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好きの意味
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「ねぇ、直純くんってスマホ持ってる?」
そう尋ねられて僕は喜び勇んで、ついこの前パパとあやちゃんにスマホをプレゼントしてもらった話をした。
<あやちゃん>という言葉が気になったのか、不思議そうに聞き返されて、僕はなんと言っていいのか困ってしまった。
パパの大事な人に間違いないけれど、ママじゃない。
だって、あやちゃんは男の人だから。
ママって女の人のことをいうんだろうし、でもママみたいな存在で……しっくりくる言葉が見つからない。
悩みながらも、ママみたいだけど男の人だから……と伝えると、一花さんはすぐに納得してくれた。
どうしてだろうと思ったら、先日お家に来てくれた尚孝さんがパパたちと同じだと教えてくれたんだ。
同じということが最初は理解できなかったけれど、
「尚孝さんにも恋人がいるんだけど、男の人なんだよ」
と教えられて、すぐにわかった。
あの時、尚孝さんと一緒に来ていた人だ!
その人が今日も来ていて、しかも運転席にいることに驚きつつも、
「あの……ちょっと聞いてみたいんですけど……あの、好きってどういうことですか?」
と気になることを聞いてみた。
パパとあやちゃんが好き同士だということも、尚孝さんが運転席にいる志摩さんを好きだということは一緒にいて楽しそうだからわかるけれど、その好きだという感情が僕にはまだわからない。
学校に通っていたときは、クラスメイトが誰々が好きなんて話をしていたのが耳に入ったこともあるけれど、それがどういう感情のことなのかは全くわからなかった。
一緒にいて楽しい人が好きな人ってことなら、僕は一花さんのことも尚孝さんのことも、パパやあやちゃん、それに昇さんのことも好きだということになってしまう。
好きって思う人は何か他の人とは違うものがあるんじゃないかと思って尋ねると、一花さんは少し悩みながらも
「一緒にいてすごく安心したり、ずっとそばにいたいなって思ったり、匂いにホッとしたりすることかな。逆に離れてる時間が寂しかったりもするのも好きってことなのかも。うまく教えられなくてごめんね」
と教えてくれた。
パパやあやちゃんがそばにいると安心するけど、そばにいて安心して、匂いにホッとするのは昇さんだけだ。
昇さんがお家に帰っている時はものすごく寂しくて自分の部屋で寝られなくなってしまったけれど、昇さんの匂いを感じたら眠れるようになった。
「安心……匂い……寂しい……」
その全てを兼ね備えているのが昇さんしかいないってことは、僕は昇さんが好き、っていうこと?
「あの、僕も誰でも好きになっていいんですか?」
昇さんは、男の人だし、その上、毅パパの子どもで、僕がパパの子どもになったら従兄弟になるって言ってたし、親戚同士なのに好きなったりしてもいいんだろうか?
やっぱりダメだったりするんじゃないかな……。
これが本当に好きだっていうことなのかすらもわからなくて、頭の中がぐちゃぐちゃになってきてどうしていいかわからなかったけれど、
「いいよ、ゆっくり教えて。直純くん、もしかして誰か好きな人がいるの?」
と一花さんに尋ねられて、僕は今頭の中を占めている気持ちを相手が誰とは言わずに伝えてみた。
「一緒に寝ると安心するし、匂いも好きだし、そばにいてくれるとホッとして、でも離れている時間が寂しくて……。一花さんのいう通りな人がいるんですけど、それが好きな人ってことですか?」
「うん、僕だったらそう思うかな。その人って、もしかして男の人?」
そう聞かれて、僕は素直に頷いた。
「あのね、好きになるのに性別は関係ないんだって。誰でも好きになっていいんだよ」
一花さんは笑顔で、その気持ちが大事なんだよと言ってくれた。
まさか僕の好きな相手がもうすぐ従兄弟になる昇さんだって知らないからそう言ってくれているのかもしれないけれど、それでも誰でも好きになっていいと言われたことは僕の気持ちを軽くしてくれた。
「僕の恋人も男の人だし」
と言われたことにはものすごく驚いてしまったけれど、相手が貴船さんだということも驚いた。
でも一花さんと貴船さん……なんかお似合いかも。
「ねぇ、直純くんの好きな人も紹介してほしいな」
一花さんのそんな可愛いお願いについ、
「えっ、でも昇さんは僕のことなんて……」
と口が滑ってしまって、
「昇さんっていうんだ!」
と一花さんに僕の好きな人が知られてしまった。
ああー、もう僕ってばバカ。
「ねっ、お迎えに来てもらうからその昇さん、紹介してね」
なんだか一花さんにお願いされると断るなんてできない。
わかりましたというと、
「ふふっ。じゃあ連絡先も交換しよう!」
と嬉しそうに言われて、僕はスマホを取り出した。
連絡先の交換の仕方を昇さんから習っておいてよかった。
メッセージアプリの連絡先が家族以外にカールくんと尚孝さんと一花さん、三人に増えて僕はとっても嬉しい気持ちになれた。
そう尋ねられて僕は喜び勇んで、ついこの前パパとあやちゃんにスマホをプレゼントしてもらった話をした。
<あやちゃん>という言葉が気になったのか、不思議そうに聞き返されて、僕はなんと言っていいのか困ってしまった。
パパの大事な人に間違いないけれど、ママじゃない。
だって、あやちゃんは男の人だから。
ママって女の人のことをいうんだろうし、でもママみたいな存在で……しっくりくる言葉が見つからない。
悩みながらも、ママみたいだけど男の人だから……と伝えると、一花さんはすぐに納得してくれた。
どうしてだろうと思ったら、先日お家に来てくれた尚孝さんがパパたちと同じだと教えてくれたんだ。
同じということが最初は理解できなかったけれど、
「尚孝さんにも恋人がいるんだけど、男の人なんだよ」
と教えられて、すぐにわかった。
あの時、尚孝さんと一緒に来ていた人だ!
その人が今日も来ていて、しかも運転席にいることに驚きつつも、
「あの……ちょっと聞いてみたいんですけど……あの、好きってどういうことですか?」
と気になることを聞いてみた。
パパとあやちゃんが好き同士だということも、尚孝さんが運転席にいる志摩さんを好きだということは一緒にいて楽しそうだからわかるけれど、その好きだという感情が僕にはまだわからない。
学校に通っていたときは、クラスメイトが誰々が好きなんて話をしていたのが耳に入ったこともあるけれど、それがどういう感情のことなのかは全くわからなかった。
一緒にいて楽しい人が好きな人ってことなら、僕は一花さんのことも尚孝さんのことも、パパやあやちゃん、それに昇さんのことも好きだということになってしまう。
好きって思う人は何か他の人とは違うものがあるんじゃないかと思って尋ねると、一花さんは少し悩みながらも
「一緒にいてすごく安心したり、ずっとそばにいたいなって思ったり、匂いにホッとしたりすることかな。逆に離れてる時間が寂しかったりもするのも好きってことなのかも。うまく教えられなくてごめんね」
と教えてくれた。
パパやあやちゃんがそばにいると安心するけど、そばにいて安心して、匂いにホッとするのは昇さんだけだ。
昇さんがお家に帰っている時はものすごく寂しくて自分の部屋で寝られなくなってしまったけれど、昇さんの匂いを感じたら眠れるようになった。
「安心……匂い……寂しい……」
その全てを兼ね備えているのが昇さんしかいないってことは、僕は昇さんが好き、っていうこと?
「あの、僕も誰でも好きになっていいんですか?」
昇さんは、男の人だし、その上、毅パパの子どもで、僕がパパの子どもになったら従兄弟になるって言ってたし、親戚同士なのに好きなったりしてもいいんだろうか?
やっぱりダメだったりするんじゃないかな……。
これが本当に好きだっていうことなのかすらもわからなくて、頭の中がぐちゃぐちゃになってきてどうしていいかわからなかったけれど、
「いいよ、ゆっくり教えて。直純くん、もしかして誰か好きな人がいるの?」
と一花さんに尋ねられて、僕は今頭の中を占めている気持ちを相手が誰とは言わずに伝えてみた。
「一緒に寝ると安心するし、匂いも好きだし、そばにいてくれるとホッとして、でも離れている時間が寂しくて……。一花さんのいう通りな人がいるんですけど、それが好きな人ってことですか?」
「うん、僕だったらそう思うかな。その人って、もしかして男の人?」
そう聞かれて、僕は素直に頷いた。
「あのね、好きになるのに性別は関係ないんだって。誰でも好きになっていいんだよ」
一花さんは笑顔で、その気持ちが大事なんだよと言ってくれた。
まさか僕の好きな相手がもうすぐ従兄弟になる昇さんだって知らないからそう言ってくれているのかもしれないけれど、それでも誰でも好きになっていいと言われたことは僕の気持ちを軽くしてくれた。
「僕の恋人も男の人だし」
と言われたことにはものすごく驚いてしまったけれど、相手が貴船さんだということも驚いた。
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「えっ、でも昇さんは僕のことなんて……」
と口が滑ってしまって、
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と一花さんに僕の好きな人が知られてしまった。
ああー、もう僕ってばバカ。
「ねっ、お迎えに来てもらうからその昇さん、紹介してね」
なんだか一花さんにお願いされると断るなんてできない。
わかりましたというと、
「ふふっ。じゃあ連絡先も交換しよう!」
と嬉しそうに言われて、僕はスマホを取り出した。
連絡先の交換の仕方を昇さんから習っておいてよかった。
メッセージアプリの連絡先が家族以外にカールくんと尚孝さんと一花さん、三人に増えて僕はとっても嬉しい気持ちになれた。
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