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可愛すぎるメッセージ
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<side昇>
切り分けられたケーキはこの家に来てから何度か食べていた直くんも、デコレーションされたホールケーキは初めてだったようでとても喜んでいた。
しかも、さすがスイーツ好きの母さんが買ってきてくれただけあって、花やフルーツで飾られた大きなケーキは俺でも驚いてしまうほどすごかった。
直くんはそれを一口食べるごとに幸せそうな表情をして完食したあとで、俺たちにお礼を言い始めた。
「家族としてよろしくお願いします」
と頭を下げる可愛くて我慢できずに抱きしめると、その瞬間を写真に撮られた。
撮ってくれたのは絢斗さん。
しかも直くん用のスマホで。
俺もずっと直くんにスマホをプレゼントしたいと思っていた。
けれどスマホをプレゼントするような口実が思いつかなくて、伯父さんたちに相談しようと思っていたんだ。
結局伯父さんと絢斗さんからの贈り物になってしまったけれど、ここは仕方がない。
それよりも直くんがスマホを持ったことを喜んだほうがいい。
俺が手取り足取り使い方をレクチャーしちゃおうと思っていたのに、母さんが
「ねぇ、直くん。メッセージID交換しよう。そうしたらフランスでもメッセージが送り合えるわ。昇、ちょっと直くん借りるわよ」
と言って俺が止めるのも聞かずに直くんをソファーに連れて行ってしまった。
「昇、ああなったら仕方ない。ちょっと待っていなさい」
伯父さんにそう言われたけれど、母さんと絢斗さんと直くんの楽しそうな声が聞こえて、目が離せない。
すると、メッセージアプリのIDを交換しているのが聞こえて、俺も慌てて便乗しに行った。
だって、俺こそが一番直くんとメッセージのやり取りをしたいんだ。
俺の後から父さんまでID交換しについてきたけど、そこに構っている暇はない。
なんとかIDを交換して、ホッと一息ついたのも束の間
「卓さん、昇くんと毅さんとあっちの椅子に座ってて。私、二葉さんと直くんとしたいことがあるから」
と今度は絢斗さんに直くんを取られてしまう。
伯父さんは絢斗さんのいうことを絶対に聞くからどうしようもない。
「わかった。その間にテーブルを片付けておくよ。ほら、毅。昇。手伝ってくれ」
そう言われて仕方なく直くんの近くから離れてダイニングに戻った。
ケーキを食べた後の皿の片付けをしながらも意識は直くんに向いていた。
離れたせいか何を話しているかまではしっかりと聞き取れないが、楽しそうなことだけは表情でわかった。
すると、突然ポケットに入れていたスマホが震えた。
なんだ?
そっと取り出すと、直くんからのメッセージを知らせる通知が来ていた。
直くんが?
もしかして人生初のメッセージを俺に?
嬉しくて急いで開くと、
<昇さん。可愛いクマさん、ありがとうございます! これからも一緒に寝てください!>
というメッセージと共にどう見ても俺と直くんに見える可愛いスタンプ。
「――っ!!! こんなの、反則だろっ」
あまりにも可愛い言葉とスタンプにトドメを刺されて、俺はその場にしゃがみ込んだ。
直くんからのメッセージが俺の下半身にダイレクトに突き刺さって、その場から動けなくなってしまった。
「昇さんっ! 大丈夫ですか?」
俺が突然崩れ落ちてしまったせいか、不安そうな顔で駆け寄ってきてくれる直くん。
ものすごく嬉しいけれど、どうやって対処しようかそれしか考えられない。
すると、
「直くん、大丈夫だよ。昇は直くんからのメッセージが嬉しかっただけだよ」
と父さんが助け舟を出してくれた。
どうやら俺が今どんな状態か気づいたみたいだ。
親にこんなところを気づかれるのはとてつもなく恥ずかしいけれど、直くんに知られるよりはずっとマシだ。
「そうなんだよ、直くん。可愛いメッセージありがとう。俺もあとで返事返すね」
「昇さんっ!! はい、楽しみにしてます!」
「直くん、他にも紹介したい可愛いアプリがあるんだよ、来てきてー!」
「あ、はーい」
絢斗さんも気づいてくれたのか、直くんを呼び戻してくれて直くんは嬉しそうに俺のところから離れていった。
「はぁー、助かった」
ポツリと溢すと、
「ははっ。お前も大変だな。まぁ、この時期はそんなのとずっと付き合わないといけない。近くに愛しい存在がいればさらにだ。だが、欲に駆られて大切なものを見失ってはいけないぞ」
と父さんから忠告を受けた。
「ああ、わかってるよ。俺は直くんを絶対に傷つけたりしない」
「ふふっ。いい息子に育ってくれてホッとしてるよ。ほら、二葉と絢斗さんが直くんを引き留めてくれている間にどうにかしてこい」
「――っ!!」
恥ずかしいが、このままにしておくわけにいかないからどうしようもない。
バレないうちにさっさとトイレに駆け込んだ。
スマホに入ったお宝画像を見ながら、何度か欲望の蜜を吐き出し、ようやく落ち着きを取り戻した。
綺麗に手を洗ってすぐに直くんにメッセージを送る。
<直くん、メッセージありがとう。これからはずっと一緒だよ♡>
スタンプを使わないから、とりあえずハートマークだけつけておいた。
俺もあのスタンプを作れるアプリを教えてもらおう。
直くんとお揃いを作るのもいいな。
ふふっ。これから楽しくなりそうだ。
切り分けられたケーキはこの家に来てから何度か食べていた直くんも、デコレーションされたホールケーキは初めてだったようでとても喜んでいた。
しかも、さすがスイーツ好きの母さんが買ってきてくれただけあって、花やフルーツで飾られた大きなケーキは俺でも驚いてしまうほどすごかった。
直くんはそれを一口食べるごとに幸せそうな表情をして完食したあとで、俺たちにお礼を言い始めた。
「家族としてよろしくお願いします」
と頭を下げる可愛くて我慢できずに抱きしめると、その瞬間を写真に撮られた。
撮ってくれたのは絢斗さん。
しかも直くん用のスマホで。
俺もずっと直くんにスマホをプレゼントしたいと思っていた。
けれどスマホをプレゼントするような口実が思いつかなくて、伯父さんたちに相談しようと思っていたんだ。
結局伯父さんと絢斗さんからの贈り物になってしまったけれど、ここは仕方がない。
それよりも直くんがスマホを持ったことを喜んだほうがいい。
俺が手取り足取り使い方をレクチャーしちゃおうと思っていたのに、母さんが
「ねぇ、直くん。メッセージID交換しよう。そうしたらフランスでもメッセージが送り合えるわ。昇、ちょっと直くん借りるわよ」
と言って俺が止めるのも聞かずに直くんをソファーに連れて行ってしまった。
「昇、ああなったら仕方ない。ちょっと待っていなさい」
伯父さんにそう言われたけれど、母さんと絢斗さんと直くんの楽しそうな声が聞こえて、目が離せない。
すると、メッセージアプリのIDを交換しているのが聞こえて、俺も慌てて便乗しに行った。
だって、俺こそが一番直くんとメッセージのやり取りをしたいんだ。
俺の後から父さんまでID交換しについてきたけど、そこに構っている暇はない。
なんとかIDを交換して、ホッと一息ついたのも束の間
「卓さん、昇くんと毅さんとあっちの椅子に座ってて。私、二葉さんと直くんとしたいことがあるから」
と今度は絢斗さんに直くんを取られてしまう。
伯父さんは絢斗さんのいうことを絶対に聞くからどうしようもない。
「わかった。その間にテーブルを片付けておくよ。ほら、毅。昇。手伝ってくれ」
そう言われて仕方なく直くんの近くから離れてダイニングに戻った。
ケーキを食べた後の皿の片付けをしながらも意識は直くんに向いていた。
離れたせいか何を話しているかまではしっかりと聞き取れないが、楽しそうなことだけは表情でわかった。
すると、突然ポケットに入れていたスマホが震えた。
なんだ?
そっと取り出すと、直くんからのメッセージを知らせる通知が来ていた。
直くんが?
もしかして人生初のメッセージを俺に?
嬉しくて急いで開くと、
<昇さん。可愛いクマさん、ありがとうございます! これからも一緒に寝てください!>
というメッセージと共にどう見ても俺と直くんに見える可愛いスタンプ。
「――っ!!! こんなの、反則だろっ」
あまりにも可愛い言葉とスタンプにトドメを刺されて、俺はその場にしゃがみ込んだ。
直くんからのメッセージが俺の下半身にダイレクトに突き刺さって、その場から動けなくなってしまった。
「昇さんっ! 大丈夫ですか?」
俺が突然崩れ落ちてしまったせいか、不安そうな顔で駆け寄ってきてくれる直くん。
ものすごく嬉しいけれど、どうやって対処しようかそれしか考えられない。
すると、
「直くん、大丈夫だよ。昇は直くんからのメッセージが嬉しかっただけだよ」
と父さんが助け舟を出してくれた。
どうやら俺が今どんな状態か気づいたみたいだ。
親にこんなところを気づかれるのはとてつもなく恥ずかしいけれど、直くんに知られるよりはずっとマシだ。
「そうなんだよ、直くん。可愛いメッセージありがとう。俺もあとで返事返すね」
「昇さんっ!! はい、楽しみにしてます!」
「直くん、他にも紹介したい可愛いアプリがあるんだよ、来てきてー!」
「あ、はーい」
絢斗さんも気づいてくれたのか、直くんを呼び戻してくれて直くんは嬉しそうに俺のところから離れていった。
「はぁー、助かった」
ポツリと溢すと、
「ははっ。お前も大変だな。まぁ、この時期はそんなのとずっと付き合わないといけない。近くに愛しい存在がいればさらにだ。だが、欲に駆られて大切なものを見失ってはいけないぞ」
と父さんから忠告を受けた。
「ああ、わかってるよ。俺は直くんを絶対に傷つけたりしない」
「ふふっ。いい息子に育ってくれてホッとしてるよ。ほら、二葉と絢斗さんが直くんを引き留めてくれている間にどうにかしてこい」
「――っ!!」
恥ずかしいが、このままにしておくわけにいかないからどうしようもない。
バレないうちにさっさとトイレに駆け込んだ。
スマホに入ったお宝画像を見ながら、何度か欲望の蜜を吐き出し、ようやく落ち着きを取り戻した。
綺麗に手を洗ってすぐに直くんにメッセージを送る。
<直くん、メッセージありがとう。これからはずっと一緒だよ♡>
スタンプを使わないから、とりあえずハートマークだけつけておいた。
俺もあのスタンプを作れるアプリを教えてもらおう。
直くんとお揃いを作るのもいいな。
ふふっ。これから楽しくなりそうだ。
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