最強の黒豹騎士団長は新人熊騎士にロックオンされちゃいました

波木真帆

文字の大きさ
上 下
10 / 19

どうしてこんなことに?※

しおりを挟む
大したことはまだ出てきませんがとりあえず※つけてます。
さっさと初夜に入りたいのに、なかなか進めずすみません。
次回は行けるかな……。
楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *



ギュッと大きなものに包み込まれて安心する。
それに、なんていい匂いなんだろう……。

甘くてクセになる。

ベッドに抱き枕なんか置いてなかったはずなのに、こんなにフィットする抱き枕いつ用意したんだったか。
だけどそれも気にならないくらい心地良い。
あまりの心地良さに顔を擦り寄せていると、

「ふふっ、可愛い。ヴェルナー」

髪にそっと何かが触れた気がした。

その優しい感触に目を覚ますと

「目が覚めましたか?」

と甘い声が頭上から降ってくる。

驚いて見上げてみれば、寝起きだというのに蕩けるような甘い笑顔をしたマクシミリアンが

「おはようございます」

と実に爽やかな声で迎えてくれた。

「えっ……」

寝起きの頭に理解が追いついていなかったが、昨日の出来事が一気に甦ってくる。

「あっ……!」

「ふふっ。思い出しましたか?」

「ああ。マクシミリアンには迷惑をかけたな。ずっと私がもたれかかっていたから寝にくかったんじゃないか?」

「いいえ。よく眠れましたよ。ずっとヴェルナーを腕に抱いて幸せを感じていました」

「――っ、そんなこと……っ」

「本当ですよ。私が少しでも離れようとしたら擦り寄ってくるのが可愛くて……」

「――っ!!!」

自分でも思わぬ行動を聞かされて恥ずかしくなってしまう。

「ふふっ。顔が赤いですよ」

「揶揄うな!」

「ふふっ。はい。じゃあ、そろそろ起きましょうか。といってもヴェルナーは今日はお休みですよ」

「だが、ラルス副団長だけに任せるのは流石にまだ心配だから、指示だけでも……」

「それなら大丈夫ですよ」

「大丈夫とはどういう意味だ?」

「昨夜のうちにオスカー前団長に連絡をしていたのです。ヴェルナーが休養の間はオスカー前団長に来ていただけることになりましたから安心してください」

笑顔でそう言われてしまって驚いてしまう。

「いつの間に……」

私の知らない間にそんなことまで……。

「ふふっ。内緒です。それよりももうすぐオスカー前団長が来られますから、着替えだけしておきましょうか」

「あ、ああ。わかった」

なんだかはぐらかされたような気もするが、オスカーが来るのなら準備をしておかなくては。

「――っ!!」

起きあがろうとして異変に気付いた。

た、勃ってる……。

もちろん私も男だから、朝起きてこのような状態になっていることは全くないわけではないが、流石に隣に人がいる状況でこうなってしまうのは恥ずかしい。

考えてみれば、昨夜マクシミリアンに身体を拭ってもらってから反応していた。
そこから何も発散できないまま眠ってしまったのだ。

やっぱりマクシミリアンが風呂に入っている間に発散しておけばよかった……そう思っても後の祭り。
薄い夜着を羽織ったままの今の状態では、布団を捲ったら気づかれてしまう。

マクシミリアンを自室に戻らせて、その間に発散させて着替えまで終わらせる……そこまでできるかわからないが、やるしかない。

「マクシミリアン、私はもう少しだけ休んでから準備を始めるから、先に着替えを済ませて来るといい」

「ですが、一人にするのは心配です」

「何いっているんだ。重病人でもないのだから大丈夫だ。早くしないとオスカーが来てしまうぞ」

「わかりました。では自室で着替えを済ませて戻ってきますね。ヴェルナーの着替えはここに置いておきますから」

「ああ、わかった」

なんとかすんなり寝室を出ていってくれた。
今のうちだ。

急いで夜着を脱ぎ、天を向いてしまっているささやかなモノに触れ、慣れない左手で刺激を与えるけれどやはり全然気持ちよくない。
というか、イける気がしない。

ああ、早くしないとマクシミリアンが戻って来るかもしれないのに。
だが焦れば焦るほど上手くいかない。
しかも、刺激を与えるたびに身体の奥がジンジンと疼いて来るのだ。

一体私の身体はどうしてしまったのだろう。
こんなことは初めてだ。

必死になってもがいているうちにさっきまで天を向いて勃っていたモノはその勢いを無くし、すっかり萎えてしまっていた。

結局溜まったものを吐き出すことはできなかったけれど、萎えてくれたのなら不幸中の幸いだ。

マクシミリアンが着替えやすいものを置いておいてくれたおかげで一人でも着替えることができる。
私はなんとかマクシミリアンが戻って来るまでに身支度を整えることができた。

それからすぐにマクシミリアンが戻ってきた。
ああ、間に合ってよかったと胸を撫で下ろしたのも束の間、マクシミリアンから漂ってくる甘い匂いにさっきまで萎えていたモノがズボンの中で一気に力取り戻してくる。

一体なんなんだ?

自分で自分の身体がわからなくなって困ってしまう。
だがもう少しの辛抱だ。
マクシミリアンが訓練に行けばその間私は一人だ。
その間にしっかりと発散させることができるはずだ。
一度出しておけばもう予想外の場面で反応することもなくなるだろう。

そんなことを考えていると、部屋の扉を叩く音が聞こえた。

マクシミリアンが私をリビングのソファーに座らせ扉を開けると、入ってきたのはオスカー前団長。
久しぶりだがものすごく元気そうだ。

まだまだ私に団長を譲らなくてもよかったのではと思ってしまうほど、騎士の時のままのその姿に思わず背筋が伸びる。

「オスカー前団長。突然無理を申しまして申し訳ございません」

「何いっているんだ。怪我をしたのならそれは仕方のないことだ。私でもまだヴェルナーの役に立てるなら力を貸そうと思っただけだ。ヴェルナーが気にすることはない」

「はい。ありがとうございます」

「怪我が治るまでの数日は騎士団のことは忘れてしっかり治すことだけ考えたらいい。といってもヴェルナーがつい無理をしてしまう癖があるのはわかっている。だから、今回は特別にお前に世話役をつけるからその者の言うことをよく聞いて無理をしないようにするのだぞ」

「えっ、そんな……」

「マクシミリアン、頼むぞ」

「はい。どうぞお任せください。私がしっかりと団長のお世話をいたします」

「あっ、ちょ――っ!」

何も反論できないまま、結局昼間もずっとマクシミリアンと過ごす日々が続いてしまったのだった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

ぼくは男なのにイケメンの獣人から愛されてヤバい!!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

既成事実さえあれば大丈夫

ふじの
BL
名家出身のオメガであるサミュエルは、第三王子に婚約を一方的に破棄された。名家とはいえ貧乏な家のためにも新しく誰かと番う必要がある。だがサミュエルは行き遅れなので、もはや選んでいる立場ではない。そうだ、既成事実さえあればどこかに嫁げるだろう。そう考えたサミュエルは、ヒート誘発薬を持って夜会に乗り込んだ。そこで出会った美丈夫のアルファ、ハリムと意気投合したが───。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

処理中です...