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お揃いのお弁当
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一緒に朝食を食べながら、言っておかなければいけないことを思い出した。
「あの、今日は午後から大学でゼミの集まりがあるので出かけます。でも夕方には終わる予定なので、夕食はちゃんと作れますから安心してください」
「そうか、今日は大学なのか。遅くなるようだったら連絡してくれれば、食事は気にしなくてもいいから」
「ありがとうございます。でも、直己さんには毎日栄養のあるものを食べてもらいたいので食事は気にしないでください」
「ああ、ありがとう。今日も夕食楽しみにしてるよ」
「はい。直己さんの好きなものとか今度ゆっくり教えてくださいね。
ちなみに今日は何がいいとかありますか?」
「そうだなぁ……。佳都くんのご飯はどれも美味しいから悩むが、久しぶりに豚の生姜焼きなんかが食べられたらいいな。あれは家でも作れるものなのか?」
ふふっ。案外直己さんって庶民的なんだなぁ。
豚の生姜焼きが食べたいだなんて。
でも、食べたいっていってくれるものを作るって嬉しいよね。
「ふふっ。豚の生姜焼きですね、大丈夫ですよ。うちでも作れます。じゃ今夜作るので楽しみにしててください」
「何か必要なものがあれば、連絡くれたら買い物して帰るから」
「わかりました。ありがとうございます」
食事を終え、出かけようとする直己さんに
「あの、これ……今日のお弁当です」
と手渡すと、
「昨日は佳都くんも大変で何も準備できなかっただろうからもしかしたら今日はないかもと思ってたんだ。
嬉しいよ、ありがとう。でも朝から忙しくさせてしまったんじゃないか?」
と嬉しそうにしながらも僕のことを心配してくれた。
「いえ、朝食を作りながら一緒に作ってたので平気です。それに……僕もお揃いでお弁当作っちゃったので。
ふふっ、今日のお昼が楽しみです」
「くぅ――っ、これは計算なのか? なんでこんな可愛いんだろうな」
直己さんが横を向いてボソボソと何かを呟いているけれど、なんて言ってるんだろう?
「直己さん?」
「えっ、あ、ああ。私もお昼が楽しみだよ。お弁当ありがとう」
「はい。いってらっしゃい。今日もお仕事頑張ってくださいね」
「――っ!」
笑顔でそう手を振ると、直己さんはほんのりと顔を赤くして出勤していった。
今日も暑くなりそうだもんな。
スーツならこの時間から暑いのかも。
大変だな、社会人って。
午前中のうちに掃除と洗濯だけでもやって大学へ行こうと思っていたけれど、如何せん部屋が広いから掃除機をかけるのも結構な重労働だ。
そりゃあ仕事しながらだとここまで手が回らないだろうなとしみじみ思いながら、なんとか掃除と洗濯を終わらせた時にはもう家を出ないといけない時間になっていた。
今日提出予定のレポートとお弁当、お財布を慌ててバッグに詰め込み、急いで家を出た。
田之上さんに急ぎながらもいってきますと声をかけて、走って大学へと向かうとなんとかお昼休み中に学食につくことができた。
「あーっ、来た来た! 佳都っ! こっち!」
「よかった、間に合った?」
「ぎりアウトだな、遅かったから先に昼メシ食べてたぜ」
「ごめん、ごめん。バタバタしちゃって」
「七海の兄ちゃんとこでバイトしてるんだってな?」
そうか、七海ちゃんから聞いてるんだな。
そもそも部屋が綺麗とか七海ちゃんに情報与えてたのは翔太だったし。
「うん、今日は午前中掃除と洗濯してたら遅くなっちゃって」
「そうか、さっさと学食買ってこいよ。もう定食は残り少なかったぞ」
「ああ、それは大丈夫。お弁当持ってきたから」
そう言ってバッグからお弁当を取り出し広げて見せると、
「うわぁーっ、いっつもうまそうだけど、今日のはめっちゃ豪華じゃん」
とよだれを垂らしそうなほど顔を近づけてくる。
「今日のは直己さんのに入れたのと同じおかずだから豪華なんだよ。
自分だけだったら残り物とか常備菜ばっかりだから、こんなにおかずは入れないよ」
「えっ? ちょっと待て。佳都、お前七海のにいちゃんに弁当も作ってんの?」
「んっ? うん。朝早く起こしてほしいからって家に泊めてくれたから、朝食作るついでに作ってるけど、何かおかしかった?」
お弁当なんてご飯を作る延長だから大して変わらないよね?
なんで翔太はそんなに驚いてるんだろう?
「泊まった? なんでそんなことになってんの? バイトって家事代行だけじゃなかったか?」
「うーん、そうなんだけど。朝早くからわざわざ来るより泊まった方が効率いいからって言われて、それもそうかーって」
「はぁーーっ、お前……チョロすぎだな」
「なに? チョロすぎってどういうこと?」
「いや、いい。お前……ちゃんと気をつけろよ?」
翔太は僕の肩をポンポンと叩いて、何か意味深に頷いていたけれど、僕にはなんのことだか何も分からなくて頭の中はハテナマークでいっぱいになっていた。
「ねぇ、どういうい――」
「翔太ーーっ!」
僕の聞き返そうとした声は駆け寄ってくる七海ちゃんの可愛い声にかき消されてしまった。
「七海も遅かったな」
「ごめーん、ちょっと出掛けにライリーがまとわりついてきちゃって遊んでたら遅くなっちゃった。
あ、おはよう。佳都くん、お兄ちゃんがすっかりお世話になってて……ありがとうね」
ライリーって直己さんの布団に潜り込んでくるっていうワンコだ。
七海ちゃんにもまとわりつくなんて可愛いな。
「ううん、そんなのいいんだよ。ライリーって家族みんなに人懐っこいんだね」
「んっ? うん。可愛いよ~。お兄ちゃん以外にはすっごく懐いてるかな」
「えっ? 直己さん以外?」
「うん、お兄ちゃんが家出てってから寂しいね~って言い出したママのために飼い始めたんだ~。お兄ちゃんはあんまり実家には帰ってこないから、ライリーも嫌いじゃないみたいだけど緊張するみたい」
えっ……じゃあ、あの話は?
ライリーと一緒に寝てるから僕が隣でも気にならないって話してくれたのは……もしかして――
僕がベッドで寝ても気にしないようにっていう直己さんの優しさ?
うわーっ、本当は眠れてなかったりしてるんじゃないかな……。
「佳都くん? どうしたの? 顔、青いよ」
「う、ううん。いや、僕……直己さんに迷惑かけちゃってたのかもって……」
「迷惑? それどういうこと?」
僕はどうしようか迷ったけど、とりあえず今の話をしてみることにした。
「――というわけで、一緒に寝かせてもらってるんだけど、実は邪魔してたんじゃないかなって心配になって……どう思う?」
そう言って2人をみると、2人ともポカーンと口を開けて僕を見ている。
「翔太? 七海ちゃん? どうかした?」
驚いて声をかけると、2人して顔を後ろに向け何やら話をしているけれど僕には学食のざわつきで何を言っているかまでは聞こえない。
「なぁ、あれってどうなんだ? 一緒に寝てるとか展開早すぎないか?
もっとじっくり佳都の気持ちを確かめてからとか言ってたから俺も協力したんだぞ」
「で、でも今はまだ一緒に寝てるだけっぽいし、今日ちゃんとお兄ちゃんに話を聞いてみるから。ねっ」
「そうしてくれよ。佳都がなにも分からないままににいちゃんのものになってるとか嫌だからな、俺」
「わかってるってば。私に任せて」
「翔太? 七海ちゃん?」
僕がもう一度声をかけると、ようやく2人はこっちを向いて
「熟睡できてないとかの心配はないと思うよ。お兄ちゃん、そもそも心許してない人は寝室はおろか自分の部屋にだって入れないから。純粋に佳都くんと寝るのは嫌じゃないと思うよ」
と七海ちゃんが教えてくれた。
その言葉に僕は少しホッとしたんだ。
「あの、今日は午後から大学でゼミの集まりがあるので出かけます。でも夕方には終わる予定なので、夕食はちゃんと作れますから安心してください」
「そうか、今日は大学なのか。遅くなるようだったら連絡してくれれば、食事は気にしなくてもいいから」
「ありがとうございます。でも、直己さんには毎日栄養のあるものを食べてもらいたいので食事は気にしないでください」
「ああ、ありがとう。今日も夕食楽しみにしてるよ」
「はい。直己さんの好きなものとか今度ゆっくり教えてくださいね。
ちなみに今日は何がいいとかありますか?」
「そうだなぁ……。佳都くんのご飯はどれも美味しいから悩むが、久しぶりに豚の生姜焼きなんかが食べられたらいいな。あれは家でも作れるものなのか?」
ふふっ。案外直己さんって庶民的なんだなぁ。
豚の生姜焼きが食べたいだなんて。
でも、食べたいっていってくれるものを作るって嬉しいよね。
「ふふっ。豚の生姜焼きですね、大丈夫ですよ。うちでも作れます。じゃ今夜作るので楽しみにしててください」
「何か必要なものがあれば、連絡くれたら買い物して帰るから」
「わかりました。ありがとうございます」
食事を終え、出かけようとする直己さんに
「あの、これ……今日のお弁当です」
と手渡すと、
「昨日は佳都くんも大変で何も準備できなかっただろうからもしかしたら今日はないかもと思ってたんだ。
嬉しいよ、ありがとう。でも朝から忙しくさせてしまったんじゃないか?」
と嬉しそうにしながらも僕のことを心配してくれた。
「いえ、朝食を作りながら一緒に作ってたので平気です。それに……僕もお揃いでお弁当作っちゃったので。
ふふっ、今日のお昼が楽しみです」
「くぅ――っ、これは計算なのか? なんでこんな可愛いんだろうな」
直己さんが横を向いてボソボソと何かを呟いているけれど、なんて言ってるんだろう?
「直己さん?」
「えっ、あ、ああ。私もお昼が楽しみだよ。お弁当ありがとう」
「はい。いってらっしゃい。今日もお仕事頑張ってくださいね」
「――っ!」
笑顔でそう手を振ると、直己さんはほんのりと顔を赤くして出勤していった。
今日も暑くなりそうだもんな。
スーツならこの時間から暑いのかも。
大変だな、社会人って。
午前中のうちに掃除と洗濯だけでもやって大学へ行こうと思っていたけれど、如何せん部屋が広いから掃除機をかけるのも結構な重労働だ。
そりゃあ仕事しながらだとここまで手が回らないだろうなとしみじみ思いながら、なんとか掃除と洗濯を終わらせた時にはもう家を出ないといけない時間になっていた。
今日提出予定のレポートとお弁当、お財布を慌ててバッグに詰め込み、急いで家を出た。
田之上さんに急ぎながらもいってきますと声をかけて、走って大学へと向かうとなんとかお昼休み中に学食につくことができた。
「あーっ、来た来た! 佳都っ! こっち!」
「よかった、間に合った?」
「ぎりアウトだな、遅かったから先に昼メシ食べてたぜ」
「ごめん、ごめん。バタバタしちゃって」
「七海の兄ちゃんとこでバイトしてるんだってな?」
そうか、七海ちゃんから聞いてるんだな。
そもそも部屋が綺麗とか七海ちゃんに情報与えてたのは翔太だったし。
「うん、今日は午前中掃除と洗濯してたら遅くなっちゃって」
「そうか、さっさと学食買ってこいよ。もう定食は残り少なかったぞ」
「ああ、それは大丈夫。お弁当持ってきたから」
そう言ってバッグからお弁当を取り出し広げて見せると、
「うわぁーっ、いっつもうまそうだけど、今日のはめっちゃ豪華じゃん」
とよだれを垂らしそうなほど顔を近づけてくる。
「今日のは直己さんのに入れたのと同じおかずだから豪華なんだよ。
自分だけだったら残り物とか常備菜ばっかりだから、こんなにおかずは入れないよ」
「えっ? ちょっと待て。佳都、お前七海のにいちゃんに弁当も作ってんの?」
「んっ? うん。朝早く起こしてほしいからって家に泊めてくれたから、朝食作るついでに作ってるけど、何かおかしかった?」
お弁当なんてご飯を作る延長だから大して変わらないよね?
なんで翔太はそんなに驚いてるんだろう?
「泊まった? なんでそんなことになってんの? バイトって家事代行だけじゃなかったか?」
「うーん、そうなんだけど。朝早くからわざわざ来るより泊まった方が効率いいからって言われて、それもそうかーって」
「はぁーーっ、お前……チョロすぎだな」
「なに? チョロすぎってどういうこと?」
「いや、いい。お前……ちゃんと気をつけろよ?」
翔太は僕の肩をポンポンと叩いて、何か意味深に頷いていたけれど、僕にはなんのことだか何も分からなくて頭の中はハテナマークでいっぱいになっていた。
「ねぇ、どういうい――」
「翔太ーーっ!」
僕の聞き返そうとした声は駆け寄ってくる七海ちゃんの可愛い声にかき消されてしまった。
「七海も遅かったな」
「ごめーん、ちょっと出掛けにライリーがまとわりついてきちゃって遊んでたら遅くなっちゃった。
あ、おはよう。佳都くん、お兄ちゃんがすっかりお世話になってて……ありがとうね」
ライリーって直己さんの布団に潜り込んでくるっていうワンコだ。
七海ちゃんにもまとわりつくなんて可愛いな。
「ううん、そんなのいいんだよ。ライリーって家族みんなに人懐っこいんだね」
「んっ? うん。可愛いよ~。お兄ちゃん以外にはすっごく懐いてるかな」
「えっ? 直己さん以外?」
「うん、お兄ちゃんが家出てってから寂しいね~って言い出したママのために飼い始めたんだ~。お兄ちゃんはあんまり実家には帰ってこないから、ライリーも嫌いじゃないみたいだけど緊張するみたい」
えっ……じゃあ、あの話は?
ライリーと一緒に寝てるから僕が隣でも気にならないって話してくれたのは……もしかして――
僕がベッドで寝ても気にしないようにっていう直己さんの優しさ?
うわーっ、本当は眠れてなかったりしてるんじゃないかな……。
「佳都くん? どうしたの? 顔、青いよ」
「う、ううん。いや、僕……直己さんに迷惑かけちゃってたのかもって……」
「迷惑? それどういうこと?」
僕はどうしようか迷ったけど、とりあえず今の話をしてみることにした。
「――というわけで、一緒に寝かせてもらってるんだけど、実は邪魔してたんじゃないかなって心配になって……どう思う?」
そう言って2人をみると、2人ともポカーンと口を開けて僕を見ている。
「翔太? 七海ちゃん? どうかした?」
驚いて声をかけると、2人して顔を後ろに向け何やら話をしているけれど僕には学食のざわつきで何を言っているかまでは聞こえない。
「なぁ、あれってどうなんだ? 一緒に寝てるとか展開早すぎないか?
もっとじっくり佳都の気持ちを確かめてからとか言ってたから俺も協力したんだぞ」
「で、でも今はまだ一緒に寝てるだけっぽいし、今日ちゃんとお兄ちゃんに話を聞いてみるから。ねっ」
「そうしてくれよ。佳都がなにも分からないままににいちゃんのものになってるとか嫌だからな、俺」
「わかってるってば。私に任せて」
「翔太? 七海ちゃん?」
僕がもう一度声をかけると、ようやく2人はこっちを向いて
「熟睡できてないとかの心配はないと思うよ。お兄ちゃん、そもそも心許してない人は寝室はおろか自分の部屋にだって入れないから。純粋に佳都くんと寝るのは嫌じゃないと思うよ」
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