65 / 74
威圧に怯える
しおりを挟む
<sideランス>
ラミロさまがお連れになったお相手は、まさにヤマトナデシコそのもの。
男性ではあったものの、そのようなことは気にならないほど外見も心も清らかなお方で、さすがラミロさまがお選びになったお相手だった。
お二人でお部屋に入られたかと思ったら、すぐにお部屋から出てラミロさまの執務室に向かわれた。
どうやらお仕事をなさっているようだ。
あれほどすぐに愛し合いたいと全身で訴えておられたラミロさまがなぜ? と思いはしたものの、お二人のことに関して私が口を挟むものではない。
お仕事の後はお食事をなさるだろうか。
とりあえず、すぐにでもお食事は出せる準備は整っているから問題ない。
後は何かあったか……。
慣れない状態に何か不備はないかと心配していると、玄関のベルが鳴った。
どうやらどこかからか荷物が届いた様子。
受け取って箱をみれば、送り主はワクラさま。
宛名の注意書きには届いたらすぐに開けるようにと記載してあった。
急いで箱を開けると、中にはシャンプーやボディーソープの類が入っていた。
同封されていた手紙には、
<ヒビスクス家執事さま。肌の弱い一帆のために必要なものをお送りします。また、同梱しておりますローションはお風呂場、寝室など手の届く場所にお願いいたします。和倉明>
簡潔ながらも的確な指示にカズホさまへの愛を感じる。
それにしてもローションを一緒にお送りになるとは……。
まぁ、ラミロさまにしてもカズホさまにしてももう成人は超えられているのだから問題はないが、一体ワクラさまとカズホさまはどのようなご関係なのだろう。
気になるところだが、今はとりあえず準備を整えておこう。
急いでバスルームにシャンプー類と一緒にローションを並べ、寝室にも手の届く位置にいくつか配置しておいた。
それからしばらくして、執務室から出てこられたラミロさまはカズホさまを抱きかかえて一目散にお部屋にお戻りになった。
扉の中からは、決して声はかけるなという圧力を感じる。
今から愛し合われるのだろうか。
いつ呼ばれてもいいように待機しておくしかないな。
シェフたちにはしばらく待機をと声をかけ、私は部屋から少し離れた位置で待ち続けた。
それからどれくらいの時間が経っただろう。
ようやく寝室のベルが鳴らされ、連動しているボタンが震え始めた。
しばしの間隔をあけ、一応声をかけ中にはいる。
寝室の前でもう一度声をかけてから中に入ると、むわっとした情事後の匂いに迎え入れられる。
部屋の奥のバスルームから水音に混じって、ラミロさまのお楽しみの声が聞こえる。
一度とは思えないほどの時間をお過ごしになった上に、バスルームでも……と驚きを隠せない。
茫然としつつも、寝室を整えることは忘れない。
急いでベッドのシーツを剥ぎ取り新しいシーツに取り替え、ベッド脇のテーブルに水差しとグラスを置いて部屋を出た。
それからしばらくして、もう一度ベルが鳴らされたが、今度は寝室ではなくリビングのベル。
ようやくお楽しみは終了したようだ。
心を落ち着けようと、ピシッと服を整え気合を入れてから部屋の前で伺いをたて、中に入ると、
『――っ!!!』
あまりにもすごい色気を纏ったラミロさまのお姿に思わず息を呑んだ。
『どうした?』
『い、いえ。失礼いたしました』
『悪いが、軽い食事を用意してくれ。ベッドの上で食べるからその準備も頼む』
『承知、いたしました』
なんとかそれだけ返事をして部屋から飛び出たが、まだ心臓がバクバクしている。
今までとは全く別人のようなラミロさまの姿に速い鼓動がおさまらない。
愛するお人と繋がると、あれほどの色気を纏うのか……。
ラミロさまの首筋にはキスマークがあった。
あのヤマトナデシコのようなカズホさまがあんなにも情熱的にキスマークをおつけになるとは……。
ラミロさまがあれほどフェロモンをたっぷりと撒き散らしているのなら、カズホさまは……
『――っ!!!』
ほんの少し想像しただけで、背中がゾクリと震える。
これはもしやラミロさまの威圧?
私がカズホさまの淫らなお姿を想像しようとしたからか?
ひぃーーっ。
余計なことは考えずに職務を全うするようにしよう。
私は急いで食事の支度を整え、ラミロさまとカズホさまのお部屋に運んだ。
カズホさまのお姿を拝見したのは、それから二日後のことだった。
ラミロさまがお連れになったお相手は、まさにヤマトナデシコそのもの。
男性ではあったものの、そのようなことは気にならないほど外見も心も清らかなお方で、さすがラミロさまがお選びになったお相手だった。
お二人でお部屋に入られたかと思ったら、すぐにお部屋から出てラミロさまの執務室に向かわれた。
どうやらお仕事をなさっているようだ。
あれほどすぐに愛し合いたいと全身で訴えておられたラミロさまがなぜ? と思いはしたものの、お二人のことに関して私が口を挟むものではない。
お仕事の後はお食事をなさるだろうか。
とりあえず、すぐにでもお食事は出せる準備は整っているから問題ない。
後は何かあったか……。
慣れない状態に何か不備はないかと心配していると、玄関のベルが鳴った。
どうやらどこかからか荷物が届いた様子。
受け取って箱をみれば、送り主はワクラさま。
宛名の注意書きには届いたらすぐに開けるようにと記載してあった。
急いで箱を開けると、中にはシャンプーやボディーソープの類が入っていた。
同封されていた手紙には、
<ヒビスクス家執事さま。肌の弱い一帆のために必要なものをお送りします。また、同梱しておりますローションはお風呂場、寝室など手の届く場所にお願いいたします。和倉明>
簡潔ながらも的確な指示にカズホさまへの愛を感じる。
それにしてもローションを一緒にお送りになるとは……。
まぁ、ラミロさまにしてもカズホさまにしてももう成人は超えられているのだから問題はないが、一体ワクラさまとカズホさまはどのようなご関係なのだろう。
気になるところだが、今はとりあえず準備を整えておこう。
急いでバスルームにシャンプー類と一緒にローションを並べ、寝室にも手の届く位置にいくつか配置しておいた。
それからしばらくして、執務室から出てこられたラミロさまはカズホさまを抱きかかえて一目散にお部屋にお戻りになった。
扉の中からは、決して声はかけるなという圧力を感じる。
今から愛し合われるのだろうか。
いつ呼ばれてもいいように待機しておくしかないな。
シェフたちにはしばらく待機をと声をかけ、私は部屋から少し離れた位置で待ち続けた。
それからどれくらいの時間が経っただろう。
ようやく寝室のベルが鳴らされ、連動しているボタンが震え始めた。
しばしの間隔をあけ、一応声をかけ中にはいる。
寝室の前でもう一度声をかけてから中に入ると、むわっとした情事後の匂いに迎え入れられる。
部屋の奥のバスルームから水音に混じって、ラミロさまのお楽しみの声が聞こえる。
一度とは思えないほどの時間をお過ごしになった上に、バスルームでも……と驚きを隠せない。
茫然としつつも、寝室を整えることは忘れない。
急いでベッドのシーツを剥ぎ取り新しいシーツに取り替え、ベッド脇のテーブルに水差しとグラスを置いて部屋を出た。
それからしばらくして、もう一度ベルが鳴らされたが、今度は寝室ではなくリビングのベル。
ようやくお楽しみは終了したようだ。
心を落ち着けようと、ピシッと服を整え気合を入れてから部屋の前で伺いをたて、中に入ると、
『――っ!!!』
あまりにもすごい色気を纏ったラミロさまのお姿に思わず息を呑んだ。
『どうした?』
『い、いえ。失礼いたしました』
『悪いが、軽い食事を用意してくれ。ベッドの上で食べるからその準備も頼む』
『承知、いたしました』
なんとかそれだけ返事をして部屋から飛び出たが、まだ心臓がバクバクしている。
今までとは全く別人のようなラミロさまの姿に速い鼓動がおさまらない。
愛するお人と繋がると、あれほどの色気を纏うのか……。
ラミロさまの首筋にはキスマークがあった。
あのヤマトナデシコのようなカズホさまがあんなにも情熱的にキスマークをおつけになるとは……。
ラミロさまがあれほどフェロモンをたっぷりと撒き散らしているのなら、カズホさまは……
『――っ!!!』
ほんの少し想像しただけで、背中がゾクリと震える。
これはもしやラミロさまの威圧?
私がカズホさまの淫らなお姿を想像しようとしたからか?
ひぃーーっ。
余計なことは考えずに職務を全うするようにしよう。
私は急いで食事の支度を整え、ラミロさまとカズホさまのお部屋に運んだ。
カズホさまのお姿を拝見したのは、それから二日後のことだった。
応援ありがとうございます!
119
お気に入りに追加
2,041
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる