溺愛弁護士の裏の顔 〜僕はあなたを信じます

波木真帆

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兄さんの優しさ

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ーもしもし、真琴? 足の具合は大丈夫?

ーあ、うん。大丈夫だよ。それで、あ、あの……ごめんね。驚かせちゃったよね?

布団に潜り込んでいたせいで、優一さんと兄さんの会話は全く聞いていないけど、僕のスマホから突然優一さんがかけてきて驚かないわけがないもんね。

ー確かに驚きはしたけど、兄さんは真琴が幸せならそれが一番嬉しいんだよ。

ー兄さん……。

ーあのマンションのことは心配しないでいいよ。兄さんの方から社長に話をしておくから。

ーうん。ありがとう。でも、あのマンションに僕が住まなくなったら、兄さんが出張の時は困らない?

ーふふっ。そんなことを気にしていたの? 大丈夫だよ。イリゼホテルにはオーナーの意向で社長が泊まれるようにいつでも部屋を用意してくれているから、出張の時はそこを使わせてもらえるし。そもそも、真琴が上京するまではずっとそうしていたのを知っているでしょう?

ーあ――っ!

そういえば、そうだ。
確かに、昔そんな話を聞いた気がする。
石垣島のイリゼホテルにも倉橋さんともう一人のお友達の専用のお部屋があるんだって、そう言ってたっけ。
あれって石垣島のイリゼホテルのことだけじゃなくて、全国のイリゼホテル全部がそうなんだ!
ふぇー、すごいな。

ー思い出した?

ーうん。僕が東京にきて2年以上、兄さんが出張のたびに一緒にお泊まりしてたからあのマンションに泊まるのが当然だと思ってたからすっかり忘れてた。

ー兄さんが真琴の部屋に泊まっていたのは、慣れない東京暮らしで不安だろうと思ったからだよ。それにちゃんとやれてるか心配だったし……。真琴が思ったよりも早く東京に馴染んでホッとしたけどね。

ーうん。でも、それも兄さんと倉橋さんのおかげだよ。

ー役に立てたならよかった。最近は、あの部屋に泊まって真琴から大学の話や近況を聞くのが楽しみだったんだけど、それはあの部屋でないと聞けないわけじゃないしね。だから兄さんのことは気にしないでいいよ。

ー兄さん、ありがとう……。

ー真琴が怪我して恋人さん……成瀬さんのお家にお邪魔してるって聞いたばかりだったから、一緒に暮らすことになったっていう話まであまりにも早くて驚いてはいるけど、成瀬さん……すごくしっかりした人みたいだし、安心しているよ。兄さんにわざわざ同棲の許可もらうために電話くれるような律儀な人だし……それに、真琴が一緒に住むのを決めるくらいだから、いい人なんでしょう?

ーうん。すごく優しくて……本当に素敵な人だよ。

ーふふっ。真琴に惚気られるなんて思わなかったな。

ー――っ、惚気だなんて……そんなっ。

ーふふっ。今度上京した時に成瀬さんとお会いする約束をしたから、その日を楽しみにしてる。

ーうん。その時までには怪我も治しておくから。

ーでも、無理はしないようにね。あ、それから明日から急遽石垣に出張になったんだよ。だから、電話はあまり取れないかも。何かあったらメッセージを入れておいて。日帰りの予定だから、夜には電話も取れると思うけど。

ーあれ? 日帰りって珍しいね。いつもは泊まりじゃなかった?

ーうーん、まぁ色々あってね。今回は日帰りにしておいた方がいいかなと思って……。

珍しく歯切れの悪い兄さんの様子が少し気になったけれど、兄さんのことだからきっと聞いても教えてくれないだろう。
僕が心配するのを本当に嫌がるからな。
まぁ僕も兄さんにバイトも怪我も黙っていたから、兄さんのことはとやかくは言えないけど……。

ーわかった。何かあったらメッセージにしておくね。

そういうと、じゃあまたねと優しい声で電話が切れた。

兄さんに話すの、すごく緊張してたけどなんか拍子抜けしちゃったな……。
こんなに上手くいってびっくりなんだけど……。

「お兄さんから無事に許可も頂いたし、あのマンションのことも大丈夫だと仰っていた。これで真琴の心配事はなくなっただろう?」

「はい。あの……優一さん、兄さんに何を話したんですか? ものすごく優一さんのこと信頼しているみたいでしたけど……」

「ふふっ。お兄さんとの秘密だから教えられないな」

「えっ……」

「ふふっ。冗談だよ。私がどれくらい真琴のことを大切に思っているか話をしただけだ」

「僕のことを……大切に?」

「ああ。お兄さんが大切に守ってきてくださった真琴を私が守りますって話したんだ」

その言葉に一気に顔が赤くなるのがわかる。
そんなことを兄さんに話してくれたんだ……。

うわ……恥ずかしいけど……でも、嬉しい。

「真琴……大切にするよ。愛してる……」

ギュッと大きな胸に抱き締められて、耳元で優しく愛の言葉を囁かれてもうそれだけで力が抜けてしまいそうだ。

それでも自分の思いを伝えなくちゃ!

「優一さん……僕も、愛してます……」

見上げた顔に優一さんの顔が重なって、そっと口付けられる。
何度か唇を喰まれて離れた時の優一さんの表情は、とても幸せそうに見えた。
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