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出会えて幸せ

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「あの、ごめんなさい……僕のために、お世話してくれているのに、僕は恥ずかしいなんて……」

「気にすることないよ。私だって今までお世話しようなんて相手なんていなかったんだ。真琴くんだから何もかもが嬉しいんだよ。もうトイレまでお世話したんだから、これ以上に恥ずかしいことなんて何もないだろう? だから、これから何も気にしないで私に全てを委ねてくれたらいい」

僕だから嬉しい……優一さんは今、そう言ってくれた。
それって、僕だけが特別ってことだよね?

うわっ、なんかものすごく嬉しいんだけど!

「あの、優一さん……」

「んっ? どうした? まだ、何か気になる?」

「いえ、そうじゃなくて……あの、もし優一さんがお世話が必要になったら、僕にさせてくださいね。その時は僕に全てを委ねてください!」

僕は自信満々にそう言い切った。
だって、優一さんにとって僕が特別なら、僕にとっても優一さんは特別だ!
お世話だってなんでもしてあげたいし、それこそトイレだって……。

トイレ……。

それを思い出した瞬間、昨夜の優一さんのおっきなものを思い出した。
アレ・・を僕が支えておしっこさせる……。

自分じゃ一生味わえない感触だろうな……。
うわ……それはちょっと積極的にやってみたいかも……。

そんなことを思って、優一さんに目を向けるとキョトンとした顔で僕を見つめている。

「あの、優一さん?」

その呼びかけにハッとした優一さんは一気に満面の笑みを浮かべながら

「ふふっ。そうか……真琴くんがお世話してくれるのか。それは、ふふっ。楽しみだな」

楽しそうに話していた。

「そんなに、おかしかったですか?」

「ああ、ごめんごめん。違うんだ。私の体格を真琴くんが支えてくれるのはかなり難しいだろうなと思ってね、だが、ありがとう、嬉しいよ。本当に今まで体調を崩すことはあってもなんとか一人で乗り切ってきたからね、真琴くんがそばについててくれるなら、安心してすぐに治りそうだな」

「優一さん……」

「本当にそう思ってるんだ。普段は気楽だが、病気の時はこの広い部屋が寂しく感じる時もあってね……」

確かにそうだろうな。
僕が体調を崩した時はいつも兄さんがそばにいてくれた。
眠る前も起きた時も、いつも兄さんの笑顔がそこにあった。

その笑顔を見るたびに良くなってきているような気がした。

体格差でお世話できないことがあっても、ほんの少しの支えになれればいい。
僕がいることで、優一さんが少しでも早く治るなら……。

「真琴くんと出会えて……これから先の人生、幸せにしたいって思っていた。でも、真琴くんと出会えて私が幸せをもらったのかもしれないな」

「優一さん……嬉しいです」

抱きしめてくれる優一さんの背中にギュッと手を回すと、優一さんの顔は見えなくても嬉しそうに笑ったのはわかった。
ああ、僕……本当に幸せだ。


「もう少し休む? それとも少しご飯を食べようか?」

その優しい問いかけに、くぅぅーと僕のお腹の音が鳴り出した。

「ふふっ。ご飯にしよう」

「ううっ……恥ずかしい、です……」

せっかく幸せに浸っていたのに……僕の空気の読めないお腹がこんな時になるなんて!

「恥ずかしがらなくていいって言っただろう? 私は朝から可愛い音が聞けて幸せだよ」

「優一さんったら……」

まだ熱い頬を押さえながら優一さんを見上げると、

「――っ、くそっ、押し倒したくなるほど可愛いな」

真顔でボソリと何かを呟いたけれど、僕の耳には届かなかった。

「何か、言いましたか?」

「いや、なんでもない。すぐに食事用意してくるから待ってて」

そう言っていつもの笑顔に戻った優一さんは寝室から出て行った。

さっきのなんて言ったんだろうな……?


「お待たせ」

優一さんの持っているトレイにはほかほかと湯気の立ち上る美味しそうな雑炊が入っていた。

「熱いからね」

そう言って、蓮華に乗せた雑炊をフーフーと冷まして口へ運んでくれる。

そういえば兄さんも僕が猫舌だからって、いつもフーフーしてくれてたっけ。
懐かしいな。

なんの躊躇いもなく口を開けるとちょうどいい温度の雑炊が入ってきた。

卵と出汁の味なのかな、すごく美味しい。

「美味しいっ!!」

「真琴くん……食べさせてもらうの、やけに慣れているんだな?」

「えっ? あ、はい。風邪の時はいつも兄さんに食べさせてもらってたので」

笑顔でそう返すと、優一さんは

「そうか……本当に仲良いんだな」

となぜか真顔になっていた。

僕……何か変なこと言ったっけ?
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