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辛い運命
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「ジーノは可愛い」
「私の天使だ」
「ジーノを心から愛してる……」
それからというもの、五歳年上のヴァルは毎日必ずジーノに会いにきてくれて、ジーノの部屋でひと時を過ごし、いつも惜しげなく愛を囁いてくれて幸せを与えてくれた。くすぐったくなるような甘い言葉ばかりだったけれど、ヴァルの本心だと思うと嬉しくてたまらなかった。
部屋にいるときは、ジーノのあのお気に入りの椅子にヴァルが座り、ジーノはヴァルの膝の上。それが二人の中で決められたルール。というか、少しでも離れていたくなかっただけかもしれない。ヴァルの温もりを感じていたいとジーノが思っていたように、ヴァルもまたジーノに触れたがってくれた。
けれど、未成年の間は身体を繋いではいけない。それはシェルレク王国の決まりでもあった。その決まりを破ることがないようにと両親からもきつく言われていたし、ヴァルもそれをしっかりと守ってくれていた。どんなに触れ合いたいと思っても、夫夫になるまでは一線を超えてはいけない。それが守れなかった時、この婚約は泡となって消えてしまう。だから必死に我慢していた。
「ジーノが十八の誕生日を迎えた日に結婚式を挙げて、夫夫になろう」
「はい。ヴァル……その時まで、待っていてください」
「ジーノ、愛しているよ……」
「僕も、愛しています……」
ヴァルと毎日こうして愛を確かめ合い、清らかな交際を続けていた。
いつも別れ際に重ねるだけの優しいキスをして、翌日会えるのをただひたすらに待ち続ける。美しい花が咲き乱れる穏やかな季節も、一面真っ白い雪に閉ざされる厳しい季節も何度も過ごし、ようやく待ちに待った五度目の春。
我が家の庭に大好きな赤い花が満開を迎えた頃、ジーノは原因不明の病気を患いベッドから起き上がれなくなった。
それはジーノの十八歳の誕生日まで二ヶ月を切った頃だった。
全身が錘で抑えつけられているかのように重くて、腕を動かすこともままならない。口を動かすことも辛くなって食事も食べられない。我が家の主治医は早々に手の施しようがないと見切りをつけた。みるみるうちに弱り切ったジーノをみて、両親もすでに死を覚悟をしていたのかもしれない。
けれどヴァルだけは違った。
「ジーノ、心配しなくていい。私が絶対にジーノを元気にするから! 私を信じるんだ!」
ヴァルはその言葉通りいろいろな伝手を使って、国内外の優秀な医師を集め診察を受けさせてくれた。隣国に難病に効く薬草があると聞けば自ら採りに行き、漢方薬を作ってジーノに飲ませた。ヴァルだけが、ジーノをなんとか治してくれようと頑張ってくれていたし、ジーノもヴァルと会えるだけで元気をもらえていた気がした。
けれど、日に日に力を失い、弱っていくのを身をもって感じていた。起こしてもらってもその状態を維持することもできず、指一本動かすことも難しい。すっかり痩せて元々華奢だった身体が骨と皮だけになってしまったジーノは、ヴァルが可愛いと言ってくれた昔の面影もない。それでもヴァルはいつだってジーノを可愛い、愛していると言ってくれた。それだけがジーノの救いになっていた。
「ジーノさまはあと数日持ち堪えられるかどうか……。もうなす術はありません」
ジーノの十八歳の誕生日を翌日に控えた時、ヴァルが遠い国からどんな病気でも治すことができる優秀な医師を見つけたと呼び寄せてくれたけれど、その医師はひと目ジーノを見るなり残酷にもそれだけを告げて帰っていった。そして、その医師の見立て通り、翌日にはジーノはとうとう掠れ声しか出せないほど衰弱してしまった。ヴァルは医師の言葉にショックを受けながらも、自宅にも帰らずずっとそばにいてくれた。
(ああ、愛するヴァルとあと数日も一緒にいられないなんて……。ヴァルと永遠の愛を誓う前に、僕は命を終えてしまうなんて……。でも最期ならどうしてもヴァルに伝えておきたい。命を縮めてもいい。まだ少しでも言葉が話せるうちに僕の気持ちを全て……)
本当なら今日はヴァルとの結婚式をするはずだった。その日、ジーノはありったけの力を振り絞って、必死にヴァルへの最期の言葉を紡いだ。
「ゔぁ、る……やく、そく、まも、れなくて……ご、めん、なさい……」
「ジーノ! 諦めてはダメだ! もっと違う医師を連れてくる! 今度こそジーノを助け出せる医師を!」
「もう、いい、の……ぼく、がいなく、なったら……だれか、すて、きな、ひとと……」
「何を言っているんだ! 私にはジーノだけだ! 誰もジーノの代わりにはなれない!」
「ゔぁ、る……みじ、かい、あいだ、だった、けど……いっしょ、にいら、れて……し、あわせ、だったよ……だから、こんどは……ちがう、ひとを……しあ、わせに……」
「嫌だ! ジーノ! 私はジーノだけを愛し続けるよ! 私にはジーノしかいないんだ! 私のそばからいなくなるなんて言わないでくれ!」
「ゔぁる……あい、してる……しあ、わせに、なって……」
「ジーノ! 嘘だっ! 目を開けてくれっ!! 私を置いて行かないでくれ!! 嫌だ! ジーノ!! ジーノ!!」
ヴァルの悲痛な叫びを残し、抱きしめてくれる最期の温もりを忘れないように心に刻みながら、ジーノは十八年という短い生涯を終えた。
ヴァルを悲しませてしまったという、そんな後悔の念だけを残して……。
気がつくと、自分の身体から魂だけがふわりと浮かんで切り離されていた。
ぷかぷかと浮かびながら見下ろした先には、先ほどまでジーノが入っていた身体を強く抱きしめて泣き叫ぶ、ヴァルの姿が見えた。
(ああ、人間って死ぬとこうなるんだ……。自分の姿を俯瞰でみるというのはなんとも不思議なものだな)
ジーノの両親も兄も、ヴァルから距離をとってしばらくそれを見守ってくれていた。
悔しそうに父は唇を震わせなから、大粒の涙を流しハンカチで涙を拭う母を抱きしめ、兄は茫然とその場に立ち尽くしていた。家族の中で一番若いはずのジーノの死は、家族にとっても辛い傷を残してしまったに違いない。
いつもは静かな廊下をバタバタと走る音が聞こえ、部屋の扉が大きく開いたと思ったらヴァルの両親であるアゴスティーノ公爵夫妻が勢いよく入ってきた。
「ジーノは?」
「少し前に、天に召されました……」
「――っ!!!」
「ああ、なんてことだ!」
ヴァルのお母さまが声もなく倒れそうになったのをヴァルのお父さまが抱き寄せたまま、二人で膝から崩れ落ちた。
(ヴァルのご両親は僕のことを随分と可愛がってくださった。結婚して、息子になるのが楽しみだと会うたびに言ってくださって……。僕は彼らにも辛い思いをさせてしまったんだな……)
みんなを不幸にしてしまって胸が痛い。けれど、みんなが泣いている姿が見えても、もうジーノには何もできないのが辛い。
ヴァルのお父さま……アゴスティーノ公爵はヴァルがジーノの亡骸を抱きしめていることに気づき、苦しげな表情を見せながら立ち上がりヴァルの元に近づいた。
「ヴァルフレード。この二ヶ月、お前も苦しかったな。だが、ジーノはようやく苦しみから解放されたんだ。みんなでジーノを弔ってやろう」
肩に手を置き、優しく声をかけたけれど、ヴァルは亡骸を抱きしめたまま離そうとしない。
「いやだ! ジーノはまだ生きている! 私からジーノを奪わないでくれ!!」
もうヴァルを抱きしめることもできない魂の抜け切ったジーノの腕がダラリと垂れ下がり、誰がどう見ても生きているわけがないのだけど、ヴァルはまだそれを信じたくないようだ。
「ヴァルフレード! いい加減にしないか!! ジーノはそんなことを望んではいないぞ!!」
アゴスティーノ公爵は怒鳴りながら無理やりヴァルからジーノの亡骸を引き離そうとしたけれど、ジーノの父が二人の間に割って入った。
「アゴスティーノ公爵。もう少しだけ二人でいさせてあげましょう。もうしばらくすれば、ヴァルフレードさまも気持ちが落ち着かれるかもしれません」
「――っ、悪いな……ラナーロ伯爵。其方たちも息子との最期の別れをしたいだろうに……」
「いえ、ジーノをそこまで想い、愛してくれたことが私たち家族にとっては何よりも嬉しいのです。ジーノもきっと今頃、ヴァルフレードさまの愛の深さを知って喜んでいることでしょう」
「ありがとう……」
アゴスティーノ公爵は笑顔で涙を流す父に深々と頭を下げた。
「ヴァルフレード、一時間だけだぞ。その間にジーノとの最期の別れをしておくんだ」
諭すような声でヴァルに語りかけると、お父さまたちと一緒に静かに部屋から出て行った。廊下を歩いていく音が聞こえていたけれど、じきにそれも聞こえなくなった。
「私の天使だ」
「ジーノを心から愛してる……」
それからというもの、五歳年上のヴァルは毎日必ずジーノに会いにきてくれて、ジーノの部屋でひと時を過ごし、いつも惜しげなく愛を囁いてくれて幸せを与えてくれた。くすぐったくなるような甘い言葉ばかりだったけれど、ヴァルの本心だと思うと嬉しくてたまらなかった。
部屋にいるときは、ジーノのあのお気に入りの椅子にヴァルが座り、ジーノはヴァルの膝の上。それが二人の中で決められたルール。というか、少しでも離れていたくなかっただけかもしれない。ヴァルの温もりを感じていたいとジーノが思っていたように、ヴァルもまたジーノに触れたがってくれた。
けれど、未成年の間は身体を繋いではいけない。それはシェルレク王国の決まりでもあった。その決まりを破ることがないようにと両親からもきつく言われていたし、ヴァルもそれをしっかりと守ってくれていた。どんなに触れ合いたいと思っても、夫夫になるまでは一線を超えてはいけない。それが守れなかった時、この婚約は泡となって消えてしまう。だから必死に我慢していた。
「ジーノが十八の誕生日を迎えた日に結婚式を挙げて、夫夫になろう」
「はい。ヴァル……その時まで、待っていてください」
「ジーノ、愛しているよ……」
「僕も、愛しています……」
ヴァルと毎日こうして愛を確かめ合い、清らかな交際を続けていた。
いつも別れ際に重ねるだけの優しいキスをして、翌日会えるのをただひたすらに待ち続ける。美しい花が咲き乱れる穏やかな季節も、一面真っ白い雪に閉ざされる厳しい季節も何度も過ごし、ようやく待ちに待った五度目の春。
我が家の庭に大好きな赤い花が満開を迎えた頃、ジーノは原因不明の病気を患いベッドから起き上がれなくなった。
それはジーノの十八歳の誕生日まで二ヶ月を切った頃だった。
全身が錘で抑えつけられているかのように重くて、腕を動かすこともままならない。口を動かすことも辛くなって食事も食べられない。我が家の主治医は早々に手の施しようがないと見切りをつけた。みるみるうちに弱り切ったジーノをみて、両親もすでに死を覚悟をしていたのかもしれない。
けれどヴァルだけは違った。
「ジーノ、心配しなくていい。私が絶対にジーノを元気にするから! 私を信じるんだ!」
ヴァルはその言葉通りいろいろな伝手を使って、国内外の優秀な医師を集め診察を受けさせてくれた。隣国に難病に効く薬草があると聞けば自ら採りに行き、漢方薬を作ってジーノに飲ませた。ヴァルだけが、ジーノをなんとか治してくれようと頑張ってくれていたし、ジーノもヴァルと会えるだけで元気をもらえていた気がした。
けれど、日に日に力を失い、弱っていくのを身をもって感じていた。起こしてもらってもその状態を維持することもできず、指一本動かすことも難しい。すっかり痩せて元々華奢だった身体が骨と皮だけになってしまったジーノは、ヴァルが可愛いと言ってくれた昔の面影もない。それでもヴァルはいつだってジーノを可愛い、愛していると言ってくれた。それだけがジーノの救いになっていた。
「ジーノさまはあと数日持ち堪えられるかどうか……。もうなす術はありません」
ジーノの十八歳の誕生日を翌日に控えた時、ヴァルが遠い国からどんな病気でも治すことができる優秀な医師を見つけたと呼び寄せてくれたけれど、その医師はひと目ジーノを見るなり残酷にもそれだけを告げて帰っていった。そして、その医師の見立て通り、翌日にはジーノはとうとう掠れ声しか出せないほど衰弱してしまった。ヴァルは医師の言葉にショックを受けながらも、自宅にも帰らずずっとそばにいてくれた。
(ああ、愛するヴァルとあと数日も一緒にいられないなんて……。ヴァルと永遠の愛を誓う前に、僕は命を終えてしまうなんて……。でも最期ならどうしてもヴァルに伝えておきたい。命を縮めてもいい。まだ少しでも言葉が話せるうちに僕の気持ちを全て……)
本当なら今日はヴァルとの結婚式をするはずだった。その日、ジーノはありったけの力を振り絞って、必死にヴァルへの最期の言葉を紡いだ。
「ゔぁ、る……やく、そく、まも、れなくて……ご、めん、なさい……」
「ジーノ! 諦めてはダメだ! もっと違う医師を連れてくる! 今度こそジーノを助け出せる医師を!」
「もう、いい、の……ぼく、がいなく、なったら……だれか、すて、きな、ひとと……」
「何を言っているんだ! 私にはジーノだけだ! 誰もジーノの代わりにはなれない!」
「ゔぁ、る……みじ、かい、あいだ、だった、けど……いっしょ、にいら、れて……し、あわせ、だったよ……だから、こんどは……ちがう、ひとを……しあ、わせに……」
「嫌だ! ジーノ! 私はジーノだけを愛し続けるよ! 私にはジーノしかいないんだ! 私のそばからいなくなるなんて言わないでくれ!」
「ゔぁる……あい、してる……しあ、わせに、なって……」
「ジーノ! 嘘だっ! 目を開けてくれっ!! 私を置いて行かないでくれ!! 嫌だ! ジーノ!! ジーノ!!」
ヴァルの悲痛な叫びを残し、抱きしめてくれる最期の温もりを忘れないように心に刻みながら、ジーノは十八年という短い生涯を終えた。
ヴァルを悲しませてしまったという、そんな後悔の念だけを残して……。
気がつくと、自分の身体から魂だけがふわりと浮かんで切り離されていた。
ぷかぷかと浮かびながら見下ろした先には、先ほどまでジーノが入っていた身体を強く抱きしめて泣き叫ぶ、ヴァルの姿が見えた。
(ああ、人間って死ぬとこうなるんだ……。自分の姿を俯瞰でみるというのはなんとも不思議なものだな)
ジーノの両親も兄も、ヴァルから距離をとってしばらくそれを見守ってくれていた。
悔しそうに父は唇を震わせなから、大粒の涙を流しハンカチで涙を拭う母を抱きしめ、兄は茫然とその場に立ち尽くしていた。家族の中で一番若いはずのジーノの死は、家族にとっても辛い傷を残してしまったに違いない。
いつもは静かな廊下をバタバタと走る音が聞こえ、部屋の扉が大きく開いたと思ったらヴァルの両親であるアゴスティーノ公爵夫妻が勢いよく入ってきた。
「ジーノは?」
「少し前に、天に召されました……」
「――っ!!!」
「ああ、なんてことだ!」
ヴァルのお母さまが声もなく倒れそうになったのをヴァルのお父さまが抱き寄せたまま、二人で膝から崩れ落ちた。
(ヴァルのご両親は僕のことを随分と可愛がってくださった。結婚して、息子になるのが楽しみだと会うたびに言ってくださって……。僕は彼らにも辛い思いをさせてしまったんだな……)
みんなを不幸にしてしまって胸が痛い。けれど、みんなが泣いている姿が見えても、もうジーノには何もできないのが辛い。
ヴァルのお父さま……アゴスティーノ公爵はヴァルがジーノの亡骸を抱きしめていることに気づき、苦しげな表情を見せながら立ち上がりヴァルの元に近づいた。
「ヴァルフレード。この二ヶ月、お前も苦しかったな。だが、ジーノはようやく苦しみから解放されたんだ。みんなでジーノを弔ってやろう」
肩に手を置き、優しく声をかけたけれど、ヴァルは亡骸を抱きしめたまま離そうとしない。
「いやだ! ジーノはまだ生きている! 私からジーノを奪わないでくれ!!」
もうヴァルを抱きしめることもできない魂の抜け切ったジーノの腕がダラリと垂れ下がり、誰がどう見ても生きているわけがないのだけど、ヴァルはまだそれを信じたくないようだ。
「ヴァルフレード! いい加減にしないか!! ジーノはそんなことを望んではいないぞ!!」
アゴスティーノ公爵は怒鳴りながら無理やりヴァルからジーノの亡骸を引き離そうとしたけれど、ジーノの父が二人の間に割って入った。
「アゴスティーノ公爵。もう少しだけ二人でいさせてあげましょう。もうしばらくすれば、ヴァルフレードさまも気持ちが落ち着かれるかもしれません」
「――っ、悪いな……ラナーロ伯爵。其方たちも息子との最期の別れをしたいだろうに……」
「いえ、ジーノをそこまで想い、愛してくれたことが私たち家族にとっては何よりも嬉しいのです。ジーノもきっと今頃、ヴァルフレードさまの愛の深さを知って喜んでいることでしょう」
「ありがとう……」
アゴスティーノ公爵は笑顔で涙を流す父に深々と頭を下げた。
「ヴァルフレード、一時間だけだぞ。その間にジーノとの最期の別れをしておくんだ」
諭すような声でヴァルに語りかけると、お父さまたちと一緒に静かに部屋から出て行った。廊下を歩いていく音が聞こえていたけれど、じきにそれも聞こえなくなった。
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