溺愛弁護士の裏の顔 〜僕はあなたを信じます

波木真帆

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優一さんを信じる!

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「調査員のお仕事、辞めないでください!」

「真琴……いいのか? もし、調査が入れば、夜も出かけてしまうんだぞ。そうしたら、真琴はこの家に1人になってしまうんだぞ。寂しいだろう?」

「それは……寂しくないかと言われたら嘘になりますけど……でも、優一さんのお仕事の目的は、困っていることの手助けをするためなんですよね? 優一さんの情報で幸せになる方がいるなら、それは続けなきゃダメです!」

「真琴……」

「それに、もし……僕が寂しくなったら、調査についていくのはダメですか?」

「えっ? 真琴が? いやいや、それは絶対にダメだ。危なすぎる!」

やっぱりダメか……。
まぁそうだよね。
調査なんて遊びじゃないんだし……。

「それなら、その日は翼さんの家に遊びにいくとかはどうですか?」

「翼くんの家に?」

「はい。それなら安心でしょう?」

「いやいや、ダメだ。翼くんは氷室と一緒に住んでるんだ。そんなところに真琴を行かせられない」

そうか……。
翼さんって氷室さんと一緒に住んでいるんだった。
恋人同士のところに泊まりにいくのは流石にダメだよね……。

「あの、じゃあとりあえずそれは後で考えるとして、僕は優一さんに調査員のお仕事続けて欲しいです。僕もできることはお手伝いしますから!!」

「真琴はどうしてそんなに言ってくれるんだ?」

「だって、今の翼さんをみていたら優一さんのお仕事がこんなにも人を幸せにできるんだって思ったから……」

「真琴……っ!」

「わっ!!」

優一さんが嬉しそうに僕を抱きしめる。

「真琴……ありがとう」

「優一さん……あの、でも……約束してください。絶対に怪我とか無理はしないでくださいね」

「ああ、わかった。約束する」

優一さんが僕の頭を優しく撫でてくれるから安心する。
優一さんは絶対に僕に嘘をついたりしないもん。
だから、僕は優一さんのことを信じるだけだ。

「あの、兄さんにも今のお話……調査員のお仕事をやっているって話すんですか?」

「もちろんだよ。真琴のお兄さんに隠し事は絶対にしない。ただ、他言無用はお願いするけれどね。お兄さんが話すとかそんな心配をしているわけじゃなくて、近い家族だけの内緒にしておきたいんだ。この仕事をしていると、どこで誰と繋がっているかわからないからね」

「そうですね。よくわかります」

「まぁ、お兄さんに話をするのはもうひとつ理由があるんだけどね」

「もうひとつの理由、ですか? それってなんですか?」

「ふふっ。それはお兄さんと会う日の楽しみにしておこうかな」

「えー、ずるいですっ!」

優一さんは嬉しそうに笑みを浮かべたまま、結局話してくれなかったけれど、きっと優一さんのことだから楽しいサプライズでも考えてくれているのかもしれない。
そう思った。

でも、まさかそれが、予想もしないほどのものすごいサプライズになるとは、その時の僕は思ってもみなかった。


翼さんと氷室さんに昨日のことを謝ろうと思って早めに事務所を開けて待っていると、2人もいつもより少し早めに来てくれた。
翼さん、怒っているだろうな……。
玄関の扉が開いた瞬間、僕は急いで翼さんの元に駆け寄って、頭を下げた。

「昨日は本当に心配かけてごめんなさい!!」

「真琴くんっ!! ああ、よかった!」

「あの、翼さん……怒って、ないんですか?」

「怒る? なんで?」

「だって、僕……翼さんに迷惑かけて……」

「真琴くんは僕のために買い物に行ってくれたんだよね? それなのに怒るなんてあるわけないよ。急にいなくなってびっくりしたから、どうしても出かけるなら書き置きでも残しててくれると安心するけど」

「はい。本当にごめんなさい……」

もう一度深々と頭を下げると、

「真琴くん、もう気にしないでいいって。俺は成瀬のあんな姿見られて逆にラッキーだと思ってるから」

と氷室さんが楽しげな声でそう言ってくれる。

「おい、氷室。余計なこと言うなよ」

「だってそうだろ。全身から色んな感情出しまくってる成瀬なんか今まで見たことないし。俺はお前がやっと普通の人間になれたのが嬉しいんだよ」

「いいから、黙れって」

「あの、優一さん……?」

氷室さんとの会話がよくわからなくて聞き返すと、優一さんはほんのり頬を赤らめながら、

「自分の感情が抑えられなかったのは初めてなんだよ。もう本当に真琴に関してはどうしようもないな」

と僕を抱きしめながら言ってくれる。

「今までの成瀬がおかしかったんだよ。俺は真琴くんと出会ってからのお前は最高だと思うけど」

「氷室……」

「はーい、僕もそう思います。成瀬さん、すっごく話しかけやすくなったし」

「翼くんまで……」


2人にそう言われて少し恥ずかしそうだったけれど、なんとなく嬉しそうに見えた。
この日から事務所での雰囲気はさらに明るくなった気がする。
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