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みんなへの無茶振り
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「見てみてー! キリンさんだよー!」
一花の声にみんな駆け寄ってくる。
「わぁー、本当に首長ーい!!」
「あ、子どものキリンくんがいるよー」
「あの子、ハルヒくんっていうんだって~!」
柵の前に書かれた案内板を見て、真守くんがみんなに教えてあげている。
「えー、かわいいっ!!」
「みんなで名前呼んでみようか?」
「うん!」
嬉しそうに顔を見合わせると、一花の
「せぇーの!」
の掛け声に続いて
「「「「「ハルヒく~~んっ!!」」」」」
可愛い声が響く。
その声が聞こえたのか、母親のそばから離れなかった小さなキリンが一花たちの元に駆け寄ってくる。
「わぁー! ハルヒくんが、きてくれたー!!」
「僕たちの言葉がわかったのかな」
「きっとそうだよ!!」
可愛いキリンとの交流で、一花たちがはしゃいでいるのが可愛い。
周りで我々保護者はその様子をすっかりとスマホで撮影していた。
もちろん、志摩くんもしっかりとカメラマンに徹してくれていた。
一花はともかく知らない子ばかりの中に駆り出されて正直面倒だと思われても仕方がないのだが、仕事だと割り切っているのか、それとも一花たちの可愛い姿に癒されたのか、ずっと笑顔で写真を撮ってくれていた。
「一花、それにみんなにもここでクイズを出そう」
「えー、クイズ? なになに、楽しそう!!」
ふと思いついたクイズを出してみようと試みて声をあげてみると思いの外、子どもたちが食いついてくれて嬉しい。
「キリンの鳴き声はなんだと思う? 知っている子はいるかな?」
「えー、キリンの鳴き声? なんだろう? 弓弦くん、知ってる?」
「うーん、わからないな。真守くん知ってる?」
真守くんも知らないようで難しそうな表情をしながら首を横に振った。
ちょっと難しすぎたかと思ったとその時、
「僕、わかる!! キリンは牛さんと同じで『モー』って鳴くんだよ!!」
自信満々な大きな声が聞こえて視線を向けると、まさかの理央くん。
その声に観月くんも驚いていた。
「正解だ! よく知ってたね」
「少し前にりょうちゃんがくれた本に載ってたから……」
「そうか、偉いな」
私が褒めると一花たちも次々に理央くんに声をかける。
「理央くん、すっごーい!」
「ほんと、動物博士だね!」
みんなからも褒められてほんのり頬を赤らめながら理央くんは観月くんの元に向かった。
観月くんから頭を優しく撫でられてこの上なく嬉しそうな表情を見せていた。
ああ、観月くんも嬉しいだろうな、あれは。
「せいくん! 動物さんのクイズ、とっても面白いから他にもいっぱい出してー!」
「じゃあ、次の動物のところに行ったら、ここにいる保護者の誰かが出してくれるよ。なぁ、みんな」
私がエヴァンたちに視線を向けると、みんなは最初こそ
「えっ……」
と戸惑いの表情を見せていたが、子どもたちに期待いっぱいの目で見つめられて断ることもできず、みんな笑顔で頷いた。
「わぁーい!! じゃあ、次のところ行こう!」
子どもたちは嬉しそうに隣の場所に移動していく。
エヴァンたちに無茶振りをしてしまったが、みんな優秀な者たちだから小学一年生でもわかるくらいの動物クイズなど必ず出せるはずだ。
その期待通り、動物たちのところにつくたびに誰かがクイズを出していく。
その度に盛り上がり、一花たちは大満足のまま前半の動物エリアの見学を終えた。
そして、一花が楽しみにしていたあのゾーンがやってきた。
「ふ、れ、あ、い、ひろば。一花ちゃん、ここって何するの?」
「ここは、可愛いウサギちゃんを抱っこできるんだよー!」
「えー! 抱っこしたい! 抱っこしたい!!」
「みんなで行こー!」
一花の呼びかけにみんなやる気になっているが、空良くんだけは少し怖がっている様子。
こっそり悠木くんに聞いてみると、どうやら昔、猫に引っ掻かれたことがあるらしく、小さな動物が苦手になってしまったようだ。
「どうしたの? 空良くん」
「僕、ちょっと怖い……」
「怖い?」
「うん。一花ちゃんは怖くない?」
「大丈夫。ここのウサギちゃん、とっても可愛くて人懐っこいんだよ。ちょっとだけ一緒に行ってみる?」
「……うん、ちょっとだけ……」
空良くんはまだ少し不安げだったが、一花と手を繋ぎゆっくりとふれあい広場に入って行った。
その様子を悠木くんは静かに見守っているようだった。
一花の声にみんな駆け寄ってくる。
「わぁー、本当に首長ーい!!」
「あ、子どものキリンくんがいるよー」
「あの子、ハルヒくんっていうんだって~!」
柵の前に書かれた案内板を見て、真守くんがみんなに教えてあげている。
「えー、かわいいっ!!」
「みんなで名前呼んでみようか?」
「うん!」
嬉しそうに顔を見合わせると、一花の
「せぇーの!」
の掛け声に続いて
「「「「「ハルヒく~~んっ!!」」」」」
可愛い声が響く。
その声が聞こえたのか、母親のそばから離れなかった小さなキリンが一花たちの元に駆け寄ってくる。
「わぁー! ハルヒくんが、きてくれたー!!」
「僕たちの言葉がわかったのかな」
「きっとそうだよ!!」
可愛いキリンとの交流で、一花たちがはしゃいでいるのが可愛い。
周りで我々保護者はその様子をすっかりとスマホで撮影していた。
もちろん、志摩くんもしっかりとカメラマンに徹してくれていた。
一花はともかく知らない子ばかりの中に駆り出されて正直面倒だと思われても仕方がないのだが、仕事だと割り切っているのか、それとも一花たちの可愛い姿に癒されたのか、ずっと笑顔で写真を撮ってくれていた。
「一花、それにみんなにもここでクイズを出そう」
「えー、クイズ? なになに、楽しそう!!」
ふと思いついたクイズを出してみようと試みて声をあげてみると思いの外、子どもたちが食いついてくれて嬉しい。
「キリンの鳴き声はなんだと思う? 知っている子はいるかな?」
「えー、キリンの鳴き声? なんだろう? 弓弦くん、知ってる?」
「うーん、わからないな。真守くん知ってる?」
真守くんも知らないようで難しそうな表情をしながら首を横に振った。
ちょっと難しすぎたかと思ったとその時、
「僕、わかる!! キリンは牛さんと同じで『モー』って鳴くんだよ!!」
自信満々な大きな声が聞こえて視線を向けると、まさかの理央くん。
その声に観月くんも驚いていた。
「正解だ! よく知ってたね」
「少し前にりょうちゃんがくれた本に載ってたから……」
「そうか、偉いな」
私が褒めると一花たちも次々に理央くんに声をかける。
「理央くん、すっごーい!」
「ほんと、動物博士だね!」
みんなからも褒められてほんのり頬を赤らめながら理央くんは観月くんの元に向かった。
観月くんから頭を優しく撫でられてこの上なく嬉しそうな表情を見せていた。
ああ、観月くんも嬉しいだろうな、あれは。
「せいくん! 動物さんのクイズ、とっても面白いから他にもいっぱい出してー!」
「じゃあ、次の動物のところに行ったら、ここにいる保護者の誰かが出してくれるよ。なぁ、みんな」
私がエヴァンたちに視線を向けると、みんなは最初こそ
「えっ……」
と戸惑いの表情を見せていたが、子どもたちに期待いっぱいの目で見つめられて断ることもできず、みんな笑顔で頷いた。
「わぁーい!! じゃあ、次のところ行こう!」
子どもたちは嬉しそうに隣の場所に移動していく。
エヴァンたちに無茶振りをしてしまったが、みんな優秀な者たちだから小学一年生でもわかるくらいの動物クイズなど必ず出せるはずだ。
その期待通り、動物たちのところにつくたびに誰かがクイズを出していく。
その度に盛り上がり、一花たちは大満足のまま前半の動物エリアの見学を終えた。
そして、一花が楽しみにしていたあのゾーンがやってきた。
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「怖い?」
「うん。一花ちゃんは怖くない?」
「大丈夫。ここのウサギちゃん、とっても可愛くて人懐っこいんだよ。ちょっとだけ一緒に行ってみる?」
「……うん、ちょっとだけ……」
空良くんはまだ少し不安げだったが、一花と手を繋ぎゆっくりとふれあい広場に入って行った。
その様子を悠木くんは静かに見守っているようだった。
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