片思いの相手にプロポーズされました

波木真帆

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番外編

初めてのクリスマス※(当日編)<前編>

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「おはよう」

「ん……そう、すけぇ……おは、よう……」

「ふふっ。まだ寝ぼけてるな?」

チュッと瞼にキスされる。

「うーん……くちびる、がいい……」

「ああ。俺も唇がいい」

チュッと重なった唇から、肉厚な舌が滑り込んできて舌を絡め取られる。
クチュクチュと唾液の交わる音にだんだんと俺の頭も冴えていく。

「んんっ……ん」

「ふふっ。目が覚めたか?」

「うん……おはよう」

「ああ、今日はクリスマスイブだぞ。起きた時から一緒だなんて最高だな」

ギュッと抱きしめられる腕の温もりが直に伝わってくる。
だって、昨夜も湊介に愛されたから。
というより、寝巻きを着て朝を迎えるのが珍しいくらいだ。

最後までしなくても、抱き合って寝るだけでも幸せだってことに気づいたから。
そのほうがあったかいしな。

「ねぇ、今日はどこか行くの?」

「どこかに行きたかったか?」

「ううん、何か考えてくれてるみたいだったから」

「ああ、いろいろ考えてたんだ。これまでにずっと莉斗としてみたかったことやってみようかなって」

「してみたかったこと?」

「ああ。ずっと思ってた」

そう言って、俺をギュッと抱きしめる。

「莉斗と二人っきりで旅行に行きたいなって。ほら、いつも俺の親も一緒だっただろ? でも、二人で旅館とか泊まったらさすがに手を出しそうでさ。我慢できそうになかったから」

そう言われて思い出す。

――結婚式の夜に初めての人と結ばれるとか憧れるよな

俺がふと漏らしたその言葉を頑なに守ってくれていたことを。

「湊介、優しすぎるよ」

「ふふっ。優しいんじゃないよ。ずっと嫌われるのが怖かっただけだ。我慢もできない男だって思われたくなかったんだよ」

「じゃあ、今日は旅行に行くの? それなら早く支度しないと」

「大丈夫、今日は家で過ごすよ」

「えっ? どうして? 旅行したかったんじゃないの?」

てっきりその流れになると思ってた。
湊介の考えがわからなくて頭の中がハテナだらけだ。

「ずっと考えてたんだ。二人で旅行行って、幸せな夜を過ごして、クリスマスの朝を迎えて……。でも旅行に行ったら朝の可愛い顔を誰かに見せることになるなぁとか、すぐにホテルなり旅館なりを出る準備しないといけないなって思ったら、クリスマスは家で過ごすのが一番かなって思ったんだよ。だから、旅行は仕事納めから行こう。いい温泉旅館を予約してるんだ。もちろん露天風呂付きの部屋だよ。離れだし、莉斗の可愛い声を誰にも聞かせずに済む」

「――っ、もう、湊介のえっち!」

「ははっ。仕方ないだろ、莉斗が可愛すぎるんだから。というわけで今日は家でゆっくりしよう」

「うん、今日も旅行も楽しみ」

「ああ。俺も」

俺たちはキスを交わすと、そのまま愛し合った。
昨夜湊介のモノを受け入れた場所はまだ柔らかくほぐれていて、あっという間におっきなモノを受け入れていく。

「ああっ! あんまり、はげしくしないで……っ」

「わかってるよ。夜のお楽しみだからな」

そう言って、湊介は奥をゆっくりと擦り続ける。
ピンポイントに奥を攻められるのがなんともいえない快感でおかしくなる。

俺はあっという間に蜜を飛ばし、それを嬉しそうにみていた湊介も俺の中に欲望の蜜を飛ばした。
温かいものが広がっていくのを感じながら、今日も変わらぬ愛に幸せを感じたんだ。

湊介にそのままお風呂に連れていってもらい、綺麗に身体を洗ってもらって朝から入浴剤の香り漂う湯船に抱きかかえられて入る。

「朝からこういうのもいいな」

「ああ、俺は莉斗と過ごせる時間が最高に幸せだよ」

「ねぇ、今日は家で過ごすってことは湊介が料理を作ってくれるの?」

「ああ、もちろん。莉斗の大好物ばかり用意しているから楽しみにしててくれ。ケーキだけ夕方取りに行ってくるから、一緒に行くか?」

「あっ、えっと……家で、待ってようかな。ケーキ、楽しみにしておきたいから」

「そうか、そうだな。じゃあ、俺だけで取りに行ってくるよ」

「ごめん、一人で行かせて」

「いや、気にしないでいい。今日は雪も降る予報だし、莉斗が風邪引いたら大変だからな」

そう言ってチュッとキスをしてくれる。
ああ、もう本当におかしくなりそうなくらい甘やかされてる。

昼間はクリスマスディナーのために軽食ですませ、二人でくっつきながら映画を見て過ごし、合間に湊介は何度かキッチンにこもっていた。

「なんか、手伝おうか?」

「いや、もう仕込みは昨日までにしてたからすぐにできるよ。それよりケーキ取りに行ってくるよ」

「うん。あっ……」

「どうした?」

「……ナンパ、とかされても、すぐに帰ってきてよね」

「ふふっ。当たり前だよ。俺には可愛い夫が待ってるんだからな」

チュッと唇にキスされるとそれだけで安心する。

湊介はコートをかっこよく羽織って、車のキーをとり玄関に向かうのを俺も後ろからついていく。
そして、

「行ってらっしゃい。気をつけてね」

といつものお約束になったキスで見送る。

「ああ、行ってくるよ」

そう言ってキスを返し、湊介は出ていった。

本当は一緒にケーキ屋に行きたかったけど、アレ・・に着替えるチャンスは今しかないからな。

俺は急いで寝室に行き、クローゼットの奥に隠し込んでいたあの下着セットを取り出した。

「よかったぁ……バレなくて」

湊介がクローゼットを開けるたびにドキドキしてたけど、気づかれないまま今日を迎えられて本当によかった。

「これ、一人で着るの難しそうなんだよな」

クローゼットの中にある移動式の大きな姿見を外に出し、その鏡の前でさっと裸になる。
自分で自分の裸をみると、湊介と比べてあまりにも貧相で恥ずかしくなる。
それでも身体中に散らばった花弁が俺に自信をつけてくれるんだ。

こんな身体でも湊介が愛してくれるならそれでいい。

まずは紐パンからかな。
自分の慎ましいモノでも溢れそうなくらいの面積の小ささに驚くけれど、これで合ってるんだろうか?
なんとかその中に収めて、紐をリボン結びにした。

「これでいいのかなぁ?」

後ろをみるとお尻は丸出しだけどこういうモノなんだろう。

とりあえず前が出てなければいいか。

次はコルセットをつける。
これは結婚式の時にもつけたから少しは慣れてるはず。

ああ、でもあの時は湊介の手作りだったから俺の身体にフィットしてたけど、やっぱり既製服は馴染みが悪い。
きっといいものなんだろうけど、もうずっと湊介の服だけを身につけていたから、身体がそれに慣れすぎているのかもしれないな。

なんとかコルセットも着替えを終えて、おまけみたいなガーターベルトをつける。
ストッキングもつけていないのだから、つける意味はなさそうだけど、一応セットでついてたし。
湊介が喜んでくれたらいいんだけど……。

「ああ、急がないと湊介が帰ってきちゃう!!」

着替えるのに結構時間がかかっていた。
急いで着ていた服をその下着の上から着て、姿見を元に戻しリビングに戻ると、ちょうど湊介がエレベーターに乗り込んだ合図が鳴った。

ああ、よかった。
間に合った。

「おかえりー、湊介。寒かったでしょ?」

「ああ、莉斗が行かなくてよかったよ。寒すぎて凍えさせるところだった。身体中冷たくなってるよ」

「じゃあチューしないほうがいい?」

「莉斗が唇を温めてくれたら嬉しい」

「ふふっ」

俺が背伸びして湊介にキスをすると、ケーキを持っていない方の腕が俺を抱きしめる。

と同時に

「んっ?」

と不思議そうな湊介の声が聞こえた。


  *   *   *

当日編1話で終わらせたかったんですが、無駄に長くなりました(汗)
続きは明日更新します。
どうぞお楽しみに♡
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