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僕だけのものに※
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「ああーっ、すっごく緊張したっ!!」
あまりにもホッとして、ベッドにうつ伏せに横たわりバタバタしていると、
「ふふっ」
と笑い声が聞こえた。
驚いて、声のした方を見るとそこには優一さんが立っていた。
「あっ、見てたんですか?」
慌てて起き上がり、足を伸ばして座った。
「ごめん、可愛すぎて声かけられなくて……怒ってる?」
「そんな、怒るなんて……、ただ、ちょっと……恥ずかしかっただけです……」
「気にすることないよ、本当に可愛かったから」
そんな素敵な笑顔で言われちゃうとさらに恥ずかしくなっちゃうんだけどな……。
「あ、あの……お仕事、終わったんですか?」
「いや、一区切りついたから様子を見に来たんだ。寝ている間に仕事に行っちゃったから気になってね。起きて私がいなかったからびっくりしただろう?」
「あの、優一さんの姿見えなくて、確かにちょっと……寂しかったんですけど、でもお仕事だってわかってましたから……あんまり心配しなくていいですよ」
「なら、よかった」
そっと部屋に入ってきて、優一さんが首筋に手を触れる。
やっぱりゾクゾクと不思議な感覚が身体中を駆け巡る。
でも嫌じゃないんだよな……むしろ、触れてもらえて嬉しいと思っちゃう。
不思議だよね。
「熱は上がっていないみたいだな。じゃあ、湿布を貼り替えようか」
そう言ってベッド脇の棚から湿布と包帯を取り出し、僕の足元に腰を下ろすと優しい手つきで僕の足に触れる。
「んっ――!」
「ごめん、痛かった?」
「やぁ――っ、違うんです。大丈夫です」
「そう? でも、優しくするから……」
ニコッと笑顔を向けられ、ドキドキする。
足に触れられて、さっき首筋に触れられたように身体に不思議な感覚が走った。
「まだ少し腫れているね」
そう言ってテキパキと湿布を貼り替えてくれる優一さんを見ながら、僕はドキドキが止まらなかった。
「よし、これでいい」
「あ、ありがとうございます」
優一さんは僕に笑顔を向けると突然僕の後ろに回り込んで、後ろから抱きしめてきた。
「えっ? あっ、あの……」
「今日、真琴くんをこの部屋に置いて仕事に行ったら、なんとも落ち着かなくてね……こんな気持ち初めてだったんだよ」
「気を遣わせちゃったんですよね……すみません」
「ふふっ。違う。真琴くんと離れるのが嫌だったんだ」
「えっ? それって……?」
「だから、こうやって少し充電させて……。下にいる間、真琴くんが足りなくて大変だったよ」
「優一さん……」
僕も離れて嫌だった。
だから起きた時いなくて寂しくなっちゃったんだ。
「こっちに戻ってきた時、真琴くんが楽しそうに電話していたから……離れて寂しく思っていたのは私だけだったのかと思ってしまったよ」
「――っ、違っ……それは」
「ああ、わかってる。お兄さんと話をしていたんだろう? お兄さんは強敵だな。真琴くんの笑顔を簡単に引き出すんだから……」
「笑顔?」
「ああ、すごく嬉しそうにしていたよ。悔しいなって思うくらいに……」
心の底から悔しそうに話す優一さんを見て、驚きつつもなんだか嬉しくなってしまった。
「ふふっ」
思わず笑みが溢れると、
「こんな嫉妬して恥ずかしいな。真琴くんに笑われてしまった……」
と優一さんががっくりと項垂れて僕の肩に頭を乗せる。
その重みが妙に嬉しい。
だけど、それに浸る前にちゃんと言っておかないと!
「あの、兄さんとの電話で嬉しそうにしていたのは……優一さんの話をしていたからですよ」
「えっ? 私の話?」
「はい。恋人のお家にお泊まりしてるって話したんです。友達だなんて、嘘つくの嫌だったので……だって僕……優一さんと、キス、したのに……友達なんておかしいでしょう?」
「――っ!」
「わっ!」
突然、優一さんに抱き上げられたと思ったら横抱きに変えられて、びっくりした。
「あの……?」
「ごめん、嬉しすぎて止まらない」
「えっ――んんっ!」
優一さんの顔が見えたと思った時には、もう唇を重ねられてた。
すぐに舌が滑り込んできて口内を弄られる。
驚くほど荒々しいキスについていくのが必死で戸惑いながらも、こうやって激しく求められるのが嬉しくてたまらない。
クチュクチュと音をたて何度も角度を変えられて僕の口内を貪られ長い長いキスを終え、唇が離れていく。
「あっ――っ」
離れていく優一さんの唇が寂しくて思わず声が出た。
すると優一さんは嬉しそうに微笑んでもう一度チュッと唇を重ねてくれた。
「私とのキスが好き?」
「はい……というか、優一さん以外とはしたくないです……」
「――っ、すごい殺し文句だな」
「えっ?」
「いや、なんでもない。絶対に私以外とはさせないよ。真琴くんの唇は私だけのものだ」
「あの……優一さんの唇も、僕だけのものに、してもいいですか?」
そう尋ねると、なぜかものすごく苦しげな表情で
「くっ――! くそっ、本当に可愛すぎだなっ」
と何か小声で呟いていた気がしたけれど、パッと僕の顔を見た優一さんはものすごく笑顔で
「もちろんだよ。私はもう、真琴くんのものだからね」
と言ってくれた。
あまりにもホッとして、ベッドにうつ伏せに横たわりバタバタしていると、
「ふふっ」
と笑い声が聞こえた。
驚いて、声のした方を見るとそこには優一さんが立っていた。
「あっ、見てたんですか?」
慌てて起き上がり、足を伸ばして座った。
「ごめん、可愛すぎて声かけられなくて……怒ってる?」
「そんな、怒るなんて……、ただ、ちょっと……恥ずかしかっただけです……」
「気にすることないよ、本当に可愛かったから」
そんな素敵な笑顔で言われちゃうとさらに恥ずかしくなっちゃうんだけどな……。
「あ、あの……お仕事、終わったんですか?」
「いや、一区切りついたから様子を見に来たんだ。寝ている間に仕事に行っちゃったから気になってね。起きて私がいなかったからびっくりしただろう?」
「あの、優一さんの姿見えなくて、確かにちょっと……寂しかったんですけど、でもお仕事だってわかってましたから……あんまり心配しなくていいですよ」
「なら、よかった」
そっと部屋に入ってきて、優一さんが首筋に手を触れる。
やっぱりゾクゾクと不思議な感覚が身体中を駆け巡る。
でも嫌じゃないんだよな……むしろ、触れてもらえて嬉しいと思っちゃう。
不思議だよね。
「熱は上がっていないみたいだな。じゃあ、湿布を貼り替えようか」
そう言ってベッド脇の棚から湿布と包帯を取り出し、僕の足元に腰を下ろすと優しい手つきで僕の足に触れる。
「んっ――!」
「ごめん、痛かった?」
「やぁ――っ、違うんです。大丈夫です」
「そう? でも、優しくするから……」
ニコッと笑顔を向けられ、ドキドキする。
足に触れられて、さっき首筋に触れられたように身体に不思議な感覚が走った。
「まだ少し腫れているね」
そう言ってテキパキと湿布を貼り替えてくれる優一さんを見ながら、僕はドキドキが止まらなかった。
「よし、これでいい」
「あ、ありがとうございます」
優一さんは僕に笑顔を向けると突然僕の後ろに回り込んで、後ろから抱きしめてきた。
「えっ? あっ、あの……」
「今日、真琴くんをこの部屋に置いて仕事に行ったら、なんとも落ち着かなくてね……こんな気持ち初めてだったんだよ」
「気を遣わせちゃったんですよね……すみません」
「ふふっ。違う。真琴くんと離れるのが嫌だったんだ」
「えっ? それって……?」
「だから、こうやって少し充電させて……。下にいる間、真琴くんが足りなくて大変だったよ」
「優一さん……」
僕も離れて嫌だった。
だから起きた時いなくて寂しくなっちゃったんだ。
「こっちに戻ってきた時、真琴くんが楽しそうに電話していたから……離れて寂しく思っていたのは私だけだったのかと思ってしまったよ」
「――っ、違っ……それは」
「ああ、わかってる。お兄さんと話をしていたんだろう? お兄さんは強敵だな。真琴くんの笑顔を簡単に引き出すんだから……」
「笑顔?」
「ああ、すごく嬉しそうにしていたよ。悔しいなって思うくらいに……」
心の底から悔しそうに話す優一さんを見て、驚きつつもなんだか嬉しくなってしまった。
「ふふっ」
思わず笑みが溢れると、
「こんな嫉妬して恥ずかしいな。真琴くんに笑われてしまった……」
と優一さんががっくりと項垂れて僕の肩に頭を乗せる。
その重みが妙に嬉しい。
だけど、それに浸る前にちゃんと言っておかないと!
「あの、兄さんとの電話で嬉しそうにしていたのは……優一さんの話をしていたからですよ」
「えっ? 私の話?」
「はい。恋人のお家にお泊まりしてるって話したんです。友達だなんて、嘘つくの嫌だったので……だって僕……優一さんと、キス、したのに……友達なんておかしいでしょう?」
「――っ!」
「わっ!」
突然、優一さんに抱き上げられたと思ったら横抱きに変えられて、びっくりした。
「あの……?」
「ごめん、嬉しすぎて止まらない」
「えっ――んんっ!」
優一さんの顔が見えたと思った時には、もう唇を重ねられてた。
すぐに舌が滑り込んできて口内を弄られる。
驚くほど荒々しいキスについていくのが必死で戸惑いながらも、こうやって激しく求められるのが嬉しくてたまらない。
クチュクチュと音をたて何度も角度を変えられて僕の口内を貪られ長い長いキスを終え、唇が離れていく。
「あっ――っ」
離れていく優一さんの唇が寂しくて思わず声が出た。
すると優一さんは嬉しそうに微笑んでもう一度チュッと唇を重ねてくれた。
「私とのキスが好き?」
「はい……というか、優一さん以外とはしたくないです……」
「――っ、すごい殺し文句だな」
「えっ?」
「いや、なんでもない。絶対に私以外とはさせないよ。真琴くんの唇は私だけのものだ」
「あの……優一さんの唇も、僕だけのものに、してもいいですか?」
そう尋ねると、なぜかものすごく苦しげな表情で
「くっ――! くそっ、本当に可愛すぎだなっ」
と何か小声で呟いていた気がしたけれど、パッと僕の顔を見た優一さんはものすごく笑顔で
「もちろんだよ。私はもう、真琴くんのものだからね」
と言ってくれた。
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