ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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父の望み

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「へぇーお母さんが花屋を?」

「はい。子供の頃から花に触れ合う機会が多かったので、美月にお願いをして一緒に水やりをすることになりました」

 あ、そうだ。蒼大に聞きたいことがあったんだ。

「蒼大、聞きたいことがあるんだけど」
「何?」

「このお花がどうして元気ないのか分かる?」

 先週から水をやっても元気にならないお花があった。何が原因か分からなかった。

「あーこれは…お水毎日あげてる?」
「もちろん!最近は毎日5回ぐらい水やりしてるよ!」

 お花はとにかくお水が大事だって聞いた。あと太陽。

「だからだね」
「だから?」

「あげすぎても駄目なんだよ」  
「うそ…、」

 つまり、私のせいで、この子は…

「大丈夫、まだ間に合うよ。とにかく、土が乾くまではあげないようにして」

「わ、分かった。お水のあげすぎも駄目だったなんて…」

 知らなかった。お水はあげればあげるだけいいものだと…

「そんな落ち込むことないよ。勘違いしてる人も多いから、次から気をつければいいよ」

「分かった、」

 考えてみれば私、お花に対して何の知識もないまま水やりしてた…

「美月、そんな落ち込むことないって蒼大くんも『師匠!』」

「師匠?もしかして俺の事…?」

 私にとってのお花の専門家だから師匠

「そう!私にお花の事もっと教えて!」
「え?」

 師匠ならきっと、お花のこと沢山知ってるから

「今までなんの知識もないまま水やりしてて、そんなのお花に失礼だって思ったの」

「いや、でも俺そんな大したとこは知らないよ?」

「それでもいいの!私よりは知ってるだろうし、少しでも知識があれば、いざと言う時に使えるだろうと思って。だからお願い教えてください師匠!」

 今回は師匠がいたから良かったけど。いない時は私の判断で行動しないといけない。

 助けられるお花も私のせいで助けてあげられないかもしれない。そんなの嫌だ。

「ははっ、分かった。いいよ教えてあげる」

「ししょー!」

「だから、とりあえず師匠って呼ぶのはやめてくれる?」
「え、なんで!」

 師匠なのに。あ、博士の方が良かったか?

「師匠なんて、恥ずかしいからね。それに、美月には名前で呼んで欲しいんだよ」

 そりゃそうか。蒼大は蒼大なんだから。

「そうだよね、分かった。蒼大よろしく」

「じゃあ俺もいいかな」

 あ、お兄ちゃんがいたこと忘れてた 

「もちろんです」

 もう、なんで真似するの。

「お兄ちゃんがどうして」
「どうしてって、水やりをするのは美月だけじゃないからね」

 そうか、お兄ちゃんも毎日するって言ってたな。

「私は本気なんだから邪魔しないでよね」

「もちろん。俺も本気だよ」

 なんだかなぁ。
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