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番外編
もう一つの出会い 5
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すみません、今回で完結できませんでした(汗)
もう少し長くなりそうなので、最後までどうぞお付き合いください♡
* * *
「ここが、倉橋さんのご自宅ですか?」
「ああ、すぐに離れの準備をするから寛いでいてくれ。喉が渇いていたら冷蔵庫から適当に取ってくれて構わないよ」
「は、はい」
倉橋さんは私をリビングに通すと、すぐに中庭から外に出て奥にある大きな家に入っていった。
もしかして、あれが離れ?
びっくりするくらい広いんだけど……。
このリビングだって一人で住んでいるとは思えなくらいに広いし……キッチンもかなり充実している。
もしかしたら、誰か一緒に住んでいる方でもいたりして……?
しまった……そこは確認してなかった。
とはいえ、このリビングに誰かと住んでいるような痕跡は見えない。
じゃあ、やっぱり一人暮らしなんだろうか?
そんなことをつらつらと考えていると、
「砂川くん、どうした?」
と声をかけられて驚いた。
「あっ、すみません。ご家族の方がいらっしゃるなら、ご挨拶した方が良かったかと思って……」
「ああ、そういうことか。それなら心配はいらない。私はここに一人暮らしだから」
「えっ? 一人暮らし? そう、なんですか?」
「ああ、ここに暮らし始めて数年だが、この家には友人以外は入れたことはないな。あの離れもその友人たちの宿泊用に用意したものだし」
友人たちの宿泊用にあんな広い家……。
すごすぎる。
私には異次元の話みたいだ。
「そもそもこの家もだいたい月の半分から多い時でも二十日くらいしか住んでいないんだ」
「えっ? じゃあ、残りは?」
「さっきも話した友人たちと三人で東京で芸能事務所を作っていてね、東京に住んでいるんだ」
「芸能事務所、ですか? ここの仕事とは全然違いますね」
「そうだな、だけど友人たちと役割分担をして経営しているんだ。私は事務所の代表として動いているだけだから、私の仕事はここでの仕事とあまり変わらないよ。他にも興味のあるものには投資もしているし、自分で商品を開発したりもしているかな」
「そんなに手を伸ばしてひとつひとつが疎かにはならないんですか?」
「ははっ。よく言われるよ。だが、人生は一度きりだからね。自分で自分の可能性を潰したくないから、やりたいことはまずはやってみようと思っているんだ。それで失敗しても次に何かやる時の糧になるだろうし、無駄にはならないからね」
失敗を恐れないで、失敗したとしても次の糧にするってなかなかそこまで考えられる人は少ないだろう。
でも、そんな人の下で働くのはやりがいを感じそうだ。
「今からさっと夕食を作るから、好きに過ごしていてくれ。離れで休んでいてもいいぞ」
「あ、お手伝いさせてください。キッチンに入られるのがお嫌なら料理をしているところを見せていただいてもいいですか?」
「キッチンにそこまでこだわりがあるわけではないが、今日はお客さんだからじゃあ見てみてもらおうか。どうぞ」
ダイニングテーブルを案内されて、そこに座るとキッチンの様子がよく見える。
「ちょうど友人からいい肉が届いたところだから、それでステーキにしようか」
そう言って見せてくれたのは、貧乏学生の私には手の届かないサシの入った美味しそうなお肉。
「こんなすごいお肉をいただくんですか? その友人さんって、一緒に芸能事務所を作ったという方ですか?」
「ああ、そうだよ。本業は焼肉屋で石垣にも店舗があるんだが、<綺>という店を知ってるかな?
<綺>といえば、貧乏学生の私でも名前だけは聞いたことがある超高級焼肉店。
国内につい先日銀座店、石垣店に続く三店舗目の福岡店がオープンしたって話題になっていた。
「ご友人もすごい人なんですね。もしかしてもうひと方もすごいひとだったりするんですか?」
「すごいかどうかはわからないが、有名かもしれないな。イリゼホテルって知ってる?」
「はい。銀座にある超高級ホテルですよね? まさか……」
「そこのオーナーをしているよ。近々、石垣島にもイリゼホテルを建設予定でね。<綺>も<イリゼホテル>も二人が起業するときに資金提供をさせてもらったんだ」
「えっ? 倉橋さんが、ですか?」
「ああ。計画を聞いてその段階でいけると思ったからな」
友人が頼んだから資金提供をというわけではなく、きちんと計画を聞いた上での判断で、そのどちらも大成功だなんて。
本人たちに商才があるのはもちろんだけど、倉橋さんの見る目があるのは間違いない。
「それで、君のご実家は宮古島で何か商売でもなさってるのか?」
「はい。マンゴー農家を営んでいます」
「へぇ。それはすごいな」
「天候が相手の商売ですから、最初は苦しい時期もあったようですけど、今は安定的に収入を得られるようになりました。一番大変だったのは、父が亡くなった頃ですね」
「お父さん、亡くなられたのか?」
「はい。私が高校生の時に亡くなって、それで桜城大学への進学を諦めたんです」
「どうして?」
「実家に祖母と母と八つ下の弟だけになるので心配だったんですよ。それでも母には大学を諦めてほしくないって言われて、東京よりはまだ近い本島への進学を決めました。本島なら何かあった時に東京よりは早く駆けつけられますから……」
「なるほど。そういうことか。優秀な君がどうして桜城大学を選ばなかったのか不思議だったんだ」
「もちろん最初は自分の選択が間違っていたかと後悔したこともありましたけど、今はあの大学を選んで良かったと思っています」
「ああ。君の出した論文も見せてもらったよ。あれは桜城大学にいたら書けなかっただろう。君の場合はきっとどちらの大学を選んでも成功しただろうとは思うけどね」
「ありがとうございます」
今まで誰にも大学進学の話はしたことがなかった。
しかも自分の選択が間違っていたかもしれないと後悔したことも、母や祖母にも話したことがない。
でもなぜだか倉橋さんには話すことができた。
なぜだろう……不思議だな。
「さぁ、食事にしようか」
話をしている間に料理が出来上がっていて驚いてしまう。
メインのステーキはもちろん、付け合わせの野菜も、ポタージュスープも、ガーリックライスもそのどれもが美味しかった。
「明日は6時には出発するからもう休んだほうがいい。部屋の中のものは自由に使ってくれて構わないよ」
「は、はい。ありがとうございます」
離れに近づくと遠目で見ていたよりももっと広い。
引き戸を開けて中に入ると、豪華な作りに驚いてしまう。
教えられた寝室に荷物を置き、ふらふらと吸い込まれるようにベッドに横たわった。
もう少し長くなりそうなので、最後までどうぞお付き合いください♡
* * *
「ここが、倉橋さんのご自宅ですか?」
「ああ、すぐに離れの準備をするから寛いでいてくれ。喉が渇いていたら冷蔵庫から適当に取ってくれて構わないよ」
「は、はい」
倉橋さんは私をリビングに通すと、すぐに中庭から外に出て奥にある大きな家に入っていった。
もしかして、あれが離れ?
びっくりするくらい広いんだけど……。
このリビングだって一人で住んでいるとは思えなくらいに広いし……キッチンもかなり充実している。
もしかしたら、誰か一緒に住んでいる方でもいたりして……?
しまった……そこは確認してなかった。
とはいえ、このリビングに誰かと住んでいるような痕跡は見えない。
じゃあ、やっぱり一人暮らしなんだろうか?
そんなことをつらつらと考えていると、
「砂川くん、どうした?」
と声をかけられて驚いた。
「あっ、すみません。ご家族の方がいらっしゃるなら、ご挨拶した方が良かったかと思って……」
「ああ、そういうことか。それなら心配はいらない。私はここに一人暮らしだから」
「えっ? 一人暮らし? そう、なんですか?」
「ああ、ここに暮らし始めて数年だが、この家には友人以外は入れたことはないな。あの離れもその友人たちの宿泊用に用意したものだし」
友人たちの宿泊用にあんな広い家……。
すごすぎる。
私には異次元の話みたいだ。
「そもそもこの家もだいたい月の半分から多い時でも二十日くらいしか住んでいないんだ」
「えっ? じゃあ、残りは?」
「さっきも話した友人たちと三人で東京で芸能事務所を作っていてね、東京に住んでいるんだ」
「芸能事務所、ですか? ここの仕事とは全然違いますね」
「そうだな、だけど友人たちと役割分担をして経営しているんだ。私は事務所の代表として動いているだけだから、私の仕事はここでの仕事とあまり変わらないよ。他にも興味のあるものには投資もしているし、自分で商品を開発したりもしているかな」
「そんなに手を伸ばしてひとつひとつが疎かにはならないんですか?」
「ははっ。よく言われるよ。だが、人生は一度きりだからね。自分で自分の可能性を潰したくないから、やりたいことはまずはやってみようと思っているんだ。それで失敗しても次に何かやる時の糧になるだろうし、無駄にはならないからね」
失敗を恐れないで、失敗したとしても次の糧にするってなかなかそこまで考えられる人は少ないだろう。
でも、そんな人の下で働くのはやりがいを感じそうだ。
「今からさっと夕食を作るから、好きに過ごしていてくれ。離れで休んでいてもいいぞ」
「あ、お手伝いさせてください。キッチンに入られるのがお嫌なら料理をしているところを見せていただいてもいいですか?」
「キッチンにそこまでこだわりがあるわけではないが、今日はお客さんだからじゃあ見てみてもらおうか。どうぞ」
ダイニングテーブルを案内されて、そこに座るとキッチンの様子がよく見える。
「ちょうど友人からいい肉が届いたところだから、それでステーキにしようか」
そう言って見せてくれたのは、貧乏学生の私には手の届かないサシの入った美味しそうなお肉。
「こんなすごいお肉をいただくんですか? その友人さんって、一緒に芸能事務所を作ったという方ですか?」
「ああ、そうだよ。本業は焼肉屋で石垣にも店舗があるんだが、<綺>という店を知ってるかな?
<綺>といえば、貧乏学生の私でも名前だけは聞いたことがある超高級焼肉店。
国内につい先日銀座店、石垣店に続く三店舗目の福岡店がオープンしたって話題になっていた。
「ご友人もすごい人なんですね。もしかしてもうひと方もすごいひとだったりするんですか?」
「すごいかどうかはわからないが、有名かもしれないな。イリゼホテルって知ってる?」
「はい。銀座にある超高級ホテルですよね? まさか……」
「そこのオーナーをしているよ。近々、石垣島にもイリゼホテルを建設予定でね。<綺>も<イリゼホテル>も二人が起業するときに資金提供をさせてもらったんだ」
「えっ? 倉橋さんが、ですか?」
「ああ。計画を聞いてその段階でいけると思ったからな」
友人が頼んだから資金提供をというわけではなく、きちんと計画を聞いた上での判断で、そのどちらも大成功だなんて。
本人たちに商才があるのはもちろんだけど、倉橋さんの見る目があるのは間違いない。
「それで、君のご実家は宮古島で何か商売でもなさってるのか?」
「はい。マンゴー農家を営んでいます」
「へぇ。それはすごいな」
「天候が相手の商売ですから、最初は苦しい時期もあったようですけど、今は安定的に収入を得られるようになりました。一番大変だったのは、父が亡くなった頃ですね」
「お父さん、亡くなられたのか?」
「はい。私が高校生の時に亡くなって、それで桜城大学への進学を諦めたんです」
「どうして?」
「実家に祖母と母と八つ下の弟だけになるので心配だったんですよ。それでも母には大学を諦めてほしくないって言われて、東京よりはまだ近い本島への進学を決めました。本島なら何かあった時に東京よりは早く駆けつけられますから……」
「なるほど。そういうことか。優秀な君がどうして桜城大学を選ばなかったのか不思議だったんだ」
「もちろん最初は自分の選択が間違っていたかと後悔したこともありましたけど、今はあの大学を選んで良かったと思っています」
「ああ。君の出した論文も見せてもらったよ。あれは桜城大学にいたら書けなかっただろう。君の場合はきっとどちらの大学を選んでも成功しただろうとは思うけどね」
「ありがとうございます」
今まで誰にも大学進学の話はしたことがなかった。
しかも自分の選択が間違っていたかもしれないと後悔したことも、母や祖母にも話したことがない。
でもなぜだか倉橋さんには話すことができた。
なぜだろう……不思議だな。
「さぁ、食事にしようか」
話をしている間に料理が出来上がっていて驚いてしまう。
メインのステーキはもちろん、付け合わせの野菜も、ポタージュスープも、ガーリックライスもそのどれもが美味しかった。
「明日は6時には出発するからもう休んだほうがいい。部屋の中のものは自由に使ってくれて構わないよ」
「は、はい。ありがとうございます」
離れに近づくと遠目で見ていたよりももっと広い。
引き戸を開けて中に入ると、豪華な作りに驚いてしまう。
教えられた寝室に荷物を置き、ふらふらと吸い込まれるようにベッドに横たわった。
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