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ずっと一緒だよ

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風呂から出てきた直くんと入れ代わりに風呂に入ろうとして、直くんに呼び止められた。

「あの……僕、お父さんに手紙を書きたいんですけど……」

「ああ、そうか。ちょっと待ってて」

直くんの言おうとしていることに気づき、俺は実家から運び込んだ荷物の中から封筒と便箋のセットを取り出した。

「これ、前にカールに手紙を書いて残ったやつだけどよかったら使って」

「いいんですか?」

「うん、直くんに使って欲しいんだ」

「昇さん……わぁ、綺麗な和柄ですね」

袋から取り出した直くんは素直な感想を伝えてくれる。
それがとても嬉しい。

「ああ、カールが折り紙が好きでね。こういうので送ると喜ぶんだよ」

「こんな素敵な便箋と封筒で送られてきたら僕も嬉しいです」

「ふふっ。直くんのお父さんにもそう思ってもらえたら嬉しいよ。じゃあ、この机使っていいから、ゆっくり書いてて。俺はお風呂に入ってくるよ」

「はい。行ってらっしゃい」

直くんに見送られ、俺は風呂に向かった。

少し時間をかけたほうがいいか。
邪魔はしたくない。

直くんが入った後の風呂に入ると、ほのかに直くんの匂いを感じられて一気に興奮してくる。
さっきあれだけ欲望の蜜を出したのに、もう滾ってしまっている。
直くんの邪魔をしないように少し時間を……なんて思っていたけれど、無理やり時間を伸ばさなくてもこの分なら時間がかかりそうだ。

可愛い直くんの姿を思い出しながら、何度か蜜を吐き出し、直くんに気づかれないように念入りに身体を洗い流し、風呂を出た。

念の為、扉をノックして開けたけれど、まだ直くんは机に向かったままだった。

「うっ……ぐすっ……」

えっ? 泣いてる?

「直くん、大丈夫?」

心配になって急いで駆け寄ると数枚の便箋いっぱいに文章が書かれていた。

お父さんへの思いが溢れたんだろうな……。

その手紙は視界に入れないようにして、直くんを抱きしめると、

「の、ぼるさん……」

と涙声で俺に抱きついてきた。

「少し休もうか?」

そういうと直くんは首を横に振って、ちょうど書き終わったところだと教えてくれた。

「お父さんが僕と会わないと思っても、僕はずっと会いたいと願ってるって。幸せな姿をお父さんに見てほしいって……そう書いたんです」

「そうか……それが直くんの気持ちなんだな。すごくいいと思うよ」

抱きしめながら頭を撫でると、

「昇さんがそばにいてくれて嬉しいです……」

と言ってくれた。

「ふふっ。俺も直くんのそばにいられて嬉しいよ。メッセージでも書いただろう? これからずっと一緒だって。だから安心して」

「はい。ありがとうございます」

しばらく抱きしめていると、落ち着きを取り戻した直くんは書き終わった手紙を封筒に入れて糊付けをした。

「これ、パパに渡してきてもいいですか?」

「えっ? あ、いや。もう寝ているかもしれなから、明日の朝渡せばいいよ」

「はい。そうします」

さっきのあれでもう来ないと思っているかもしれないし、流石にこの時間から直くんを伯父さんたちの部屋には行かせられないからな。

「直くんはもう寝たほうがいいよ。俺も少ししたら寝るから」

「はい。おやすみなさい」

ベッドに直くんを寝かせて、俺は机に戻った。

ふと直くんに視線を向けると、二体のクマに囲まれて幸せそうに眠っているのが見える。

俺がいない間だけだからなと嫉妬めいた感情をクマにぶつけながら、集中して勉強をした後で、俺もベッドに潜り込んだ。

ふわりと漂ってくる直くんの甘い香りに理性が飛びそうになりながらも、必死に押し留めながら眠りについた。

翌朝、直くんが起きるよりも早く起きて、処理を済ませてから直くんを起こす。
どれだけ大変でも、直くんと一緒に寝る権利も、直くんの寝顔を見る権利も、朝一番に俺を見てくれる権利も逃すわけにはいかないんだ。

少し寝起きの悪い直くんのぽやぽやとした姿を見つめられる幸せを感じながら、俺の今日の一日は始まった。


「あの、パパ……これ、お父さんへの手紙です」

「わかった。必ずお父さんに届けるから安心してくれ」

「はい。お願いします」

直くんが伯父さんに手紙を渡すのを見届けてから、学校に向かう。

「直くん、今日は友達連れて帰ってくるから。でも気さくでいいやつだから心配しないでいいよ」

「はい。今日またカールさんとお話しできるんですよね。楽しみにしてます」

「ああ、そうだ! 休み時間にスマホ見られるから、メッセージとか送ってくれると嬉しい」

「いいんですか? 昼間に昇さんとやりとりできるなんて僕も嬉しいです」

「じゃあ、行ってくるよ」

直くんに作ってもらったおにぎりを鞄に入れて、声をかけると、

「はい。行ってらっしゃい!」

と満面の笑みで手を振ってくれる。

これ……ほぼほぼ新婚家庭みたいだな。
にやけ顔を制御できないまま、可愛い直くんに見送られ俺は学校に向かった。
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