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番外編
香りの悪戯 <伊織&悠真Ver.> 3
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こちらも長くなりそうな予感。
あの方はこちらでもパシリにさせられてます(笑)
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「け、敬介さん……どうしよう」
「落ち着いて! とりあえず座ろう」
「は、はい」
敬介さんに支えられながら立ち上がると、あまり身長も変わらなかったはずなのに、敬介さんがかなり高く見えた。でも、本当はそうじゃない。私が縮んだんだ。
本当に、女の子になっちゃったんだな……。目線を下に向けるとなかったはずの膨らみが見えるし、これは夢だとも思えない。
これから私は一体どうなってしまうんだろう……。
「悠真くん。紅茶飲んで」
渡された紅茶は温くなっていたけれど今はそれがありがたい。
ゴクっと一気に半分以上飲み干すと、じわじわと身体に染み渡っていく感覚を覚える。
「ちょっとは落ち着いた? って、簡単には落ち着かないだろうけど」
「さっきよりは少しは……。でも、どうしたら元に戻れるかもわからないし、かといってこのままでいるわけにもいかないですよね?」
Tシャツにはくっきりと胸の形が見えているし、こんな格好で外に出るわけにもいかない。
「そうだよね。いつ戻れるかわからないから、とりあえず下着だけはつけたほうがいいと思うけど……女性物の下着って結構細かくサイズが分けられててちゃんと測らないといけないんだって。だからうちの母さんはオーダーメイドでいつも作ってもらってたよ」
「ええっ、そうなんですか? うちはそんな話もしたことがなくて……全然わからないです」
「そうか。そうだよね。でも、どうしよう……あっ! そうだ!! いい考えがある!!」
「なんですか?」
「周平さんが女性物の下着も洋服も全部作っているから、周平さんにお願いしたら洋服を持ってきてくれるよ!」
「えっ、でもそんなこと……いいんですか?」
「いいって! 俺が頼んだらすぐに持ってきてくれるよ!!」
蓮見さんのお兄さんの周平さんと、敬介さんが恋人なのだと教えられたのは上京してすぐのこと。
歓迎会を開いてくれた時に、敬介さんが周平さんと現れて教えてくれた。あの時はびっくりしたけどすごくお似合いな二人だと思った。
男同士とか関係なく、幸せそうで羨ましいって思ったんだ。
敬介さんはすぐに周平さんに電話をかけると、一大事だからすぐに洋服といろんなサイズの下着を持ってきて欲しいと頼み、早々に電話を切っていた。
「悠真くん。これで洋服関係は大丈夫だと思う。とりあえ連休中でよかったよね。あと三日は休みだし、学校は行かなくていいからさ」
「はい。本当にそれだけが幸いです」
「洋服が届く前に急に兄さんたちが帰ってきたら困るから、俺の部屋に移動しよう」
確かにそうだ。こんな格好見せられない。私は敬介さんに連れられて敬介さんの部屋に向かった。
<side伊織>
ーえっ? 女性物の洋服といろんなサイズの下着? すぐに持ってきてって、それは何に使うんだ? あ、ちょ――っ、敬介!
事務所の所長である磯山先生の代理で、周平さんの会社に行き仕事のことで話をしていた最中に周平さんの恋人である浅香さんから電話が入った。
いつもなら、仕事中には電話などかけてこないから余程の急用なのだと思ったが、あっという間に電話が切れてしまったようだ。
周平さんは浅香さんの電話の内容の意味がまだよくわかっていないらしく、電話を持ったまま立ち尽くしている。気配りができて理路整然とした話し方をする浅香さんにしてはこんな一方的な電話は珍しいと私でも思う。
こんな急な呼び出しなんて、一体何が起こったんだろう?
「伊織。わるい。敬介から急な呼び出しが入った」
「浅香さんが突然周平さんを呼び出すとは珍しいですね」
「いや、珍しいというより初めてだよ。だからこそ心配なんだ。何か特別なことが起こったんじゃないかって」
「そうですね……。女性物の服と下着ですか? あっ! 周平さん! もしかして、浅香さんの友人がよからぬやつに襲われたなんてことは……」
「はっ! それは……ないとは言い切れんな。敬介の友人でなくても、そんな場面に遭遇して被害者を保護しているのかもしれない。敬介は優しいからな」
「ええ。それなら、私も弁護士として一緒についていきます。新米ですが、力にはなれるはずです」
「そうだな。協力者は多いほうがいい」
「伊織、私は洋服を適当に詰めるから、お前はあっちにある下着を適当に見繕って袋に入れてくれ。いろんなサイズをと言っていたから一列の棚から一種類ずつ選んでくれたらいい」
「わ、わかりました」
ゲイである私が女性用の下着に触れ、選ぶ日が来るとは夢にも思っていなかったな。
これを誰がつけるのかも想像つかないが、私はたくさんの種類の中から自分の目につくものを次々に選んだ。
あの方はこちらでもパシリにさせられてます(笑)
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「け、敬介さん……どうしよう」
「落ち着いて! とりあえず座ろう」
「は、はい」
敬介さんに支えられながら立ち上がると、あまり身長も変わらなかったはずなのに、敬介さんがかなり高く見えた。でも、本当はそうじゃない。私が縮んだんだ。
本当に、女の子になっちゃったんだな……。目線を下に向けるとなかったはずの膨らみが見えるし、これは夢だとも思えない。
これから私は一体どうなってしまうんだろう……。
「悠真くん。紅茶飲んで」
渡された紅茶は温くなっていたけれど今はそれがありがたい。
ゴクっと一気に半分以上飲み干すと、じわじわと身体に染み渡っていく感覚を覚える。
「ちょっとは落ち着いた? って、簡単には落ち着かないだろうけど」
「さっきよりは少しは……。でも、どうしたら元に戻れるかもわからないし、かといってこのままでいるわけにもいかないですよね?」
Tシャツにはくっきりと胸の形が見えているし、こんな格好で外に出るわけにもいかない。
「そうだよね。いつ戻れるかわからないから、とりあえず下着だけはつけたほうがいいと思うけど……女性物の下着って結構細かくサイズが分けられててちゃんと測らないといけないんだって。だからうちの母さんはオーダーメイドでいつも作ってもらってたよ」
「ええっ、そうなんですか? うちはそんな話もしたことがなくて……全然わからないです」
「そうか。そうだよね。でも、どうしよう……あっ! そうだ!! いい考えがある!!」
「なんですか?」
「周平さんが女性物の下着も洋服も全部作っているから、周平さんにお願いしたら洋服を持ってきてくれるよ!」
「えっ、でもそんなこと……いいんですか?」
「いいって! 俺が頼んだらすぐに持ってきてくれるよ!!」
蓮見さんのお兄さんの周平さんと、敬介さんが恋人なのだと教えられたのは上京してすぐのこと。
歓迎会を開いてくれた時に、敬介さんが周平さんと現れて教えてくれた。あの時はびっくりしたけどすごくお似合いな二人だと思った。
男同士とか関係なく、幸せそうで羨ましいって思ったんだ。
敬介さんはすぐに周平さんに電話をかけると、一大事だからすぐに洋服といろんなサイズの下着を持ってきて欲しいと頼み、早々に電話を切っていた。
「悠真くん。これで洋服関係は大丈夫だと思う。とりあえ連休中でよかったよね。あと三日は休みだし、学校は行かなくていいからさ」
「はい。本当にそれだけが幸いです」
「洋服が届く前に急に兄さんたちが帰ってきたら困るから、俺の部屋に移動しよう」
確かにそうだ。こんな格好見せられない。私は敬介さんに連れられて敬介さんの部屋に向かった。
<side伊織>
ーえっ? 女性物の洋服といろんなサイズの下着? すぐに持ってきてって、それは何に使うんだ? あ、ちょ――っ、敬介!
事務所の所長である磯山先生の代理で、周平さんの会社に行き仕事のことで話をしていた最中に周平さんの恋人である浅香さんから電話が入った。
いつもなら、仕事中には電話などかけてこないから余程の急用なのだと思ったが、あっという間に電話が切れてしまったようだ。
周平さんは浅香さんの電話の内容の意味がまだよくわかっていないらしく、電話を持ったまま立ち尽くしている。気配りができて理路整然とした話し方をする浅香さんにしてはこんな一方的な電話は珍しいと私でも思う。
こんな急な呼び出しなんて、一体何が起こったんだろう?
「伊織。わるい。敬介から急な呼び出しが入った」
「浅香さんが突然周平さんを呼び出すとは珍しいですね」
「いや、珍しいというより初めてだよ。だからこそ心配なんだ。何か特別なことが起こったんじゃないかって」
「そうですね……。女性物の服と下着ですか? あっ! 周平さん! もしかして、浅香さんの友人がよからぬやつに襲われたなんてことは……」
「はっ! それは……ないとは言い切れんな。敬介の友人でなくても、そんな場面に遭遇して被害者を保護しているのかもしれない。敬介は優しいからな」
「ええ。それなら、私も弁護士として一緒についていきます。新米ですが、力にはなれるはずです」
「そうだな。協力者は多いほうがいい」
「伊織、私は洋服を適当に詰めるから、お前はあっちにある下着を適当に見繕って袋に入れてくれ。いろんなサイズをと言っていたから一列の棚から一種類ずつ選んでくれたらいい」
「わ、わかりました」
ゲイである私が女性用の下着に触れ、選ぶ日が来るとは夢にも思っていなかったな。
これを誰がつけるのかも想像つかないが、私はたくさんの種類の中から自分の目につくものを次々に選んだ。
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