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家令 グレイグさんの能力
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「僕の名前は美坂聖。 あっ、名前が先かな。名前は聖です」
「ヒジリさまでございますね」
グレイグさんが頷きながら真剣に話を聞いてくれるので僕はできるだけ詳しくこれまでの経緯を話した。
「――、それで事故に遭って死んでしまったはずだったのに、気づいたら森で倒れていて……服が血まみれだったから事故に遭ったのは間違い無いと思うんですけど身体に傷もなくてもう訳がわからなくて……森を彷徨ってたらグレイグさんたちにお会いして……」
グレイグさんはふむふむと頷きながら『なるほど』と顎に手を当て考え始めた。
どうだろう? 信じてもらえてるかな?
ものすごく緊張してきちゃった。
「ヒジリさま。貴方さまのおっしゃることに嘘偽りはないようですね」
「えっ? どうしてわかるんですか?」
「ふふっ。実は私には人が嘘をついているかどうかすぐにわかるのです。
ヒジリさまの周りがキラキラと輝いていらっしゃいます。それは真実のみを話されている人にしか出せない光なのですよ」
「えっ……」
僕はキョロキョロと自分の周りを見回したけれど、そんな光は全くわからなかった。
でも彼が嘘をついているようには見えないから、きっとそんなすごい能力を持っている人なんだろう。
「グレイグさんってすごいんですね」
「いえいえ、私はそんな」
そう言って謙遜しながら照れているグレイグさんも素敵だと思った。
「ヒジリさま。こちらにお身内がいらっしゃらないのでしたら、どうぞこのお屋敷でお過ごしください」
「えっ? でも、いいんですか? 公爵さまにお伺いしなくて……」
「ほっほっほ。大丈夫でございますよ。旦那さまはお優しいお方ですので、お困りの方を放り出しては私が叱られます。ぜひこちらでお過ごしください」
「あ、ありがとうございます」
公爵さま……どんな人なんだろう。
この優しそうなグレイグさんがそんなに信頼している人なんだからきっとものすごく優しくて良い人なんだろうな。
「あの、僕……どこかで働きたいんですけど、どこか仕事先を紹介していただけませんか?」
「ヒジリさまが働かれるのですか?」
グレイグさんがものすごく驚いた表情で僕を見ている。
そんなにびっくりすること言ったっけ?
「ヒジリ、さま……失礼ですが、ご年齢はおいくつでいらっしゃいますか?」
「僕、22歳ですけど何か……?」
「はっ???」
「えっ?」
なんでそんなに驚くの?
「あ、あのヒジリさまのお住まいのところでは数の数え方が違うのでしょうか?」
というわけでいろいろ確認しあった結果、数字の数え方はここでも同じと言うことがわかった。
「本当に……22歳、なのですね……」
驚愕の表情で僕を見つめるグレイグさんを見て、僕は一体どんなふうに見えてるのか心配になってきた。
「あの、僕……そんなにおかしいですか?」
「えっ? いえ。そんなことはございません。ヒジリさまのお仕事先に関しては、旦那さまにお伺いしておきますのでしばらくお待ちくださいね」
「ありがとうございます!」
ここで働き口が見つかると思ったら嬉しくなった。
「ところで、ヒジリさまのお得意なことはなんでしょう?」
「得意なこと……」
そうだ、できることもわからないで仕事が欲しいも何もないもんな。
僕にできること……。
「向こうでは本屋さんで少しバイト……いえ、働いていたので、本を片付けたり事務仕事をしたりはできると思います。
それから……料理とかお菓子とか作るのは好きです。お菓子を開発する仕事に就きたいと勉強していたくらいには」
「ほお、ほお……なるほど。畏まりました。それではその旨、旦那さまにお伝えしておきます」
「はい。よろしくお願いします!」
そのままその部屋に住まわせてもらうことになり、僕の怒涛の1日は終わった。
「ヒジリさまでございますね」
グレイグさんが頷きながら真剣に話を聞いてくれるので僕はできるだけ詳しくこれまでの経緯を話した。
「――、それで事故に遭って死んでしまったはずだったのに、気づいたら森で倒れていて……服が血まみれだったから事故に遭ったのは間違い無いと思うんですけど身体に傷もなくてもう訳がわからなくて……森を彷徨ってたらグレイグさんたちにお会いして……」
グレイグさんはふむふむと頷きながら『なるほど』と顎に手を当て考え始めた。
どうだろう? 信じてもらえてるかな?
ものすごく緊張してきちゃった。
「ヒジリさま。貴方さまのおっしゃることに嘘偽りはないようですね」
「えっ? どうしてわかるんですか?」
「ふふっ。実は私には人が嘘をついているかどうかすぐにわかるのです。
ヒジリさまの周りがキラキラと輝いていらっしゃいます。それは真実のみを話されている人にしか出せない光なのですよ」
「えっ……」
僕はキョロキョロと自分の周りを見回したけれど、そんな光は全くわからなかった。
でも彼が嘘をついているようには見えないから、きっとそんなすごい能力を持っている人なんだろう。
「グレイグさんってすごいんですね」
「いえいえ、私はそんな」
そう言って謙遜しながら照れているグレイグさんも素敵だと思った。
「ヒジリさま。こちらにお身内がいらっしゃらないのでしたら、どうぞこのお屋敷でお過ごしください」
「えっ? でも、いいんですか? 公爵さまにお伺いしなくて……」
「ほっほっほ。大丈夫でございますよ。旦那さまはお優しいお方ですので、お困りの方を放り出しては私が叱られます。ぜひこちらでお過ごしください」
「あ、ありがとうございます」
公爵さま……どんな人なんだろう。
この優しそうなグレイグさんがそんなに信頼している人なんだからきっとものすごく優しくて良い人なんだろうな。
「あの、僕……どこかで働きたいんですけど、どこか仕事先を紹介していただけませんか?」
「ヒジリさまが働かれるのですか?」
グレイグさんがものすごく驚いた表情で僕を見ている。
そんなにびっくりすること言ったっけ?
「ヒジリ、さま……失礼ですが、ご年齢はおいくつでいらっしゃいますか?」
「僕、22歳ですけど何か……?」
「はっ???」
「えっ?」
なんでそんなに驚くの?
「あ、あのヒジリさまのお住まいのところでは数の数え方が違うのでしょうか?」
というわけでいろいろ確認しあった結果、数字の数え方はここでも同じと言うことがわかった。
「本当に……22歳、なのですね……」
驚愕の表情で僕を見つめるグレイグさんを見て、僕は一体どんなふうに見えてるのか心配になってきた。
「あの、僕……そんなにおかしいですか?」
「えっ? いえ。そんなことはございません。ヒジリさまのお仕事先に関しては、旦那さまにお伺いしておきますのでしばらくお待ちくださいね」
「ありがとうございます!」
ここで働き口が見つかると思ったら嬉しくなった。
「ところで、ヒジリさまのお得意なことはなんでしょう?」
「得意なこと……」
そうだ、できることもわからないで仕事が欲しいも何もないもんな。
僕にできること……。
「向こうでは本屋さんで少しバイト……いえ、働いていたので、本を片付けたり事務仕事をしたりはできると思います。
それから……料理とかお菓子とか作るのは好きです。お菓子を開発する仕事に就きたいと勉強していたくらいには」
「ほお、ほお……なるほど。畏まりました。それではその旨、旦那さまにお伝えしておきます」
「はい。よろしくお願いします!」
そのままその部屋に住まわせてもらうことになり、僕の怒涛の1日は終わった。
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