182 / 360
衣装を選ぼう!
しおりを挟む
「直くんはドレスと着物、どっちがいいかなぁ……」
好きなものを選ぶ前にまずはどちらかを決めないといけないんだけど、そこがまず難しい。
ドレスは可愛いし、着物は着たことがないから着てみたい気はする。
あやちゃんが僕とドレスを見ながら悩んでいると、僕たちの支度の手伝いをしてくれる神田さんという人が声をかけてくれた。
「とても可愛らしいのでどちらでもお似合いになりますが、今までお着物をお召しになられたことはありますか?」
「えっ、あの……ない、です……」
「それなら、今日はドレスの方が気楽にお召しいただけるかもしれませんね。着物は慣れないと歩くのも難しいですから。それに花嫁さまが白無垢をお召しですので、ドレスのお方がいらっしゃると華やかさが増しますよ」
「そっか、確かにそうかも! じゃあ、直くんはドレスにしようか?」
「はい。僕、ドレスにします!!」
この場所では着物がベストなんだろうと思ったけれど、神田さんが言ってくれることがその通りだと思えて、僕はあやちゃんとドレスを選び始めた。
「ああ、直くん。これいいよ。あっ、こっちも似合いそう!! わぁー、想像以上に可愛いドレスばっかりで悩んじゃうね」
「はい。本当にどれも素敵です」
「直くん、どれか気に入ったのあった?」
あやちゃんに聞かれたけれど、正直言ってどれも素敵すぎて選べない。
でも早く選んで支度しないと結婚式に出られなくなっちゃう。
どうしよう……。
「ねぇ、直くん。どれも可愛くて選べないんだったら、昇くんに選んでもらうのはどう?」
「えっ? 昇さん?」
「うん! 私も卓さんに選んでもらいたいし、そうしようよ」
「はい! そうします!!」
絶対に僕が選ぶより昇さんの方が僕に似合うのを選んでくれるって思えた。
だって、いっつも僕の好きなものばかり渡してくれるもんね。
「それではお連れさまをお呼びしてきますね」
僕たちの話を聞いてくれていた神田さんがサッと昇さんとパパを迎えに行ってくれた。
昇さん……どんなドレスを選んでくれるかな。なんだかすっごく楽しみになってきちゃったな。
<side昇>
直くんと絢斗さんがドレスか着物に着替える。
思ってもみない展開に驚きしかないけれど、同時に直くんの可愛い姿が見られるのかと思うと興奮する。
「こちらのお部屋でお待ちください。何かあれば遠慮なくお声掛けください」
「ああ、ありがとう」
伯父さんが店主の天沢さんにお礼を言うと、スッと襖が閉められ伯父さんと二人だけの空間になる。
だけど、俺の頭の中は直くんのことでいっぱいだ。きっと伯父さんもそうだろう。
「あの、伯父さん……直くんのあのことだけど……」
「気になるのはわかるが、そのことはこの土日は忘れていなさい」
「そうだね、わかった」
せっかくの家族旅行に嫌なことを考えるのはやめよう。それよりも直くんがどんな可愛い格好を見せてくれるか楽しみにしていよう。
そう思っていたけれど、襖の向こうから
「失礼致します」
と声がかけられて、伯父さんが声を開けるとスーッと襖が開き、和服姿の女性が現れた。
「お寛ぎのところ、失礼致します。お連れさまがお呼びでございます」
その言葉に俺も伯父さんもすぐに立ち上がり、その女性について行った。
そこは直くんと絢斗さんがいる衣装部屋。
何事かと思って中に入るとたくさんのドレスに囲まれた中に直くんと絢斗さんがいた。
「絢斗、どうしたんだ?」
「あのね、私も直くんも自分じゃ選べなくて……卓さんと昇くんに衣装を選んでもらいたいなって」
「えっ? 俺が、直くんのを?」
「うん。ドレスってことまでは決めたんだけど、たくさんありすぎて選べなくて……ねぇ、直くん」
「はい。昇さん……選んでくれますか?」
「――っ、あ、ああ。もちろんだよ!! 直くんに一番似合うのを選ぶから!!」
「よかった……」
直くんの嬉しそうな笑顔に俺の興奮が一気に高まった気がした。
「じゃあ、直くんと昇くんはここで選んで。私は着物にするから、卓さんこっち」
絢斗さんは伯父さんの手を取って隣の部屋に入って行った。
衣装部屋の中には俺と直くんだけ。
俺は山ほどある衣装を隅から隅まで見尽くして、直くんによく似合う柔らかなピンクベージュのドレスを手に取った。
「直くん、これがいいよ」
直くんに当ててみるだけでバッチリ似合うのがわかる。
「わぁ、可愛い!!」
「だろう?」
俺はすぐに隣の部屋との仕切りになっている襖を叩き、伯父さんたちに聞こえるように声をかけた。
「伯父さん、絢斗さん。直くんのドレス、決めたよ」
俺の声にすぐに襖が開き、
「ちょうどよかったよ。今、絢斗の着物も選んだところだ」
と伯父さんが教えてくれた。
それから二人はすぐに支度に入るということで俺と伯父さんはさっきの待機部屋に戻った。
直くんと絢斗さんが着替えを済ませて部屋に来てくれるのが今から待ち遠しくてたまらないな。
好きなものを選ぶ前にまずはどちらかを決めないといけないんだけど、そこがまず難しい。
ドレスは可愛いし、着物は着たことがないから着てみたい気はする。
あやちゃんが僕とドレスを見ながら悩んでいると、僕たちの支度の手伝いをしてくれる神田さんという人が声をかけてくれた。
「とても可愛らしいのでどちらでもお似合いになりますが、今までお着物をお召しになられたことはありますか?」
「えっ、あの……ない、です……」
「それなら、今日はドレスの方が気楽にお召しいただけるかもしれませんね。着物は慣れないと歩くのも難しいですから。それに花嫁さまが白無垢をお召しですので、ドレスのお方がいらっしゃると華やかさが増しますよ」
「そっか、確かにそうかも! じゃあ、直くんはドレスにしようか?」
「はい。僕、ドレスにします!!」
この場所では着物がベストなんだろうと思ったけれど、神田さんが言ってくれることがその通りだと思えて、僕はあやちゃんとドレスを選び始めた。
「ああ、直くん。これいいよ。あっ、こっちも似合いそう!! わぁー、想像以上に可愛いドレスばっかりで悩んじゃうね」
「はい。本当にどれも素敵です」
「直くん、どれか気に入ったのあった?」
あやちゃんに聞かれたけれど、正直言ってどれも素敵すぎて選べない。
でも早く選んで支度しないと結婚式に出られなくなっちゃう。
どうしよう……。
「ねぇ、直くん。どれも可愛くて選べないんだったら、昇くんに選んでもらうのはどう?」
「えっ? 昇さん?」
「うん! 私も卓さんに選んでもらいたいし、そうしようよ」
「はい! そうします!!」
絶対に僕が選ぶより昇さんの方が僕に似合うのを選んでくれるって思えた。
だって、いっつも僕の好きなものばかり渡してくれるもんね。
「それではお連れさまをお呼びしてきますね」
僕たちの話を聞いてくれていた神田さんがサッと昇さんとパパを迎えに行ってくれた。
昇さん……どんなドレスを選んでくれるかな。なんだかすっごく楽しみになってきちゃったな。
<side昇>
直くんと絢斗さんがドレスか着物に着替える。
思ってもみない展開に驚きしかないけれど、同時に直くんの可愛い姿が見られるのかと思うと興奮する。
「こちらのお部屋でお待ちください。何かあれば遠慮なくお声掛けください」
「ああ、ありがとう」
伯父さんが店主の天沢さんにお礼を言うと、スッと襖が閉められ伯父さんと二人だけの空間になる。
だけど、俺の頭の中は直くんのことでいっぱいだ。きっと伯父さんもそうだろう。
「あの、伯父さん……直くんのあのことだけど……」
「気になるのはわかるが、そのことはこの土日は忘れていなさい」
「そうだね、わかった」
せっかくの家族旅行に嫌なことを考えるのはやめよう。それよりも直くんがどんな可愛い格好を見せてくれるか楽しみにしていよう。
そう思っていたけれど、襖の向こうから
「失礼致します」
と声がかけられて、伯父さんが声を開けるとスーッと襖が開き、和服姿の女性が現れた。
「お寛ぎのところ、失礼致します。お連れさまがお呼びでございます」
その言葉に俺も伯父さんもすぐに立ち上がり、その女性について行った。
そこは直くんと絢斗さんがいる衣装部屋。
何事かと思って中に入るとたくさんのドレスに囲まれた中に直くんと絢斗さんがいた。
「絢斗、どうしたんだ?」
「あのね、私も直くんも自分じゃ選べなくて……卓さんと昇くんに衣装を選んでもらいたいなって」
「えっ? 俺が、直くんのを?」
「うん。ドレスってことまでは決めたんだけど、たくさんありすぎて選べなくて……ねぇ、直くん」
「はい。昇さん……選んでくれますか?」
「――っ、あ、ああ。もちろんだよ!! 直くんに一番似合うのを選ぶから!!」
「よかった……」
直くんの嬉しそうな笑顔に俺の興奮が一気に高まった気がした。
「じゃあ、直くんと昇くんはここで選んで。私は着物にするから、卓さんこっち」
絢斗さんは伯父さんの手を取って隣の部屋に入って行った。
衣装部屋の中には俺と直くんだけ。
俺は山ほどある衣装を隅から隅まで見尽くして、直くんによく似合う柔らかなピンクベージュのドレスを手に取った。
「直くん、これがいいよ」
直くんに当ててみるだけでバッチリ似合うのがわかる。
「わぁ、可愛い!!」
「だろう?」
俺はすぐに隣の部屋との仕切りになっている襖を叩き、伯父さんたちに聞こえるように声をかけた。
「伯父さん、絢斗さん。直くんのドレス、決めたよ」
俺の声にすぐに襖が開き、
「ちょうどよかったよ。今、絢斗の着物も選んだところだ」
と伯父さんが教えてくれた。
それから二人はすぐに支度に入るということで俺と伯父さんはさっきの待機部屋に戻った。
直くんと絢斗さんが着替えを済ませて部屋に来てくれるのが今から待ち遠しくてたまらないな。
1,431
お気に入りに追加
2,256
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。

春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。

尊敬している先輩が王子のことを口説いていた話
天使の輪っか
BL
新米騎士として王宮に勤めるリクの教育係、レオ。
レオは若くして団長候補にもなっている有力団員である。
ある日、リクが王宮内を巡回していると、レオが第三王子であるハヤトを口説いているところに遭遇してしまった。
リクはこの事を墓まで持っていくことにしたのだが......?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。


我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

病弱を演じていた性悪な姉は、仮病が原因で大変なことになってしまうようです
柚木ゆず
ファンタジー
優秀で性格の良い妹と比較されるのが嫌で、比較をされなくなる上に心配をしてもらえるようになるから。大嫌いな妹を、召し使いのように扱き使えるから。一日中ゴロゴロできて、なんでも好きな物を買ってもらえるから。
ファデアリア男爵家の長女ジュリアはそんな理由で仮病を使い、可哀想な令嬢を演じて理想的な毎日を過ごしていました。
ですが、そんな幸せな日常は――。これまで彼女が吐いてきた嘘によって、一変してしまうことになるのでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる