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それぞれの選定方法・ロレーヌ家と高原家の場合
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*同伴者選定・ロレーヌ家の場合
<side ジュール>
『パピー! 聞いて、聞いて!』
いつもお元気なユヅルさまだが、今日はさらに輪をかけてご機嫌なご様子。きっと学校で何かいいことでもあったのだろう。そう思いながら尋ねてみた。
『ユヅルさま。ご機嫌でいらっしゃいますね。いかがされましたか?』
『あのね、今度遠足で動物園に行くんだよー!』
遠足はフランスの小、中学校でも定期的に開催されている。そのほとんどは美術館に行って歴史的な芸術に触れたり、体験型の遠足では乗馬やマリンスポーツ、スキーに行くこともある。
『それは楽しみですね』
『うん! お弁当を持って行ってみんなでお外で食べるんだって! おやつも持って行っていいからみんなで交換するんだー!』
想像するだけで楽しそうな光景が広がっている。こんなに楽しそうにお話しされるのをみていると、ユヅルさまがこの小学校に行くことができてよかったと思う。
『あのね、このお手紙に遠足のことが書いてあるからお家の人に読んでもらってくださいって茉莉先生が言ってたよ』
『ちゃんとお伝えできてユヅルさまはえらいですね。それではお屋敷に戻りましたらエヴァンさまに読んでいただきましょうね』
『うん! ねぇ、パピー。今日のおやつはなぁに?』
無事に遠足の話ができたとあってホッとしたようにおやつの話題に変わるユヅルさまが可愛らしい。
『今日はユヅルさまのお好きなマカロンをご用意しておりますよ』
『やったー! マカロン、マカロン!』
座ったままジャンプでもしそうなほど喜んでいらっしゃるユヅルさまを微笑ましく思いながら屋敷に到着した。
ユヅルさまにおやつを準備した後でエヴァンさまがお帰りになったので、学校からのお手紙を読んでいただく。
日本語で書かれた文章を私も早く読めるようにならなければな。
『ジュール。遠足には保護者同伴が必須だそうだ』
『それはフランスと同じでございますね』
『ああ、この安全な日本でもかなり安全面に配慮してくれている学校のようだな。私たちとしては有り難い限りだよ』
『そうでございますね。ユヅルさまに万が一のことでもあれば大変なことですから』
『そうだな。同伴者は二名までとなっているから私とジュールでいいだろう。それ以外に決められたグループで集まって行動することと記載があるが、あのセイヤとミヅキ、それにユウキも同じグループだ。彼らなら一緒で助かるな』
『はい。あのお方ならユヅルさまも仲良しのお友達が一緒ですし喜ばれますね』
『動物園までは現地集合のようだから我が家が車を出すとしよう。ジョルジュとリュカを運転手と護衛に呼び寄せようか』
『それは素晴らしいアイディアでございますが、同行者は二名まででございますよ」
「それなら私が学校側と交渉するから問題ない』
エヴァンさまはすぐに桜守学園に連絡を入れ、フランスでロレーヌ家専属警備隊をしている二人の同行を認めさせた。名目上は運転手とお世話係という立ち位置だそうだが、彼らが一緒なら警備においても安心だ。
というわけでエヴァンさまはすぐに警備隊に連絡を入れ、遠足前日までに日本に入国するように指示を出された。これでユヅルさまの初めての遠足は楽しいものになりそうだ。私はその日のお弁当をしっかりとシェフと話し合っておくことにしよう。
*同伴者選定・高原家の場合
<side雪乃>
「ママ、あのね! 聞いて!」
初等部の真守と高等部の一帆を迎えに行って、自宅に戻り三人でおやつを食べ始めたところで、真守が嬉しそうに話しかけてきた。
「あら、何かいいことでもあったのかしら?」
「あのね、今度遠足があるんだ。みんなで動物園に行くんだって」
「ああ、そうね。そういえば遠足はこの時期だったわね。いつだって言ってた?」
「えっと……⚪︎日だって」
その日にちに聞き覚えがあってスマホのスケジュールアプリで確認すると、その日は残念なことに株主総会の日。いくら真守の初めての遠足で保護者同伴が必須だとされていても、それを欠席するわけにはいかない。
でも私だけがついていくと言ったら智春さんは心配するでしょうね。どうしようかしら……。
悩んでいると真守が学校からのお手紙を渡してくれた。そこには遠足についての詳細が書かれていた。同行する保護者は児童一人につき、二名まで。五人一組のグループで行動……。それなら、他の子達はきっと二名で来るはずだわ。うーん、どうしましょう。
「ママ。パパ、その日お仕事なんでしょう? 前にその日は大事な日だってパパが言ってたよ。心配なら僕が学校を休んで一緒についていくから安心して!」
「一帆……ありがとう。どうしてもの時は一帆に頼むわ」
一帆は優秀だから一日くらい休んでも授業についていけなくなることはなりそうだけど、流石に遠足でお休みさせるのも忍びない。とにかく智春さんが帰ってきたら相談しよう。
そして夜、二人が寝た後で私は学校からの手紙を見せながら伝えた。
「うーん、雪乃と真守だけで行かせるのは心配だな。かといって一帆も連れていくのも危ないな」
可愛い二人が危険に晒されるようなことはないとは思うけれど、万が一のことを考えると心配になるのも当然だ。
「あの、それでちょっと思ったんだけど、兄にお願いするのはどうかしら?」
「えっ? 明さんに?」
「ええ。ちょうど近々買い付けで日本に来るって言ってたし、日程を調整してもらって一緒に遠足に行ってもらったらどうかしら?」
「明さんがついて行ってくれるならそれは安心だが……」
「それならすぐに聞いてみるわ!」
電話をかけると、午後を過ぎたばかりだったからかすぐに電話をとってくれた。今回の経緯を伝えると喜んでOKしてくれて、当日一緒に参加してもらえることになった。
これで真守も喜ぶわ。当日が楽しみね。
<side ジュール>
『パピー! 聞いて、聞いて!』
いつもお元気なユヅルさまだが、今日はさらに輪をかけてご機嫌なご様子。きっと学校で何かいいことでもあったのだろう。そう思いながら尋ねてみた。
『ユヅルさま。ご機嫌でいらっしゃいますね。いかがされましたか?』
『あのね、今度遠足で動物園に行くんだよー!』
遠足はフランスの小、中学校でも定期的に開催されている。そのほとんどは美術館に行って歴史的な芸術に触れたり、体験型の遠足では乗馬やマリンスポーツ、スキーに行くこともある。
『それは楽しみですね』
『うん! お弁当を持って行ってみんなでお外で食べるんだって! おやつも持って行っていいからみんなで交換するんだー!』
想像するだけで楽しそうな光景が広がっている。こんなに楽しそうにお話しされるのをみていると、ユヅルさまがこの小学校に行くことができてよかったと思う。
『あのね、このお手紙に遠足のことが書いてあるからお家の人に読んでもらってくださいって茉莉先生が言ってたよ』
『ちゃんとお伝えできてユヅルさまはえらいですね。それではお屋敷に戻りましたらエヴァンさまに読んでいただきましょうね』
『うん! ねぇ、パピー。今日のおやつはなぁに?』
無事に遠足の話ができたとあってホッとしたようにおやつの話題に変わるユヅルさまが可愛らしい。
『今日はユヅルさまのお好きなマカロンをご用意しておりますよ』
『やったー! マカロン、マカロン!』
座ったままジャンプでもしそうなほど喜んでいらっしゃるユヅルさまを微笑ましく思いながら屋敷に到着した。
ユヅルさまにおやつを準備した後でエヴァンさまがお帰りになったので、学校からのお手紙を読んでいただく。
日本語で書かれた文章を私も早く読めるようにならなければな。
『ジュール。遠足には保護者同伴が必須だそうだ』
『それはフランスと同じでございますね』
『ああ、この安全な日本でもかなり安全面に配慮してくれている学校のようだな。私たちとしては有り難い限りだよ』
『そうでございますね。ユヅルさまに万が一のことでもあれば大変なことですから』
『そうだな。同伴者は二名までとなっているから私とジュールでいいだろう。それ以外に決められたグループで集まって行動することと記載があるが、あのセイヤとミヅキ、それにユウキも同じグループだ。彼らなら一緒で助かるな』
『はい。あのお方ならユヅルさまも仲良しのお友達が一緒ですし喜ばれますね』
『動物園までは現地集合のようだから我が家が車を出すとしよう。ジョルジュとリュカを運転手と護衛に呼び寄せようか』
『それは素晴らしいアイディアでございますが、同行者は二名まででございますよ」
「それなら私が学校側と交渉するから問題ない』
エヴァンさまはすぐに桜守学園に連絡を入れ、フランスでロレーヌ家専属警備隊をしている二人の同行を認めさせた。名目上は運転手とお世話係という立ち位置だそうだが、彼らが一緒なら警備においても安心だ。
というわけでエヴァンさまはすぐに警備隊に連絡を入れ、遠足前日までに日本に入国するように指示を出された。これでユヅルさまの初めての遠足は楽しいものになりそうだ。私はその日のお弁当をしっかりとシェフと話し合っておくことにしよう。
*同伴者選定・高原家の場合
<side雪乃>
「ママ、あのね! 聞いて!」
初等部の真守と高等部の一帆を迎えに行って、自宅に戻り三人でおやつを食べ始めたところで、真守が嬉しそうに話しかけてきた。
「あら、何かいいことでもあったのかしら?」
「あのね、今度遠足があるんだ。みんなで動物園に行くんだって」
「ああ、そうね。そういえば遠足はこの時期だったわね。いつだって言ってた?」
「えっと……⚪︎日だって」
その日にちに聞き覚えがあってスマホのスケジュールアプリで確認すると、その日は残念なことに株主総会の日。いくら真守の初めての遠足で保護者同伴が必須だとされていても、それを欠席するわけにはいかない。
でも私だけがついていくと言ったら智春さんは心配するでしょうね。どうしようかしら……。
悩んでいると真守が学校からのお手紙を渡してくれた。そこには遠足についての詳細が書かれていた。同行する保護者は児童一人につき、二名まで。五人一組のグループで行動……。それなら、他の子達はきっと二名で来るはずだわ。うーん、どうしましょう。
「ママ。パパ、その日お仕事なんでしょう? 前にその日は大事な日だってパパが言ってたよ。心配なら僕が学校を休んで一緒についていくから安心して!」
「一帆……ありがとう。どうしてもの時は一帆に頼むわ」
一帆は優秀だから一日くらい休んでも授業についていけなくなることはなりそうだけど、流石に遠足でお休みさせるのも忍びない。とにかく智春さんが帰ってきたら相談しよう。
そして夜、二人が寝た後で私は学校からの手紙を見せながら伝えた。
「うーん、雪乃と真守だけで行かせるのは心配だな。かといって一帆も連れていくのも危ないな」
可愛い二人が危険に晒されるようなことはないとは思うけれど、万が一のことを考えると心配になるのも当然だ。
「あの、それでちょっと思ったんだけど、兄にお願いするのはどうかしら?」
「えっ? 明さんに?」
「ええ。ちょうど近々買い付けで日本に来るって言ってたし、日程を調整してもらって一緒に遠足に行ってもらったらどうかしら?」
「明さんがついて行ってくれるならそれは安心だが……」
「それならすぐに聞いてみるわ!」
電話をかけると、午後を過ぎたばかりだったからかすぐに電話をとってくれた。今回の経緯を伝えると喜んでOKしてくれて、当日一緒に参加してもらえることになった。
これで真守も喜ぶわ。当日が楽しみね。
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