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おかしくなりそう
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ランハートさんの視線はじっと僕の上半身に向けられたまま。
ああっ!! もしかして…………
お腹がぷよぷよだって驚いているのかな。
そうなんだよ。
最近試作品作ってはケーキ食べてたし、調子乗って食べ過ぎてた自覚はあるんだよね……。
ランハートさんはなんと言っても騎士団長だから毎日鍛えてるだろうし、周りも騎士さんだらけだからみんな腹筋割れてるんだろうな。
こんなぷよぷよのみっともないお腹なんか見たことないに決まってる。
うわぁーっ、幻滅されちゃってるかな。
やっぱり僕もケーキ作りの合間に筋トレでもするべきかな?
成人男子としてやっぱりホイッパーで生地も作れないほど非力なのは流石にやばいよね。
ランハートさん、かなりガン見してるし……。
「こんなに摘めるほどぷよぷよなのって……やっぱり嫌いですか?」
自分のぷよぷよのお腹を親指と人差し指で摘みながらそう尋ねると、
「い、いや……ひ、ヒジリはそのままでいい」
と真っ赤な顔でそう言ってくれた。
やっぱり優しいな、ランハートさん。
正直にいうと僕が傷つくと思って……うん、やっぱり良い人だ。
そういえば、ランハートさんの身体ってどんなんだろう?
鍛えてる人の腹筋ってすごく興味あるな。
「あの、ランハートさん……」
「ど、どうした?」
ランハートさんはまだ僕のぷよぷよお腹を見つめていたけど、声をかけるとこっちを向いてくれた。
「ランハートさんの鍛えてるお腹……見てみたいんですけど、だめ……ですか?」
「えっ? いや、それは……」
「やっぱり……だめ、ですよね……」
うーん、残念。
綺麗に鍛えられたシックスパック見てみたかったなぁ……。
まぁ、でも自分のと比べてがっかりするに決まってるから見ない方がいいのかも。
「くっ――! いや、いいぞ。大丈夫だ」
「えっ? ほんとですか!! わぁーーっ!!」
思いがけずランハートさんからお許しが出て、ランハートさんは少し苦しそうな表情をしながらもジャケットを脱ぎ、シャツを捲って、お腹を見せてくれた。
「うわっ!!! すごいっ!!!!」
僕の目の前に現れたのはシックスパックどころかエイトパックの鋼のように鍛えられた美しい腹筋だった。
まるで芸術品、そう、彫刻のようなその美体に僕は目が離せなかった。
僕のお腹と全然違うっ!!
こんなに綺麗な身体してるなら、そりゃあ、あんなぷよぷよ目の前にしたらガン見しちゃうよ。
あまりにも綺麗な腹筋に僕は触れたくなって、手を伸ばした。
「――っ! ひ、ヒジリ……」
ランハートさんの驚く声が耳に入ってきたけれど、僕の手はそれよりも前に触れてしまっていた。
「うわっ、硬っ!! すごっ!! 僕、こんなの初めてっ!!」
あまりにも綺麗な身体に僕はテンションが上がって、綺麗に割れた腹筋をなぞるようにペタペタと撫でていると
「ぐぅ――っ! う――っ!」
必死に我慢しているような声が聞こえる。
「あっ、ごめんなさい……くすぐったかったですか?」
「い、いや……大丈夫だ」
と言いながら、そそくさと捲っていたシャツを下ろすランハートさんを見て、
「あの、お詫びというかなんというか、ランハートさんも触ってみますか?
僕のぷにぷにですけど……珍しいかなと思って……」
と声をかけると、ランハートさんは『はっ?』と目を丸くして唖然としていた。
えっ? なんか変なこと言ったっけ?
僕だけ触ったのは不公平かと思って誘ってみたんだけど……やっぱりぷよぷよとか触りたくないかな。
そう思っていると、ランハートさんは真剣な眼差しを向けてきた。
「ヒジリ……本当にいいのか?」
「えっ? あ、はい。いいですよ。どうぞ」
改めて許可を求められると少し恥ずかしい気もするけど、僕も触らせてもらったし別に問題はない。
「うわっ――!」
急にランハートさんは突然僕の座っていた後ろに回り込み、僕を後ろから抱き抱えるように座った。
ランハートさんの大きな身体に包み込まれた途端、なんだか急に照れが襲ってきた。
だって、ランハートさんの匂いやら温もりやらがブワーッと僕を覆い尽くしてくるんだから、そりゃあ照れるよ。
てっきり僕みたいにお腹にペタペタって触って少し摘んでくるくらいだって思ってたのに。
こんなふうに抱き込まれるなんて聞いてないっ!
とはいえ、自分から触っていいと言った以上、今更ダメだともいえないし、それにそもそもお腹を触るときにはこういうふうに後ろから抱き抱えるものなのかも……わかんないけど。
「あ、あのランハートさん?」
「ヒジリの可愛いお腹に触らせてくれるのだろう?」
「ひゃ――っ」
耳元でそんなふうに囁かれたらおかしくなりそう。
「ふふっ。ヒジリは本当に可愛らしい」
ランハートさんの大きな手が僕のお腹を撫でていく。
えっ? でも、なんで?
ただ撫でているだけなのに、ランハートさんに撫でられるだけで身体がゾクゾクする。
なんか思ってたのと全然違うんだけどっ!!
「んんっ……んっ」
声が出そうになるのを必死に抑えていると、部屋の扉がトントントンと叩かれている音が微かに耳に入ってきた。
その音にランハートさんは『チッ』と小さく舌打ちをして、『ふぅ』と大きなため息を吐いた。
「ヒジリ、また夜にこの続きしてもいいだろうか?」
「ふぇっ……つ、続き……?」
「ああ、もっとヒジリの身体を触らせて欲しい。いいだろう?」
僕の身体に触れる?
またこんなふうに後ろから抱き込まれて?
身体がゾクゾクしておかしくなりそうなのに、このなんともいえない感覚が忘れられなくて、僕はランハートさんの言われるがままに『はい』と答えてしまっていた。
「ふふっ。じゃあ、ヒジリ……着替えようか」
さっきの出来事でぐったりとなってしまった僕をランハートさんは驚くほどの手際の良さで着替えさせていく。
あっという間に上下着替えさせられた僕は、寝室から出ていく時も来た時と同じようにランハートさんに抱きかかえられたままになっていた。
ああっ!! もしかして…………
お腹がぷよぷよだって驚いているのかな。
そうなんだよ。
最近試作品作ってはケーキ食べてたし、調子乗って食べ過ぎてた自覚はあるんだよね……。
ランハートさんはなんと言っても騎士団長だから毎日鍛えてるだろうし、周りも騎士さんだらけだからみんな腹筋割れてるんだろうな。
こんなぷよぷよのみっともないお腹なんか見たことないに決まってる。
うわぁーっ、幻滅されちゃってるかな。
やっぱり僕もケーキ作りの合間に筋トレでもするべきかな?
成人男子としてやっぱりホイッパーで生地も作れないほど非力なのは流石にやばいよね。
ランハートさん、かなりガン見してるし……。
「こんなに摘めるほどぷよぷよなのって……やっぱり嫌いですか?」
自分のぷよぷよのお腹を親指と人差し指で摘みながらそう尋ねると、
「い、いや……ひ、ヒジリはそのままでいい」
と真っ赤な顔でそう言ってくれた。
やっぱり優しいな、ランハートさん。
正直にいうと僕が傷つくと思って……うん、やっぱり良い人だ。
そういえば、ランハートさんの身体ってどんなんだろう?
鍛えてる人の腹筋ってすごく興味あるな。
「あの、ランハートさん……」
「ど、どうした?」
ランハートさんはまだ僕のぷよぷよお腹を見つめていたけど、声をかけるとこっちを向いてくれた。
「ランハートさんの鍛えてるお腹……見てみたいんですけど、だめ……ですか?」
「えっ? いや、それは……」
「やっぱり……だめ、ですよね……」
うーん、残念。
綺麗に鍛えられたシックスパック見てみたかったなぁ……。
まぁ、でも自分のと比べてがっかりするに決まってるから見ない方がいいのかも。
「くっ――! いや、いいぞ。大丈夫だ」
「えっ? ほんとですか!! わぁーーっ!!」
思いがけずランハートさんからお許しが出て、ランハートさんは少し苦しそうな表情をしながらもジャケットを脱ぎ、シャツを捲って、お腹を見せてくれた。
「うわっ!!! すごいっ!!!!」
僕の目の前に現れたのはシックスパックどころかエイトパックの鋼のように鍛えられた美しい腹筋だった。
まるで芸術品、そう、彫刻のようなその美体に僕は目が離せなかった。
僕のお腹と全然違うっ!!
こんなに綺麗な身体してるなら、そりゃあ、あんなぷよぷよ目の前にしたらガン見しちゃうよ。
あまりにも綺麗な腹筋に僕は触れたくなって、手を伸ばした。
「――っ! ひ、ヒジリ……」
ランハートさんの驚く声が耳に入ってきたけれど、僕の手はそれよりも前に触れてしまっていた。
「うわっ、硬っ!! すごっ!! 僕、こんなの初めてっ!!」
あまりにも綺麗な身体に僕はテンションが上がって、綺麗に割れた腹筋をなぞるようにペタペタと撫でていると
「ぐぅ――っ! う――っ!」
必死に我慢しているような声が聞こえる。
「あっ、ごめんなさい……くすぐったかったですか?」
「い、いや……大丈夫だ」
と言いながら、そそくさと捲っていたシャツを下ろすランハートさんを見て、
「あの、お詫びというかなんというか、ランハートさんも触ってみますか?
僕のぷにぷにですけど……珍しいかなと思って……」
と声をかけると、ランハートさんは『はっ?』と目を丸くして唖然としていた。
えっ? なんか変なこと言ったっけ?
僕だけ触ったのは不公平かと思って誘ってみたんだけど……やっぱりぷよぷよとか触りたくないかな。
そう思っていると、ランハートさんは真剣な眼差しを向けてきた。
「ヒジリ……本当にいいのか?」
「えっ? あ、はい。いいですよ。どうぞ」
改めて許可を求められると少し恥ずかしい気もするけど、僕も触らせてもらったし別に問題はない。
「うわっ――!」
急にランハートさんは突然僕の座っていた後ろに回り込み、僕を後ろから抱き抱えるように座った。
ランハートさんの大きな身体に包み込まれた途端、なんだか急に照れが襲ってきた。
だって、ランハートさんの匂いやら温もりやらがブワーッと僕を覆い尽くしてくるんだから、そりゃあ照れるよ。
てっきり僕みたいにお腹にペタペタって触って少し摘んでくるくらいだって思ってたのに。
こんなふうに抱き込まれるなんて聞いてないっ!
とはいえ、自分から触っていいと言った以上、今更ダメだともいえないし、それにそもそもお腹を触るときにはこういうふうに後ろから抱き抱えるものなのかも……わかんないけど。
「あ、あのランハートさん?」
「ヒジリの可愛いお腹に触らせてくれるのだろう?」
「ひゃ――っ」
耳元でそんなふうに囁かれたらおかしくなりそう。
「ふふっ。ヒジリは本当に可愛らしい」
ランハートさんの大きな手が僕のお腹を撫でていく。
えっ? でも、なんで?
ただ撫でているだけなのに、ランハートさんに撫でられるだけで身体がゾクゾクする。
なんか思ってたのと全然違うんだけどっ!!
「んんっ……んっ」
声が出そうになるのを必死に抑えていると、部屋の扉がトントントンと叩かれている音が微かに耳に入ってきた。
その音にランハートさんは『チッ』と小さく舌打ちをして、『ふぅ』と大きなため息を吐いた。
「ヒジリ、また夜にこの続きしてもいいだろうか?」
「ふぇっ……つ、続き……?」
「ああ、もっとヒジリの身体を触らせて欲しい。いいだろう?」
僕の身体に触れる?
またこんなふうに後ろから抱き込まれて?
身体がゾクゾクしておかしくなりそうなのに、このなんともいえない感覚が忘れられなくて、僕はランハートさんの言われるがままに『はい』と答えてしまっていた。
「ふふっ。じゃあ、ヒジリ……着替えようか」
さっきの出来事でぐったりとなってしまった僕をランハートさんは驚くほどの手際の良さで着替えさせていく。
あっという間に上下着替えさせられた僕は、寝室から出ていく時も来た時と同じようにランハートさんに抱きかかえられたままになっていた。
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