76 / 80
番外編
素晴らしいご夫夫 グレイグside
しおりを挟む
第二子妊娠を知らされたグレイグのその後の小話。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideグレイグ>
まさか、お二人目を授かろうとは……。なんという幸せなことだろう。
テオさまをご懐妊になられたのは神のお力だったが、当然最初で最後の特別なものだと思っていた。それがまさかお二人目とは……。
ヒジリさまはよほど神に愛されていらっしゃるのだろう。そんなヒジリさまが無事にご出産なさるまで、私はしっかりとお守りしよう。
そう決意を新たにしたところで、ヒジリさまがいらっしゃる寝室のベルが鳴った。どうやらお目覚めになられたようだ。
昨夜は身重のお身体だというのに旦那さまと激しい夜をお過ごしのようであったが、お薬はお身体に障る。
とりあえず、癒し効果のあるハーブティーを淹れて急いでヒジリさまの元に向かった。
「ヒジリさま。グレイグにございます」
「どうぞ」
寝室の扉を中が見えない程度にほんの少しだけ開け、ヒジリさまにお声がけするとお優しい声が聞こえてきた。
「あ、いい香り」
「はい。心を落ち着かせるハーブティーをお持ちしました。人肌にしておりますので、ご安心ください」
「ありがとう。あ、グレイグさん。少し手伝ってもらっていい?」
「はい。ただいま」
ハーブティーを乗せたトレイを一旦ベッド脇のテーブルに置きヒジリさまが身体をお起こしになるのをそっと手伝った。
背中に柔らかなクッションを当てがい。ヒジリさまの前にテーブルを置いてハーブティーを置くと、
「本当にいい香り」
と嬉しそうに笑ってくださる。
「んっ、美味しい。やっぱりグレイグさんのハーブティーは最高だね」
「そのようなお言葉を賜り、嬉しゅうございます」
「あのね、ランハートから聞いた? 赤ちゃんのこと……」
「はい。嬉しいお知らせに幸せを感じておりました。ヒジリさまはどうかご無理をなさいませんように」
「うん。ありがとう。あ、グレイグさんのハーブティー、お腹の赤ちゃんも好きみたい。ちょっと気分が悪かったけど、すごくスッキリしたみたい」
「おおっ、それはようございました。そのハーブティーには昔から悪阻を軽減する効果がございますよ」
「そうなんだ。じゃあ、これから毎日飲ませてもらえる?」
「はい。喜んでお持ちいたしますよ」
私の淹れたハーブティーをおいしそうに飲んでくださるヒジリさま、そして、お腹の御子さまがそれを喜んでくださっていると思うとただただ幸せでしかない。
「グレイグさん、僕が妊娠したって聞いてびっくりしたでしょう?」
「はい。それはもう! テオさまがお生まれになったのも奇跡だと思っておりましたので」
「この子が僕のお腹に来てくれたのは、テオとランハートのおかげなんだよ」
「えっ? テオさまと、旦那さまの?」
「うん。テオが夜寝る前に弟か妹が欲しいなって言ってたんだけど、その日の夜にまた僕、神さまのところに行ったんだ。そうしたらね、<ヒジリとテオを心から愛するランハートならもう一人授けても幸せにしてくれることでしょう>って言って、僕のお腹に赤ちゃんを宿してくれたんだよ」
「そうでございましたか……」
「テオの望みを叶えてあげられたのもランハートのおかげ。だから、昨夜は当分無理になると思って、僕からランハートに激しく愛して欲しいって頼んだんだ。ランハートにはお腹に赤ちゃんがいるのは内緒にしてたから僕の願いを叶えてくれたの。だから、ランハートは悪くないんだよ。今日はちょっと疲れちゃったけど、それは妊娠しているからで、ランハートのせいじゃないから怒らないであげて欲しいなって」
「ヒジリさま……」
それを仰りたくて私をここに……。ああ、本当にヒジリさまは旦那さまを愛していらしゃるのだ。
「承知しました。ヒジリさまのおっしゃるようにいたします」
「――っ、ありがとう! グレイグさん!」
「旦那さまとテオさまがおかえりになるまでもうしばらくお休みください」
「うん、ありがとう。ハーブティー、すごく美味しかった」
「ありがとうございます」
安心なさったヒジリさまをベッドに横にならせて、私は部屋を出た。
旦那さまがおかえりになったら、今のヒジリさまのお言葉をお伝えして謝ろう。ああ、本当にお二人は素晴らしいご夫夫だな。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideグレイグ>
まさか、お二人目を授かろうとは……。なんという幸せなことだろう。
テオさまをご懐妊になられたのは神のお力だったが、当然最初で最後の特別なものだと思っていた。それがまさかお二人目とは……。
ヒジリさまはよほど神に愛されていらっしゃるのだろう。そんなヒジリさまが無事にご出産なさるまで、私はしっかりとお守りしよう。
そう決意を新たにしたところで、ヒジリさまがいらっしゃる寝室のベルが鳴った。どうやらお目覚めになられたようだ。
昨夜は身重のお身体だというのに旦那さまと激しい夜をお過ごしのようであったが、お薬はお身体に障る。
とりあえず、癒し効果のあるハーブティーを淹れて急いでヒジリさまの元に向かった。
「ヒジリさま。グレイグにございます」
「どうぞ」
寝室の扉を中が見えない程度にほんの少しだけ開け、ヒジリさまにお声がけするとお優しい声が聞こえてきた。
「あ、いい香り」
「はい。心を落ち着かせるハーブティーをお持ちしました。人肌にしておりますので、ご安心ください」
「ありがとう。あ、グレイグさん。少し手伝ってもらっていい?」
「はい。ただいま」
ハーブティーを乗せたトレイを一旦ベッド脇のテーブルに置きヒジリさまが身体をお起こしになるのをそっと手伝った。
背中に柔らかなクッションを当てがい。ヒジリさまの前にテーブルを置いてハーブティーを置くと、
「本当にいい香り」
と嬉しそうに笑ってくださる。
「んっ、美味しい。やっぱりグレイグさんのハーブティーは最高だね」
「そのようなお言葉を賜り、嬉しゅうございます」
「あのね、ランハートから聞いた? 赤ちゃんのこと……」
「はい。嬉しいお知らせに幸せを感じておりました。ヒジリさまはどうかご無理をなさいませんように」
「うん。ありがとう。あ、グレイグさんのハーブティー、お腹の赤ちゃんも好きみたい。ちょっと気分が悪かったけど、すごくスッキリしたみたい」
「おおっ、それはようございました。そのハーブティーには昔から悪阻を軽減する効果がございますよ」
「そうなんだ。じゃあ、これから毎日飲ませてもらえる?」
「はい。喜んでお持ちいたしますよ」
私の淹れたハーブティーをおいしそうに飲んでくださるヒジリさま、そして、お腹の御子さまがそれを喜んでくださっていると思うとただただ幸せでしかない。
「グレイグさん、僕が妊娠したって聞いてびっくりしたでしょう?」
「はい。それはもう! テオさまがお生まれになったのも奇跡だと思っておりましたので」
「この子が僕のお腹に来てくれたのは、テオとランハートのおかげなんだよ」
「えっ? テオさまと、旦那さまの?」
「うん。テオが夜寝る前に弟か妹が欲しいなって言ってたんだけど、その日の夜にまた僕、神さまのところに行ったんだ。そうしたらね、<ヒジリとテオを心から愛するランハートならもう一人授けても幸せにしてくれることでしょう>って言って、僕のお腹に赤ちゃんを宿してくれたんだよ」
「そうでございましたか……」
「テオの望みを叶えてあげられたのもランハートのおかげ。だから、昨夜は当分無理になると思って、僕からランハートに激しく愛して欲しいって頼んだんだ。ランハートにはお腹に赤ちゃんがいるのは内緒にしてたから僕の願いを叶えてくれたの。だから、ランハートは悪くないんだよ。今日はちょっと疲れちゃったけど、それは妊娠しているからで、ランハートのせいじゃないから怒らないであげて欲しいなって」
「ヒジリさま……」
それを仰りたくて私をここに……。ああ、本当にヒジリさまは旦那さまを愛していらしゃるのだ。
「承知しました。ヒジリさまのおっしゃるようにいたします」
「――っ、ありがとう! グレイグさん!」
「旦那さまとテオさまがおかえりになるまでもうしばらくお休みください」
「うん、ありがとう。ハーブティー、すごく美味しかった」
「ありがとうございます」
安心なさったヒジリさまをベッドに横にならせて、私は部屋を出た。
旦那さまがおかえりになったら、今のヒジリさまのお言葉をお伝えして謝ろう。ああ、本当にお二人は素晴らしいご夫夫だな。
1,328
お気に入りに追加
4,342
あなたにおすすめの小説
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
魔王討伐後に勇者の子を身篭ったので、逃げたけど結局勇者に捕まった。
柴傘
BL
勇者パーティーに属していた魔術師が勇者との子を身篭ったので逃走を図り失敗に終わるお話。
頭よわよわハッピーエンド、執着溺愛勇者×気弱臆病魔術師。
誰もが妊娠できる世界、勇者パーティーは皆仲良し。
さくっと読める短編です。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる