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大丈夫だから……
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<side絢斗>
「お帰りなさい、卓さん」
「ああ、ただいま」
今日はいつもにも増して嬉しそうな笑顔の卓さんに私から唇を重ねに行くと、背伸びをした私の腰にさっと腕を回してくれて、チュッと甘い音がした。
こうして玄関先で帰ってきたばかりの卓さんの愛を感じられるのは、やっぱり嬉しい。
「遅くなって心配したか?」
「ううん、中谷くんから昇くんと事務所で話をしてるって連絡が来てたから私は大丈夫だったんだけど、直くんに伝えてもいいのかわからなくて……直くんが、ずっと時計を見てソワソワしてて……」
「そうだったか。申し訳ないことしたな」
「何か重要な話だった?」
「いや、そうじゃないよ。明日の話だ」
「ああ、そうか。もう明日だもんね」
「直くんの様子はどうだった? 緊張はしていないか?」
「うーん、未知子さんが訪ねてきてくれた時よりは、安心してるかも。多分、あれから私たちの関係も変わったし、直くん的にも落ち着いているし、何より卓さんのことを信頼しているから、卓さんの友だちだって聞いているからあまり緊張はしてないみたいだよ。今日もずっとあのおにぎりの話で盛り上がってたし」
「そうか。それなら、あまり私たちが気を揉むのはやめたほうがいいかもしれないな」
ふふっ。本当のパパみたい。
直くんのこと、真剣に考えてくれる卓さん……かっこいいな。
「今日のおにぎりのお礼にとびっきり美味しい夕食を作るよ」
「わぁー、嬉しいっ!」
「その前に着替えを手伝ってくれ」
「ふふっ。はい」
一緒に部屋に行き、着替えを手伝ってキッチンに行く卓さんを見送ると、すぐにリビングから昇くんも手伝いにきた。
それから、あっという間にダイニングテーブルの上には美味しそうな料理でいっぱいになった。
おにぎりだけで大満足の私には、こんなものすごい料理は魔法でも使わないと無理なくらいだけど、
――絢斗が作ってくれたあのおにぎり! 最高に美味しかったよ!!
お昼休みに帰ってきた時に、私の顔を見るなりそう言ってくれた。
卓さんにとってはどんな料理かじゃなくて、私が作ったものが嬉しいんだとわかって余計に嬉しかったんだ。
今日の夕食は直くんの好きなハンバーグと私の好きなエビフライ。
あのおにぎりを作れたのが直くんのおかげだってちゃんとわかってくれているからこそのメニュー。
だから卓さんが好きなんだ。
直くんがここに来て、最初の夕食もハンバーグだった。
あれから何度か食べて、その度にソースを変えて、直くんが一番好きなのが照り焼きソースに大根おろしをかけた和風なもの。
あれだといつもより多めに食べられるとわかって、うちの定番になりつつある。
実のところ、私もこの照り焼きソースと大根おろしの組み合わせが一番好き。
だから、直くんと一緒ですごく嬉しいんだ。
サクサクで真っ直ぐな大きなエビフライをパクッと食べると、
「ふふっ。衣がついてる」
と言って卓さんがキスをするように唇で取ってくれる。
直くんの手前、最初は手で取ってくれていたけれど、玄関でのキスを解禁した時から、夫夫なら当たり前のことなんだよと伝えると、直くんはなんでも納得してくれるようになった。
まぁ、皐月たちだって、伊織くんたちだって、それに二葉さんたちも普通にやってることだから、直くんも今から覚えておくのは悪いことじゃない、よね……。
「ふぅ……パパ、すごく美味しかったです」
「そうか、よかった」
直くんが完食できるようにサイズも考えて作られたハンバーグ。
今日はエビフライもあったから、いつもよりももっと小さめだったけれど、直くんは満足そうにお腹をさすっていた。
残しても、昇くんが食べるから大丈夫って言ってるから、無理はしてないと思うけどね。
ふふっ、昇くんの方は直くんの食べかけが食べられなくて残念そう。
食後、みんなでソファーに座っていると、
「あの、パパ……」
と直くんが卓さんに声をかけた。
「直くん、どうした?」
「あの、明日……パパのお友達が来られるんですよね?」
「ああ、そうだよ。でも優しい人たちだから心配しないでいいよ」
卓さんの笑顔に直くんはホッとしているように見えた。
そして、当日。
お昼を軽く済ませて、一息ついた頃、玄関チャイムが鳴り、彼らがやってきた。
<side直純>
どんな人が来るんだろう?
僕と話がしたいってなんの話だろう?
気になることはたくさんあるけれど、聞いたところでわからないしその時が来るのを待つしかない。
少し前の僕なら、きっとこの家を追い出されてどこかに連れて行かれるのかもしれないと考えただろうけど、今はパパとあやちゃんと昇さんと家族になったって自信があるから、そんな怖いことは考えないようにした。
だって、僕のことを考えてくれているパパが大丈夫って言ってくれたんだから。
それでもその時が近づくと緊張してしまっている自分がいた。
指が震える。
止めようと思っても自力では止められない。
どうしよう……。
その時、僕の手を大きな手が包み込んだ。
「昇さん……」
「大丈夫。俺がついてるよ」
その言葉はまるでお薬のように、僕の震えを止めてくれた。
大丈夫、大丈夫。
自分でもそう言い聞かせていると、とうとうパパのお友だちがやってきた。
「お帰りなさい、卓さん」
「ああ、ただいま」
今日はいつもにも増して嬉しそうな笑顔の卓さんに私から唇を重ねに行くと、背伸びをした私の腰にさっと腕を回してくれて、チュッと甘い音がした。
こうして玄関先で帰ってきたばかりの卓さんの愛を感じられるのは、やっぱり嬉しい。
「遅くなって心配したか?」
「ううん、中谷くんから昇くんと事務所で話をしてるって連絡が来てたから私は大丈夫だったんだけど、直くんに伝えてもいいのかわからなくて……直くんが、ずっと時計を見てソワソワしてて……」
「そうだったか。申し訳ないことしたな」
「何か重要な話だった?」
「いや、そうじゃないよ。明日の話だ」
「ああ、そうか。もう明日だもんね」
「直くんの様子はどうだった? 緊張はしていないか?」
「うーん、未知子さんが訪ねてきてくれた時よりは、安心してるかも。多分、あれから私たちの関係も変わったし、直くん的にも落ち着いているし、何より卓さんのことを信頼しているから、卓さんの友だちだって聞いているからあまり緊張はしてないみたいだよ。今日もずっとあのおにぎりの話で盛り上がってたし」
「そうか。それなら、あまり私たちが気を揉むのはやめたほうがいいかもしれないな」
ふふっ。本当のパパみたい。
直くんのこと、真剣に考えてくれる卓さん……かっこいいな。
「今日のおにぎりのお礼にとびっきり美味しい夕食を作るよ」
「わぁー、嬉しいっ!」
「その前に着替えを手伝ってくれ」
「ふふっ。はい」
一緒に部屋に行き、着替えを手伝ってキッチンに行く卓さんを見送ると、すぐにリビングから昇くんも手伝いにきた。
それから、あっという間にダイニングテーブルの上には美味しそうな料理でいっぱいになった。
おにぎりだけで大満足の私には、こんなものすごい料理は魔法でも使わないと無理なくらいだけど、
――絢斗が作ってくれたあのおにぎり! 最高に美味しかったよ!!
お昼休みに帰ってきた時に、私の顔を見るなりそう言ってくれた。
卓さんにとってはどんな料理かじゃなくて、私が作ったものが嬉しいんだとわかって余計に嬉しかったんだ。
今日の夕食は直くんの好きなハンバーグと私の好きなエビフライ。
あのおにぎりを作れたのが直くんのおかげだってちゃんとわかってくれているからこそのメニュー。
だから卓さんが好きなんだ。
直くんがここに来て、最初の夕食もハンバーグだった。
あれから何度か食べて、その度にソースを変えて、直くんが一番好きなのが照り焼きソースに大根おろしをかけた和風なもの。
あれだといつもより多めに食べられるとわかって、うちの定番になりつつある。
実のところ、私もこの照り焼きソースと大根おろしの組み合わせが一番好き。
だから、直くんと一緒ですごく嬉しいんだ。
サクサクで真っ直ぐな大きなエビフライをパクッと食べると、
「ふふっ。衣がついてる」
と言って卓さんがキスをするように唇で取ってくれる。
直くんの手前、最初は手で取ってくれていたけれど、玄関でのキスを解禁した時から、夫夫なら当たり前のことなんだよと伝えると、直くんはなんでも納得してくれるようになった。
まぁ、皐月たちだって、伊織くんたちだって、それに二葉さんたちも普通にやってることだから、直くんも今から覚えておくのは悪いことじゃない、よね……。
「ふぅ……パパ、すごく美味しかったです」
「そうか、よかった」
直くんが完食できるようにサイズも考えて作られたハンバーグ。
今日はエビフライもあったから、いつもよりももっと小さめだったけれど、直くんは満足そうにお腹をさすっていた。
残しても、昇くんが食べるから大丈夫って言ってるから、無理はしてないと思うけどね。
ふふっ、昇くんの方は直くんの食べかけが食べられなくて残念そう。
食後、みんなでソファーに座っていると、
「あの、パパ……」
と直くんが卓さんに声をかけた。
「直くん、どうした?」
「あの、明日……パパのお友達が来られるんですよね?」
「ああ、そうだよ。でも優しい人たちだから心配しないでいいよ」
卓さんの笑顔に直くんはホッとしているように見えた。
そして、当日。
お昼を軽く済ませて、一息ついた頃、玄関チャイムが鳴り、彼らがやってきた。
<side直純>
どんな人が来るんだろう?
僕と話がしたいってなんの話だろう?
気になることはたくさんあるけれど、聞いたところでわからないしその時が来るのを待つしかない。
少し前の僕なら、きっとこの家を追い出されてどこかに連れて行かれるのかもしれないと考えただろうけど、今はパパとあやちゃんと昇さんと家族になったって自信があるから、そんな怖いことは考えないようにした。
だって、僕のことを考えてくれているパパが大丈夫って言ってくれたんだから。
それでもその時が近づくと緊張してしまっている自分がいた。
指が震える。
止めようと思っても自力では止められない。
どうしよう……。
その時、僕の手を大きな手が包み込んだ。
「昇さん……」
「大丈夫。俺がついてるよ」
その言葉はまるでお薬のように、僕の震えを止めてくれた。
大丈夫、大丈夫。
自分でもそう言い聞かせていると、とうとうパパのお友だちがやってきた。
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