溺愛されまくりの会長令息が財閥イケメンスパダリ御曹司に見初められました

波木真帆

文字の大きさ
上 下
32 / 37

自己紹介

しおりを挟む
「おはようございます」

「おはようございます。今日はどうぞよろしくお願いします」

笑顔で乗り込んでくる真守くんの母上は真守くんによく似ていて可愛らしい。
とても若く見えるから年の離れた姉と言っても納得してしまうほどだ。

我々の中に座っていただくのも気が引けて、一花たちのところに一緒に座ってもらうことにした。
すぐに一花たちとも打ち解けて楽しそうにおしゃべりをしている。さすが母親だな。

真守くんの伯父上には私たちのところに座ってもらった。
自分の父親と同じくらいの伯父上の存在に少し緊張感が走ったが

「こんな若者たちの中にいきなりおじさんが入って緊張させて申し訳ないな。だが、今日は同じ保護者として遠慮なく過ごしてほしい。よろしく頼むよ」

私たちの緊張を察して笑顔で話しかけてくれる伯父上にホッとした。

「はい。こちらこそよろしくお願いします。じゃあ、全員揃ったのでお互いに自己紹介でもしましょうか」

「そうだな。じゃあ最年長の私からさせてもらうとしよう」

私の提案にすぐに伯父上は乗ってくれた。

「私は和倉わくらあきら。真守の母の雪乃の兄で今は、イギリスで古美術商をしているよ。ちょうど日本への買い付け時期とこの遠足が被ったから真守の父の智春くんの代わりに参加させてもらったんだ。若い君たちと知り合えて嬉しいよ。こうして知り合えた縁だ。明と呼んでくれたらいい」

「ありがとうございます、明さん。イギリスで古美術商ですか。それはすごいですね。日本のものは海外でもかなり人気だと聞きますよ」

「ああ。イギリスだけじゃなくヨーロッパ全土で日本のものは人気があるよ。だからこそ目利きが必要になってくるけどね」

「あ、あの……イギリスで古美術商ということは、もしかしてグランヴィエ家とも関わりが?」

エヴァンが少し驚いた様子で尋ねると、明さんは笑顔を見せた。

「グランヴィエは私の大きな取引先の一つだよ。特に次期総帥のセオドアさまは大の日本贔屓でね、私の商品を気に入ってくださっているよ。もしかして知り合いかな?」

「はい。グランヴィエ家と我がロレーヌ家は古くから親交があります。次期総帥のセオドアとは同じ立場にいるもの同士、顔を合わせることも多いですよ」

「ロレーヌ家の次期総帥……ああ、そうか。君は真守が言っていた弓弦くんの……」

「はい。エヴァン・ロレーヌです。ユヅルがマモルとイチカと一緒の小学校に通いたいというので、日本に移り住みました。今は桜城大学の学生です」

「君の噂はセオドアさまからよく伺っているよ。いつかフランスに行くことがあれば挨拶をしたいと思っていたがまさかこここで会えるとは……エヴァンさまとお呼びしたほうがよろしいですか?」

「そんな……っ、ここでは同じ保護者同士。そう仰ったでしょう? エヴァンと呼んでください」

エヴァンの言葉に明さんは笑顔を見せた。

「ありがとう。それではエヴァンと呼ばせてもらうよ」

車内に和やかな空気が流れたところで、観月くんと悠木くんが自己紹介をした。

「法学部に医学部か、二人とも優秀だな。私も桜城大学の卒業生だからみんな後輩だ。私の場合は経済学部だから君たちほど優秀ではないがね」

「そんなことはないですよ。うちの経済学部は卒論が群を抜いて難しくて留年も多いと聞きますよ」

「ああ、それは確かにあるかもしれないな。志良堂教授も鳴宮教授も手抜きは一切認めないからね。だがその分、認められた人たちの卒業後は素晴らしいものばかりだよ」

さっき話に出ていた倉橋先輩もその経済学部出身で、志良堂教授から実力を認められていたというから確かにその通りだろうな。明さんもきっと志良堂ゼミで優秀な成績を誇っていたことだろう。

そして、最後に私が自己紹介をした。

「貴船征哉です。桜城大学の医学部を昨年卒業して、今年から父の後を継ぐべく貴船コンツェルンで仕事を始めました」

「んっ? 昨年卒業して、今年から仕事を? 去年一年は留学でもしていたのかな?」

「司法修習に行っていたんです。大きな会社の後継として法律の知識もあった方がいいかと思って在学中に司法試験を受けて合格したので」

「医学部に通いながら司法試験にも? それは素晴らしいな。何人かダブルライセンスの話は聞いていたが、まさか貴船くんもそうとは思わなかったよ。そんなに優秀なら貴船コンツェルンも安泰だな」

真っ直ぐに褒められて照れ臭かったが、嬉しくないわけはない。

お互い自己紹介も終わったところでようやく今日の目的地である動物園に到着した。



  *   *   *

次回からようやく遠足開始です。
どうぞお楽しみに♡
しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話

雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。  諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。  実は翔には諒平に隠している事実があり——。 諒平(20)攻め。大学生。 翔(20) 受け。大学生。 慶介(21)翔と同じサークルの友人。

お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして

みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。 きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。 私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。 だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。 なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて? 全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです! ※「小説家になろう」様にも掲載しています。

処理中です...