38 / 314
直純くんのおにぎり
しおりを挟む
次の講義も終えて、今日はこれで終わり。
直純くんはどうしているだろう?
昇くんがついていてくれているから不安はないけれど、お昼も食べずにいるからお腹を空かせているかもしれない。
まだ部屋から出てきてなかったら、声をかけてみようかと思いながら、部屋を出てリビングに向かうと
「絢斗さん、お疲れさまです」
と笑顔を浮かべた直純くんに迎えられた。
「直純くん、よかった」
「ごめんなさい、心配かけてしまって……」
「ううん。気にしないでいいんだよ。大丈夫?」
「はい。まだちょっといろいろ考えてしまうんですけど、でも……絢斗さんがどちらかを選ぶわけじゃないって言ってくれたので、ちょっと気持ちは楽になりました」
「うん、そうか。よかった」
きっと私の言葉だけじゃなくて、昇くんが落ち着かせてくれたんだろう。
それは直純くんの表情を見ればわかる。
本当に昇くんがいてくれてよかった。
「そういえば、二人とも何か食べた? お腹空いてない?」
こういう時に何かをパパッと作ってあげられたらいんだけど、残念ながら私にはその才能は微塵もない。
せいぜい食パンを焼くくらいしかできないのがもどかしい。
「絢斗さん、大丈夫。伯父さんがご飯を炊いていてくれたからそれでおにぎり作って食べたよ」
「ああ、そうなんだ。よかった」
「あの、それで……」
「んっ? どうしたの?」
直純くんは少し躊躇いながら、キッチンに向かうとラップがかけられたお皿を持って戻ってきた。
「僕……絢斗さんと磯山先生のために、おにぎり……作ったので、食べてほしいなって……。あの、美味しいかどうかわからないんですけど……」
「大丈夫だよ、直純くん。俺が食べて美味しいって言っただろう?」
思いもかけない直純くんからの贈り物に驚くと共に、不安げな直純くんをすぐにフォローする昇くんの姿に嬉しくなって、つい反応が遅れてしまった。
「ありがとう!!! 直純くん、嬉しいよ!! 早速食べさせてもらうね」
急いで直純くんにお礼の言葉を告げると、さっきの不安げな表情がパーっと明るくなる。
その隣で愛おしそうな表情で見つめる昇くんを見て、嬉しさが止まらない。
直純くんからお皿を受け取って、直純くんと一緒にソファーに腰を下ろすとサッと昇くんが温かいお茶を出してくれた。
「ありがとう」
こういうところが卓さんにそっくりなんだよね。
ふふっ。いつも毅さんが二葉さんにしているのを見ているんだろうな。
ラップを外すとまだほんのり温かい。
海苔で包んだおにぎりの上部に鮭が乗せられていて、すぐにこれが鮭だとわかる。
「いただきます!」
卓さんが作ってくれるおにぎりよりずいぶん小さい。
でも心が込められているのがよくわかる。
パクッと一口食べると程よい塩気と口の中でいい感じにほろほろと崩れてものすごく美味しい。
「んんっ! おいひぃっ!!」
行儀悪いと分かっていながらも、ついつい口の中に入れたまま感想が漏れてしまう。
それくらい美味しいおにぎりだった。
「よかったです……」
心の底から安堵したような声に、昇くんは
「だから直純くんのおにぎりは美味しいって言っただろう?」
と甘く優しい声をかけている。
もうすでに付き合っているかのような雰囲気を醸し出しているけれど、昇くんにはまだ一線を引いているような感じが見受けられるから、思いを伝え合ったわけではなさそう。
直純くんがまだ14歳だから、深い恋人になるにはまだまだ時間がかかりそうだけど、プラトニックな恋人ならもうすぐかも。
直純くんはずっと辛い思いをしてきたから、昇くんのような存在ができて本当に良かった。
昇くんには頑張ってもらって、大学に合格してもらわないとね!
直純くんが作ってくれた小さなおにぎりの二個目の最後の一口を頬張っている最中で、
「ただいまー」
と卓さんが帰ってきた声が聞こえた。
「んっ!」
慌てて、お茶を飲んで飲み込もうとしていると、リビングに入ってきた卓さんが
「ああ、悪い。タイミングが悪かったんだな」
とすぐに理解をしてくれた。
「ごめんなさい、卓さん。お帰りなさい」
「気にしないでいいよ、それよりも美味しそうなものを食べているな」
「ふふっ。これ、直純くんの手作りなんだよ」
「それはいいな」
「あの……磯山先生の分も、あるんですけど……」
「そうか、それは嬉しいな。着替えたら、すぐに食べさせてもらおう」
直純くんの手作りだと聞いて、目を細めて喜んでいる卓さんを見て、すっかりパパみたいだなと微笑ましく思う一方で少し嫉妬心のようなものもある。
これは自分が卓さんに手料理を作ってあげられない妬みだ。
「絢斗、おいで」
「うん。ちょっと行ってくるね」
隣にいる直純くんに声をかけて、卓さんの元に駆けていく。
そして、一緒に部屋に戻った。
「卓さん、おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
ギュッと抱きしめられて、唇を重ねる。
「ふふっ。鮭おにぎりの味がするな。直純くんは絢斗の好みを知ってくれていたようだな」
「うん。すっごくおいしかったよ」
「そうか、楽しみだな」
「ねぇ、卓さん……私の手料理、食べたい?」
「ふふっ。どうした?」
「さっき、おにぎりがあるってすごく嬉しそうに見えたから……」
「そうだな。直純くんは私たちの子どもになるかもしれないんだ、子どもが何かしてくれるのは、料理でなくても嬉しいことだろう?」
「うん、そうだね……私もすごく嬉しかった……でも、何もできない自分がちょっと恥ずかしくなっちゃった……」
「絢斗……私は絢斗に手料理を作って欲しくて一緒にいるんじゃない。今のままの絢斗を愛してるんだぞ。わかるだろう?」
卓さんのその言葉にさっきまでの妬みがふっと消えていく気がする。
「卓さん、大好き!」
「ああ、私も絢斗が大好きだよ」
卓さんは私だけに向ける笑顔でギュッと私を抱きしめてくれた。
直純くんはどうしているだろう?
昇くんがついていてくれているから不安はないけれど、お昼も食べずにいるからお腹を空かせているかもしれない。
まだ部屋から出てきてなかったら、声をかけてみようかと思いながら、部屋を出てリビングに向かうと
「絢斗さん、お疲れさまです」
と笑顔を浮かべた直純くんに迎えられた。
「直純くん、よかった」
「ごめんなさい、心配かけてしまって……」
「ううん。気にしないでいいんだよ。大丈夫?」
「はい。まだちょっといろいろ考えてしまうんですけど、でも……絢斗さんがどちらかを選ぶわけじゃないって言ってくれたので、ちょっと気持ちは楽になりました」
「うん、そうか。よかった」
きっと私の言葉だけじゃなくて、昇くんが落ち着かせてくれたんだろう。
それは直純くんの表情を見ればわかる。
本当に昇くんがいてくれてよかった。
「そういえば、二人とも何か食べた? お腹空いてない?」
こういう時に何かをパパッと作ってあげられたらいんだけど、残念ながら私にはその才能は微塵もない。
せいぜい食パンを焼くくらいしかできないのがもどかしい。
「絢斗さん、大丈夫。伯父さんがご飯を炊いていてくれたからそれでおにぎり作って食べたよ」
「ああ、そうなんだ。よかった」
「あの、それで……」
「んっ? どうしたの?」
直純くんは少し躊躇いながら、キッチンに向かうとラップがかけられたお皿を持って戻ってきた。
「僕……絢斗さんと磯山先生のために、おにぎり……作ったので、食べてほしいなって……。あの、美味しいかどうかわからないんですけど……」
「大丈夫だよ、直純くん。俺が食べて美味しいって言っただろう?」
思いもかけない直純くんからの贈り物に驚くと共に、不安げな直純くんをすぐにフォローする昇くんの姿に嬉しくなって、つい反応が遅れてしまった。
「ありがとう!!! 直純くん、嬉しいよ!! 早速食べさせてもらうね」
急いで直純くんにお礼の言葉を告げると、さっきの不安げな表情がパーっと明るくなる。
その隣で愛おしそうな表情で見つめる昇くんを見て、嬉しさが止まらない。
直純くんからお皿を受け取って、直純くんと一緒にソファーに腰を下ろすとサッと昇くんが温かいお茶を出してくれた。
「ありがとう」
こういうところが卓さんにそっくりなんだよね。
ふふっ。いつも毅さんが二葉さんにしているのを見ているんだろうな。
ラップを外すとまだほんのり温かい。
海苔で包んだおにぎりの上部に鮭が乗せられていて、すぐにこれが鮭だとわかる。
「いただきます!」
卓さんが作ってくれるおにぎりよりずいぶん小さい。
でも心が込められているのがよくわかる。
パクッと一口食べると程よい塩気と口の中でいい感じにほろほろと崩れてものすごく美味しい。
「んんっ! おいひぃっ!!」
行儀悪いと分かっていながらも、ついつい口の中に入れたまま感想が漏れてしまう。
それくらい美味しいおにぎりだった。
「よかったです……」
心の底から安堵したような声に、昇くんは
「だから直純くんのおにぎりは美味しいって言っただろう?」
と甘く優しい声をかけている。
もうすでに付き合っているかのような雰囲気を醸し出しているけれど、昇くんにはまだ一線を引いているような感じが見受けられるから、思いを伝え合ったわけではなさそう。
直純くんがまだ14歳だから、深い恋人になるにはまだまだ時間がかかりそうだけど、プラトニックな恋人ならもうすぐかも。
直純くんはずっと辛い思いをしてきたから、昇くんのような存在ができて本当に良かった。
昇くんには頑張ってもらって、大学に合格してもらわないとね!
直純くんが作ってくれた小さなおにぎりの二個目の最後の一口を頬張っている最中で、
「ただいまー」
と卓さんが帰ってきた声が聞こえた。
「んっ!」
慌てて、お茶を飲んで飲み込もうとしていると、リビングに入ってきた卓さんが
「ああ、悪い。タイミングが悪かったんだな」
とすぐに理解をしてくれた。
「ごめんなさい、卓さん。お帰りなさい」
「気にしないでいいよ、それよりも美味しそうなものを食べているな」
「ふふっ。これ、直純くんの手作りなんだよ」
「それはいいな」
「あの……磯山先生の分も、あるんですけど……」
「そうか、それは嬉しいな。着替えたら、すぐに食べさせてもらおう」
直純くんの手作りだと聞いて、目を細めて喜んでいる卓さんを見て、すっかりパパみたいだなと微笑ましく思う一方で少し嫉妬心のようなものもある。
これは自分が卓さんに手料理を作ってあげられない妬みだ。
「絢斗、おいで」
「うん。ちょっと行ってくるね」
隣にいる直純くんに声をかけて、卓さんの元に駆けていく。
そして、一緒に部屋に戻った。
「卓さん、おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
ギュッと抱きしめられて、唇を重ねる。
「ふふっ。鮭おにぎりの味がするな。直純くんは絢斗の好みを知ってくれていたようだな」
「うん。すっごくおいしかったよ」
「そうか、楽しみだな」
「ねぇ、卓さん……私の手料理、食べたい?」
「ふふっ。どうした?」
「さっき、おにぎりがあるってすごく嬉しそうに見えたから……」
「そうだな。直純くんは私たちの子どもになるかもしれないんだ、子どもが何かしてくれるのは、料理でなくても嬉しいことだろう?」
「うん、そうだね……私もすごく嬉しかった……でも、何もできない自分がちょっと恥ずかしくなっちゃった……」
「絢斗……私は絢斗に手料理を作って欲しくて一緒にいるんじゃない。今のままの絢斗を愛してるんだぞ。わかるだろう?」
卓さんのその言葉にさっきまでの妬みがふっと消えていく気がする。
「卓さん、大好き!」
「ああ、私も絢斗が大好きだよ」
卓さんは私だけに向ける笑顔でギュッと私を抱きしめてくれた。
431
お気に入りに追加
2,182
あなたにおすすめの小説
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる