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カズホとの未来のために

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<sideラミロ>

『カズホ、其方は私の大切な伴侶となるのだぞ。そのようにへりくだる必要はない。もっと堂々としていれば良いのだ』

『えっ……ですが、お世話していただくのに、そんな不遜な態度を取るなんて私には……』

ああ、カズホはなんて綺麗な心をしているのだろう。
今までに我が家に招いた客人は、私の招待だというだけで大きな態度で過ごしていたものだがな。
その辺りが、私がカズホに惹かれた理由の一つなのかもしれない。

『カズホ。其方は本当に素晴らしいな。私の目を覚まさせてくれる』

『私が、ラミロの目を?』

『ああ、これからも私の間違いを正してくれ』

『そんな……っ、私には烏滸がましすぎます』

『いや、私の伴侶としてきちんと意見を言ってくれさえすればそれでいいのだ。改めて、ランス。私のカズホの世話をよろしく頼むぞ』

『は、はい。どうぞお任せくださいませ』

『さぁ、カズホ。中に入ろう』

カズホの腰に腕を回し、ピッタリと寄り添って私の部屋に連れて行く。

『ここが私たちの部屋だ』

『わぁ、素敵なお部屋ですね。広くて明るくて……ラミロのいい匂いで溢れています』

『えっ……匂い?』

『あっ、失礼しました』

『いや、何も失礼ではない。カズホは私の匂いをいい匂いだと言ってくれるのか?』

そういうと、カズホは頬を染めて私を見上げながら、

『初めてラミロに抱きしめられた時から、安心するいい匂いだと思っていました……ラミロの匂い、すごく好きです……』

と言ってくれた。

私は香水の類は一切つけない。
だから、カズホが好みだと言ってくれたのは私の体臭そのもの。

他人の体臭が良い匂いだと感じたらそれは遺伝子レベルでその人を求めている証拠で運命の相手だと言われているが、そうだとしたらやはりカズホにとって私は運命の相手だということだ。

もちろん、私もカズホの体臭が好みというだけでなく、カズホの匂いだけで興奮してしまう。
だから、私にとってもカズホが運命の相手で間違いはない。

『カズホ……やはり私たちは離れていてはダメだ。いつでも触れ合える距離にいなくては』

『ラミロ……』

『カズホもそう思うだろう? 私と遠く離れた日本で今まで通りの生活を送れるか?』

『――っ、それは……』

『正直に言ってくれ』

『ラミロと、離れたくないです……』

『ああっ、カズホ……。よかった』

私はカズホを強く抱きしめながら、この手をもう手放さないことに決めた。

『私はカズホと共に日本で生活することに決めたぞ。三日間だけここで待ってもらえるか?』

『えっ……三日、ですか?』

『ああ、三日あれば、私の今の状況を全て日本に移すことができる。あちらで二人で新しい生活を始めるとしよう。その準備が整うまでの三日間は、私のそばにいてくれるね?』

『ほ、本気なのですか?』

『ああ、もちろんだよ。私は嘘などつかない。そしてやると決めたら必ずやる。ちょうどアキラの影響もあって、日本に興味を持っていたから、いつか日本に数ヶ月滞在するつもりで家を買ってあるんだ。今思えば、カズホとの未来を予感していたのかもしれないな。しばらくはそこに一緒に住めばいいから家も問題ない。ああ、もちろんカズホと暮らすための家を一から建てるつもりだから心配しないでくれ。そこは仮住まいだと思ってくれたらいい』

『あの……そこは、どちらなのですか?』

『ああ、そうか。仕事先から近くなくてはな。確か、ミナトクのアリビオというコンドミニアムだったな。そこの最上階を買ってある』

『ええっ!! あ、アリビオの……最上階、ですか?』

『気に入らなかったか? 日本の友人からおすすめだと言われて買ったんだが……』

『い、いえ。気に入らないなんて、そんなっ!!!』

驚いた様子のカズホの話では、どうやらそこはかなり人気の物件らしい。

『まさか、最上階をお求めになったのがラミロだなんて……びっくりしました』

『カズホが喜んでくれるならそれでいい。なら、しばらくはそこで新婚生活を満喫するとしよう』

『えっ、し、んこん……』

『恥ずかしがることはない。私たちはもう思いが通じ合っただろう?』

そういうと、カズホは顔を真っ赤にしながらも

『嬉しいです……』

と言ってくれた。

『カズホ……このまま、カズホと愛し合いたいが、そうなると時間を忘れてカズホの全てを貪ってしまう』

『――っ、ラミロ……』

『いや、本当だ。だから、先に日本に移るための準備を整えておきたい。そうすれば時間を気にすることなく、カズホと愛し合える。だから、ここで少し待っていてくれないか?』

『あの……私にもお手伝いをさせてください』

『だが……』

『いえ、早く準備を整えて、私もラミロと、その……いっぱい、愛し合いたいです……』

『くっ――! カズホっ! ああっ、もう!! 私はなんて幸せ者なのだろうな。わかった。じゃあ、カズホ。手伝ってくれ』

『はい』

カズホの輝くような笑顔を見て、そのまま寝室に連れ込みたい気持ちをグッと抑えて、私はカズホを仕事部屋に連れて行った。
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