溺愛されまくりの会長令息が財閥イケメンスパダリ御曹司に見初められました

波木真帆

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僕たちの教室

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ただただ可愛いだけが出てくるお話。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *



<side一花>

「ねぇ、一花ちゃん、どこまで行くの?」

そっか、理央くんは初等部からだから聞いてないんだろうな。
僕は幼稚園の卒園式の日に、入学式の流れを教えてもらったんだよね。

「理央くん、ほら見える? あそこに先生が座ってるでしょう? あそこでお名前言ったら自分のクラスを教えてもらえるんだよ」

「お名前いうんだぁ……わぁ、ドキドキする」

「ふふっ。大丈夫、僕も一緒だからね。行こう!」

理央くんの手を握ったまま、先生のところに行き、

「おはようございます!」

と声をかけると、先生たちが笑顔でこっちを見てくれた。

「はい。おはようございます。お名前をお願いします」

「はい。櫻葉一花です」

「櫻葉一花さん、あなたは一組よ」

「わぁーい!」

渡された名札は、桜守の色・ピンク。
初等部は成績順にクラスが分かれていて、一組はピンク。二組はオレンジ。三組は黄色。そして四組は青色の名札をつけることになっている。
今日はピンク色の上着を着ているからあまり目立たないけれど、とっても可愛い名札なんだ。

「一花ちゃんの、ピンク可愛い」

「ふふっ。今度は理央くんの番だよ」

「うん。頑張る!」

理央くんは、少し緊張しながら先生たちの前に立って

「あの……おはようございます」

とちゃんとご挨拶できた。

「はい。おはようございます。お名前をお願いします」

「はい。観月理央です」

「観月理央さん。あなたも一組ね」

「わぁー、一花ちゃんと一緒だ!! 見てみて!!」

理央くんは、渡されたピンクの名札を嬉しそうに受け取って僕に見せてくれた。

「わぁー! よかった! 同じクラス嬉しい!!」

名札は挟むだけの簡単なものだからお互いに付け合って、教えてもらった教室に向かった。

「理央くん、ここが僕たちのクラスだよ。机に名前が書いてあるからそこに座るからね」

「うん」

少し緊張している理央くんと手を繋いだまま、教室に入ると

「一花ちゃんっ!!」

と僕を呼ぶ懐かしい声が聞こえた。

「えっ?」

びっくりして振り向くとそこには、懐かしいお友達の姿があった。

「――っ、弓弦くん!! どうして? フランスに行ったのに!!」

「ふふっ。一花ちゃんたちと同じ小学校に行きたいってパパとママとおじいちゃまにお願いしたんだ! そうしたらね、エヴァンが一緒に日本についていってくれるならいいって許してくれたんだよ」

「本当? じゃあ、ずっと一緒に通えるの?」

「うん、とりあえず小学校の間はずっと通えるよ。中学校からはまたその時考えるって」

「そっか、でも小学校の間だけでも弓弦くんと一緒に通えるの嬉しい!!」

「うん! 僕も!!」

弓弦くんのパパはヴァイオリニストで、日本で半年間家族で過ごしている間、桜守幼稚園に通っていたんだ。
仲良しだったから、パパたちとフランスに帰っちゃうことになってすっごく寂しかった。
また会えるからって言っていたけど、まさか、ここで会えるなんて思ってもなかった。

僕たちが手を両手を繋いで二人でぴょんぴょんとその場で飛び跳ねていると、

「一花ちゃん……」

と不安そうな理央くんの声が聞こえてきた。

「あっ、理央くん。ごめんね」

「ううん。知ってるお友達?」

「うん、そうなんだ。幼稚園で仲良しだったんだ。途中でお引越ししちゃったんだけど、小学校戻ってきてくれたんだって。ねぇ、弓弦くん。この子はね、理央くん。初等部からのお友達だよ。さっきお友達になったんだ」

「そっか、理央くん。僕、弓弦だよ。よろしくね」

弓弦くんが差し出した手に理央くんはそっと乗せた。

「理央だよ、弓弦くん。よろしくね」

「ふふっ。理央くん、すっごく可愛い!! 僕たち、もうお友達だね」

「――っ、うん! お友達!!」

理央くんは花がぱあっと咲いたように嬉しそうに笑っていた。

「これから他にもお友達がいっぱいくるから、いっぱいお友達できるよ。あのお歌みたいに今日でお友達100人できちゃうかもね」

「わぁっ! それ、すごーいっ!!」

「ふふっ。一花ちゃん、理央くんって本当に可愛いね」

「うん、僕もそう思ってた」

「同じクラスでよかったね」

「うん! 本当によかった」

「ねぇ、幼稚園の他のお友達も来る?」

「うん。もしかしたらクラスは違うかもだけど、同じ学校にいるよ」

「そっか。みんなに会えるの楽しみだな」

弓弦くんは、少しの間離れていたから余計に楽しみだろうな。

多分、もうそろそろあの子が来る頃なんだけどなぁ……。
待ち遠しくてたまらないな。
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