溺愛弁護士の裏の顔 〜僕はあなたを信じます

波木真帆

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番外編

宮古島旅行  1

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長くなりそうな予感なのでタイトルが数字になりました(笑)
何話になるかわかりませんが楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *


<side優一>


「優一さんと旅行、初めてでドキドキします」

「真琴は他にどこかに行ったことがあるのか?」

「中学生の時は沖縄本島に、高校の時は九州に修学旅行に行きましたよ。家族では旅行に行くことがなかったので、今は帰省で帰るくらいですね」

「そうなのか……。じゃあ、今度はゆっくりと二人で旅行に行こうか。国内でもいいし、海外でもいいぞ」

「わぁ! 楽しみですっ!!」

真琴は久しぶりに帰省に少し緊張もしている様子だったが、それはきっと俺も一緒だからだろう。
俺としては真琴の生まれ育った家や周りを散策できるのは楽しみでしかないが、本人にしてみれば照れくさいのだろう。

お兄さんと安慶名も一緒で良かったのかもしれない。

4人なら真琴もすぐにいつもの真琴になってくれるだろうな。


「えっ? 優一さん……僕たちの席、ここですか?」

「ああ。うまくファーストクラスが取れて良かったよ。いつもなら石垣行きにしかファーストクラスがないんだが、この便だけはファーストクラス付きの飛行機を使っているんだよ。この方がゆったりと座れて、楽だろう?」

特別便のこの宮古島行きにはカップルシートが一席だけ用意されているのを知っていた。
だから、予定が決まってすぐに予約したんだ。
こういう時に伝手があると助かる。

この席なら、俺と真琴の間を阻むものはないし、ピッタリと寄り添って宮古島までの時間を過ごすことができる。

「ゆったりって……僕の知ってる席とは全然違うんですけど……僕なんかがこんなところに座っていいんですか?」

「いいに決まってるだろう。あっちに着いたらお兄さんたちとすぐに車移動だし、飛行機の中だけでも休んでおかないと。ほら、座るよ」

初めてのファーストクラスに真琴は緊張している様子だったけれど、ウェルカムドリンクでオレンジジュースを頼んであげると嬉しそうにそれを飲み干していた。

それにあうお菓子を用意してもらうと真琴は嬉しそうにそれを食べ始めた。

「優一さん。これ、すっごく美味しいですよ」

そう言ってあーんと口に運んでくれる。
やっぱりこの席で正解だったな。

「真琴、眠くなったら寝ていていいぞ。ちゃんと起こしてあげるから……」

「うーん、でも……」

「あっちについて眠くなったら困るだろう?」

座席をフルフラットにしてあげると、真琴はすやすやと眠りについた。
ピッタリと身体を寄り添わせたまま幸せそうな笑顔で眠る真琴にこっそりとキスをした。

それにしても、まさか俺が恋人の家族に挨拶に行く日が来るとは思いもしなかったな。
しかもあの安慶名と兄弟になるのか……。

――安慶名って珍しい名前だな。

そう話しかけた相手と家族になろうとは……。
あの時から運命は動いていたのかもしれないな。



あっという間に空の旅が終わり、俺たちは宮古島空港に降り立った。

「いい天気でよかったな」

「はい。もう兄さんと安慶名さんは到着しているんでしょうか?」

「そうだな。あっちの方が先に着いているはずだ」

俺の言葉に真琴が嬉しそうに到着ゲートに向かう。
もちろん手は繋いだままだ。

最初のころは恥ずかしがっていた真琴も、悠真さんが安慶名となんの躊躇いもなく手を繋いでいるのを見ると、恥ずかしがらないようになった。
真琴にとってはお兄さんがしていることは全て正しいのだろう。

この点に関しては二人に感謝だな。

「あっ! 兄さんたちがいましたよ! にいさぁ~ん!!」

真琴の言葉にすぐに悠真さんが反応する。
と同時に空港中の視線が真琴と悠真さんに降り注がれるのがわかった。

ああ、やっぱりこの二人は人の注目を浴びることを気にしていない。
それくらい、幼い時から見られていたのだろう。
だが、不躾な視線を送る奴には容赦はしない。

俺が威圧感たっぷりに周りに視線を送ると、一気に真琴たちへの視線が霧散していくのがわかった。

安慶名の方からも同じように牽制の威圧を放っているのがわかる。
俺たちが二人いれば、安心だな。

「兄さんたち、結構待った?」

「ううん、30分くらいかな。伊織さんが宮古島空港は初めてだっていうから、お土産屋さんとか見て回ってたからあっという間だったよ」

「そっか、ならよかった」

「成瀬さん、こんな遠くまでありがとうございます」

「いえ、直行便だったのであっという間でしたよ」

「兄さん、僕ファーストクラスに乗せてもらったんだよ」

「えっ? ファーストクラス? そんな……いいんですか?」

「ええ。マイルも貯まっていましたから、使わないと勿体無いですからね」

そう言いつつも、俺がマイルなんか使っていないことには安慶名は気づいているだろうが何も言わないでいてくれるのも優しさだな。

「悠真、かなり注目を浴びているから、そろそろここから離れましょうか」

「わっ、騒いじゃってましたね。恥ずかしい」

いや、注目を浴びていたのはそこじゃないけれど……。
こういうところも悠真さんと真琴はよく似ている。

「成瀬。車を借りてるから、交代で運転しようか」

「ああ。いいよ」

「じゃあ、俺が先に運転するよ。悠真、助手席に乗ってくれますか?」

「はい。もちろんです」

大きなキャリーケースもたっぷりと詰め込めるオフロード車は、男4人乗っても圧迫感もない。
とはいえ、悠真さんも真琴も小柄で華奢だから当然といえば当然か。

「母さんたち、夕食は準備してくれているみたいなので、昼食はどこかで済ましていきましょう」

「大人数で押しかけたから、食事の準備も大変だったでしょうね。明日は私と成瀬で食事を用意しますから。なぁ、成瀬」

「ああ、そうだな。お兄さん、ぜひ任せてください」

「ふふっ。ありがとうございます。母さんにはそう伝えておきますね」

ふわりとした笑顔を浮かべる悠真さんは、いつもよりもさらにリラックスしているように見えた。
それはきっとこの宮古島の空気がそうさせているのかもしれない。

この旅はすごく楽しいものになるだろう。
俺にはその自信しかなかった。
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