12 / 135
幸せな夜
しおりを挟む前話の最初の部分の話が抜けていたので加筆修正しています。
読んでおられない方はそちらからお読みください。
✳︎ ✳︎ ✳︎
洗い物を終えた頃、晴がタオルで髪をわしゃわしゃと拭きながらお風呂から出てきた。
ああ、どんな仕草も全てが可愛いな。
今日は俺の部屋着を寝巻きに出しておいたが、俺の服を着ている晴の姿にそそられる。
袖から出ている指先、萌え袖が可愛すぎる!
そして、お風呂上がりの火照った頬がほんのりピンク色で色っぽくて目が離せない。
ああ、天使がここにいる。
うーん、全てが目の毒だな。
「あっ、晴、髪を乾かしてあげるよ。ここにおいで」
「え、でも」
さっき揶揄ったのを思い出したのか、真っ赤な顔で戸惑っている。
「いいから、遠慮しないで」
リビングに用意しておいたドライヤーを取り、有無を言わせず、ソファーに座っていた俺の足の間に座らせた。
普段サラサラの髪が濡れてしっとりとしていて艶めかしい。
俺と同じシャンプーの香りをさせているのがたまらない。
ああ、ずっと嗅いでいたいな。
俺の大きな手で髪を梳かしながらほぐすように乾かしていると、晴は気持ちよさそうに俺に身を委ねてくれた。
このまま、早く全てを委ねてくれるようになるといい。
「晴の髪の色は茶色がかって綺麗だな。これは地毛だろ?」
「そうなんです。父方のおじいちゃんがドイツの人で。小さい時はもっと金髪っぽかったんですけど、高校の時くらいから少しずつ茶色になってきたんですよね」
「そうなのか。晴に良く似合ってるよ」
乾いてサラサラになった髪を撫でながらそう言うと、晴は振り返り照れながらありがとうございますとお礼を言った。
腕の中にいる可愛い晴を離したくはなかったが、足の湿布を貼り替えてもう今日は寝かせてやらなければと何とか理性で押し留める。
さっと湿布を貼り、もう動かさない方がいいからと横抱きでベッドへ。
晴は二人だけの空間に慣れてきたのか抵抗することなく、首に手を回してくれた。
本当は同じベッドに寝かせたいが、同じベッドで何もせずにはいられる自信がない。
あんなに可愛い晴が横で寝息をたててたらキスもそれ以上も我慢できるはずがない。
せめて、晴の足が治るまでは抑えなければな。
晴の足に負担をかけないように客間のベッドにそっと寝かせた。
そして、俺もベッドに腰を下ろし、晴の顔を見ながらさっき乾かしてあげた晴の髪を優しく撫でた。
「もう晴の中ではモデルの件は決まってるんだろう。回答期限までの三日間、バイトも休んでゆっくりここで過ごして卒論に専念するといいよ。ポスター撮影が始まったら、卒論書く時間も取れなくなるかもしれないし。 もちろん、晴さえよかったらずっとこの家にいてくれて良いからね。というか、ずっといて欲しい」
晴は俺の言葉に照れたのか布団を目深に被ったまま
「隆之さん、嬉しいです。僕もできたらここにずっといたい…です」
と言ってくれた。
俺は嬉しくてたまらず、
「ありがとう。今日はゆっくりお休み」
と言って晴の顔に、自分の顔を寄せるとおでこにかかる髪を上にあげ、そっと唇をあてた。
目を見開いて驚いている晴の顔が可愛くて、耳元でもう一度おやすみといって、部屋を出た。
次から晴sideのお話になります。
136
お気に入りに追加
1,121
あなたにおすすめの小説
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れているのを見たニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆明けましておめでとうございます。昨年度は色々ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。あまりめでたくない暗い話を書いていますがそのうち明るくなる予定です。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる