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一花のおねだり

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先に言っておきますが、征哉は小学生の一花を可愛いと思っていても決して手は出しません!
欲に駆られて……なんてことはしませんのでその点はご安心ください(笑)
IFの一花が可愛くて仕方ないので、皆様も楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *


「ねぇ、せいくん。一花、今度入学式なんだよ!」

我が家で夕食を食べながら、一花がそんな話を切り出した。

「ああ、そうか。楽しみだな。どこの学校に入るんだ?」

桜守さくらのもりだよー」

「えっ? それはすごいな」

「一花は幼稚部から入っていてね、初等部にも一番で合格したんだよ」

櫻葉会長が得意げな表情を見せるのも当然だ。

桜守は幼稚部から大学まである国内屈指の名門校で、幼稚部、初等部は男女共学となっているが、中等部からは男子校、女子校に分かれ、建物も全く違う場所に移り交流は一切なく、大学でまた共学となっている。

幼稚部に入るのにも試験があり、かなりの狭き門を突破しなければ入学はできない。
しかも入学金は300万とも500万とも言われ、頭の良さだけでは入学できない現実がある。

また幼稚部から初等部、初等部から中等部などエスカレーターで誰しもが上がれるわけではなく、ある一定の学力をクリアしなければ上の学年に上がることはできない。

一花は幼稚部から初等部に上がる試験で首席で入学を果たしたということだから、櫻葉会長のあの表情にも納得だ。

小さな子どもにそんなにも厳しい試練を与えてまで親たちが桜守に行かせる理由はただ一つ。
セキュリティがしっかりしていることだ。

入学する子どもたちの成績はもちろん、親の財力、そして、子どもたちに害を及ぼすものがいないかを徹底的に調査され、少しでも不安要素がある場合には、どれだけ優秀でも不合格となる。
そのため、親たちは安心して子どもたちを通わせることができるのだ。

櫻葉会長が一花を桜守に行かせたかった理由はよくわかる。
一花ほど可愛ければ自分の目の届かない学校生活が心配で仕方がない。
その安心をお金で買えると思えば安いものだし、学校への送迎も義務付けられているから、一花が変な輩の目に留まることがないのは何よりも安心だ。
一花の学力とも相まって素晴らしい学校に入学できたものだ。

私の場合は両親がそこまで私のことを心配していなかったということもあるが、将来のために世間を知っておいた方がいいという教育方針のもと、普通に公立の小学校、中学校を経て、高校は儁秀しゅんしゅう高校に入学し、大学は桜城大学に進んだ。

学校生活ではそれなりに楽しい思い出もなくはないが、やはり何の興味もない者たちからの告白やアプローチなどが後をたたず、面倒なことがあったから、一花がそんな思いをせずに済むというのは私としても安心だ。

「一花ね、かっこいいランドセルを買ってもらったんだ! パパが一花の希望通りに頼んでくれたの!!」

桜守は制服こそあるが、ランドセルは自由らしい。

「そうか、そんなにかっこいいなら見てみたいな」

「ふふっ。せいくんにも見せてあげる!! ねぇ、せいくんも入学式に見にきてー!!」

「えっ? 私も?」

「うん! ねっ、パパいいよね? 一花、みんなに入学式見てほしい!!」

「でも征哉くんは仕事があるからな、難しいかもしれないぞ」

「ええー、だめぇ? 一花、みんなの前でご挨拶するんだよ! それ、せいくんにも見てほしいの!」

「一花、入学式はいつなのかな?」

「うーんとね、十日だよ」

「それなら行けるよ。櫻葉会長、私も行ってよろしいですか?」

「征哉くんが大丈夫なら問題はないよ。だが、本当にいいのか?」

「はい。その日は元々休みになっていますので大丈夫です」

「わぁー!! 嬉しい!! せいくん、約束だよ!!」

「ああ、約束だ」

一花が小さな小指を絡めてくる。
ふふっ。本当に可愛い。


「一花、せいくんと一緒にお風呂に入る!」

「「「えっ?」」」

夕食後、我が家の執事・牧田にお風呂をどうぞと促された一花の突然の言葉に、私も父も、そして櫻葉会長も驚きの声を上げた。

「一花、流石にそれは……いつものように私と一緒に入ろう」

「ええー、だってここはせいくんのお家だよ。だから、一花はせいくんと一緒に入る! パパは貴船のおじちゃまと一緒に入ったらいいよ。そうしたら寂しくないでしょう?」

「「「えっ……」」」

いや、それは……。
私は一花と一緒に入れるのは嬉しいが、父と櫻葉会長が一緒に……?
我が家の広い風呂なら入れなくはないが、それは見たくないかもしれない。

「ねっ、せいくん。一緒に入ろう!」

「櫻葉会長……よろしいですか?」

「うぅ……っ、仕方ないな。征哉くん、一花は任せるがくれぐれも・・・・・頼むぞ!!」

「わかりました」

そう言いつつも、一花の前で裸になる。
一花の裸を見ることよりも、そっちの方が心配で仕方がなかった。
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