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王子さまみたいだ!
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結局閨の意味がわからないまま、僕はランハートと一緒に食事を終えた。
ちょうどそのタイミングでグレイグさんがダイニングルームへと入ってきて
「旦那さま。早馬が戻って参りました」
とランハートに手紙のような巻物を手渡した。
ランハートはそれをさっと開き目を通すと、
「よしっ、ヒジリ。すぐに向かうとしよう」
と言って僕を抱き抱えた。
流石に外に抱きかかえられていくわけにはいかないだろうな。
「あの、ら、ランハート……靴、履かないと」
「ああ、そうだな。グレイグ、ヒジリの靴を」
ランハートがそう言った時にはグレイグさんはもう手に僕の靴を持っていて、さっとランハートに手渡した。
これ、どこから持ってきたんだろう?
グレイグさんってほんとすごい。
「さぁ、ヒジリ」
そう差し出された時にふと思った。
これって甘えるチャンス??
少しドキドキしながら、童話の主人公になりきって甘えてみる。
「ランハート……靴、履かせてもらえる……?」
「――っ! ああ、もちろんだとも!」
ランハートは僕の突然の申し出に嫌がるどころかものすごく嬉しそうに座り心地の良い豪華な椅子に僕を座らせると、目の前でゆっくりと片膝ついて僕の足をスッと持ち上げた。
うわぁ……っ、すごい!
ランハートって王子さまみたいだ。
ランハートの流れるような綺麗な動きに僕は釘付けになっていた。
こういうことを誰かにやったことがあるのだろうかと勝手に嫉妬してしまいそうになる程、ランハートのその動きはかなりさまになっていて、ずっと見ていたいと思ってしまうほどだ。
あっという間に靴を履かされ、夢のような時間は終わってしまった。
ああーっ、終わっちゃった……。
もっと見ていたかったな。
「ヒジリ、これでどうだ?」
「ありがとう。でも……」
「んっ? どうした?」
「履かせてくれる時のランハート、すごく格好良かったからもっとみていたかったなって……ちょっと残念に思ってしまって」
「くぅ――っ! もう、ヒジリはどこまで私を……」
「ランハート? どうかした?」
「い、いや……ヒジリが気に入ってくれたならこれからヒジリの靴は毎日私がこうやって履かせてやろう」
蕩けるような笑顔でそう提案してくれるランハートのその気持ちが嬉しくて僕は
『ふふっ。嬉しい、ありがとう』と返した。
まさか、本当に毎日履かせてもらうことになることなど知らずに……。
連れられて外に出ると、大きくて豪華な馬車が用意されていた。
なに、これ……すごっ!
こういうの映画とかでみたことある!!
「ヒジリ?」
僕が馬車を見上げたまま動かなくなったのを心配して声をかけてくれるけれど、大丈夫、ただ驚いてるだけです。
「あの、こんな大きな馬車見るの初めてで……」
「ふふっ。そうか。さぁ、乗って」
差し出された手を取り、中に入ると思った以上に広々としていて『わぁっ!』と声を上げてしまった。
座席に座ると座り心地もよくファーストクラスの座席みたいだと思った。
座ったことないけど……。
「すぐに着くからな」
「えっ? じゃあ歩いて行ってもよかったのに」
「ヒジリを紹介するのだからちゃんとしないといけないからな」
含みのある言い方が少し気になったけれど、僕は初めて乗る馬車に興奮しっぱなしでテンションが上がってしまっていた。
馬車から見える外の景色を楽しんでいると、なぜか馬車はお城の中へと入っていく。
えっ? なんでここ?
「ら、ランハート……?」
意味がわからなくてランハートに声をかけたけれど、ランハートは『ふふっ』と笑うだけで特に説明はない。
どういうこと?
従兄弟さんに会うんじゃなかったっけ?
もしかして従兄弟さんって…………
お城で働いてるとか???
そうか、そうかも。
昼間だし仕事場に会いにいく感じなのかな。
そっかぁー。なるほど。
お城の中に入れるなんてなんかドキドキする~!
ちょうどそのタイミングでグレイグさんがダイニングルームへと入ってきて
「旦那さま。早馬が戻って参りました」
とランハートに手紙のような巻物を手渡した。
ランハートはそれをさっと開き目を通すと、
「よしっ、ヒジリ。すぐに向かうとしよう」
と言って僕を抱き抱えた。
流石に外に抱きかかえられていくわけにはいかないだろうな。
「あの、ら、ランハート……靴、履かないと」
「ああ、そうだな。グレイグ、ヒジリの靴を」
ランハートがそう言った時にはグレイグさんはもう手に僕の靴を持っていて、さっとランハートに手渡した。
これ、どこから持ってきたんだろう?
グレイグさんってほんとすごい。
「さぁ、ヒジリ」
そう差し出された時にふと思った。
これって甘えるチャンス??
少しドキドキしながら、童話の主人公になりきって甘えてみる。
「ランハート……靴、履かせてもらえる……?」
「――っ! ああ、もちろんだとも!」
ランハートは僕の突然の申し出に嫌がるどころかものすごく嬉しそうに座り心地の良い豪華な椅子に僕を座らせると、目の前でゆっくりと片膝ついて僕の足をスッと持ち上げた。
うわぁ……っ、すごい!
ランハートって王子さまみたいだ。
ランハートの流れるような綺麗な動きに僕は釘付けになっていた。
こういうことを誰かにやったことがあるのだろうかと勝手に嫉妬してしまいそうになる程、ランハートのその動きはかなりさまになっていて、ずっと見ていたいと思ってしまうほどだ。
あっという間に靴を履かされ、夢のような時間は終わってしまった。
ああーっ、終わっちゃった……。
もっと見ていたかったな。
「ヒジリ、これでどうだ?」
「ありがとう。でも……」
「んっ? どうした?」
「履かせてくれる時のランハート、すごく格好良かったからもっとみていたかったなって……ちょっと残念に思ってしまって」
「くぅ――っ! もう、ヒジリはどこまで私を……」
「ランハート? どうかした?」
「い、いや……ヒジリが気に入ってくれたならこれからヒジリの靴は毎日私がこうやって履かせてやろう」
蕩けるような笑顔でそう提案してくれるランハートのその気持ちが嬉しくて僕は
『ふふっ。嬉しい、ありがとう』と返した。
まさか、本当に毎日履かせてもらうことになることなど知らずに……。
連れられて外に出ると、大きくて豪華な馬車が用意されていた。
なに、これ……すごっ!
こういうの映画とかでみたことある!!
「ヒジリ?」
僕が馬車を見上げたまま動かなくなったのを心配して声をかけてくれるけれど、大丈夫、ただ驚いてるだけです。
「あの、こんな大きな馬車見るの初めてで……」
「ふふっ。そうか。さぁ、乗って」
差し出された手を取り、中に入ると思った以上に広々としていて『わぁっ!』と声を上げてしまった。
座席に座ると座り心地もよくファーストクラスの座席みたいだと思った。
座ったことないけど……。
「すぐに着くからな」
「えっ? じゃあ歩いて行ってもよかったのに」
「ヒジリを紹介するのだからちゃんとしないといけないからな」
含みのある言い方が少し気になったけれど、僕は初めて乗る馬車に興奮しっぱなしでテンションが上がってしまっていた。
馬車から見える外の景色を楽しんでいると、なぜか馬車はお城の中へと入っていく。
えっ? なんでここ?
「ら、ランハート……?」
意味がわからなくてランハートに声をかけたけれど、ランハートは『ふふっ』と笑うだけで特に説明はない。
どういうこと?
従兄弟さんに会うんじゃなかったっけ?
もしかして従兄弟さんって…………
お城で働いてるとか???
そうか、そうかも。
昼間だし仕事場に会いにいく感じなのかな。
そっかぁー。なるほど。
お城の中に入れるなんてなんかドキドキする~!
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