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おにぎりの効果
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ようやくWi-Fi復活しました。
結局何が原因かわかりませんが(汗)なんとか更新できてホッとしてます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
< side中谷>
いつものように娘を桜守に送り届けてから、事務所に向かう。
先生が下りて来られる前に仕事がしやすい環境を作り上げておくのも私の大事な仕事だ。
先生は事務所に来てすぐにコーヒーを飲みながら、資料に目を通すのが朝のルーティーン。
もうそろそろ下りて来るところだから、お湯を注ぐだけの状態にしておこうと準備をしていると、
「中谷くん、おはよう」
といつもより早く事務所に来られた。
「あれ? 先生、なんだか今日は一段と嬉しそうですね」
「ははっ。わかるか? 中谷くんはさすがだな。そうだ、中谷くん、コーヒーは淹れたか?」
「あっ、すみません。今すぐに……」
「いや、まだでよかった。そのために少し早く下りてきたんだ」
「それはどういう意味ですか?」
なんだか噛み合わない話に、いつもの先生らしくないと思って聞き返してみると、先生は今までみたこともないほど嬉しそうな笑顔を見せ、持っていた小さなバッグを私に見えるように掲げてみせた。
「これだよ」
「これは……ランチバッグ? あっ、もしかしてあの直純くんが作ってくれたんですか?」
「ふふっ。半分正解だな」
「半分?」
「ああ、これは私の愛しい絢斗と直くんが二人で私のためだけに作ってくれたおにぎりなんだよ」
「えっ? 絢斗さんが? おにぎりを? 本当ですか?」
「ああ。直くんが絢斗でも作れるようなおにぎりを調べてあげたらしい。二人で協力して作ってくれたんだよ」
「それは……もったいなくて、食べられませんね」
「ああ、私もそう思ったんだが、直くんにちゃんと食べるように釘を刺されてね。可愛い息子に言われては守らないわけにはいかないな」
「ええ、そうですね」
ああ、もうすっかり家族なのだな。
血の繋がりなんて関係ない。
先生のその嬉しそうな表情が全てを物語っていた。
「せっかくだから、時間のある時に美味しく頂こうと思ってね、中谷くん……悪いが、緑茶を淹れてくれないか? やはりおにぎりにはお茶が合う」
「ええ、わかりました」
事務所に来る人たち用に準備している特別な緑茶を、沸騰よりも少しぬるい温度で蒸らしてから湯呑みに入れ先生に持って行くと、先生はランチバッグの中から、サランラップに包まれた。正方形のおにぎりを取り出していた。
ああ、なるほど。『おにぎらず』か。
確かにこれなら料理が苦手だと仰っていた絢斗さんも作れるな。
直純くんは絢斗さんの事情も全て理解した上でこのおにぎりの作り方を見つけ出したんだ。
本当に直純くんはいい子だな。
先生は嬉しそうに写真を撮ってから、ラップを外し食べようとしていたから、
「あっ! 先生! ちょっと待ってください!!」
とトレイを置き、慌てて声をかけて食べるのをとめた。
「どうした? 中谷くん、君もこのおにぎりが見たかったのか?」
「いえ、そうではなくてこれはそのまま食べるよりもずっといい食べ方があるんですよ」
「えっ? そうなのか?」
「はい。ちょっと待っていてください」
そう言って、私はすぐに事務所の奥にあるキッチンに戻り、ペティナイフを取ってきた。
「ナイフ?」
「はい。先生、これでおにぎりを半分にカットしてください。ラップに包んだままでいいですよ」
「わかった」
先生が私のいうままにおにぎりにナイフを入れた。
そして、パカっと半分に割ると、ただの海苔の塊のように見えていたおにぎりが真っ白なご飯と具材の見える可愛いおにぎりに変わった。
「おおっ!! 素晴らしいな!!」
「ふふっ。先生の好きな鮭きんぴらですね。絢斗さんも直純くんも先生の好みをよくわかっていますね」
「ああ、そうだな」
嬉しそうにおにぎりを見つめる先生の表情があまりにも優しく嬉しそうで、私は思わず写真を撮ってしまった。
「中谷くん」
「ああ、すみません。でも絢斗さんも直純くんも先生のこんな嬉しそうな顔を見たいんじゃないかと思いまして……」
「嬉しいよ、ありがとう。志良堂にも自慢したいから私が食べているところを写真に撮ってくれないか?」
「ええ、喜んで」
先生のスマホを借り、嬉しそうにおにぎりを食べる先生の写真を撮る。
ついでに動画も少し撮っておいた。
仕事中とは全く別人のような先生の姿に、プライベートの先生が少し垣間見られた気がしてなんだか嬉しかった。
「ああ、美味しかった」
「ふふっ、これで今日は仕事が捗りそうですね」
「ああ、そうだな。中谷くん、美味しいお茶をありがとう。君はお茶を淹れるのも上手だな」
「ありがとうございます。それでは今日も一日お願いします」
そこから仕事モードに入ったものの、いつも以上に気合の入った先生の様子にただただ驚きしかなかった。
絢斗さんと直純くんのおにぎり効果はすごいな。
結局何が原因かわかりませんが(汗)なんとか更新できてホッとしてます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
< side中谷>
いつものように娘を桜守に送り届けてから、事務所に向かう。
先生が下りて来られる前に仕事がしやすい環境を作り上げておくのも私の大事な仕事だ。
先生は事務所に来てすぐにコーヒーを飲みながら、資料に目を通すのが朝のルーティーン。
もうそろそろ下りて来るところだから、お湯を注ぐだけの状態にしておこうと準備をしていると、
「中谷くん、おはよう」
といつもより早く事務所に来られた。
「あれ? 先生、なんだか今日は一段と嬉しそうですね」
「ははっ。わかるか? 中谷くんはさすがだな。そうだ、中谷くん、コーヒーは淹れたか?」
「あっ、すみません。今すぐに……」
「いや、まだでよかった。そのために少し早く下りてきたんだ」
「それはどういう意味ですか?」
なんだか噛み合わない話に、いつもの先生らしくないと思って聞き返してみると、先生は今までみたこともないほど嬉しそうな笑顔を見せ、持っていた小さなバッグを私に見えるように掲げてみせた。
「これだよ」
「これは……ランチバッグ? あっ、もしかしてあの直純くんが作ってくれたんですか?」
「ふふっ。半分正解だな」
「半分?」
「ああ、これは私の愛しい絢斗と直くんが二人で私のためだけに作ってくれたおにぎりなんだよ」
「えっ? 絢斗さんが? おにぎりを? 本当ですか?」
「ああ。直くんが絢斗でも作れるようなおにぎりを調べてあげたらしい。二人で協力して作ってくれたんだよ」
「それは……もったいなくて、食べられませんね」
「ああ、私もそう思ったんだが、直くんにちゃんと食べるように釘を刺されてね。可愛い息子に言われては守らないわけにはいかないな」
「ええ、そうですね」
ああ、もうすっかり家族なのだな。
血の繋がりなんて関係ない。
先生のその嬉しそうな表情が全てを物語っていた。
「せっかくだから、時間のある時に美味しく頂こうと思ってね、中谷くん……悪いが、緑茶を淹れてくれないか? やはりおにぎりにはお茶が合う」
「ええ、わかりました」
事務所に来る人たち用に準備している特別な緑茶を、沸騰よりも少しぬるい温度で蒸らしてから湯呑みに入れ先生に持って行くと、先生はランチバッグの中から、サランラップに包まれた。正方形のおにぎりを取り出していた。
ああ、なるほど。『おにぎらず』か。
確かにこれなら料理が苦手だと仰っていた絢斗さんも作れるな。
直純くんは絢斗さんの事情も全て理解した上でこのおにぎりの作り方を見つけ出したんだ。
本当に直純くんはいい子だな。
先生は嬉しそうに写真を撮ってから、ラップを外し食べようとしていたから、
「あっ! 先生! ちょっと待ってください!!」
とトレイを置き、慌てて声をかけて食べるのをとめた。
「どうした? 中谷くん、君もこのおにぎりが見たかったのか?」
「いえ、そうではなくてこれはそのまま食べるよりもずっといい食べ方があるんですよ」
「えっ? そうなのか?」
「はい。ちょっと待っていてください」
そう言って、私はすぐに事務所の奥にあるキッチンに戻り、ペティナイフを取ってきた。
「ナイフ?」
「はい。先生、これでおにぎりを半分にカットしてください。ラップに包んだままでいいですよ」
「わかった」
先生が私のいうままにおにぎりにナイフを入れた。
そして、パカっと半分に割ると、ただの海苔の塊のように見えていたおにぎりが真っ白なご飯と具材の見える可愛いおにぎりに変わった。
「おおっ!! 素晴らしいな!!」
「ふふっ。先生の好きな鮭きんぴらですね。絢斗さんも直純くんも先生の好みをよくわかっていますね」
「ああ、そうだな」
嬉しそうにおにぎりを見つめる先生の表情があまりにも優しく嬉しそうで、私は思わず写真を撮ってしまった。
「中谷くん」
「ああ、すみません。でも絢斗さんも直純くんも先生のこんな嬉しそうな顔を見たいんじゃないかと思いまして……」
「嬉しいよ、ありがとう。志良堂にも自慢したいから私が食べているところを写真に撮ってくれないか?」
「ええ、喜んで」
先生のスマホを借り、嬉しそうにおにぎりを食べる先生の写真を撮る。
ついでに動画も少し撮っておいた。
仕事中とは全く別人のような先生の姿に、プライベートの先生が少し垣間見られた気がしてなんだか嬉しかった。
「ああ、美味しかった」
「ふふっ、これで今日は仕事が捗りそうですね」
「ああ、そうだな。中谷くん、美味しいお茶をありがとう。君はお茶を淹れるのも上手だな」
「ありがとうございます。それでは今日も一日お願いします」
そこから仕事モードに入ったものの、いつも以上に気合の入った先生の様子にただただ驚きしかなかった。
絢斗さんと直純くんのおにぎり効果はすごいな。
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