈夫です。敬介には私が特別に誂えたドレスを用意しています。きっと敬介ならそれを選んでくれるはずです」
周平くんはやはり最初から着替えさせたいと思っていたのだろう。浅香くんもそれをわかっていたから、拒むこともしなかったし。二人はお互いのことをよく理解しているようだ。
「じゃあ、行こうか。直くんはここで待ってる? 一緒に行く?」
「あ、えっと……一緒に……」
「じゃあ行こうか」
昇はそばにいるが、絢斗もいないこの部屋には直くんには居心地が悪いと思ったのだろう。絢斗はそういう気遣いに長けている。
昇は直くんを無理に引き留めることもせず、衣装部屋まで送ると言って、絢斗と浅香くん、そして谷垣くんと共に部屋を出ていった。
<side直純>
昇さんに抱き抱えられたまま、部屋で待っていると人が入ってきた。
怖そうな人と、優しそうな人。どちらもパパたちの知り合いみたいだ。怖そうと思ったけど、笑顔が優しいことに気づいてホッとする。
話を聞いていると、僕とあやちゃんが着ているドレスと着物を用意してくれた人みたい。可愛いと言われて恥ずかしかったけれど、嬉しかった。
話の流れで、優しそうな人もお着替えをすることになった。仲間が増えるのはなんだか嬉しい。ちょうどその時に尚孝さんと志摩さんが部屋にやってきた。
僕とあやちゃんの姿を見て、似合っていると言ってくれて嬉しい。でも尚孝さんも似合いそうだけどな。
そう思っているとパパとあやちゃんが尚孝さんにもお着替えを勧め始めた。
最初は遠慮していたけれど、志摩さんからお願いされたら断れなかったみたい。僕も昇さんに言われたら断れないだろうから同じなのかも。
あやちゃんが尚孝さんのお着替えを手伝うと言って部屋から出ていくことになり、僕はどうしたらいいんだろうと思っていると一緒に行く? と声をかけてくれた。
もちろん昇さんがそばにいてくれるのは嬉しいしホッとするけれど、おっきな大人な男の人ばかりの中でドレスを着た僕が一人っていうのはなんとなく寂しい気がして、あやちゃんたちについていくことにした。
昇さんはがっかりしちゃったかなと思ったけど、
「じゃあ、衣装部屋まで送っていくね」
と笑顔を見せてくれてホッとした。
みんなで衣装部屋に入ると、昇さんはすぐにさっきの部屋に戻って行った。
「ああ、本当に直くん。可愛い!! ドレス、すっごく似合ってるね」
「ありがとうございます。これ、昇さんが選んでくれたんです」
「そっか。直くんに似合うものをよくわかってくれてるね」
尚孝さんが昇さんのことも褒めてくれるから嬉しいな。
「敬介くんはドレスだったよね。尚孝くんはどっちにしようかなぁ……。やっぱり、お着物が似合いそう!! 敬介くん、どう思う?」
「はい。僕も彼は着物が似合うと思いますよ」
「そうだよね。じゃあ、尚孝くんは着物にしようか」
「は、はい。もう絢斗さんにお任せします」
ということで尚孝さんはお着物に決まったみたい。どんなお着物になるか楽しみだな。
1,369
お気に入りに追加
2,121
あなたにおすすめの小説
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話
かし子
BL
養子として迎えられた家に弟が生まれた事により孤独になった僕。18歳を迎える誕生日の夜、絶望のまま外へ飛び出し、トラックに轢かれて死んだ...はずが、目が覚めると赤ん坊になっていた?
転生先には優しい母と優しい父。そして...
おや?何やらこちらを見つめる赤目の少年が、
え!?兄様!?あれ僕の兄様ですか!?
優しい!綺麗!仲良くなりたいです!!!!
▼▼▼▼
『アステル、おはよう。今日も可愛いな。』
ん?
仲良くなるはずが、それ以上な気が...。
...まあ兄様が嬉しそうだからいいか!
またBLとは名ばかりのほのぼの兄弟イチャラブ物語です。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる