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番外編
運命の巡り合わせ
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四人での宮古島帰省旅行から帰ってきた後のお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side優一>
宮古島への帰省旅行を終え、東京に戻ってきてその日の夜は久しぶりの二人っきりの夜についつい箍が外れて、真琴をたっぷりと愛してしまった。旅行前にそんなことになるかもしれないと思い、休養日として休みをとっていた自分をつくづく褒めてやりたい。
とはいえ事務所自体は開いている。氷室のスケジュールが決まっているからそれは変えることはない。
午後のおやつ時間が近づいた頃、元気になった真琴を連れて、二人へのお土産を渡しに事務所に行くことした。
下りて行くとすぐにキッチンにいる翼くんと顔を合わせた。目の前のトレイにはグラスが二つ並んでいるのが見える。どうやらおやつの準備をしているところだったようだ。
「あっ、真琴くん! 成瀬さんも昨日帰られてたんですよね。お帰りなさい」
「ああ、ただいま。そろそろ休憩かと思ってお土産持ってきたんだ。なぁ、真琴」
「はい。うちのマンゴーを食べて欲しくて」
「わぁ! 美味しそう! 嬉しいな」
すぐに食べてもらえるように食べやすく切り分けたマンゴーが入った器を真琴が見せると、翼くんは満面の笑みを見せてくれた。
「氷室は出かけているのか?」
今日は内勤業務だけだったはずと思っていたが、氷室の姿が見えない。
「あっ、誠一さん。急に裁判所に行く用事ができて出掛けてるんです。でももうすぐ帰ってくるって連絡きたのでそろそろ……」
翼くんが玄関の方に視線を向けた瞬間、氷室が汗を拭いながら入ってくるのが見えた。
それを見るや否や、
「誠一さん、お帰りなさい!」
と冷えたおしぼりを持って翼くんは玄関に駆けて行った。
いつも見慣れた風景だが、俺にも真琴という大事な存在ができてよくわかる。
愛しい恋人に出迎えてもらえるのがどれほど幸せか……。
俺は氷室の至福のひと時を邪魔しないようにキッチンで飲み物を準備した。
トレイに俺と真琴の飲み物を用意して、キッチンを出るとちょうど玄関から氷室と翼くんがきた。
「宮古島のマンゴーだって?」
「ああ、真琴の実家で作っているやつだよ。これ以外にも三個あるから家でゆっくり食べてくれ」
「ああ、ありがとう。真琴くんの家のマンゴー、楽しみだな」
真琴と翼くんが楽しそうにマンゴーを食べながら宮古島の話をしているのを見る。それだけで俺も氷室も癒される。
「ああ、そうだ。今日、裁判所で真壁にあったよ」
「へぇ、珍しいな。あいつは裁判には出てこないだろう?」
「ああ、裁判で来たわけじゃないって言ってたな」
まぁ、警察官僚となればいろんな事情もあるんだろうし、お互い様なこともあるし、突っ込んで聞いたりはしない。
「それで、少し立ち話したついでに、近いうちに久しぶりに飲もうかって話になってさ」
「それこそ珍しいな」
「だろう? だから、安慶名も誘って久々に四人で集まらないか?」
「四人で?」
「ああ。安慶名も真壁も恋人がいないのに、俺とお前だけ連れて行くわけにはいかないだろう? 真琴くんは翼と一緒に俺たちの家にいて貰えばいいし」
「うーん、でも俺は真壁たちに真琴を紹介したいから連れて行こうかな。せっかくだからお前も翼くんを連れていけよ」
「ははっ。真琴くんを置いておきたくないだけだろ。本当に過保護だな」
「いいだろう。お前も翼くんを残していかずに済むからいいじゃないか」
「それは確かに」
ここのところ、四人での呑みがなかったのはお互いに都合が合わなかったと言うのが一番の理由だが、何より氷室が参加していなかったからだ。
安慶名は氷室にも真壁にもまだ悠真さんという恋人ができたことは話していない。この飲み会に悠真さんが来られたら一緒に来て貰えばいいし、来られなくても話をするだけでもいい。安慶名の恋人が真琴の兄という話を聞くだけでも驚くだろうからな。
「俺たちは予定を合わせやすいし、真壁はしばらくは夜はいつでもいいと言っていたから、あとは安慶名の予定だな」
「じゃあ、俺が連絡しておくよ。それで日程を決めよう」
「ああ。わかった」
というわけで、俺は真琴と部屋に戻ってすぐに安慶名に連絡を入れた。すると、ちょうど悠真さんも一緒にいたようで、近々東京行きの予定があると教えてくれた。
これもきっと運命の巡り合わせだろう。
あっという間に予定が決まり、俺と安慶名、氷室と真壁。そして真琴と悠真さんと翼くんの七人での飲み会が開催されることとなった。
その時の氷室と真壁は今まで見たこともないほど驚きに満ちていたのはいうまでもない。
* * *
というわけで七人での飲み会の様子、需要ありますか?
というか、早くここに真壁の相手も入れたらいいですよね♡
実際はまだまだ独り身が続いてかわいそうですが……。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side優一>
宮古島への帰省旅行を終え、東京に戻ってきてその日の夜は久しぶりの二人っきりの夜についつい箍が外れて、真琴をたっぷりと愛してしまった。旅行前にそんなことになるかもしれないと思い、休養日として休みをとっていた自分をつくづく褒めてやりたい。
とはいえ事務所自体は開いている。氷室のスケジュールが決まっているからそれは変えることはない。
午後のおやつ時間が近づいた頃、元気になった真琴を連れて、二人へのお土産を渡しに事務所に行くことした。
下りて行くとすぐにキッチンにいる翼くんと顔を合わせた。目の前のトレイにはグラスが二つ並んでいるのが見える。どうやらおやつの準備をしているところだったようだ。
「あっ、真琴くん! 成瀬さんも昨日帰られてたんですよね。お帰りなさい」
「ああ、ただいま。そろそろ休憩かと思ってお土産持ってきたんだ。なぁ、真琴」
「はい。うちのマンゴーを食べて欲しくて」
「わぁ! 美味しそう! 嬉しいな」
すぐに食べてもらえるように食べやすく切り分けたマンゴーが入った器を真琴が見せると、翼くんは満面の笑みを見せてくれた。
「氷室は出かけているのか?」
今日は内勤業務だけだったはずと思っていたが、氷室の姿が見えない。
「あっ、誠一さん。急に裁判所に行く用事ができて出掛けてるんです。でももうすぐ帰ってくるって連絡きたのでそろそろ……」
翼くんが玄関の方に視線を向けた瞬間、氷室が汗を拭いながら入ってくるのが見えた。
それを見るや否や、
「誠一さん、お帰りなさい!」
と冷えたおしぼりを持って翼くんは玄関に駆けて行った。
いつも見慣れた風景だが、俺にも真琴という大事な存在ができてよくわかる。
愛しい恋人に出迎えてもらえるのがどれほど幸せか……。
俺は氷室の至福のひと時を邪魔しないようにキッチンで飲み物を準備した。
トレイに俺と真琴の飲み物を用意して、キッチンを出るとちょうど玄関から氷室と翼くんがきた。
「宮古島のマンゴーだって?」
「ああ、真琴の実家で作っているやつだよ。これ以外にも三個あるから家でゆっくり食べてくれ」
「ああ、ありがとう。真琴くんの家のマンゴー、楽しみだな」
真琴と翼くんが楽しそうにマンゴーを食べながら宮古島の話をしているのを見る。それだけで俺も氷室も癒される。
「ああ、そうだ。今日、裁判所で真壁にあったよ」
「へぇ、珍しいな。あいつは裁判には出てこないだろう?」
「ああ、裁判で来たわけじゃないって言ってたな」
まぁ、警察官僚となればいろんな事情もあるんだろうし、お互い様なこともあるし、突っ込んで聞いたりはしない。
「それで、少し立ち話したついでに、近いうちに久しぶりに飲もうかって話になってさ」
「それこそ珍しいな」
「だろう? だから、安慶名も誘って久々に四人で集まらないか?」
「四人で?」
「ああ。安慶名も真壁も恋人がいないのに、俺とお前だけ連れて行くわけにはいかないだろう? 真琴くんは翼と一緒に俺たちの家にいて貰えばいいし」
「うーん、でも俺は真壁たちに真琴を紹介したいから連れて行こうかな。せっかくだからお前も翼くんを連れていけよ」
「ははっ。真琴くんを置いておきたくないだけだろ。本当に過保護だな」
「いいだろう。お前も翼くんを残していかずに済むからいいじゃないか」
「それは確かに」
ここのところ、四人での呑みがなかったのはお互いに都合が合わなかったと言うのが一番の理由だが、何より氷室が参加していなかったからだ。
安慶名は氷室にも真壁にもまだ悠真さんという恋人ができたことは話していない。この飲み会に悠真さんが来られたら一緒に来て貰えばいいし、来られなくても話をするだけでもいい。安慶名の恋人が真琴の兄という話を聞くだけでも驚くだろうからな。
「俺たちは予定を合わせやすいし、真壁はしばらくは夜はいつでもいいと言っていたから、あとは安慶名の予定だな」
「じゃあ、俺が連絡しておくよ。それで日程を決めよう」
「ああ。わかった」
というわけで、俺は真琴と部屋に戻ってすぐに安慶名に連絡を入れた。すると、ちょうど悠真さんも一緒にいたようで、近々東京行きの予定があると教えてくれた。
これもきっと運命の巡り合わせだろう。
あっという間に予定が決まり、俺と安慶名、氷室と真壁。そして真琴と悠真さんと翼くんの七人での飲み会が開催されることとなった。
その時の氷室と真壁は今まで見たこともないほど驚きに満ちていたのはいうまでもない。
* * *
というわけで七人での飲み会の様子、需要ありますか?
というか、早くここに真壁の相手も入れたらいいですよね♡
実際はまだまだ独り身が続いてかわいそうですが……。
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