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明さんの告白

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『それで、彼・アロンのことなんだが……実は、私の恋人なんだ』

『えっ? こい、びとって? えっ?』

予想外の告白に僕はただただ混乱するばかりで、なんと返せばいいのかわからなかった。

『驚くのも無理はないな。だが本当のことなんだ。実は私はゲイでね、男性しか愛せないんだ』

『あ、それで一生結婚するつもりはないって……』

『ああ、そうだ。と言っても、ここイギリスでは同性同士の結婚は認められているから、私とアロンは正式に夫夫だよ。だから恋人というよりは、パートナーと言った方が正しいかもしれないな』

『パートナー……』

そうか。
イギリスでは認められているんだ。
ってことは、恋愛が異性じゃないといけないみたいな考え自体おかしいってことだよね。

今まで周りには同性同士で恋愛したり、結婚したりしていた人にあったことがなかったから、そう思っていたけれど、それはただ日本が認めていないから気づかなかっただけで、ここではそれが普通なんだ。
そもそも普通なんて誰かが勝手に決めたことだし。

僕自身は女性も男性も特に好きになったことがないから、まだどっちが好きかなんてわからないし。
僕だって男性を好きになるっていう可能性もないわけじゃない。
性別なんかにとらわれずに人を好きになるっていうこと自体、素敵なことだよね。

明さんもアロンさんもすごく幸せそうだし、一緒にいて僕まで幸せを貰えてるような気になってくる。
そう。
まるで父さんや母さんと一緒にいる時のような安らぎを感じるんだ。

『真守……悪い。もっと早くに伝えておくべきだったな。イギリスまで連れてきて突然こんなことを言われても困るよな』

『そんなことないですっ』

『えっ?』

『僕、明さんとアロンさん……すごくお似合いだと思います。明さん、生涯独身だって言っていたから、びっくりしましたけど、愛する人がいるって素敵なことですよね』

『真守……』

『僕……アロンさんのこと、紹介していただけて嬉し――』「わぁっ!!」

突然アロンさんが抱きついてきて、びっくりしてしまった。

『あ、あの……』

『ありがとう、マモル。僕……とっても嬉しいんだ』

『アロンさん……』

『ね、僕の友達になってくれる?』

『えっ? はい、もちろんです』

『わぁー、嬉しいっ!!』

『わわっ!』

ぎゅーぎゅーとさらに強く抱きしめられていると、突然アロンさんが僕から離れて行った。

びっくりして見てみると、明さんがアロンさんを抱きしめているのが見える。

『アロン、嬉しいのはわかるが抱きついていいのは私だけだって何度言えばわかるんだ?』

『ごめんなさい……つい、嬉しくて……』

『確かに嬉しいが、あんまり真守と抱き合っていると嫉妬してしまうぞ』

『アキラ……』

車の中で甘い雰囲気が漂う。
紳士的で頼り甲斐のある明さんだけど、アロンさんに関しては全然違う人みたい。

明さんのこういう姿を母さんは知っていたのかな。
ふふっ。きっと知っていたから、何かあった時のために僕を託したんだ。
きっとそうに違いない。



そんな話をしているうちに、車は明さんの自宅に到着した。

『わっ、ここが……明さんの、お家ですか?』

目の前に現れたとてつもなく大きなお屋敷に驚きしかない。

『ああ、今日から真守の自宅でもあるんだ。遠慮しないで入ってくれ』

案内され、ドキドキしながら中に入ると、執事さんみたいな人が立っていた。

『ジョージ、彼が私の大事な息子になった真守だ』

『これはこれはマモルさま。初めてお目にかかります。私はこの屋敷で執事を任されておりますジョージと申します。なんでもご遠慮なくお申し付けください』

『は、はい。マモルです。ジョージさん、これからよろしくお願いします』

『ふふっ。可愛らしいそのクマはお名前はございますか?』

『えっ、あ、まだ決まっていなくて……』

『そうですか。とても可愛らしくてマモルさまにそっくりでいらっしゃいますね』

こんなにも年上の人に丁寧に挨拶されて驚きながら、必死に挨拶をして頭を下げると、ジョージさんは優しそうな笑顔を見せてくれた。
父さんが買ってくれたクマも褒めてくれたし、きっといい人だ。

ここで暮らすのもうまくやっていけるかもしれないな。

『ジョージ、マモルの部屋の準備は整っているか?』

『はい。全て整っております』

『そうか。なら真守。部屋に案内するよ』

もうすでに部屋ができていることに驚きながら、明さんの後についていく。
僕の家の十倍は広そうな家で驚きしかない。

『さぁ、ここが真守の部屋だよ。何か足りないものがあればなんでも言ってくれ。すぐに揃えるから』

『――っ、これが僕の部屋……』

信じられないくらい広くて、何もかもが揃っていてまるで夢の部屋みたい。

『気に入ったかな?』

『はい。僕、こんなすごい部屋を用意してもらって……嬉しいです。ありがとうございます』

『真守がここで有意義な時間を過ごしてほしいんだ。私はいつでも応援するよ』

『はい。ありがとうございます』


優しくて頼り甲斐のある明さんと、いつも明るくて優しい笑顔を見せてくれるアロンさんと、そしてジョージさんを始め、たくさんの使用人の人に囲まれて僕の新しい生活は始まった。

明さんの仕事を少しずつ手伝わせてもらいながら、ここでの生活は気付けばあっという間に3年が経っていた。
その間に親友と呼べるほど仲良くなったアロンとは呼び捨てで呼び合うほどの仲になり、僕は毎日充実日した日々を過ごしていた。

そして、ある日僕の元にあるパーティーの招待状が届き、僕の運命は大きく変わることとなった。
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