溺愛されまくりの会長令息が財閥イケメンスパダリ御曹司に見初められました

波木真帆

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お祝いの席

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「あっ、理央くん!」

一花が振り向くと、観月くんに抱きかかえられた理央くんと、その後ろにご両親がいた。

「理央くんたちもここでお食事なの?」

「うん。そうなんだって! 僕、ここで食べるの初めてだけど、りょうちゃんがすっごく楽しいことがあるよって教えてくれたから楽しみなんだ」

「わっ、僕もだよ!! 中に入ってからのお楽しみなんだって!」

「ふふっ。楽しみだね」

一花と理央くんが楽しそうに話をしていたからだろう。観月くんはそっと腕から理央くんを下ろした。
一瞬寂しそうな表情を見せた理央くんだったが、

「一花くんと手を繋ぐといい」

と言われて嬉しそうに一花の隣にやってきた。

「理央も一花くんと会えて嬉しそうですし、よければご一緒しませんか?」

観月くんの父が、私の父たちに声をかける。家族でのお祝いもいいが、こんなに楽しそうにしている二人を愛でたいという気持ちもあるのだろう。

「ええ。そうしましょう。ねぇ、櫻葉さん」

「はい。一花の可愛いお友だちとそのご家族と仲良くできるなら嬉しいですよ」

「じゃあ、広い部屋に変えてもらうように声をかけてきますね」

観月くんの父が店に先に行って声をかける。どうやら父たちと同じく、ここの常連のようだ。

しばらく店先で待っていたが、その間も一花と理央くんは飽きることなく楽しそうに話をしている。そこに私の母と麻友子さん、それに観月くんの母君も加わって楽しそうだ。
本当に母は一花と会うたびに可愛い、可愛いと話しているし、実の息子である私よりも可愛がっているのはわかる。別にそれに嫉妬するなんて感情は全くなく、一花のことを可愛がってくれるのは嬉しい以外の何ものでもない。ただ、一花が私のものだということだけは理解していて欲しいものだ。

「母が一緒だといつも理央を取られて困っていたんですが、貴船先輩のところも同じような感じですね」

「ああ。私の母もあの通り、一花にメロメロだからな。一花を可愛がってくれるのは嬉しいが、なかなか戻ってこないから取り返しに行くのが大変だよ」

「ははっ。貴船先輩も同じなんですね。ものすごく親近感が湧きます」

やはり同じか。まぁ、もう少し大きくなるまではみんなで可愛がって育てていく今の現状が一番いいのだろうな。

そんな話をしていると観月くんの父が店員と一緒に出てきた。

「お部屋のご準備が整いました。どうぞお入りください」

その呼びかけに一花と理央くんはすぐに反応して、私と観月くんの元に駆け寄ってきた。

「せいくん、一緒に入ろう」 「ああ、行こうか」

「りょうちゃん、行こう!」 「よし、行こう」

可愛い姫たちを抱きあげると、私たちの後ろから

「あらあら、やっぱり征哉がいいのね」

「本当、凌也に取られちゃったわ」

という母と観月くんの母君の声が聞こえる。
私と観月くんはお互いに顔を見合わせながら、店の中に入った。

店の中は暗く落ち着いた照明で、一花は少し怖かったのか、私にギュッと抱きついてきた。

「せいくん、怖くない?」

「大丈夫だよ。さぁ、部屋に行こう」

同じように少し怖がっているらしい理央くんに優しい声をかけている観月くんの様子を微笑ましく思いながら、案内された部屋に入ると、部屋に入った途端、

「わぁーっ!! すごいっ!! きれいっ!!」

という嬉しそうな一花の声が響いた。

「わぁーっ、本当だ! きれいーっ!!」

理央くんも気に入ったみたいだな。ここはアクアリウムレストラン。
個室の壁に水槽が埋め込まれ、色鮮やかな熱帯魚が泳いでいて見ていて癒される。

「ねぇねぇ、せいくん。このお魚さん、本物?」

「ああ、そうだよ。沖縄や南の島に住んでいる魚たちだよ」

「すごーい!!」

「ほら、一花と理央くんは主役だから、水槽から一番近い場所に座るといい」

「わぁー、パパ。ありがとう! 大好きっ!!」

一花が嬉しそうに声をあげると、櫻葉会長はこの上なく幸せそうな表情を見せていた。

私たち四人が座る向かいに、私の母と麻友子さん、そして観月くんの母君が並んで座り、父と櫻葉会長、そして観月くんの父は三人でかたまって座っていた。これが一番しっくりくる座り方なのだろう。
いや、本当は私と観月くんも父たちの方に入るべきだが、最初くらいは一花のそばにいさせてもらおうか。

父と櫻葉会長がすでに料理を頼んでいたように観月家も料理は頼んでいたようで、次々に料理が運ばれてくる。

「わぁ、一花の可愛いお子様ランチだ! あっ、理央くんのもお揃いだね!」

「一花ちゃんとお揃い!! 嬉しい!!」

「このお子様ランチには食後にプリンかバニラアイスのどちらかがデザートに選べるのよ」

そんな母の言葉に一花が困った顔で理央くんに尋ねる。

「ええー、理央くん。どっちにする?」

「うーん、難しいね」

「ねぇ、じゃあどっちも頼んで、半分ずっこしようか?」

「半分ずっこ?」

「うん。プリンも半分、アイスも半分」

「わぁ、それ楽しそう!!」

理央くんは一花の提案に嬉しそうに目を輝かせた。

「理央くんは半分は初めてなのか?」

「いえ、きっと半分ずっこという言い方を初めて聞いたからかもしれません」

「ああ、なるほど。そういうことか。一花は昔間違えて覚えたままなんだ。可愛いからそのままにしておいたんだが」

「そのままでいいと思いますよ。間違いではないですし」

「そうか。それならそうしよう」

私と観月くんが話している間もずっと一花と理央くんは嬉しそうに目の前のお子様ランチについておしゃべりが止まらない様子だった。
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