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料理って楽しい!
しおりを挟む<side直純>
「昇さん、オムライス作れるんですね。すごいな……」
「ふふっ。昔からここに泊まりにきてはよく卓さんと料理してたからね。家でも毅さんに鍛えられてるみたいだし」
「そうなんですね……僕も練習したら作れるようになるのかな……」
頭も良くて、料理もできて……なんてすごいんだろうな。
「人には向き、不向きがあるからね。もし、料理をやってみてできなくてもいいんだよ。私も何度も挑戦したけど、全然ダメ」
「そうなんですか?」
「うん、だからいつも卓さんが作ってくれるんだよ。どっちが作らなきゃいけないとかじゃなくて、やれることをやればいいんだよ」
大学教授で、リースやアロマキャンドルを作るのも上手な絢斗さんがお料理できないってびっくりした。
でも、磯山先生はいつも楽しそうに料理しているし、無理やり絢斗さんにさせようとしないもんね。
僕もまだできるかどうかわからないけど、やれることから頑張ってみよう!
絢斗さんが作るのを真似して器にサラダを作っていく。
「あんまり大きすぎると食べにくいから千切るサイズにもコツがあるんだよ」
そう言われて、思い出す。
このお家で出てくるサラダはいつも食べやすい大きさだ。
食べる人のことを考えてるんだな。
レタスとトマト、そして丸いチーズだけの簡単なものだけど、乗せていくのは楽しい。
ブロッコリーは家で毎日食べてて、見るとあの家での食事を思い出すって言ったら、このお家では出なくなった。
申し訳なかったけど、
――ブロッコリーの栄養は他のもので摂れるから無理して食べることはない。
って言ってくれて、すごく嬉しかった。
「直純くん、ドレッシングも作ってみようか」
「えっ、僕も作れるんですか?」
母さんがよくサラダにかけてた、真っ白いドレッシング。
あの匂いが僕はあまり好きじゃなかった。
でも、ここにきて磯山先生がいろんな味のドレッシングを出してくれるから好きになれた。
特に好きなのは、蜂蜜ドレッシング。
「うん。前に教えてもらったんだ。料理苦手だけどこれは作れるよ!」
得意げな絢斗さんの表情を可愛いなと思いながら、教えられたとおりに配合していく。
「あとは混ぜたらいいんだよ。ね、簡単でしょう?」
言われたとおりにひたすらに混ぜ合わせていると、僕の好きなドレッシングが出来上がった。
「ふふっ。できたね」
目の前のドレッシングが輝いて見える。
絢斗さんが、
「サラダ、できたよー!」
と声をかけると、昇さんも磯山先生も見にきてくれた。
「ああ、美味しそうだね」
「本当だ、上手にできたね」
僕が作ったサラダを見て、優しく褒めてくれる昇さんと磯山先生。
それがものすごく嬉しかった。
「直純くん、ドレッシングも作ってくれたんだよ」
「わぁー! いいね。俺も使っていい?」
「はい。食べてもらえると嬉しいです」
僕が作ったものを昇さんが食べてくれる……。
料理って嬉しいな。
「じゃあ、食べようか」
目の前に楕円形の大きな卵みたいなのが現れた。
これがオムライス……。
一度食べてみたかったんだ。
「直純くん、ケチャップかけていいかな?」
「は、はい。お願いします」
そういうと、昇さんはケチャップをかけてくれた。
「あっ!」
「ふふっ。気に入った?」
オムライスにケチャップで書かれた、可愛いクマの絵。
僕がクマのぬいぐるみが欲しいって言ったから、好きだと思って描いてくれたんだろう。
「可愛いっ!! 昇さん、上手ですね!!」
「そんなに喜んでくれると嬉しいな」
「あー、もったいなくて食べられない……」
「いいよ。いつだって作ってあげるから、食べて」
「昇さん……」
「ほら、あーん」
僕があまりにも可愛いオムライスに手を出せずにいると、昇さんがスプーンで掬って食べさせてくれる。
あまりにも美味しそうなそれに、我慢ができなくなって僕が口を開けると、優しく口に運んでくれた。
「んんっ!」
「どう、かな?」
「んんっ! ふっごく、おいひぃ、れす!」
口に入れたまま話すなんて怒られそうだけど、どうしても言わずにはいられなかった。
それくらい、初めてのオムライスは最高に美味しかった。
<side昇>
可愛いっ! 可愛いっ!! 可愛いっ!!!
何度言っても足りないくらい、直純くんが可愛すぎる。
完成したサラダを得意げに見せてくれる姿も、手作りのドレッシングを食べてほしいと上目遣いに言ってくれる姿も、そして、俺がオムライスに描いたクマの絵をみた時も、そのどれもが可愛すぎて目が離せない。
ケチャップのクマをもったいなくて食べられないと言ってくれたのも可愛かったけれど、でも俺が初めて好きだと思える人に作ったオムライスをあったかいうちに食べて欲しくて、スプーンで掬ったオムライスを差し出してみた。
そのまま食べてくれたらラッキーくらいに思ってたけど、俺の手からそのまま食べてくれたどころか、
「んんっ! ふっごく、おいひぃ、れす!」
と目を輝かせて感想を伝える姿に、俺はすっかり昇天してしまっていた。
ああ、俺の天使……可愛すぎる。
「昇さん、オムライス作れるんですね。すごいな……」
「ふふっ。昔からここに泊まりにきてはよく卓さんと料理してたからね。家でも毅さんに鍛えられてるみたいだし」
「そうなんですね……僕も練習したら作れるようになるのかな……」
頭も良くて、料理もできて……なんてすごいんだろうな。
「人には向き、不向きがあるからね。もし、料理をやってみてできなくてもいいんだよ。私も何度も挑戦したけど、全然ダメ」
「そうなんですか?」
「うん、だからいつも卓さんが作ってくれるんだよ。どっちが作らなきゃいけないとかじゃなくて、やれることをやればいいんだよ」
大学教授で、リースやアロマキャンドルを作るのも上手な絢斗さんがお料理できないってびっくりした。
でも、磯山先生はいつも楽しそうに料理しているし、無理やり絢斗さんにさせようとしないもんね。
僕もまだできるかどうかわからないけど、やれることから頑張ってみよう!
絢斗さんが作るのを真似して器にサラダを作っていく。
「あんまり大きすぎると食べにくいから千切るサイズにもコツがあるんだよ」
そう言われて、思い出す。
このお家で出てくるサラダはいつも食べやすい大きさだ。
食べる人のことを考えてるんだな。
レタスとトマト、そして丸いチーズだけの簡単なものだけど、乗せていくのは楽しい。
ブロッコリーは家で毎日食べてて、見るとあの家での食事を思い出すって言ったら、このお家では出なくなった。
申し訳なかったけど、
――ブロッコリーの栄養は他のもので摂れるから無理して食べることはない。
って言ってくれて、すごく嬉しかった。
「直純くん、ドレッシングも作ってみようか」
「えっ、僕も作れるんですか?」
母さんがよくサラダにかけてた、真っ白いドレッシング。
あの匂いが僕はあまり好きじゃなかった。
でも、ここにきて磯山先生がいろんな味のドレッシングを出してくれるから好きになれた。
特に好きなのは、蜂蜜ドレッシング。
「うん。前に教えてもらったんだ。料理苦手だけどこれは作れるよ!」
得意げな絢斗さんの表情を可愛いなと思いながら、教えられたとおりに配合していく。
「あとは混ぜたらいいんだよ。ね、簡単でしょう?」
言われたとおりにひたすらに混ぜ合わせていると、僕の好きなドレッシングが出来上がった。
「ふふっ。できたね」
目の前のドレッシングが輝いて見える。
絢斗さんが、
「サラダ、できたよー!」
と声をかけると、昇さんも磯山先生も見にきてくれた。
「ああ、美味しそうだね」
「本当だ、上手にできたね」
僕が作ったサラダを見て、優しく褒めてくれる昇さんと磯山先生。
それがものすごく嬉しかった。
「直純くん、ドレッシングも作ってくれたんだよ」
「わぁー! いいね。俺も使っていい?」
「はい。食べてもらえると嬉しいです」
僕が作ったものを昇さんが食べてくれる……。
料理って嬉しいな。
「じゃあ、食べようか」
目の前に楕円形の大きな卵みたいなのが現れた。
これがオムライス……。
一度食べてみたかったんだ。
「直純くん、ケチャップかけていいかな?」
「は、はい。お願いします」
そういうと、昇さんはケチャップをかけてくれた。
「あっ!」
「ふふっ。気に入った?」
オムライスにケチャップで書かれた、可愛いクマの絵。
僕がクマのぬいぐるみが欲しいって言ったから、好きだと思って描いてくれたんだろう。
「可愛いっ!! 昇さん、上手ですね!!」
「そんなに喜んでくれると嬉しいな」
「あー、もったいなくて食べられない……」
「いいよ。いつだって作ってあげるから、食べて」
「昇さん……」
「ほら、あーん」
僕があまりにも可愛いオムライスに手を出せずにいると、昇さんがスプーンで掬って食べさせてくれる。
あまりにも美味しそうなそれに、我慢ができなくなって僕が口を開けると、優しく口に運んでくれた。
「んんっ!」
「どう、かな?」
「んんっ! ふっごく、おいひぃ、れす!」
口に入れたまま話すなんて怒られそうだけど、どうしても言わずにはいられなかった。
それくらい、初めてのオムライスは最高に美味しかった。
<side昇>
可愛いっ! 可愛いっ!! 可愛いっ!!!
何度言っても足りないくらい、直純くんが可愛すぎる。
完成したサラダを得意げに見せてくれる姿も、手作りのドレッシングを食べてほしいと上目遣いに言ってくれる姿も、そして、俺がオムライスに描いたクマの絵をみた時も、そのどれもが可愛すぎて目が離せない。
ケチャップのクマをもったいなくて食べられないと言ってくれたのも可愛かったけれど、でも俺が初めて好きだと思える人に作ったオムライスをあったかいうちに食べて欲しくて、スプーンで掬ったオムライスを差し出してみた。
そのまま食べてくれたらラッキーくらいに思ってたけど、俺の手からそのまま食べてくれたどころか、
「んんっ! ふっごく、おいひぃ、れす!」
と目を輝かせて感想を伝える姿に、俺はすっかり昇天してしまっていた。
ああ、俺の天使……可愛すぎる。
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