南国特有のスコールが初恋を連れてきてくれました

波木真帆

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番外編

香りの悪戯 <伊織&悠真Ver.> 6

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綺麗だ……。この柔らかな胸に触れてみたい。今までに思ったこともない欲求が込み上げる。
ゴクリと生唾を飲み込みながらも、表情では必死に冷静を装った。

「あ、あの……周平さんの話では、胸の下に沿うように測らないといけないみたいなので、シャツを脱がせてもよろしいですか?」

「えっ? 脱ぐんですか?」

きっとシャツの上からでも測れるだろう。オーダーメイドの服を作るんじゃないんだから。誤差の範囲内でどうとでもなるだろうが、今はどうしても彼女のシャツの中が見たかった。そんな欲に塗れた私の邪な気持ちに彼女は気づいたかもしれない。

不安そうに鏡越しに私に尋ねてくる。

やっぱりシャツの上から測りましょう。
そう言って安心させてやればいいと頭ではわかっているのだが、初めての欲求に心も身体もついていかない。

だが、これ以上彼女を不安にさせるわけにはいかない。こんなにも不安げながらも私の手伝いを必要としている相手に私は酷い人間だ。

「やっぱ――っ!!!」

自分の欲望を必死に捨て去り、彼女を安心させる言葉を告げようとしたところで、彼女がゆっくりとシャツのボタンを外すのが鏡越しに見えた。

「――っ!!」

形の良い綺麗な胸が少しずつ露わになってくる。そうして、ゆっくりとシャツが彼女の身体から離れるまで私は一瞬も目が離せなかった。

「お、お願いします」

少し身体が震えているのがわかる。
確かにそうだ。華奢で小柄な女性が、こんな男の前で半裸になるなんて恐怖でしかない。
そもそも彼女は何かの事件に巻き込まれた可能性があるからということで私がついてきたはずだったのに、怖がらせてどういうつもりなんだ! しかも自分の欲に負けるだなんて!

弱いものの味方になるために弁護士を志したくせに、私は彼女を怖がらせてしまっているじゃないか!


「すみません。砂川さん、怖がらせてしまって。今からシャツを着てもらっても……」

「い、いいえ。大丈夫です。このままお願いします」

声は震えているが、これ以上半裸の姿で押し問答をしている方が彼女も辛いだろう。

「わかりました。失礼します」

私は腕を伸ばして彼女の身体の前に周平さんから借りたメジャーを出し、そのまま背中でサイズを測った。

「61センチですね」

「これで終わりですか?」

「いえ、次は胸の一番高い場所のサイズを測ります。もう一度失礼しますね」

もう一度彼女の胸の前にメジャーを出し、胸の先端に当てようとした時、緊張で手が震えて自分の指が彼女の膨らみに当たってしまった。

「ひゃぁっ」

「――っ!! だ、大丈夫ですか?」

「す、すみません。変な声を出してしまって」

「いいえ。私が悪かったです。今度は気をつけますね」

少し触れただけであんな声を上げるなんて……女性のあの場所は私が想像できないほどデリケートな場所なのだろう。
だが、今の可愛い声に興奮してしまう。

それでもなんとか測ることができた。

「測れましたか?」

「はい。76センチでした。えっと、さっきの周平さんの話だと……このサイズが砂川さんのサイズです」

出してあった下着からC60のブラジャーを探して数枚渡し、どれがいいかを尋ねると

「あの、私……どれでもいいので、安慶名さんが選んでください」

と返されてしまった。
元々私が選んだブラジャーだ。その中でも彼女に似合いそうなものを選んでつけてもらうことにした。

紐に腕を通し、背中でホックを止めてみたがどうもおさまりが悪い。
スマホでサッと調べてみると、どうやらあのカップの中に胸をおさめる必要があるようだ。
それを伝えたが、彼女はどうにも難しい様子。

「私がお手伝いしてもよろしいですか?」

「お願いします」

彼女はすっかり私を信頼してくれているらしい。

私は後から包み込むように彼女の前に腕を回し、脇下から胸を持ち上げてカップに収めようとした。

「ああっん!」

手のひらの中心にぷっくりとした感触を感じた瞬間、彼女の口からまた可愛い声が漏れ聞こえた。

「すみません、痛かったですか?」

「あ、いえ。大丈夫です。ごめんなさい」

彼女が感じてくれたことに興奮しながらもなんとかブラジャーをつけ終わった。

「これで大丈夫そうですね。あとは着替えられますか?」

「は、はい。ご迷惑おかけしてすみません」

「いえ。それではリビングでお待ちしていますね」

「はい。ありがとうございます」

興奮しているのを悟られないように必死に表情を保ち、急いで部屋を出た。
リビングに向かい、顔だけ出して周平さんに声をかけ、トイレの場所を聞くと

「あっちのトイレを使うといい」

と教えてくれた。

聡い周平さんのことだからきっと何か気づかれたかもしれない。けれど、今はそれに反応する余裕は私にはなかった。
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