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幸せを守るために
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トントンと扉を叩く音が聞こえて、
「どうぞ」
と声をかけると、
「昇さん。お風呂どうぞ」
と言いながら頬をピンクに染めた直純くんが顔を出してくれた。
「ああ、ありがとう。あれ? まだ髪を乾かしてない?」
「あっ、はい。早くお風呂交代した方がいいかなと思って……」
「ありがとう。でも風邪ひくといけないから、こっちにおいで」
「あっ、でも……おじゃまじゃ……」
そうか、伯父さんと話をしていたのに遮ってしまったとか思っているんだ。
直純くんは周りにかなり気を遣って生活していたんだろうな。
「ちょうど話も終わったところだから、気にしないでいいよ。ねぇ、伯父さん」
「ああ、風邪ひくといけないから昇に髪を乾かしてもらうといい」
伯父さんは笑顔でそう語りかけると、直純くんの隣を通って部屋を出て行った。
伯父さんと入れ替わりにおずおずと中に入ってくる直純くんが可愛い。
「ほら、こっちに座って」
直純くんの手を引いてソファーの下に敷いているふわふわのラグに座らせる。
「ふふっ。これ、すっごく気持ちがいいですね」
ぺたんと座りこむ直純くんを可愛いと思いながら、ドライヤーを手に取り直純くんの後ろに回り込んでソファーに座った。
無防備に後ろを見せてくれるなんて……本当に信頼されているんだと改めて思う。
そんな直純くんの信頼を決して失わないようにしないとな。
まだ濡れてしっとりとしている、柔らかで艶のある髪に触れると直純くんがピクッと身体を震わせる。
「あっ、ごめん。びっくりさせたかな?」
「あっ、違うんです。あまり人に髪を触られたことがなくて……」
「そうなんだ。じゃあ、優しくするからね」
「はい。あの……僕の髪って、汚くないですか?」
「えっ? そんなこと全然ないよ。艶があって綺麗だよ。どうして? 何かいわれた?」
あまりにも唐突な質問に驚いて矢継ぎ早に尋ねてしまった。
「あっ、いえ。前に学校で……臭いって言われたことがあって……それで、ちょっと髪に近づかれるのが心配だったんです……ここにきて、すっかり忘れてたんですけど、昇さんに触れられて思い出したっていうか……」
「ああ、そうだったんだね」
そういえば、実家ではお風呂の時間も支配されていたと絢斗さんから聞いていた。
短い時間の中で、あまり髪を洗わせてもらえなかったのかもしれない。
人から臭いと指摘されるなんて、思春期の子にとっては辛かっただろうな。
「大丈夫。とってもいい匂いだし、綺麗に洗えてるよ」
直純くんの嫌な記憶を上書きしてやりたくて、後ろから抱きしめて、まだ濡れたままの髪にわざと音を立ててキスをした。
「――っ、昇さん……今の……」
「直純くんの髪が綺麗でいい匂いがするっていう証拠。信じた?」
「は、はい」
「ふふっ。よかった。じゃあ、髪を乾かしていくね」
熱くないように細心の注意を払いながら直純くんの髪を乾かしていく。
ドライヤーの風に直純くんの髪が靡いて、時折見えるうなじが俺の欲望をそそる。
伯父さんが話していた将臣さんという人も、こんな誘惑に打ち勝ってきたんだろうか。
本当に彼の話を聞くのが楽しみでたまらない。
俺の今の気持ちにきっと共感してくれるはずだ。
時間をかけてゆっくりと直純くんの髪を乾かし、ブラシで整えてやる。
「昇さん、ありがとうございます」
「いや、気持ちよかった?」
「はい。昇さんの指に触れられていると気持ちよくて眠くなっちゃいます」
「そうか、それならよかった。じゃあ、これから毎日俺が乾かすよ」
「えっ……いいんですか?」
「ああ、自分でするのは大変だからね」
「はい。おねがいします」
素直に喜んでくれる直純くんにちょっとだけ申し訳なく思ったけれど、ほんの少しでも触れ合っていたいんだ。
それが俺の理性を留めるためにも必要なことなのだから。
髪を乾かし終えて俺も風呂に入ろうと脱衣所に入ると、直純くんの残り香のようなものを感じてそれだけで滾ってしまう。
洗濯機の中にある直純くんの下着に思いっきり惹かれたけれど、理性を総動員して覗いたりしなかったのだから、直純くんの残り香で滾ってしまってもそれは許してほしい。
さっきまでここに直純くんがいたんだと、裸の直純くんを想像しながらすっかり昂ったモノを落ち着かせる。
髪と身体を念入りに洗って匂いを打ち消してから、着替えを済ませた。
さっと髪を乾かして部屋に戻ると、トントンと扉を叩く音が聞こえる。
「どうぞ」
声をかけると少しだけ扉が開いて、さっきのように直純くんが少しだけ顔をだす。
「どうかした?」
「あの……今日、一緒に寝てもいいですか?」
大きな枕を胸の前でぎゅっと抱きしめながら、そんな可愛いことを言われて断れるはずがない。
「あ、ああ。構わないよ」
そう返すと、パーっと花が綻ぶような笑顔を見せて中に入ってきた。
ああ、もう本当に可愛すぎる。
「少しだけ勉強があるから、直純くんは先に寝ていていいよ」
「いいんですか?」
「ああ、ゆっくり寝てて」
直純くんは嬉しそうに寝屋に入ってきて、俺のベッドに横たわった。
「ふふっ。やっぱりこのベッド、安心します」
そういうと、あっという間に眠りについた。
この安心した顔が何よりも可愛くてたまらない。
スウスウと可愛い寝息をBGMに、俺は
「よし!」
と気合を入れ直した。
この幸せな時間をこれからも守るために、俺は受験勉強に励むんだ。
「どうぞ」
と声をかけると、
「昇さん。お風呂どうぞ」
と言いながら頬をピンクに染めた直純くんが顔を出してくれた。
「ああ、ありがとう。あれ? まだ髪を乾かしてない?」
「あっ、はい。早くお風呂交代した方がいいかなと思って……」
「ありがとう。でも風邪ひくといけないから、こっちにおいで」
「あっ、でも……おじゃまじゃ……」
そうか、伯父さんと話をしていたのに遮ってしまったとか思っているんだ。
直純くんは周りにかなり気を遣って生活していたんだろうな。
「ちょうど話も終わったところだから、気にしないでいいよ。ねぇ、伯父さん」
「ああ、風邪ひくといけないから昇に髪を乾かしてもらうといい」
伯父さんは笑顔でそう語りかけると、直純くんの隣を通って部屋を出て行った。
伯父さんと入れ替わりにおずおずと中に入ってくる直純くんが可愛い。
「ほら、こっちに座って」
直純くんの手を引いてソファーの下に敷いているふわふわのラグに座らせる。
「ふふっ。これ、すっごく気持ちがいいですね」
ぺたんと座りこむ直純くんを可愛いと思いながら、ドライヤーを手に取り直純くんの後ろに回り込んでソファーに座った。
無防備に後ろを見せてくれるなんて……本当に信頼されているんだと改めて思う。
そんな直純くんの信頼を決して失わないようにしないとな。
まだ濡れてしっとりとしている、柔らかで艶のある髪に触れると直純くんがピクッと身体を震わせる。
「あっ、ごめん。びっくりさせたかな?」
「あっ、違うんです。あまり人に髪を触られたことがなくて……」
「そうなんだ。じゃあ、優しくするからね」
「はい。あの……僕の髪って、汚くないですか?」
「えっ? そんなこと全然ないよ。艶があって綺麗だよ。どうして? 何かいわれた?」
あまりにも唐突な質問に驚いて矢継ぎ早に尋ねてしまった。
「あっ、いえ。前に学校で……臭いって言われたことがあって……それで、ちょっと髪に近づかれるのが心配だったんです……ここにきて、すっかり忘れてたんですけど、昇さんに触れられて思い出したっていうか……」
「ああ、そうだったんだね」
そういえば、実家ではお風呂の時間も支配されていたと絢斗さんから聞いていた。
短い時間の中で、あまり髪を洗わせてもらえなかったのかもしれない。
人から臭いと指摘されるなんて、思春期の子にとっては辛かっただろうな。
「大丈夫。とってもいい匂いだし、綺麗に洗えてるよ」
直純くんの嫌な記憶を上書きしてやりたくて、後ろから抱きしめて、まだ濡れたままの髪にわざと音を立ててキスをした。
「――っ、昇さん……今の……」
「直純くんの髪が綺麗でいい匂いがするっていう証拠。信じた?」
「は、はい」
「ふふっ。よかった。じゃあ、髪を乾かしていくね」
熱くないように細心の注意を払いながら直純くんの髪を乾かしていく。
ドライヤーの風に直純くんの髪が靡いて、時折見えるうなじが俺の欲望をそそる。
伯父さんが話していた将臣さんという人も、こんな誘惑に打ち勝ってきたんだろうか。
本当に彼の話を聞くのが楽しみでたまらない。
俺の今の気持ちにきっと共感してくれるはずだ。
時間をかけてゆっくりと直純くんの髪を乾かし、ブラシで整えてやる。
「昇さん、ありがとうございます」
「いや、気持ちよかった?」
「はい。昇さんの指に触れられていると気持ちよくて眠くなっちゃいます」
「そうか、それならよかった。じゃあ、これから毎日俺が乾かすよ」
「えっ……いいんですか?」
「ああ、自分でするのは大変だからね」
「はい。おねがいします」
素直に喜んでくれる直純くんにちょっとだけ申し訳なく思ったけれど、ほんの少しでも触れ合っていたいんだ。
それが俺の理性を留めるためにも必要なことなのだから。
髪を乾かし終えて俺も風呂に入ろうと脱衣所に入ると、直純くんの残り香のようなものを感じてそれだけで滾ってしまう。
洗濯機の中にある直純くんの下着に思いっきり惹かれたけれど、理性を総動員して覗いたりしなかったのだから、直純くんの残り香で滾ってしまってもそれは許してほしい。
さっきまでここに直純くんがいたんだと、裸の直純くんを想像しながらすっかり昂ったモノを落ち着かせる。
髪と身体を念入りに洗って匂いを打ち消してから、着替えを済ませた。
さっと髪を乾かして部屋に戻ると、トントンと扉を叩く音が聞こえる。
「どうぞ」
声をかけると少しだけ扉が開いて、さっきのように直純くんが少しだけ顔をだす。
「どうかした?」
「あの……今日、一緒に寝てもいいですか?」
大きな枕を胸の前でぎゅっと抱きしめながら、そんな可愛いことを言われて断れるはずがない。
「あ、ああ。構わないよ」
そう返すと、パーっと花が綻ぶような笑顔を見せて中に入ってきた。
ああ、もう本当に可愛すぎる。
「少しだけ勉強があるから、直純くんは先に寝ていていいよ」
「いいんですか?」
「ああ、ゆっくり寝てて」
直純くんは嬉しそうに寝屋に入ってきて、俺のベッドに横たわった。
「ふふっ。やっぱりこのベッド、安心します」
そういうと、あっという間に眠りについた。
この安心した顔が何よりも可愛くてたまらない。
スウスウと可愛い寝息をBGMに、俺は
「よし!」
と気合を入れ直した。
この幸せな時間をこれからも守るために、俺は受験勉強に励むんだ。
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