溺愛弁護士の裏の顔 〜僕はあなたを信じます

波木真帆

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番外編

宮古島旅行  閑話その後のおまけ話

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すみません。閑話についての感想で面白い話をいただいたので、ついつい書いちゃいました。
サクッと読んでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *


<奴らのその後>

「さっさと弁護士呼べよ! あいつら、訴えてやる!」

せっかくかわい子ちゃん見つけたのに、なんでこんなことになってんだよ!


宮古島の警察署に連行されて十数時間後、

「おい、お前に面会者が来てるぞ!」

とようやく声をかけられた。

「面会って誰だよ!」

「お前の父親だ。会社の顧問弁護士の方も一緒だ」

「親父か、おせーよ。やっと来たな。はぁー、お前たち。すぐにここ、出られるから待ってろ」

一緒に留置所に入っているダチに声をかけると、奴らもやっと笑顔を浮かべた。

俺は東京では名の知れた会社社長の息子。
金ならうちにたんまりあるし、俺が何か悪さしてもいつも親父と顧問弁護士がなんとかしてくれた。

今回もこんな大事になる予定じゃなかったけど、あいつらのせいで俺たちが捕まってこんなところに入ることになるなんて本当ふざけてやがる。

今度はあいつらの方を捕まえて同じ思いさせてやらないと気が済まない。
そして、今度こそあの可愛い子達を俺のものにしてやる。

あの子達、可愛かったよな。
ちびっこい方も、綺麗系の方もどっちも可愛くてそそられる。

ああ、くそっ。

想像するだけで滾ってきた。

昨日いい子見つけてやる気だったから三日抜いてないんだよな。

あーあ、さっさとここから出て発散しに行かないとな。

「そこに入れ」

部屋に入ると部屋の中央に透明な仕切りに、会話ができるように小さな穴がいくつも開いてるあれが見える。
最初こそドラマそのものじゃんってテンション上がったけど、見慣れた今はどうでもいい。

「よぉ、親父――」
浩司こうじ、お前、何やってるんだ!」

いつものように声をかけようと思ったら、突然立ち上がり、大声で怒鳴られた。
なんだ?
ここまで遠かったからキレてんの?

「なんだよ、親父。急に大声出すなよ。高沢たかざわさんもこんなとこまでごくろーさん。いやー、ちょっと変なのに捕まってさ。こんなとこに入れられたんだよ。いつものようにささっとこっから出してよ。あいつらも留置場で待ってんだよ」

「――っ、ふざけるなっ!!!!! お前に手を貸す気は一切ないからな!」

「な――っ!!」

今まで聞いたこともないほども大声で怒鳴られた。
いつもなら、サクッと終わらせてくれるのに一体なんなんだ?

「な、なんだよ。親父。何怒ってんの? ふざけたこと言ってないでチャチャっとこっから出してよ」

「お前はまだことの重大さがわかってないようだな?」

「はぁ? 一体なんだよ」

「いいか? よく聞け! お前たちが手を出したお方は、この高沢が100人、いや1000人かかっても太刀打ちできないほどの凄腕の弁護士さんなんだぞ!」

「はぁ? あいつらが?」

「お前みたいな奴があいつらなんて言えるようなお方じゃない!!! それにだ!!! お前たちが襲おうとしていたあのお方たちの後ろに誰がいるか、わかってるのか?」

「だ、誰だよ」

「倉橋社長だよ!」

「く、倉橋社長って……親父が会社作る時に出資してくれたっていう……」

「ああ、そうだ! その倉橋社長だよ! しかも、この前新しい機械を入れるのに、必死に頼み込んで融資を受ける約束を取り付けたのに、お前のせいで昨日倉橋社長から直々に融資中止の連絡が来た」

「はぁ? うそ、だろ……っ」

「倉橋社長からの融資が受けられなかったら、うちはもう終わりだ」

さっきまで顔を真っ赤にして俺を怒鳴りつけていたのに、今度は真っ青になって頭を抱え始めた。

まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった。

「ちょっと待てよ! まだ指一本も触れてないのにここまでの仕打ちひどすぎんだろ! なぁ、高沢さん! なんとかできないのかよ! お前、弁護士だろ!!」

「浩司さん、相手が悪すぎます。大体、相手がどんな人かも分からずに声かけて、刃物で脅して襲ったのは浩司さんたちの方ですよね? いいかげん自業自得だってこと学習したらいかがですか? 今更遅いですけど。もし学習して外に出てこられたとしても、倉橋社長とそのお仲間の方の息のかかった業界では働き場所すら見つけられないと思いますよ。あのお方の業種は多岐に渡っていますから、日本国中働き場所がないかも知れませんね。御愁傷様です」

「そ、そんな……っ!」

「いいか? お前とはもう絶縁する! これからお前がどうなろうと知ったことじゃない! お前とは縁を切ったということで倉橋社長にもう一度頼みに行かないといけないからな。いいか? もう二度と私を父親だと名乗るな!!! この恥知らずが!!!」

親父はそう叫ぶと、面会室から振り返りもせずに出ていった。

嘘だろ……。
俺、これからどうなるんだよ。

完全に力の抜けた俺は、しばらくその部屋から出られず引きずられるように留置場に戻された。
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