18 / 64
初デート
しおりを挟む
あの時のことを、もしかしたらゼミのみんなにも知られているのかもしれないと少しドキドキしながらゼミ教室に向かったけれど、誰もあのことは知らないみたいでいつものように話しかけてくれた。
ふぅ……よかった。
もし知られてて腫れ物に触るような扱いをされるのは嫌だなと思っていたけれど、ゼミの子に近くに寄られると少しビクついてしまう自分もいて、どうしたらいいのかわからなくなっていた。
あの時のこと、もう大丈夫だと思ってたんだけどな……。
だめだ、こんなことじゃ。
かえってみんなにおかしいと思われちゃう。
でも、自分でもどうして良いのか本当にわからない。
勝手に反応しちゃうんだ。
だけど、僕のそんな様子に気づいてくれた翔太と七海ちゃんがさりげなく間に入ってくれて、それだけで安心したんだ。
本当に2人って優しい友達だな。
2人のさりげない優しさに感謝しながら、今日の集まりは無事に終わった。
スマホを見たけれど、まだ直己さんからの連絡は入っていない。
少し早く終わったしまだ仕事中だろうなと思い、とりあえず、
<今終わったので、大学で待っています>
とメッセージを送り、翔太と七海ちゃんと談笑しながら正門近くの大学カフェで直己さんからの連絡を待っていると、突然正門の辺りが騒がしくなった。
「なんだ?」
翔太がすぐに僕の前に立ちはだかって訝しげな視線を向けていると、
『ねぇ、正門に芸能人が来てるって!』
『今日なんかの撮影やるって言ってたっけ?』
『えーっ、とりあえず見にいこっ!』
『あの人、誰、モデル? 俳優? 見たことないけど、すっごくかっこいい!!』
『すごーいっ! あれ、すっごい高い外車だよ!!』
『えーっ、羨ましいっ!!』
『誰迎えに来たんだろう?』
『うちに彼女でもいるのかなぁ?』
『そんなわけないって! あれ、絶対撮影だよ。カメラどこかな~?』
とキャピキャピした声が聞こえてきた。
あっという間にものすごい数の女子学生たちが大学正門を埋め尽くしていて、さらにまだ校舎からも走ってくる人がいる。
「うわっすごいね、芸能人だって。誰だろうね。うちの大学で撮影でもするのかなぁ?」
うちの大学は歴史的にもかなり価値がある重要な建物で外観も厳かな雰囲気がカッコいいと評判らしくいろんな映画やCM撮影によく使われている。
「いや、私……誰が来てるかわかるよ。ねぇ、翔太」
「ああ、多分そうだろうな……」
「えーっ、誰? あ、もしかして七海ちゃんの知り合いとか?」
「まぁ確かに知り合いだけど、私より――」
「佳都っ!!!」
女の子たちの騒がしい高音の中でもスーッと耳に入ってくるこの声は、もしかして直己さん??
声のした方に振り向くと、正門前で直己さんが僕に手を振っているのが見える。
「直己さん??」
「やっぱりね、そうだと思った」
「やっぱあの人目立つなぁ……。纏ってるオーラが違うもんな」
オーラが違う……確かにそうだ。
高い身長もカッコいい顔もよく似合っている服も何もかも付け足しで、直己さん自身が圧倒的な輝きを放っているんだから、誰も太刀打ちできるはずがない。
「僕……隣に立ってて大丈夫なのかな?」
ポツリと呟くと、
「何言ってるの? あれだけ人に囲まれててもお兄ちゃんは佳都くんしか見えてないよ」
と七海ちゃんが教えてくれた。
その言葉に僕は直己さんを見つめると、本当に直己さんの視線は僕だけに注がれたままでそれだけで無性に嬉しくなった。
「佳都っ!」
なかなかこない僕に痺れを切らしたのか、直己さんがもう一度僕の名前を大声で呼ぶ。
「ほら、待ち侘びてるぞ。早く行ってやれよ」
「翔太も七海ちゃんもありがとう。僕、いくね」
僕は慌てて2人にお礼を言って直己さんの元へ駆けて行った。
僕が近づくとなぜかモーゼの十戒のようにサーっと女の子たちが割れて、僕は無事に直己さんの元へと辿り着くことができた。
「佳都、お腹空いているだろう? 食事に行こう」
「いいんですか?」
「ああ、今日はデートだからな」
直己さんがパチンとウィンクをすると、周りからきゃーっと声が上がる。
それでも直己さんは何も気にしない様子でただ僕だけを見つめてくれる。
そしてそのまま満面の笑みで腰を抱かれながら、直己さんの車へと案内された。
助手席に僕を座らせて直己さんがさっと運転席に乗り込む。
その流れるような一連の動作がカッコよくてポーッとなっていたら、
「佳都、シートベルトをつけてあげよう」
と僕の方に体を向け、さっとシートベルトをつけてくれた。
直己さんが何か動くたびに外にいる女の子たちからきゃーっと黄色い声が飛んでくる。
周りから見られていると思うと恥ずかしくなるけれど、直己さんが
「佳都が他を向いているとやきもちを妬いてしまうから私だけを見ていてくれ」
と可愛い嫉妬を見せてくれるので、僕は外の声が気にならなくなっていた。
そのまま食事に行くのかと思っていたら、連れて行かれたのは銀座にある僕でも知っているようなハイブランドショップ。
「直己さん? ここ……」
「ふふっ。いいからついておいで」
直己さんはさっと駐車場に車を止めると、僕をエスコートしながらお店へと入って行った。
「綾城さま。いらっしゃいませ」
あまりにも高級感たっぷりの店に気後れしている僕をよそに直己さんは駆け寄ってきた店員さんに声をかけた。
「今日は彼の服を一式選ぶから、彼に似合うのを集めてくれ」
「畏まりました」
直己さんがそういうと、スタッフさんたちがバタバタと店中から洋服を一箇所に集め出した。
「綾城さま。ご準備致しますのでこちらでごゆっくりお過ごしください」
「佳都、行こう」
靴を履いていてもわかるふわっふわの絨毯の感触に戸惑いながら、案内されたソファーに腰を下ろすと、さっと目の前にフレッシュジュースが置かれた。
「オレンジジュースでございます。よろしければどうぞお召し上がりください」
うわっ、僕が知っているオレンジジュースとは全然違う気がする。
飲んでみたいけどグラスもキラッキラだし落としちゃったら怖いな。
「佳都、ここのジュースは美味しいよ」
僕の心配に気づいたのか直己さんがそっと持ち上げてストローを僕の口にあてがってくれる。
僕は周りにいるスタッフさんの視線が気になりながらも、チューっと吸い込むとまるで搾りたてのような爽やかなオレンジジュースが喉を潤してくれて、
「わぁっ、美味しいっ!」
と声が出てしまった。
直己さんはそれを満面の笑みで見つめながら、自分も一口それを飲んだ。
「ああ、本当に美味しいな。佳都と同じストローを使ったから余計かな」
蕩けるような甘い微笑みを見せてくれる直己さんに僕はもうキュンキュンしっぱなしだった。
ふぅ……よかった。
もし知られてて腫れ物に触るような扱いをされるのは嫌だなと思っていたけれど、ゼミの子に近くに寄られると少しビクついてしまう自分もいて、どうしたらいいのかわからなくなっていた。
あの時のこと、もう大丈夫だと思ってたんだけどな……。
だめだ、こんなことじゃ。
かえってみんなにおかしいと思われちゃう。
でも、自分でもどうして良いのか本当にわからない。
勝手に反応しちゃうんだ。
だけど、僕のそんな様子に気づいてくれた翔太と七海ちゃんがさりげなく間に入ってくれて、それだけで安心したんだ。
本当に2人って優しい友達だな。
2人のさりげない優しさに感謝しながら、今日の集まりは無事に終わった。
スマホを見たけれど、まだ直己さんからの連絡は入っていない。
少し早く終わったしまだ仕事中だろうなと思い、とりあえず、
<今終わったので、大学で待っています>
とメッセージを送り、翔太と七海ちゃんと談笑しながら正門近くの大学カフェで直己さんからの連絡を待っていると、突然正門の辺りが騒がしくなった。
「なんだ?」
翔太がすぐに僕の前に立ちはだかって訝しげな視線を向けていると、
『ねぇ、正門に芸能人が来てるって!』
『今日なんかの撮影やるって言ってたっけ?』
『えーっ、とりあえず見にいこっ!』
『あの人、誰、モデル? 俳優? 見たことないけど、すっごくかっこいい!!』
『すごーいっ! あれ、すっごい高い外車だよ!!』
『えーっ、羨ましいっ!!』
『誰迎えに来たんだろう?』
『うちに彼女でもいるのかなぁ?』
『そんなわけないって! あれ、絶対撮影だよ。カメラどこかな~?』
とキャピキャピした声が聞こえてきた。
あっという間にものすごい数の女子学生たちが大学正門を埋め尽くしていて、さらにまだ校舎からも走ってくる人がいる。
「うわっすごいね、芸能人だって。誰だろうね。うちの大学で撮影でもするのかなぁ?」
うちの大学は歴史的にもかなり価値がある重要な建物で外観も厳かな雰囲気がカッコいいと評判らしくいろんな映画やCM撮影によく使われている。
「いや、私……誰が来てるかわかるよ。ねぇ、翔太」
「ああ、多分そうだろうな……」
「えーっ、誰? あ、もしかして七海ちゃんの知り合いとか?」
「まぁ確かに知り合いだけど、私より――」
「佳都っ!!!」
女の子たちの騒がしい高音の中でもスーッと耳に入ってくるこの声は、もしかして直己さん??
声のした方に振り向くと、正門前で直己さんが僕に手を振っているのが見える。
「直己さん??」
「やっぱりね、そうだと思った」
「やっぱあの人目立つなぁ……。纏ってるオーラが違うもんな」
オーラが違う……確かにそうだ。
高い身長もカッコいい顔もよく似合っている服も何もかも付け足しで、直己さん自身が圧倒的な輝きを放っているんだから、誰も太刀打ちできるはずがない。
「僕……隣に立ってて大丈夫なのかな?」
ポツリと呟くと、
「何言ってるの? あれだけ人に囲まれててもお兄ちゃんは佳都くんしか見えてないよ」
と七海ちゃんが教えてくれた。
その言葉に僕は直己さんを見つめると、本当に直己さんの視線は僕だけに注がれたままでそれだけで無性に嬉しくなった。
「佳都っ!」
なかなかこない僕に痺れを切らしたのか、直己さんがもう一度僕の名前を大声で呼ぶ。
「ほら、待ち侘びてるぞ。早く行ってやれよ」
「翔太も七海ちゃんもありがとう。僕、いくね」
僕は慌てて2人にお礼を言って直己さんの元へ駆けて行った。
僕が近づくとなぜかモーゼの十戒のようにサーっと女の子たちが割れて、僕は無事に直己さんの元へと辿り着くことができた。
「佳都、お腹空いているだろう? 食事に行こう」
「いいんですか?」
「ああ、今日はデートだからな」
直己さんがパチンとウィンクをすると、周りからきゃーっと声が上がる。
それでも直己さんは何も気にしない様子でただ僕だけを見つめてくれる。
そしてそのまま満面の笑みで腰を抱かれながら、直己さんの車へと案内された。
助手席に僕を座らせて直己さんがさっと運転席に乗り込む。
その流れるような一連の動作がカッコよくてポーッとなっていたら、
「佳都、シートベルトをつけてあげよう」
と僕の方に体を向け、さっとシートベルトをつけてくれた。
直己さんが何か動くたびに外にいる女の子たちからきゃーっと黄色い声が飛んでくる。
周りから見られていると思うと恥ずかしくなるけれど、直己さんが
「佳都が他を向いているとやきもちを妬いてしまうから私だけを見ていてくれ」
と可愛い嫉妬を見せてくれるので、僕は外の声が気にならなくなっていた。
そのまま食事に行くのかと思っていたら、連れて行かれたのは銀座にある僕でも知っているようなハイブランドショップ。
「直己さん? ここ……」
「ふふっ。いいからついておいで」
直己さんはさっと駐車場に車を止めると、僕をエスコートしながらお店へと入って行った。
「綾城さま。いらっしゃいませ」
あまりにも高級感たっぷりの店に気後れしている僕をよそに直己さんは駆け寄ってきた店員さんに声をかけた。
「今日は彼の服を一式選ぶから、彼に似合うのを集めてくれ」
「畏まりました」
直己さんがそういうと、スタッフさんたちがバタバタと店中から洋服を一箇所に集め出した。
「綾城さま。ご準備致しますのでこちらでごゆっくりお過ごしください」
「佳都、行こう」
靴を履いていてもわかるふわっふわの絨毯の感触に戸惑いながら、案内されたソファーに腰を下ろすと、さっと目の前にフレッシュジュースが置かれた。
「オレンジジュースでございます。よろしければどうぞお召し上がりください」
うわっ、僕が知っているオレンジジュースとは全然違う気がする。
飲んでみたいけどグラスもキラッキラだし落としちゃったら怖いな。
「佳都、ここのジュースは美味しいよ」
僕の心配に気づいたのか直己さんがそっと持ち上げてストローを僕の口にあてがってくれる。
僕は周りにいるスタッフさんの視線が気になりながらも、チューっと吸い込むとまるで搾りたてのような爽やかなオレンジジュースが喉を潤してくれて、
「わぁっ、美味しいっ!」
と声が出てしまった。
直己さんはそれを満面の笑みで見つめながら、自分も一口それを飲んだ。
「ああ、本当に美味しいな。佳都と同じストローを使ったから余計かな」
蕩けるような甘い微笑みを見せてくれる直己さんに僕はもうキュンキュンしっぱなしだった。
311
お気に入りに追加
3,110
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる