ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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本当のこと

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<side直純>

――ナオズミのことナオって呼んでいいかな?

そう言われてすごく嬉しかった。

カールさんが僕をナオズミと呼んでくれるのは外国人なら当然だと思っていたところもあったけれど、ナオズミと呼ばれるとどうしても両親……特に母さんのことを思い出してしまっていた。

自分の名前を嫌だとまでは思わないけれど、母さんとの日々がパッと甦ってしまうことがあって……だからパパたちに直くんと呼ばれるようになったのは嬉しかった。本当に新しい自分になれた気がしたんだ。

けれど今日、カールさんと出会って直接ナオズミと呼ばれて、ほんの少し胸の奥が騒ついた。

これが僕の名前なんだから仕方がないという気持ちもあったけれど、やっぱり少し辛かった。だからカールさんからナオと呼んでいいかと言われて嬉しかったんだ。

僕が直純という名前だってことは変えようもないことだけど、もう少し僕が母さんとの辛い記憶を忘れるまでは直くんやナオでいられたらいいな。そんなことを思ってしまう。

しかもカールさんは、僕に昇さんたちと同じようにカールと呼ばせてくれた。
年下なのに呼び捨てなんて……と思ったけれど、僕にカールって呼ばれたい! とまで言ってくれて……すごく嬉しかった。

僕に呼び捨てできる友達ができるなんて思ってもなかった。

カールって、ドキドキしながら呼んだらすごく喜んでくれて、親友とまで言ってくれた。

僕に親友……!! もう嬉しすぎておかしくなりそうだ。

その親友とパパたちとみんなでこれからご飯を食べにいくんだって。
さっき、ふーちゃんや毅パパたちとドーナツを食べたのが、多分物心ついてから初めて食べる外での食事だったと思うけど、今度はご飯をみんなで食べるなんて……。

なんだか今日は初めてのことばかりでドキドキが止まらない。でも、隣で昇さんが手を繋いでいてくれるから安心できる。昇さんがそばにいてくれてよかったな。

駐車場に着き、空港まで来た時と同じようにパパの車の後ろに乗ろうとしたら、少し離れた場所からカールの嬉しそうな声が聞こえてきた。

どうやら村山さんがカールに贈り物を用意していたみたい。僕も昇さんから突然の贈り物をもらった時、ものすごく嬉しかったから、今のカールの気持ちがよくわかる。でも何をもらったんだろう?

昇さんに案内されて、車に乗り込むと、昇さんが隣にピッタリと寄り添って座ってくれる。

「シートベルト付けるね」

「はい」

パパの車に乗り慣れない僕のためにさっきと同じようにシートベルトをつけてくれる。本当に昇さんって優しいな。
昇さんもシートベルトをつけたところで車がゆっくりと動き始めた。

「伯父さん、お店までどれくらい?」

「銀座だから普通なら一時間くらいかな。途中で休憩したかったら声をかけてくれ」

「わかった」

ここから一時間、車に乗れるんだ。なんだか嬉しい。

「直くん、疲れてない?」

「大丈夫です」

「それならよかった」

「あの、昇さん……」

「んっ? どうかした?」

「さっきの、カールへの贈り物って……昇さんは何か知っているんですか?」

「えっ? どうして?」

ふと思ったことを尋ねてみただけだったけれど、少し焦った顔で見つめられて驚いてしまった。

「えっ……あ、いえ。仲良しだから知ってるのかなって……それだけなんですけど……ごめんなさい」

「あ、いや。直くんが謝ることじゃないよ。ちょっと急に聞かれて驚いただけ」

「驚いた?」

「ああ……うん。その……」

なんとなく言いにくそうな雰囲気は伝わってくる。僕、そんなに変なこと聞いちゃったかな?

「昇、もう隠さずにはっきり言った方がいいぞ」

「隠す?」

前からパパの声が聞こえてきて、思わず聞き返すと、昇さんははぁーっと大きなため息を吐いて僕を見た。

「ごめん、別に隠すことこでもないんだけど……もう恋人になったから、はっきり言うね」

「はい」

「あのさ、前に直くんに大きなクマのぬいぐるみプレゼントしただろう?」

「えっ? はい。昇さんがゲームセンターでって……」

急にぬいぐるみの話になって驚きつつも答えた。

「あれ、ゲーセンでとったやつじゃなくて、直くんのために買ったんだ」

「えっ? 僕のために……?」

「ああ、直くんにどうしてもプレゼントしたくて……でも、買うって言ったら貰ってもらえないと思って……家にあるって言ったら受け取ってくれるかと思って、そう言ったんだ。嘘ついてごめん。でも直くんを喜ばせたくて……ごめん、引いた?」

「引くなんて、そんなこと……っ! 僕、あのクマさんすごく嬉しかったです。ずっとぬいぐるみ欲しかったから、昇さんが僕のために選んでくれたのがすごく嬉しいです」

「直くん……よかった」

そう言って僕を抱きしめてくれる。昇さんの温もりがクマさん以上にあったかくて嬉しかった。
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