何も知らないノンケな俺がなぜかラブホでイケメン先輩に抱かれています

波木真帆

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番外編

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かなりの大物たちが利用しているこのラブホをどうして葉月の上司・八神悠亮が利用できたのか……ここのオーナーとの関係が知りたい!というリクエストをいただいて書いてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


作中に出てくる話は
『運命の出会いは空港で ~クールなイケメン社長は無自覚煽りの可愛い子ちゃんに我慢できない』の
番外編<俺たちのミッション>のお話とリンクしてます。
未読の方はそちらも読んでいただけるとわかりやすいかもです。
ただしR18なのでご注意ください。

  *   *   *

<side悠亮>

「こんにちはー」

「あ、八神さん。こんにちは。どうぞ中にお入りください」

「ありがとうございます。藤乃さん、もうすっかり社長秘書が板についてますね」

「えっ、そんなっ……僕なんて、まだまだですよ」

恥ずかしそうに頬を染めるまだ20代前半のこの子・藤乃ふじの わたるくんは、この芸能事務所<テリフィックオフィス>の倉橋代表の秘書で、公然の恋人だ。

この芸能事務所に所属している俳優・南條朝陽も倉橋代表の共同経営者・蓮見GMと同性婚を発表していることもあって、倉橋代表に男性の恋人がいても何も問題にならない。

まぁ倉橋代表のものすごい人脈に敵に回したくないということもあるのだろうが、倉橋代表と藤乃くんの恋愛はかなり好意的に見られている。

なんせ、倉橋代表の溺愛っぷりが半端ないのだ。
少しの間でも離れていたくないという理由から、彼はここ以外でも、沖縄にもある倉橋代表の会社でも秘書業務についていて、倉橋代表の個人的な専属秘書として仕事を任されている。
だから、東京でも沖縄でも倉橋代表の隣にはいつも藤乃くんの姿がある。

藤乃くんと出会うまでは、倉橋代表は特定の恋人は決して作らないことで有名だったのだから、本当に人は変わるものだと思う。

俺はこの<テリフィックオフィス>と契約をとり、定期的に顔を出し、新商品などを勧めている。
今日も新商品を提げて、倉橋代表にアポをとりやってきたのだ。
まぁ、ここだけの話。
それは表の顔なんだけど……。

藤乃くんに社長室に案内してもらうと、倉橋代表はすぐに藤乃くんを休憩にやった。
どうやら、事務所に南條朝陽が来ていて彼との約束があるようだ。

「それで今日の目的はなんだ?」

「やはりわかりますか?」

「ああ。お前が新商品の販促だけで俺のところには来ないだろう?」

「さすがですね。先輩・・。今日はちょっとお願いがあってお時間をいただいたんです」

「やっぱりな。そうだと思ったよ。まぁ、お前には航の件で世話になったからな」

俺は倉橋代表と同じ大学の卒業生。
とは言っても7歳年上の先輩とは同じキャンパスライフを過ごしたことはないが、同じ志良堂ゼミ出身という繋がりで一緒に食事をしたことがあった。

その時に、たまたまお遊びで作っていたゲームアプリに関心を持ってもらえて、それを先輩に譲渡したのだ。
先輩はそれを元にものすごいアプリを開発し巨万の富を得たが、俺にもきちんと開発料という名目でとんでもない額のお金をくれた。

俺のを元にしていると言っても、それは本当に微々たるものだったけれど、先輩は俺のアイディアがなければ作れなかったからと言ってくれたんだ。

それからというもの、俺は先輩と懇意にさせてもらって思いついたアイディアを話すようになった。
他の人ならバカにするようなアイディアでもしっかりと話を聞いてくれてそれを実行してくれる。
そして、俺と先輩の共同でできたものはかなりの数になった。

正直言って今の仕事年収の数十倍は稼いでいるが、先輩との仕事はあくまでもただの趣味のようなもの。
先輩もそれをわかってくれているから、仕事をやめろとは言わないし、その距離感が心地よかった。

そんなある日、先輩から珍しく相談が来た。

報復のために人を集めて欲しいと。

聞けば、愛しい恋人が先輩に出会う以前に男に襲われそうになったことがあるらしい。
しかもその男は先輩の恋人以外にも複数の男を強姦しては写真や動画で脅し、口止めしていたようだ。

そんな男を自由にさせておくわけにはいかない。
また被害者をうまないためにも痛い目に合わせてやりたいのだと言われた時、先輩が本気なんだとわかった。

俺は早速ゲイ仲間の中で屈強な男たちを選び、作戦に乗った。

先輩が繁華街にある自分の息のかかったラブホに連れ込んだその男に、自分がしてきたことと同じことをさせたんだ。

俺も含めて3人で突入した。
俺以外の二人は雑食だから相手が処女で思いっきり楽しめればいいタイプ。

二人がそいつと遊んでいるのを写真と動画に撮り、証拠として先輩に送る役目を担った。
そして、そいつは散々二人に遊ばれて、そのまま二人が経営するゲイ風俗の店に引き取られていった。
話に聞けば意外と人気があるらしい。

あの時に十分すぎる金をもらったけれど、俺は受け取らず二人に受け取ってもらった。
それくらいの仕事をしてくれたからな。

それを知って、先輩は俺の頼みを聞いてくれると言ってくれたんだ。
だから冗談で、<テリフィックオフィス>で自社製品の契約をしてと頼んだらすぐにオッケーしてくれた。
その上、あらゆる人脈を使って宣伝してくれたおかげで俺の営業成績は鰻登り。

副業でも稼いでいるのに、本業でも稼がせてもらっている。

それなのに、先輩は何かあればいつでも声をかけてくれと言ってくれる。
優しい先輩だ。

だからと言ってそれに甘えてばかりいるわけではないが、今回はどうしても先輩の力を借りたくてお願いに来たんだ。

「実は……会社の子で、どうしても恋人にしたい子がいて……ずっとアプローチはしているんですけど、なかなか気づいてもらえなくて……それで、なんとかして俺を意識してもらえるような環境を作りたいんです。それで……先輩のあのラブホに泊まらせてほしくて……」

「ああ、なるほどな。そういうことか……。お前がそんなに手をやく相手か。まぁ鈍感な相手に手を焼くのは俺自身も経験しているからよくわかる」

きっと藤乃くんのことだろう。
葉月も藤乃くんによく似ている。

「よし。わかった。いつがいい? 部屋をとってやろう」

「――っ!! ありがとうございます!! あの、来月最初の週末にちょうどその近くでうちのイベントがあるんでそこに連れて行こうと思ってるんです。だから、できたらその日に連れて行けたら、怪しまれずに連れて行けると思うんですけど……」

「わかった。予約はしておいてやる。うまくいくかどうかはお前次第だな」

「先輩! ありがとございます! うまくいったら、お礼に食事でもいかがですか? 藤乃くんも一緒に」

「んっ? ああ、そうだな。まぁ考えておこう。まぁ、頑張ってくるんだな。話はそこからだ」

「はい」

これで舞台は整った。

葉月!
覚悟しとけよ!!
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